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    [COMPUTEX]外付けグラフィックスボックスで脚光を浴びたThunderbolt 3。本格的な普及に必要なのは,Macに採用されること?
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    印刷2016/06/04 00:00

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    [COMPUTEX]外付けグラフィックスボックスで脚光を浴びたThunderbolt 3。本格的な普及に必要なのは,Macに採用されること?

    ゲーマーにとって注目すべきThunderbolt 3対応機器といえば,写真中央にある「Razer Core」のような外付けグラフィックスボックスだろう。COMPUTEX会場では,数社から同種の製品が発表された
    画像集 No.002のサムネイル画像 / [COMPUTEX]外付けグラフィックスボックスで脚光を浴びたThunderbolt 3。本格的な普及に必要なのは,Macに採用されること?
     COMPUTEX TAIPEI 2016(以下,COMPUTEX)の3日めとなる2016年6月2日,Intelは,台北市内で高速I/Oインタフェース技術「Thunderbolt 3」の最新事情を紹介する説明会を開催した。
     2015年のCOMPUTEX TAIPEI 2015で発表されたThunderbolt 3は,この1年で60種類以上の搭載PCが登場しているそうで,対応製品は20種類以上が発売間近な状態にあり,それ以降も65種類以上の製品が開発中であるという。

     Intelは順調な拡大をアピールしているものの,COMPUTEX会場にブースを構える機器メーカーに話を聞くと,Thunderbolt 3に対する微妙な温度差があることもうかがえた。そこで本稿では,Intelによる説明会の概要と,Thunderbolt 3市場に対する機器メーカーの見方をレポートしたい。

    発売済みのThunderbolt 3対応製品や,発売間近な製品のリスト。今後も65種類以上の製品が登場予定だ
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    多数のデバイスを接続して高速なデータ転送が可能なThunderbolt 3


    Jason Ziller氏(Marketing Director,Client Computing Group,Intel)
    画像集 No.004のサムネイル画像 / [COMPUTEX]外付けグラフィックスボックスで脚光を浴びたThunderbolt 3。本格的な普及に必要なのは,Macに採用されること?
     そもそもThunderbolt 3とは,USB Type-Cと互換性を持った接続端子を使って,従来からあるThunderbolt 1/2やUSB,DisplayPortにPCI Expressといったさまざまなデータ転送プロトコルを1本のケーブルで接続可能にしたうえで,最大データ転送速度は40Gbpsという高速な転送を実現したI/Oインタフェースの規格である。
     Thunderbolt 3を利用すれば,ケーブル1本で4K解像度のディスプレイ2台分の映像信号を伝送したり,接続したデバイスに充電するといったことも可能だ。「データ,ビデオ,電力を同じケーブルで提供できる」と,Intelでクライアントコンピューティング事業部Thunderboltマーケティング担当ディレクターを務めるJason Ziller氏はアピールする。

    Thunderbolt 3の特徴
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     高速I/Oインタフェース規格といえば,PCやスマートフォン,タブレット端末で普及し始めた「USB 3.1」をイメージする人もいるだろう(関連記事)。USB 3.1と比べたThunderbolt 3の優位点は,ずばり最大データ転送速度だ。USB 3.1や初代Thunderboltが最大10Gbpsであるのに対して,Thunderbolt 3の速度は4倍の最大40Gbpsにもなる。この特徴により,とくに転送速度が必要な分野での活用が期待されている。

    最大40Gbpsという高速通信がThunderbolt 3の優位点だ
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     Ziller氏は,Thunderbolt 3を4Kビデオのストレージに利用したり,外付けグラフィックスボックスに利用してゲームやVRコンテンツに活用したりといったThunderbolt 3ならではの利用シーンを紹介した。
     また,Thunderbolt 3ケーブルでPC同士をデイジーチェーン(数珠つなぎ)で接続して,ネットワークを構築する「Thunderbolt Networking」という使い方も可能であるという。外出先から持ち帰ったノートPCを,Thunderbolt 3ケーブル経由で社内のデスクトップPCと接続する,なんてことができるわけだ。

    通信速度を生かした高解像度映像データの転送や外付けグラフィックスボックスでの利用に加えて,1本のケーブルでさまざまなデバイスを接続できるドッキングステーションや複数PCをつなぐThunderbolt Networkingといった機能もある
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    説明会場で見かけたThunderbolt 3対応機器。左写真の右側にあるのは,Thunderbolt 3対応のドッキングステーションである。右写真は,Thunderbolt 3ポートに接続して,既存のインタフェースに変換する各種アダプターだ
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     ところで,Thunderbolt 3による機器の接続には,パッシブタイプとアクティブタイプという,2種類のケーブルが規定されているのを知っている人はいるだろうか。
     パッシブケーブルの場合,ケーブル長は最大2mで,データ転送速度は最大20Gbpsに制限される。しかし,端子部に専用ICを搭載したアクティブケーブルであれば,同じ長さでThunderbolt 3のフルスペックである40Gbpsを実現できるといわれていた。しかしZiller氏によると,ケーブル長が50cm未満であれば,パッシブケーブルでも40Gbpsの転送速度は可能なのだという。
     アクティブケーブルはまだ市場に登場しておらず,COMPUTEX会場でも,実物を展示していたのは,筆者が確認した限り1社だけという状況にある。現時点で購入できるパッシブケーブルでも,最大のデータ転送速度を実現可能であるというのは,Thunderbolt 3とっては大きな追い風となるかもしれない。

    40Gbps対応のThunderbolt 3ケーブルは,コネクタにこのようなロゴが付く
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     ちなみに,Thunderbolt 3ケーブルのコネクタ形状は,USB 3.1 Type-Cと同じだが,Intelの認証を受けると,Thunderboltロゴをコネクタ部分に記載できるという。40Gbpsに対応した製品には,さらに「3」のロゴも付記できるようになったそうだ。
     パッシブケーブルとアクティブケーブルの区別は,50cmより長くて「3」の表記があればアクティブケーブルであると判断できる。また,アクティブケーブルは端子部にチップが追加されているため,パッシブケーブルに比べて端子部が大きくなるという違いもあるので,区別の基準になりそうだ。

    Thunderboltロゴのルールを示したスライド。端子部に雷のマークを付けるのに加えて,40Gbps対応製品は「3」のマークも付く
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    Lintes Technologyが展示していたThunderbolt 3対応ケーブル(左)。手前がパッシブケーブルで,奥側の2本がアクティブケーブル。いずれも40Gbps対応なので,パッシブケーブルはケーブル長が50cmしかない。右写真はコネクタ部分のアップで,左がアクティブケーブル,右がパッシブケーブルだ。左のほうが,コネクタ部分が長いことが分かるだろう
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    AppleがMacでサポートするか否かが,Thunderbolt 3の普及を左右する?


     さて,IntelはCOMPUTEXにおけるThunderbolt 3のアピールに力を入れており,対応製品を用意しているメーカーの製品を展示して,認知度向上に努めている。もちろん,独自にThunderbolt 3対応製品を展示するメーカーもあるのだが,企業によって,Thunderbolt 3に対する温度差のようなものを感じるのも事実だ。とくに,ネットワークストレージ(以下,NAS)メーカーからは,温度差を感じることが多い。

     Thunderbolt 3対応製品を展開するメーカーはいずれも,最大の特徴が転送速度にあると考えている。ただ,40Gbpsという速度を必要とするユーザーは,現実問題として多くはない。NASメーカーにとっては,Thunderbolt 3の速度を求めるユーザーの多くは,4Kビデオのような高精細映像を扱うクリエーターやポストプロダクション作業が必要な映像会社といった業界であり,そうした業界の「8~9割はMacユーザー」(とあるNASメーカーの担当者)であるという。

    今回確認できた中では,唯一,Thunderbolt 3対応NASを製品化しているAKiTiOの製品
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     そういう実情があるため,Thunderbolt 3対応NASの開発にあたっては,「AppleがThunderbolt 3をサポートすること」が前提条件であると,各社は口を揃える。すでに国内でThunderbolt 3対応NASを販売しているAKiTiOのようなメーカーであっても,「Appleの対応が普及には不可欠」という認識に違いはない。
     逆にいえば,Appleが2016年内に投入するMac製品で,Thunderbolt 3への対応を見送った場合,対応製品の普及は停滞しかねないという状況なのだ。

    ほかのNASメーカーも,Thunderbolt 3対応製品の準備は進めている。左はAreca Technologyが,2016年末の発売に向けて開発中の対応NASで,右はAccusysが2016年第3四半期後半~第4四半期初頭に発売予定の対応ストレージソリューションである
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     Thunderbolt 3対応のドッキングステーションを開発するメーカーなどは,「Appleの対応は必須ではない」という考えである。ただ,40Gbpsという速度が必要なユーザーは多くはないという認識に変わりはなく,やはり対象ユーザーとしては,映像関連を想定しているそうだ。

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    SunixのThunderbolt 3ドッキングステーション(写真左)とUSB 3.1ドッキングステーション(右)。Thunderbolt 3の速度を求めないなら,USB 3.1のほうが安価で済むという
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    こちらは,Atech Flash TechnologyのThunderbolt 3対応メディアドック「BLACKBIRD UX-1」。SATA接続SSDやCFast 2.0,USBにSDカードなどを接続して,PCから読み書きできる

     一部のメーカーからは,「Thunderbolt 3の認証プログラムにかかる費用が高額すぎる」という声も聞こえてきた。認証手順が長く複雑で,1製品あたり日本円に換算すると1000万円程度の費用が必要になるという。筐体を変えただけでも新たに取得し直す必要があり,当然,製品価格に跳ね返ってくることになる。

     外付けグラフィックスボックスを出展したGIGABYTEの担当者が「(40Gbpsという)速度が必要」述べていたように,40GbpsというThunderbolt 3のデータ転送速度は強力な武器であり,それを生かした新しい製品がゲームやVR用途で新しい周辺機器の市場を作るという可能性も否定できない。
     だが,今後のThunderbolt 3の普及には,AppleとIntelという2社の動向が大きく影響することに変わりはなさそうだ。

    IntelのCOMPUTEX TAIPEI 2016特設ページ

    COMPUTEX TAIPEI 2016 取材記事一覧


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