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[インタビュー]“ショウワ99年”記念! 「ジェットセットラジオ」開発陣がシリーズ誕生秘話と完全新作への意気込みを語る
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印刷2024/03/25 08:00

インタビュー

[インタビュー]“ショウワ99年”記念! 「ジェットセットラジオ」開発陣がシリーズ誕生秘話と完全新作への意気込みを語る

 昨年末のThe Game Awards 2023にて,セガの名作「ジェットセットラジオ」シリーズの完全新作が開発中であることが明らかになった。

「ジェットセットラジオ」完全新作のスクリーンショット。正式タイトルやプラットフォーム,発売日などは未定
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 2000年6月29日に発売されたドリームキャスト用ソフト「ジェットセットラジオ」(以下,JSR)は,スケートシューズを履いたプレイヤーキャラクターが箱庭状に作られた「トーキョート」の3つの街を駆け回るストリートアクションゲームだ。ケーサツ(警察)やライバルチームの追っ手を振り切って,ステージのあらゆるところにグラフィティ(落書き)を描いていく。
 2001年1月にはJSRのインターナショナル版と言える「デ・ラ・ジェットセットラジオ」,そして2002年2月にはXboxの国内発売に合わせて続編「ジェットセットラジオフューチャー」(以下,JSRF)が発売されている。

「ジェットセットラジオ」。本稿では2013年にリリースされたHDリマスター版(PS3版)のスクリーンショットを使用している
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「ジェットセットラジオフューチャー」は2002年2月22日発売。Xbox本体の国内発売と同日のリリースだった
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 当時としては斬新だった箱庭状のステージを縦横に駆け回る爽快感や,実在する街をモチーフとした立体感あふれるステージ,アニメやアメコミを思わせるグラフィックス表現「マンガディメンション」,日本人にも好まれるストリートカルチャーを取り込んだキャラクターなど,現代でも通用する魅力的な要素を備える。発売から20年以上経過した現在も多くのファンが存在し,筆者もその1人である。
 また近年はシリーズに魅了されたゲーム開発者によるオマージュ作品がリリースされるなど,盛り上がりを見せている。

 そんな折,完全新作の発表にはファンのみならず,ゲーム業界も大いに沸いた。開発チームの中途採用募集も行われ,関連映像にはセガのプロデューサー 菊池正義氏とコンセプトデザイナー 植田隆太氏が登場している。
 両氏はJSRの生みの親と呼べる開発者であり,以降の全シリーズ作品に関わっている。彼らが再びチームを組んで,JSRの完全新作を手がける。この事実に心が躍ったのは筆者だけではないはずだ。


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 セガは本日(2023年12月11日),ゲーム「ジェットセットラジオ」シリーズ新作タイトルの開発チームに関して,中途採用募集を開始した。ジェットセットラジオは,2000年に発売されたストリートアクションだ。今回の中途採用に合わせて開発チームのインタビュー映像も公開されたので,関心のある人は内容を確認してみよう。

[2023/12/11 14:48]

 奇しくも今年(2024年)はシリーズの舞台設定にある「ショウワ99年」であり,来年(2025年)はJSR発売25周年のアニバーサリーイヤーだ。ファンが沸き立つこの機会に,4Gamerでは菊池氏と植田氏にインタビューを実施し,当時の開発秘話と新作への意気込みを語ってもらった。

【左】菊池正義氏:セガ第3事業部 クリエイティブディレクター。セガサターン時代から現在までゲーム開発の現場に携わり,JSRではディレクター兼チーフプランナーを担当していた。その後,「龍が如く」など,多数の作品を手がける。近年はプロデューサーとしてモバイルゲームを開発していたが,再び家庭用ゲームの現場へ

【右】植田隆太氏:ゲームコンテンツ&サービス事業本部 第4事業部 第4開発1部 第3デザインセクション アートディレクター。アートディレクターとして,菊池氏と同作品を手がけることも多く,「龍が如く」シリーズでは桐生一馬や真島吾朗などの主要キャラクターを生み出している。JSRではチーフグラフィックデザイナーを担当していた
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すべては植田氏のコンセプトアートから始まった


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。ファン待望のJSR完全新作を開発中と聞いて,お話を聞きに来ました。
 第1作からシリーズ開発に携わっているお二人ですが,2000年6月に発売されたJSRの企画はどのような経緯で始まったのでしょうか。

菊池正義氏(以下,菊池氏):
 当時,僕と植田はセガのCS1研(第一CS研究開発部)という部署にいまして,セガサターンの「AZEL パンツァードラグーンRPG」の開発をしていました。それが佳境に迫っていた頃,確か1997年の秋だったと思うんですけど,植田が「こういうゲームを考えている」と言って,コンセプトアートのような絵を持ってきたんです。企画の原点がそのアートなんですよ。

4Gamer:
 企画書ではなく,絵だったんですか。

植田隆太氏(以下,植田氏):
 「AZEL」の開発が終わって,攻略本用の資料とかを作っている裏でコソコソ描いてたんです(笑)。「AZEL」もそうでしたけど,当時はファンタジーの世界観が多かったので,もっと現代的かつポップな絵柄のゲームを作りたいと以前から思っていました。だから,まずはビジュアルからというか,ゲームデザインとかは二の次だったんです。

4Gamer:
 現代という世界設定は,最初から構想があった。

植田氏:
 さすがに現代世界をそのまま作るのは難しいと思っていましたが,現代風の舞台で若者カルチャーみたいなところを主軸にしたいと考えたんです。
 ちょうどその頃,東京ゲームショウにPlayStation用ソフト「パラッパラッパー」が出ていて,それを見てちょっと悔しかったんですよね。「こういうのをやりたかった」という気持ちと共に,もっと作り込んだゲームができないかと。

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4Gamer:
 それはセガサターンでは難しかったんでしょうか。

菊池氏:
 ハード的な面というより,企画を常に出していたけれど,それが通るか通らないかという話ですね。我々が若かったことや会社の都合などもあり,それまでは通らなかったものが,「AZEL」が終わった頃に出した企画にはチャンスがもらえたという流れでした。

4Gamer:
 それがドリームキャストの発売時期だったんですね。

菊池氏:
 そうです。確かまだ発表はされていなかったと思いますが,セガサターンから次のハードへの切り替えが決まっていた時期で。

植田氏:
 自社ハードなので,いろいろなジャンルのゲームを出したいという流れがあって,そこに乗れたという印象でした。「スペースチャンネル5」や「ぐるぐる温泉」などもそのおかげで,それまでに社内で作っていなかったタイプのゲームだったのが良かったんじゃないかと思います。

菊池氏:
 PlayStationとセガサターンによって,キッズからファミリー,大人まで市場が広がり,ユーザーも成長していた時期だったので,企画もそれまでにないものが通りやすかったんでしょうね。

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4Gamer:
 植田さんのコンセプトアートから新作の企画へと至るまでには,どのような過程がありましたか。

菊池氏:
 植田の絵はキャラクターがメインでしたが,その背景が東京ぽいものだったので「舞台は日本なんだろうな」みたいな話をしましたね。そのキャラクターがインラインスケートを履いてたので,「ジャンルは何か考えてる?」と尋ねたら「アクションだろ」と即答してきたので,すんなりジャンルが決まった(笑)。そこから「どんなゲームが作れるだろうか」と考えていきました。

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植田氏:
 絵を描いていたときは,普通の格好よりもインラインスケートを身に着けていたほうがゲームとしてカッコよくて,面白いアクションにつながるんじゃないかという考えでした。
 当時,アナログ入力で3Dフィールドを自由に駆け回れるアクションゲームでは「スーパーマリオ64」のインパクトがすごくて,この企画もアクションゲーム以外は考えられなかった。ただ,今思えばそこからよく「箱庭の3Dアクションを作ろう」という野望につながったなと,あらためて思いますよね。若かったんだな(笑)。

4Gamer:
 当時,あの感じの3Dアクションはほとんどなかったかもしれません。

菊池氏:
 当時は「X Games」が盛り上がっていたので,インラインスケートで3Dステージを走るなら,「アクションにトリックやグラインドを組み込んだら面白い」という感じでゲームデザインを広げていったんです。
 初期の頃はまだグラフィティの要素はなくて,キャラクターが集まるアジトに描いてあったぐらい。ゲームに組み込んだのは,もう少しあとだったと思います。

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植田氏:
 最初の段階では,ゲームの明確な目的が決まっていなかったんですよ。「走るだけじゃゲームにならないから何にしよう」というところから,最終的にグラフィティを描くのがいいんじゃないかと。

4Gamer:
 ゲームのアイデアは最初からではなく,段階的に決まっていったんですね。

菊池氏:
 実際に作り始めるまでの仕込みだけで,1年以上かかったと思います。その段階でプログラマーは別のプロジェクトにかかっていて存在せず,我々2人とデザイナーの3人ぐらいで考える時間をもらっていて。部署的には「放っておいてくれた」というのが正しいのかな(笑)。本来なら動いているプロジェクトに入れられますから。

植田氏:
 俺,断ってましたよ。そのときに動いていた別のプロジェクトがあって,それに入れられそうになったんだけど「嫌だ」って。それを許してくれた上司がすごい(笑)。

4Gamer:
 確かに(笑)。では開発が本格的に始まったのは?

菊池氏:
 実際にはセガの開発部署が分社化される直前ぐらい,スマイルビットの前身となるソフト6研(第六ソフトウェア研究開発部)時代の終盤だったと思います。
 この形でやろうと決まってから,約2か月の突貫作業でプロトタイプを作ったんですけど,それが全然面白くならなくて……。
 その後,1か月かけて作り直した次のバージョンでは,プレイヤーがグラインドやトリックを使いこなせば,早く移動できたり,高いところに上がれたりしてマップの攻略につながるという,本作の原点となる形ができたんです。

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4Gamer:
 最初のバージョンとは完成度が段違いだったと?

菊池氏:
 だいぶ違いましたね。最初のバージョンではシブヤチョウのバスターミナルを作り,次のバージョンでステージをグラインドとトリックで走り回って遊べる仕組みを盛り込んだことで,本作の方向性が決まったんです。

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4Gamer:
 シンプルに移動してグラフィティを描いてもいいし,トリックを駆使してエクストリームスポーツのような遊び方をしてもいいという方向性ですね。

菊池氏:
 同じステージでも,いろいろな動き方ができるようにした結果ですね。任天堂さんが「スーパーマリオ64」と「ゼルダの伝説 時のオカリナ」で家庭用3Dゲームの遊び方を定義して,各社がそれを追従する形で模索しながら新しいものを出していった時代です。我々もその2タイトルから影響を受けながらも,「3D空間でいかに遊ばせるか」に強いこだわりを持って作った結果,JSRのゲームデザインにたどり着きました。
 任天堂さんの「テン・エイティ スノーボーディング」からも影響を受けましたね。エクストリームスポーツでありながら,ワイドリニアでいろいろなところを滑走できるゲームデザインでしたからね。


開発陣全員がこだわり,個性的な3つの箱庭の街が完成


4Gamer:
 当時としてはかなり珍しい巨大な箱庭ステージを実現しましたが,それも当初から考えられていたんですか。

植田氏:
 元々,街みたいな箱庭ステージを作ることは考えていたんですよ。

菊池氏:
 今のオープンワールドのように1つの大きな箱庭を作って自由に遊ばせるのは,ドリームキャストでは制約があって難しかったけれど,ロードを挟むようにすればできるんじゃないかと。街にいくつかのシチュエーションを用意して,それをつなげて行き来できるようにして,1つの大きな街になるように構築したんです。

4Gamer:
 複数に分かれているとはいえ,かなり広大なマップでした。開発は相当大変だったと思います。

菊池氏:
 とにかく時間も人も足らないので,常にいろいろなことを考えながら作っていました。このゲームで一番大切なのは,街が単なる背景ではなく,そこを登ったり降りたりして,街自体のレベルデザインがアクションと対になっていること。それぞれの街を担当したスタッフが,個性を生かしてこだわりを持って作りました。
 「シブヤチョウ」「コガネチョウ」「ベンテンチョウ」という3つの大きな街,それぞれをゲームデザイナー1人,グラフィックデザイナー数人の担当チームが作っていたんですが,ディレクター兼プランナーである僕もシブヤチョウ担当だったので,個人的にはそれが一番大変でしたね(笑)。

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4Gamer:
 皆さんの苦労の甲斐があって,街の特徴を捉えたうえで,3Dアクションのステージとしてもよくできていました。

植田氏:
 みんな本当に楽しんで作っていました。当時,遊び歩いていた街を実際に取材したりして,「こういうところあるよね」といった感じで,全員が楽しみながら作っていたから味が出たと思うんですよ。チームごとに別々の電話ボックスを作っていて,「電話ボックスは全部同じでいいだろ」なんてこともありました(笑)。

4Gamer:
 ステージの作り方はわりと自由だったんですか。

植田氏:
 けっこう自由でした。我々が「こういうのを入れたい」と提案すると,レベルデザイナーが「こうすれば楽しくなりそう」と考えながら作ってくれて,「自由に再現する楽しみ」はあったと思います。

菊池氏:
 単にきらびやかな日本や東京が作りたかったわけではなく,普段我々が身近に感じている,ゴチャッとしていたり,見た目はあまり綺麗じゃなかったり,あるいは古き良き昭和みたいなところを取り込めば,カッコよくなりそうな共通認識はチームの中に何となくですがありました。
 また,大友克洋さん,松本大洋さんの作品のような,日本の雑多な良さを描写したアニメや漫画はありましたが,当時のゲームにはそういうものがなかった。JSRではそれを表現できたら,という思いもありました。

植田氏:
 例えば下水道とか,怖いけどちょっと入ってみたくなるじゃないですか。子どもの頃,兵庫県に住んでいたときに,土管から入り込んで迷って迷って,学校の横の場所に出たっていう思い出があって(笑)。開発陣のワクワクした体験や夢を反映させたところも多いです。

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4Gamer:
 若者が歩くストリートから昭和風の住宅街,夜の繁華街まで,街のシチュエーションも多彩でした。

菊池氏:
 繁華街は電車の操車場とつなげたんですよ。グラフィティと言えば,操車場に描かれているイメージがありましたから。

植田氏:
 あの繁華街は「龍が如く」の神室町の元だよね。街をいかにそれっぽく表現しつつ,3Dアクションとして楽しくなるように設計するノウハウは,ほぼそのまま「龍が如く」に生かされています。看板のデザインやロゴあたり,いくつか流用したものがあったんじゃないかな。「六角銀行」とか,今のシリーズ作品にも残っていますよ(笑)。

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菊池氏:
 JSRチームは完成後,ほぼそのまま「龍が如く」チームにスライドしていますね。

4Gamer:
 確かに初期の「龍が如く」シリーズには,JSRと通じるものがありました。

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リアルタイムでのセルシェーディングを実現


4Gamer:
 JSRと言えば,セルシェーディングによるグラフィックス表現「マンガディメンション」も特徴でした。当時,まだ一般的ではなかった手法を採用した理由を教えてください。

菊池氏:
 「セルシェーディングをやりたい」と思って始めたわけではなく,植田の絵のテイストをどう表現するかというのが命題で,セルシェーディングを使えば「この絵を表現できそうだ」という確信はありました。
 当時,セルシェーディングはレンダリング映像なら可能だけど,リアルタイムで動かすにはハイパフォーマンスな環境でないとできないと考えられていたんです。それが植田とデザイナーが相談しながら,実際にやってみたらできてしまったという(笑)。

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植田氏:
 描画のアウトラインに関しては,部内のデザイナーがエフェクトを作っていたときに,その外側に線が出ていて「これは使えるのでは」と,やり方を聞いたらうまくできたんです。
 2階調の陰影は,当時のPC研(PCソフト研究開発部)にいたプログラマーに相談したら実現できたり。あらためて考えると,セガの技術力ってすごかったんだなって思いますよ。

菊池氏:
 ハードの設計担当にも話を聞いたよね。自社ハードの強みで「こういうことはできませんか」と直に聞けるので。

植田氏:
 あの頃,ゲームがどんどんリアルな絵柄になっていって,でもそれとは逆のベクトルにしたかった。それと同時に正直,開発人員もスケジュールもそんなにはないので,リアルなものを作ってる場合ではなく,効率のいい作り方でもあったんです。

4Gamer:
 やり方が分かりさえすれば,リアルに作るよりも手間はかからなかったんでしょうか。

植田氏:
 そうですね。例えばキャラクターをリアルに作るには,皮膚や衣服の質感をどうするかといったところにコストがかかりますが,そこを省く方針にすれば,それこそ手書きのイラストを描くように作れますから。

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4Gamer:
 会社から,リアルな絵柄を求める声はなかったんですか。

菊池氏:
 それはまったくないですね。「スペースチャンネル5」や「ROOMMANIA#203」などもそうですけど,ゲームの内容に関して会社はすごく寛容で,比較的自由に作れる環境でした。

植田氏:
 ぶっ飛んだゲームが求められた時代背景もあるでしょうね。PlayStationが一風変わったゲームをたくさん発売し,CMをバンバン流していたじゃないですか。それに負けないものを作ろう,という方向性がありましたから。

菊池氏:
 開発初期にはこの描画技術がなく,キャラの輪郭やパキッとした陰影もまだ付いていない状態で作っていたんです。できるようになったのが,開発の中盤だったかな。それでゲームの印象がガラッと変わりました。

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植田氏:
 背景のテクスチャもパレットから規定の色だけを使うようにルールを決めました。「赤色ならこの5色まで」みたいな決まりを作って。
 ちょっと専門的な話ですけど,「ガマットマッピング」という色領域をRGBではなくCMYKで分けて,印刷などで映える色だけを使う手法により,カラフルだけど濁らない色合いにしたんです。

4Gamer:
 当時,ゲーム雑誌の誌面でもスクリーンショットが映えていたのは,そういう理由があったのかもしないですね。

植田氏:
 印刷はきっと映えますよね。色に関しては,ゲームクリエイターの上田文人さんと初めてお会いしたときに「JSRは色がいい」と誉められて,うれしかった思い出があります。

4Gamer:
 以前にも,CMYKの色を採用したゲームはあったのでしょうか。

植田氏:
 それは分かりませんが,「こうすれば色合いがまとまるんじゃないか」という美大出の直感みたいなものはありました。「ここ,赤色で塗って」と指示したときに,デザイナーが好きに選んだ赤を使うと色が濁るんです。派手な色を使うほど濁り,そういう色を使う傾向のあるデザイナーの絵は色の好みが出て,それで汚く見えてしまうことも往々にしてあります。
 グラデーションは使わない。汚しをするときも単に茶色を使うのではなく,同じ色調の色を使って汚す。そういう決まりごとを作っていましたね。

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4Gamer:
 色を決めておくと統一感が出ますね。

植田氏:
 アニメの色指定と一緒です。当時,大友克洋さんの映画「AKIRA」のメイキングを見たら,従来のアニメに使っていない色を使っていて,カラフルだけど独特の味がある。なおかつ不自然さがない色使いだったんですが,そこを狙いたかったんです。


JSRのキャラクターは人物というより「アイコン」


4Gamer:
 キャラクターデザインも個性的でしたが,コンセプトは何だったのでしょうか。

植田氏:
 ストリートカルチャーのゲームだけど,当時のストリートファッションとは微妙に違うファンタジーも入ったデフォルメ感は意識していました。
 ゲームのキャラクターには映画の主人公などとはちょっと違い,どちらかと言えばアイコンとして存在してほしいと思っています。劇中,キャラクターがあまりしゃべらないのはそういう理由です。
 当時はイケメンやマッチョといったキャラクターの見た目を細かく作って,パーツなどをゴテゴテ加えていく方向に進んでいたので,その逆をいこうと考えて,できるだけシンプルに。ユーザーが認識しやすくてファンアートを描きやすいような,シルエットや小物が記号として残るようなデザインを意識しました。

ドリームキャスト時代,植田氏が手がけたビジュアル。ゲーム雑誌の表紙などに使われた
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4Gamer:
 キャラクターはたくさんいましたが,とくに迷いや悩みはなく描けましたか。

植田氏:
 悩みはなかったです。アイデアはどんどん出てきて……脳がそういう状態に入っていたのかもしれない(笑)。

4Gamer:
 素朴な疑問なんですが,最初に仲間になるガムはイラストだと胸に「ガム」のロゴがあり,ゲーム内では背中にあります。なぜ違うのでしょうか。

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植田氏:
 あれは単なる僕のミスです。そのあたりはかなりゆるくて,イラストと多少違っているところもいくつかありますが,あまり気にしませんでした(笑)。
 キャラクターは細かいところではなく,概念として存在してほしいと思っていて,「僕が考えたビート」みたいにユーザーの皆さんがそれぞれ思い描くファンアートを見るのが好きなんですよ。

4Gamer:
 ということは,ファンアートやコスプレをSNSにアップすると植田さんが見てくれる可能性が高い?

植田氏:
 見ます見ます(笑)。どんどんアップしてほしいです。

4Gamer:
 敵キャラクターやDJ-Kなどのサブキャラクターも個性的でした。

植田氏:
 警察は映画「ルパン三世 カリオストロの城」や「ブルース・ブラザーズ」に出てきた,集団で追いかけてくるちょっと可愛さもある警官をイメージしていました。

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 DJ-Kは「怪しい人がしゃべっているラジオの海賊放送」という昔ならではの設定ですね。最後に「JSRの世界で起きたことは,すべて俺の妄想だよ」と明かすストーリーテラーとして,この物語は現実ではなくファンタジーであることを匂わせます。

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4Gamer:
 世界観やキャラクターを作るときに,海外展開は意識しましたか。

植田氏:
 海外はとくに意識しなかったですね。海外版をリリースすることになったのも,リリース後でしたし。ただ,作っているときに海外から影響を受けたものはたくさんあります。僕らが好きなアメコミや音楽などを好き勝手に咀嚼して,ゲームに反映していた感じでしょうか。
 JSRについてよく言われるのは「日本人が作った印象はあるけど,日本のアニメっぽくないし,アメコミの濃さもない。その中間のような存在だ」と。そうした評価を受けたのは素直にうれしかったですね。

4Gamer:
 忘れてはならない特徴として,グラフィティがあります。著名なグラフィティアーティストのエリック・ヘイズさんの作品もあって,かなり本格的でしたね。

菊池氏:
 エリックさんのグラフィティは,プロデューサーからの推しがきっかけでしたね。そのほかの作品は,植田をはじめとするデザイナーが手分けして描いてくれました。

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植田氏:
 エディット機能を使って描いたグラフィティをアップロードできる公式の投稿サイトを用意して,ドリームキャストでダウンロードできたんですけど,あのサイトは僕が管理してたんですよ(笑)。時々,NGな画像が投稿されるので手動で弾いていました。

菊池氏:
 投稿機能は最後に入れたんだよね。開発の大詰めに差し掛かり,ものすごく忙しいときに植田から「入れよう」って。

植田氏:
 あの機能は絶対必要でしょう!(笑)

菊池氏:
 いや,あのときは「いるか,いらないか」じゃなくて「できるか,できないか」の問題だったから。本当にマスターアップまで,残り1か月あったかどうかの佳境だったんです(笑)。


今もなお,高く評価される「長沼サウンド」


4Gamer:
 JSRのサウンドは,当時セガに在籍していたサウンドクリエイターの長沼英樹さんが楽曲を担当されています。ファンから「長沼サウンド」と呼ばれて非常に好評でしたが,どんなオーダーをしたのでしょうか。

植田氏:
 こちらからの具体的なオーダーはほとんどなくて,ほぼ完全にお任せでした。

菊池氏:
 長沼さんはゲームの絵はもちろん,仕様書も端から端まで目を通して,すべて把握しているんですよ。開発チームの中でも全部把握している人間って,おそらく僕くらいしかいなかった。あるとき,長沼さんから「ここはどういう意味ですか」と尋ねられて,そこがサウンドと関係ないところだったんです。「もしかして全部読んでるんですか」と返したら,「読んでる」って(笑)。
 徹底したインプットを経て,どんなイメージを作るかを彼なりに考えた結果,あのサウンドが生まれたのかもしれません。

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植田氏:
 長沼さんはプリンス,スライ&ザ・ファミリー・ストーンといったファンクミュージックが好きでした。さらに当時流行してしたビッグ・ビートの影響でDJ文化のリバイバルが来ていて,長沼さんの持っていたセンスとその時代の空気感をMIXする手法がうまくマッチしたんだと思います。

4Gamer:
 ギターベイダーをはじめ,アーティストとのコラボ曲もありました。

植田氏:
 サウンドチームの主導で,ゲームのイメージに合うアーティストを選んで起用してもらいました。サウンドチームと直接知り合いだったアーティストもいまして,ギターベイダーもその1組でした。

4Gamer:
 TGSなどでお披露目したときの,ユーザーの反応は覚えていますか。

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菊池氏:
 あまり覚えていないですね……。TGSにデモ版を出展したとき,初日と2日目でROMを差し替えたことは覚えてるんですけど(笑)。初日のお客さんの様子を見ていたら,うまく遊べてないところがあると分かったので,その日の夜中まで調整してROMを焼き直したんです。

4Gamer:
 当時らしいエピソードですね(笑)。

植田氏:
 当時はSNSどころか,2ちゃんねるみたいな掲示板もまだ黎明期で,リアルタイムの反応はほぼ分かりません。発売後の反応はもっぱらお手紙でしたし。あとは同人誌を送っていただいたこともありました。

菊池氏:
 そういう時代でしたね。日本だけでなく,世界中から届きましたよ。ヨーロッパから届いた手紙とか,読める人が限られるんですよ(笑)。まだ翻訳エンジンもなかったですし。

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国内では21世紀最初のゲームソフト

「デ・ラ・ジェットセットラジオ」


4Gamer:
 国内ではJSR発売の5か月後,海外版を日本向けにした「デ・ラ・ジェットセットラジオ」が発売されました。

菊池氏:
 海外版の発売は開発の終盤に決まったんです。そこでアメリカをモチーフにしたステージとして,タイムズスクエア風の「グラインドスクエア」,ブロンクス風の「バンタムストリート」を追加することになりました。
 せっかくですから,日本でもボリュームアップしたインターナショナル版な内容で逆輸入したのが「デ・ラ・ジェットセットラジオ」です。当時,プロデューサーの川越さん(川越隆幸氏。JSRチーフプロデューサー)が言っていたのは,ちょうど21世紀を迎えるときだったので,21世紀最初に発売したゲームにすることにこだわっていたんです。

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4Gamer:
 なるほど! それで2001年1月1日発売だったんですね。

菊池氏:
 当時は1月1日から開いているお店も少なかったので,ネットで販売することになりました(のちにパッケージ版も発売)。自社の販売サイトだったので,それが可能だったんです。

植田氏:
 海外版にステージを追加する話を聞いたときは,晴天の霹靂でした(笑)。JSRの発売後,わりとすぐに呼び出されて,会議室で川越さんから「海外で出すから,アメリカのステージ入れて」って(笑)。

4Gamer:
 追加されたステージは,東京をモチーフとしたステージとはずいぶん趣が違うものでした。

植田氏:
 当時はマーケットの面から,異国が舞台のゲームは売れないのではないかという懸念もあったんでしょう。新たにアメリカのステージを入れることに決まって,それだけでは違和感があるので,サイドストーリー的な要素も追加したんです。

菊池氏:
 デザイナーが数人,現地の取材に行きました。リムジンとボディーガードを用意して,治安が悪い地区まで行ったりして。

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4Gamer:
 北米版は「JET GRIND RADIO」というタイトルでしたけど,やはり商標の関係ですか。

菊池氏:
 そうですね。すごく単純な話で,北米では「JET SET RADIO」に近い商標が先にあったので,会社判断でやむなく変えました。ヨーロッパでは「JET SET RADIO」のままでしたから。
 それが続編の「ジェットセットラジオフューチャー」では問題をクリアできたみたいで,世界共通のタイトルになりました。

植田氏:
 E3に行ったとき,北米のファンに「何で変えたんだ!」って怒られたことを覚えています(笑)。

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「ジェットセットラジオフューチャー」はスピード全般を強化


4Gamer:
 「ジェットセットラジオフューチャー」はJSRから2年後,Xboxの国内ローンチである2002年2月22日に発売されました。こちらはどのような動きがあったんでしょうか。

菊池氏:
 スマイルビットの戦略の一環ですね。当時の新井社長(新井 瞬氏)とプロデューサーの川越さんの提案で,Microsoftさんとガッツリ組んで続編を作ることが決まったんです。

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4Gamer:
 2年後と言っても「デ・ラ・ジェットセットラジオ」から数えると,実質1年1か月。スケジュールはタイトですね。

菊池氏:
 Xboxの国内ローンチに合わせるだけでなく,その1週間後に北米,約1か月後にはヨーロッパの発売を予定していたのが相当大変でした。言語だけでなく,テレビの出力などにも対応する必要があり,3つのバージョンを作りつつ,地域ごとのパブリッシュの都合にも合わせるわけですから。
 こちらが昼頃になるとヨーロッパが起きるので,そこで電話をして打ち合わせをする。そして夜中になるとアメリカの西海岸が起きるので,今度はアメリカに電話をしていました。開発の終盤はずっとそういうサイクルで,「地球は丸い」ということを実感したんです(笑)。

4Gamer:
 生活リズムがおかしくなりそうです。開発スタッフはJSRとほぼ同じですか。

菊池氏:
 前作より人員が少し増えて,多少の入れ替わりはありましたけど,僕と植田の立ち位置は基本的に同じでした。

4Gamer:
 前作と比べても手触りが変わっていて,かなりボリューミーになっていました。どのようなコンセプトだったのでしょうか。

菊池氏:
 僕がアップデートしようと考えたのは,ゲームのスピード感です。前作の発売後,社内外から「スピードをもっと出せないか」という要望があったんです。ベースのスピードはもちろん,瞬間的にブーストをかけて一気に加速できる仕組みも入れることにして,そのためにはどう設計すればゲームが成立するか。これが,ゲームデザインの命題でした。
 その結果,ステージが広くなったんです。「広ければ広いほどいい」という考え方もありますが,JSRFはスピードを出すために広くせざるを得なかった。人間が反応できるゲームデザインで考えていくと,いろいろなものを広く長くする必要があって,その結果としてステージがあれだけの広大なものになったんです。

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4Gamer:
 広いステージは本当に広かったですね。把握ができないほどでした。

菊池氏:
 そうなんですよ。本来,ある程度コンパクトで見渡せるぐらいの広さが,3D空間として把握しやすい。ですが,スピード感を優先したため,そこをスポイルしているんです。

4Gamer:
 ゲームデザインにもスピードアップ要素が追加されていました。グラインド中に前後の向きを何度も入れ替えるとスピードが上がったり,スプレー缶を使ってブーストしたり。

菊池氏:
 スピードアップによって,最も影響があったのはグラフィティですね。コマンド入力を廃止にして,ボタンだけで描けるようにしたため,止まらなくてもいいのでだいぶプレイフィールが変わりました。

4Gamer:
 Xboxの開発環境はいかがでしたか。

菊池氏:
 おかげさまで開発はやりやすかったです。Windows上で全部完結するので,当時としてはとても新鮮でした。今では当たり前のことですけど(笑)。

植田氏:
 開発機材が届いたのが前年(2001年)の4月頃だったので,発売まで10か月しかなくて,しんどかったのは間違いないです。年越しそばを会社で食べた記憶はあるな(笑)。

4Gamer:
 佳境だったんですね……。前作と地続きでつながっているようで,実はつながってない世界観も興味深いものでした。

植田氏:
 今で言う「マルチバース」ですね。ステージのデザインや形もリアルというよりは,意図的にブッ飛んだ設計にしていました。
 先ほど菊池が話したとおり,アクションやスピードを追求したことで,ステージ自体もちょっと現実離れしたものになるため,タイトルにあるフューチャー=未来を感じられる世界観を作りました。

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4Gamer:
 ロボットが登場する一方で,黄昏の住宅区や昭和風の商店街があったりして,前作以上に多様性がありました。ステージとしては高低差のあるところが印象的です。

植田氏:
 距離を稼ぐために,高さを出したところはありました。目がくらむような高いところはやりたかったんですが,リアルという制限を取っ払ったことで,ムチャな設定が通るようになったんです。

4Gamer:
 マンガディメンションの表現も前作とは異なるものでした。

菊池氏:
 ハードが変わったことから,マンガディメンションのアニメライクな表現をどこまで先に進められるかというのは,植田を中心に進めてもらいました。

植田氏:
 アニメでよく見られるギザギザの残像表現ができると,もっとスピード感が上がると考えてプログラマーに相談したりしてね。質感表現もいろいろできるようになり,反射や金属感といった前作ではできなかったことを入れているので,当時としては限界と言えるところまでやれたと思っています。


これまではできなかったことにも,こだわりを持って突き詰めていく


4Gamer:
 最後に,現在開発中のJSRシリーズ最新作についてお聞きします。昨年12月の発表以来,反響はいかがでしたか。

【セガ】新プロジェクト ティザートレーラーより
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菊池氏:
 JSRシリーズのファンが潜在的にいらっしゃることは認識していましたが,その熱量やボリュームというのは把握していませんでした。久しぶりに新作を発表したら,一体どういう反応があるんだろうと思っていたんですが,蓋を開けてみるとほとんどが好意的で,しかもかなり大きな反響をいただいた実感はあります。

植田氏:
 ゲームの内容を発表していない段階で,JSRの新作が出ることに喜んでいただいてるので,期待値は上がっているのは間違いなく,そこに対するプレッシャーはすごくあります。その期待に沿えるものを用意しなければならないと感じましたね。
 ただ,次の発表や発売まではまだしばらく時間がかかると思いますが。

【セガ】新プロジェクト ティザートレーラーより
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4Gamer:
 映像から分かる期待はもちろんですが,個人的には何より菊池さんと植田さんが関わっていることに安心感がありました。
 そんな現状を踏まえて,開発者の募集を行っています。開発はセガ内部で進んでいるのでしょうか。

菊池氏:
 はい。セガ内部にチームがありまして,そこで開発ができるスタッフを募集しています。インタビュー動画でも話していますが,「JSRシリーズがとにかく好きだ」あるいは「JSRを作りたいんだ」という方に来ていただきたいと思っています。
 ゲームデザインの面では,JSRからJSRFへと進化をしたように,今の時代にはどう進化させるべきなのか,こだわりを持って作っていますので,3Dアクションの開発に覚えがある方にもぜひ加わってほしいですね。

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植田氏:
 僕は,こだわりのある人がいいですね。先ほどお話ししたように,街を作るときでも「自分はこういうふうにしたい」というこだわりから面白いものができたりするので,遊びにしろデザインにしろ,自分なりのこだわりがあって,それを実現したい気持ちが強い人がいいなと。

4Gamer:
 近年,お二人が手がけられた「龍が如く」シリーズをはじめとする作品のノウハウも当然反映されますよね。

菊池氏:
 そうですね。この20年間,いろいろなことをやってきましたので,そのノウハウはもちろん反映できると思います。

4Gamer:
 新作の発売に向けて,4Gamer読者に一言いただけますか。

植田氏:
 ここまで長年愛されるタイトルになっていたという事実には正直びっくりしていて,うれしい反面,新しいものを生み出すプレッシャーも強いですが,ちゃんと期待に応えられる作品にしなければという使命感はあります。
 それこそ,作っていた人間より詳しいファンはたくさんいますから,そういう人にも納得してもらえるものを考えていきます。頑張ります。

菊池氏:
 僕も植田と同じ気持ちです(笑)。JSRらしくありつつも,今の時代にふさわしいアクションゲームを目指して,常にこだわりを持って突き詰めていきたいですね。

4Gamer:
 私もファンの1人として期待しています。本日はありがとうございました。

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セガ 採用サイト
「ジェットセットラジオ」開発者インタビュー

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