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独自のゲーマー向け機能を多数盛り込んだ量子ドット液晶&Mini LEDテレビ「C845」シリーズをTCLが披露
発表会の目玉は,98インチサイズの液晶テレビ「98”C955」であるが,2023年5月に国内発売した新製品には,とくにゲーム向けの動作モードに焦点を当てたテレビもあるので,簡単に紹介しよう。
日本では知る人ぞ知るといったイメージのあるTCLブランドであるが,世界的には名の通った家電ブランドだ。近年では,ゲーマー向けの製品も積極的に展開しており,2023年1月に行われた「CES 2023」で展示していたゲーマー向けディスプレイについては,4Gamerでも報じている。
今回のイベントで,PlayStation 5と組み合わせた展示を行っていたのは,5月18日に国内発売となった「55C845」だ。本製品は,TCL製のチューナーレステレビでもハイエンドに位置付けられるC845シリーズの1台だ。税込のメーカー想定売価は20万円前後である。
55インチサイズのほかに,65インチサイズの「65C845」という製品もある。こちらの税込想定売価は30万円前後だ。
C845シリーズは,3840×2160ドットの4K解像度に対応する液晶テレビで,量子ドット技術を利用した液晶パネル(関連記事1)と,超小型LEDを平面に並べたMini LEDバックライトを組み合わせたものだ。地上デジタル放送用のチューナーを内蔵しない,いわゆる「チューナーレステレビ」である。ただ,Googleの「Android TV」機能を内蔵しているので,YouTubeやNetflix,ABEMAといったストリーミングサービスを,外付けの機器不要で視聴可能だ。
Game Masterの中でも興味深いのは,「DLG」(Dual Line Gate)と呼ぶ機能を備える点だ。これは,TCL製テレビでは以前から実装されていたもので,C845シリーズでは,最大240Hzでの表示が可能になっている。
DLGについては具体的な情報が少ないのだが,TCL側にも確認したところ,基本的には映像の解像度を下げて,ディスプレイパネルのリフレッシュレートを高めたうえで,映像に超解像処理をかけてディテールを補間することで,高いフレームレートでの表示と映像の精細さを両立するための機能であるという。これにより,理論上は120Hzの映像よりも滑らかな動きを表現できる。基本的にはゲームモードに設定すると自動で適用されるので,ユーザーが設定をいじる要素はない。
もともとDLGは,リフレッシュレート60Hzの4Kパネルで120Hz相当の映像表現を可能にするための技術であったが,それをC845シリーズでは,4K120Hzのパネルで240Hz相当の表示を可能にするために利用しているわけだ。
PCやゲーム機では,NVIDIA独自の超解像技術「DLSS」や,AMD独自の超解像技術「FSR」(FidelityFX Super Resolution)といった,レンダリング解像度を下げてフレームレートを稼ぎながら,超解像処理で見た目の精細さを補う手法が使われている。目的や方向性は異なるとはいえ,フレームレート向上と超解像技術の合わせ技で滑らかなゲーム映像表示を実現する機能が,テレビ側にも導入されるようになってきたというのは興味深いところだ。
TCLのC845シリーズ製品情報ページ
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