連載
孤独のボドゲ 第1回:ダイスに運命を託すクトゥルフゲーム「エルダーサイン」
エルダーサイン
ボードゲームと聞くと複数人でプレイするものと思われがちだが,実は1人でも遊べる作品は多く存在する。月間連載の「孤独のボドゲ」では,そんな1人でも遊べるボードゲームを紹介しよう。ポイントとなるのは1人“でも”というところで,1人で遊んでみて面白ければ,友達を誘って一緒に遊べるというわけだ。
新連載「孤独のボドゲ」 第1回は,ファンタジーフライトゲームズが制作する「エルダーサイン」を紹介しよう。本作はクトゥルフ神話を題材とした作品で,プレイヤーは探索者となり,呪われた博物館で起きる怪奇事件を解決しつつ,エルダーサインを集めて邪神の復活を食い止めることになる。
協力型ダイスゲームと謳われているとおり,このゲームはダイスを使ったアクションがメインだ。良くも悪くも運任せという大味なところも取っつきやすく,一回目に紹介するタイトルとしてはもってこいと言えるだろう。
コンポーネントをチェック
デジタルゲームにはないボードゲームの魅力といえば,やはりコンポーネントである。コンポーネントとは,ゲームに使う小道具の総称みたいなもので,ボード,カード,ダイス,コマなどがそれにあたる。作品によっては凝ったギミックを持つコンポーネントもあり,それを触ったり動かしたりするのが,これまた面白いのである。そんなわけで,ボードゲームの華ともいえるコンポーネントを見ていこう。
◯冒険カード
博物館で起きる怪事件が書かれたカード。テキストと絵を見ているだけで,クトゥルフ神話の世界観に浸れるのがポイントだ。
カードにはいくつかのタスクが用意されており,そのタスクに書かれたシンボルをダイスですべて揃えれば解決となる。カードの下には,成功時の報酬や,失敗時のペナルティが書かれており,解決した冒険カードはトロフィー(いわゆるお金)として扱う。
◯ダイス
怪事件の解決に必要なアイテム。ダイスには4種類のシンボルが描かれており,虫眼鏡が「探索」,巻き物が「知識」,ドクロが「危険」,触手が「恐怖」を表す。通常ダイス(緑)は,探索シンボルが3つ,そのほかのシンボルが1つずつといった感じだ。
特殊ダイスである黄色は,恐怖シンボルがない代わりに探索シンボルが4つに。赤いダイスも同じく恐怖シンボルがない代わりに,どのシンボルにもなれるワイルドが1つある。いずれも本作用に作られたダイスなので,1つでも無くすとゲームができなくなる点には注意しよう。
◯探索者カード
探索者カードは,プレイヤーキャラクターとなる探索者の能力や初期装備が書かれている。プレイするときは,最大8名のキャラクターを選ぶ。
○エンシェントワンカード
エンシェントワンカードに描かれているのは邪神だ。カードの真ん中にある数字は,その邪神を封印するのに必要なエルダーサインの数を示している。
◯モンスタータイル
なんらかの効果によって,どこかの冒険カードに現れる邪神の眷属達。彼らは独自のタスクを持ち,それを解決しないと倒せない。モンスタータイルはランダムに引く必要があるので,黒い巾着などに入れておこう。
◯エントランスカード&アイテムカード
エントランスは,プレイヤーの拠点となるカード。ここではトロフィーを消費してアイテムを購入したり,体力を回復したりできる。
アイテムカードは,冒険カードのタスク解決時に特殊なダイス(赤や黄色)を追加してくれる。ほかにも,出目をキープしておける呪文カード,プレイヤーにメリットをもたらしてくれる助力カードなどもある。
◯トークン
ボードゲームを購入したら,まずはトークン類を型から抜く作業が必要になる。ゲームによってはそれだけで1時間以上かかることも。本作のトークンは,ゲームの状況をわかりやすく管理するのに役立つので,面倒臭がらず全部抜いておこう。
◯時計&神話カード
コンポーネントの中でも一番の存在感を放つ時計。探索者の活動時間は,お昼の12時から深夜12時までという設定だ。プレイヤーの手番が終わると3時間進むので,4人の手番が終わると1日が終了することになる。ゲーム中は,何らかの効果で時間が進むこともあるので,複数人でプレイするときは時計を動かす人を決めておくと混乱せずに済むだろう。
また,時計の針が12時を示すたびに(つまり1日経過するごとに)神話カードがめくられる。神話カードには,プレイヤーの置かれている状況をさらに悪くするようなことが書かれているので,めくるときは心の準備をしておこう。
◯セットアップ完了図
ぼっちプレイの流れ
本作は最大8人でプレイできるが,1人で遊ぶ場合は好きな探索者を何人か選んで,それらをすべて自分で担当する。ゲームの目的は邪神が復活するまえにエルダーサインを集めることなので,まず,このゲームで復活しようとしている邪神をランダムに選ぶ。
次に探索者を決める。好きなのを選んでもいいし,ランダムに選択してもいい。邪神と探索者が決まったら,山札から冒険カードを6枚引き,場に並べてゲームスタートだ。手番は,「探索者の移動」「事件の解決」「時計の針を進める」という3つのフェーズに分けて進めていく。探索者が2人以上の場合は,あらかじめ順番を決めておこう。
「探索者の移動」フェーズでは,手番となる探索者のコマを取り,挑戦したい冒険カードの上に置く。コマを置いたら「事件の解決」フェーズに進むので,6つの緑ダイスを握りしめ,無心で床に叩きつける……なんてことをしたらダイスを無くすので,そっと転がそう。
出たシンボルと冒険カードのタスクに記されてるシンボルを見比べて,解決できるタスクを選ぶ。どれも解決できない場合は失敗ロールとなり,ダイスを1つ取り除いて再度チャレンジできる。このとき,「フォーカス」というアクションを使うと,失敗したダイスの中から1つだけキープできる。これは1手番に1度しか使えない必殺技みたいなものだ。
すべてのタスクを解決すると,冒険カードの右下の白枠に記された報酬がもらえる。また冒険カード自体が,カード名の横にある数値分のトロフィーとなる。トロフィーは,拠点にある売店で使うお金みたいなもので,体力を回復したり,アイテムカードを買ったりするのに利用できる。なんならエルダーサインだって購入できてしまう。売店のおばちゃん1人で邪神の復活を食い止められるのではないだろうか。
探索者の手番が終わったら,時計を3時間進め,次の探索者の手番に移る。これを繰り返して12時になったら神話カードをめくり,そこに書かれていることを解決する。神話カードは,たいてい探索者に不利なことが書かれており,最悪その1枚で壊滅的な被害を受けることも。そんなわけで,神話カードをめくる瞬間は結構ドキドキする。
神話カードを解決したら,再び12時からスタートだ。これが本作における1ターンの流れとなる。神話カードがめくられるたびに,探索者は追い詰められていくので,なるべく早めにエルダーサインを集めきりたいところ。探索者がすべて死ぬか,復活した邪神とのバトルに敗れるとゲームオーバーとなる。強力なアイテムをたくさん持っているとかでなければ,邪神に勝つことは難しいので,邪神復活=敗北と考えていいだろう。
一見するとダイス運にすべてが左右されるゲームに見えるが,アイテムやフォーカスなどでダイスをある程度コントロールできるので,意外と奥が深い。
と言いつつも,やはりダイス運に左右されるところが大きいのも確かだ。もっとも,そのおかげでロールするたびに盛り上がれるという,クトゥルフゲーなのにパーティー性も秘めた作品になっている。
おどろおどろしいBGMを流しながら,じっくりとソロプレイするのも良いが,ある程度プレイして流れを掴んだら,友達を誘ってプレイしてみると,また違った面白さも見えてくるので,ぜひ試してみてほしい。なお,孤独のボドゲ 第2回は2月7日掲載予定なのでお楽しみに。
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