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[E3 2018]体に障害がある人のゲームプレイをサポートする新型コントローラ「Xbox Adaptive Controller」では何ができるのか
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印刷2018/06/14 16:11

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[E3 2018]体に障害がある人のゲームプレイをサポートする新型コントローラ「Xbox Adaptive Controller」では何ができるのか

Adaptive Controller
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 Microsoftは,E3 2018主会場の隣にあるMicrosoft Theaterに設けたXbox Showcase内で,2018年5月に発表したWindows搭載PCおよびXbox Oneシリーズ用の新型ゲームコントローラ「Xbox Adaptive Controller」(以下,Adaptive Controller)の実機を出展した。
 発表時に4Gamerでも報じたとおり,Adaptive Controllerは,体に障害があり,「Xbox One Controller」に代表される一般的なゲームパッドでの操作を難しいと感じる人に向けて開発された製品だ。発表時の記事はかなり読まれていたようで,国内での関心も高いようである。

 Adaptive Controllerの展示コーナーには開発チームのスタッフもいたので,実機に触れ,また開発チームのスタッフに取材した内容を基に,Adaptive Controllerで何ができるのかを明らかにしてみたい。

Xbox Showcase内のAdaptive Controllerコーナー。E3 2018の来場者には車いすユーザーも珍しくはなく,Adaptive Controllerはそうした来場者からの注目も集めていたようだ
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Adaptive Controllerとはどんな機器なのか


 Adaptive Controllerは,USB経由でXbox OneやWindows搭載PCと接続する入力デバイスだ。基本的にはXbox One用の純正ゲームパッド「Xbox One Controller」の互換コントローラ的な位置づけという理解でいいだろう。とはいえ,サイズは292(W)×130(D)×23(H)mmとかなり大きいうえ,丸いターンテーブルが2つ並んだかのような外観をしており,さらにはアナログスティックもないといった具合なので,説明されなければとても互換コントローラには見えない。

Adaptive Controllerを手に持ってみたところ。こんなに大きい
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 「丸いターンテーブルのような大きな2個の円は標準で[A/B]ボタンが割り当てられている」と聞けば,ここは指や手に障害のある人でも簡単に押せるようにするものだなと想像できると思うが,しかしその近くにあるD-Pad(十字キー)は,その前提に立つと小さすぎはしないだろうか。
 そう,実のところ,Adaptive Controllerは,これ1台で完結するような製品ではない。Xbox One Controllerの持つさまざまな入力系を,ユーザーの障害状況に合わせて,別途用意した外部入力デバイスで肩代わりするためのインタフェースを備えた,一種の「ゲームコントローラのハブ」的な存在なのである。

 外部入力デバイスを接続するためのインタフェースは,本体側面部にある。
 まず,本体正面向かって奥側となる背面には2極の3.5mmミニピン端子が19個も並んでいるのだが,各端子はそれぞれが[A/B/X/Y]ボタンやトリガーボタン,D-Padなど,Xbox One Controller側のデジタルボタンに対応する。

Adaptive Controllerの本体正面向かって奥側。3.5mmミニピン端子がずらっと並んでいる
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 さらに,アナログ入力(≒多段階入力)を外部入力デバイスで行うためのインタフェースとしては,本体左右側面に2つのUSB Type-Aポートを用意している。ここにアナログ入力対応デバイスを接続すれば,Xbox One Controllerの左右アナログスティックの代わりに利用できるわけだ。

左右側面にはUSB Type-Aポートが1基ずつあり,ここにアナログ入力デバイスをつなぐことになる。なお,左側面にはアナログ接続型ヘッドセットをつなぐための4極3.5mmミニピン端子もあった
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 Adaptive Controllerの展示コーナーでは,デジタルとアナログ,両外部入力デバイスのデモがあったので,簡単に紹介してみたい。

背面に並ぶ3.5mmミニピン端子に,スイッチとなる機器からのケーブルをつなぐ
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 まずデジタル入力のほうだが,2極の3.5mmミニピン端子ではいわゆるゼロイチ操作を入力できるとのことだ。なので,オン/オフの入力を行えるなんらかのスイッチをケーブルで接続すれば,そのスイッチを操作することで,対応するボタンの入力を行えることになる。

 これらの端子には,非常に多彩なスイッチを接続できるそうで,サイズも,スイッチの仕様も基本的には問わないとのこと。手や手の指でボタンを押せないなら,足で押せるフットスイッチをつなげることもできる。たとえばD-Pad分,4個のフットスイッチを用意してAdaptive Controllerに接続すれば,足によりD-Padの4方向入力が可能だ。

接続可能なスイッチの例。左で右に見える四角いのが本文でも取り上げたフットスイッチだ。右は「Wobble Switch」というスイッチで,先端の棒部分を一定の力で押して傾けることでオン/オフ操作を行える。このスイッチなら,身体の一部分を棒部分にぶつけることで“ボタンを押せる”のである
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 あるいは,「何かを押し込む」操作が難しいなら,特定の動きをオン/オフ操作として出力できるデバイスを利用すればいい。それこそ光学センサーを使って,「光が当たっているか遮られているか」をスイッチのオン/オフに割り当てておけば,身体の一部でセンサーを遮ることによってボタン入力を行うこともできる。

 続いてアナログ入力のほうだが,展示コーナーでは,Wiiリモコン用拡張コントローラ「ヌンチャク」のような小型アナログスティック型コントローラや,Logitech G(日本ではLogicool G)のフライトスティックなどが「アナログ入力用外部デバイス」として紹介されていた。
 ただ,USBポートに接続する外部デバイスも,ゲーム用のものである必要はない。たとえば,「両足で平板を踏んで傾ける操作」を2軸の多段階入力としたり,上半身の傾きをアナログスティックに見立てたりといった手法が考えられよう。
 Microsoftの担当者も「端子の仕様はすべて公開するので,アイデア次第でさまざまな入力スイッチを開発して,Adaptive Controllerに接続してほしい」と呼びかけている。

アナログ入力用に使えるデバイス各種。アナログスティックの底面積を広げつつ高さを低くしたようなものや,「ヌンチャク」的なもの,そして分かりやすい例ではフライトシム用のジョイスティックといったものが紹介されていた。ちなみにジョイスティックの写真で右端に見える黒い小さな物体が,デジタル入力の段で話題に出した光学センサーだ
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 ちなみに,Adaptive Controller本体側は底面側にいわゆる三脚穴を用意しており,スタンドなどを用意することで高さや角度も調整できるようになっていた。

Adaptive Controllerの底面には,複数の規格に対応すべく,3つの三脚穴があった。右は実際にAdaptive Controllerをスタンドに載せたうえでテーブルに固定している例
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健常者と障害者がともにeスポーツで対戦する未来を目指して


 Microsoft担当者がAdaptive Controllerの重要な特徴として挙げていたのは,ゲームとの互換性である。これだけ特殊な形状をしているにもかかわらず,ゲームタイトル側では「Adaptive Controllerを使うための特別な対応」が不要なのだ。Adaptive Controllerは接続した外部入力デバイスの信号をXbox One Controllerの入力に置き換えてPCやXbox Oneに対して出力するだけなので,Xbox One Controller対応タイトルであればすべてのタイトルをAdaptive Controller(と外部入力デバイス)でプレイできるようになる。

 筆者が「Adaptive Controllerの登場によって,健常者よりもプレイのうまい障害者のプレイヤーが出てくるかもしれないね」と述べたところ,担当者から「そのとおり。究極的には,健常者とAdaptive Controllerを使う障害者が対等に闘うeスポーツイベントの開催を夢見ている」と返ってきたことを付記しておきたい。

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 Adaptive Controllerは,2018年秋の発売を予定しており,価格は99.99ドルとのこと。国内発売は未定だが,Windows搭載PCでも使えることを考えると,ぜひとも発売をしてほしいものだ。
 また,Adaptive Controller自体は拡張性と汎用性に優れた入力デバイスなので,各種研究用途にも応用できそうな気配はある。たとえば,Adaptive Controllerに接続したスイッチをロボットに操作させたり,あるいはロボットを直接接続してAIにゲームをプレイさせたりするような研究は,いかにもどこかの大学が挑戦してきそうな話だろう。

 非常に面白いデバイスである。

Xbox公式WebサイトのAdaptive Controller製品情報ページ(英語)


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