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[TGS 2017]「ほぼ自分」な3Dアバターを簡単にすぐ作れるELRIOSの人体スキャン技術。少し先の未来では自分自身がゲーム内で動く!?
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印刷2017/09/26 00:00

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[TGS 2017]「ほぼ自分」な3Dアバターを簡単にすぐ作れるELRIOSの人体スキャン技術。少し先の未来では自分自身がゲーム内で動く!?

 東京ゲームショウ2017のVR/ARコーナーで,かなりの注目を集めていたブースに,韓国ELRIOSのものがある。僚誌GamesIndustry.biz Japan Editionが報じているとおり,ELRIOSが披露していたのは,人間の全身をさっと3Dキャプチャして,3Dアバターを生成するデモだ。
 一連の流れをチェックしてきたので,興味深いそのシステムをレポートしてみたい。

こちらがブースのデモ機。全自動で体験者の3Dアバターを生成できる
画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS 2017]「ほぼ自分」な3Dアバターを簡単にすぐ作れるELRIOSの人体スキャン技術。少し先の未来では自分自身がゲーム内で動く!?

 さて,ELROISは,3Dアバター技術を中心に据える企業で,ブースでは,以下のデモを展示していた。

  • ScanBot Avatar Platform:人体などを短時間でスキャンして,「その人」ベースの3Dモデルをとテクスチャを生成する。取り込んだデータに対して汎用のボーンを適用することで,とくに手を加えることなく,3Dアバターにアクションをさせることができるという
  • MR Avatar Service:ScanBot Avatar Platformで作成した3Dアバターをアクションさせるもの。服を変更したりすることもできるそうだ
  • AI Avatar Service:現実世界やゲーム世界に3Dアバターを入り込ませるためのもの

 ベースとなる3Dアバターの素材は,人間であれば何でもいい。一般ゲーマー以外にも,有名人がファン向けのコンテンツとして自分のアバターを使ったり,あるいはショップなどが店員アバターを用意して,店内を案内するといった使い方も可能だそうだ。
 パンフレットには,「ぼっちで旅行に行っても,AIで動作する3Dアバターがあれば,パーティショットもバッチリ!」と,いきなりエクストリームな提案があった。現時点だとアバターの見た目はいかにもCGながら,将来的に見分けが付かなくなるレベルにまで達するなら,それはそれでアリかもしれない。

実際にScanBot Avatar Platformを使って生成したアバターデータの例。これは会場で撮影してもらったものだ
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 筆者は今回,ScanBot Avatar Platformを体験できたが,スキャンの流れは,対象となる人を回転台に乗せて,しばらく静止させたうえで,全身を3Dスキャナで撮影するというものになる。キャプチャデバイスは3Dセンサーを取り付けたiPadで,それが,自動でレールの上を動いて高さを変えながら撮影していく。(このシステム規模で)スキャニングを全自動化できたのはこれが初と,ELROISの担当者は強調していた。

こちらが自動スキャンシステム。それほど特殊なハードウェアを使っているようには見えない
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 スキャニングはざっくり3分ほどで完了。会場ではサーバーとの接続の問題で,アバター生成に10〜20分ほどかかっていたが,通信環境のよい,一般的な環境であれば5分もあれば生成できるそうだ。

スキャン中の様子。見えている画面からも分かるように,スキャン済みの部分は白で塗られる。その間,人間は回転台の上でじっとしているだけ
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 スキャン中のポーズは決まっており,かつ極力動かないでいることが最低条件。また同系色が多く複雑な構造の服や,ズボンのサイドポケットに財布を入れた状態や,眼鏡の着用はNGだそうだ。ほかにもNG項目はいくつかあるそうで,なるべく身体の形状が分かりやすい状態が必要ということなのだろう。
 もっともこのあたりは,3Dセンサーの分解能にも依存する部分なので,「現時点は」という認識でいいと思われるが。

ブースにあった「スキャンにあたっての注意」。ちなみに,先ほど紹介した「アバターデータの例」を見るに,同系色であっても,Tシャツとジーンズのような組み合わせなら,体型を問題なくスキャンできるようだ
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参考までに,スキャンしてもらったときの筆者の格好がこちら
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 本来であれば,筆者の3Dアバターを見ながら仕上がりをチェックしたいところだったのだが,スキャン中にあちこち観察していたところ,できあがった3Dアバターがいい感じに複数の顔を持つ怪物になっており,見事掲載NGをもらってしまった。“怪物”は,頭頂部から頭部を12等分したとして,そのいくつかのピースが同じパーツになっていた,と書いたら伝わるだろうか。
 目だけ動かして観察しつつ,身体を動かさなければ大丈夫だろうと高をくくっていたのだが,結果からするに,目の位置も3Dアバター生成に使用しているという理解でいいだろう。“怪物具合”からすると,目の位置から顔の向きを決めているような感じだった。
 ちなみに,ブースには体験した人の3Dアバターがズラズラと並んでいたのだが,明らかな事故は,筆者の3Dアバターだけだった。担当者いわく,「あそこまで怪物になるのは珍しい」とのことである。

顔が怪物だったため,正面からのスキャンデータは全部NG。数少ない「掲載OK」なスキャンデータの1つがこれだ。体躯と立ち方は見事に筆者で,服装も再現度は高い。ただ,よく見ると上着の紐はいくつかロストしていた
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 ELRIOSは今回の3Dアバター生成システムを基本的にはMRやVR用と位置づけている。MRやVRの世界にプレイヤーキャラクターとしての自分(の3Dアバター)を登場させるときにこのシステムは便利だというのが同社の言い分だ。ブースの担当者によると,ゲームメーカーからの引き合いはすでにあり,実際にゲームも登場しているそうだ(が,パンフレットに挙がっていたタイトルは,日本のApp StoreおよびGoogle Playからは見つからなかった)。
 ちなみにゲーム以外では,バーチャルオフィスなどが立ち上がったときには,社員に近い見た目の3Dアバターが望ましく,そういうニーズもあるだろうということも担当者は述べていた。

 こと日本のオンラインゲーム市場においては,自分の育てたキャラクターやデッキなどで自己表現したいという人は多い一方,自分に似た3Dアバターでゲームをプレイしたいと思う人は少ないだろうという印象がある。ELRIOSの技術がゲームで採用されるにしても,それこそVR ZONEのような大型アトラクション施設に限られるのではないかと思わざるを得ないが,VRやMRがインフラレベルに達する頃には,重要な技術となっている可能性がある。
 個人的には,ベースとなる「自分の3Dアバター」を基にして,相手との関係性で顔や服装が自動的に変わる3Dアバターが,VRやMRが一般化する頃には採用されていると考えているのだが,ELRIOSの技術は,それに向けた一里塚と言えるかもしれない。

ELRIOS公式Webサイト(韓国語)


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