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[SIGGRAPH ASIA]スマホゲームで本格的なフォースフィードバックを実現? 謎のデバイス「ThirdHand」を体験してみた
スマートフォン用ゲームでフォースフィードバックといえば,せいぜい振動(バイブレーション)くらいで,ほとんどのゲームはそれすら使っていない。もっとも,バッテリーを消費する振動機能をゲームでやたらと使うのも,考えものではある。
スマートフォンゲームに本物のフォースフィードバックを与える仕組みとは?
ThirdHandは,小さなロボットアームのような見た目のデバイスだ。一方の端にはスマートフォンを取り付けられるようになっており,もう一方の端は腕に巻き付けるバンドになっている。使用時には,このバンドを右手首の下ぐらいの位置に巻き付けることで,アームの先に取り付けたスマートフォンと右手が,アームを介してつながることになるわけだ。
ThirdHandのアーム部分には5つの関節があり,それぞれ電動アクチュエータが組み込まれている。そして,ゲームの状況変化をThirdHandのシステム側(詳細は後述)が検知すると,変化に応じてアクチュエータを駆動させて,
いわば,5軸自由度のアームによってフォースフィードバックを実現するThi
実車でアクセルを踏んで加速すると,運転者は,身体が座席に押しつけられるような動きを感じるだろう。ThirdHandではそれを再現するために,ゲーム内で車両を加速すると,スマートフォンが手前側に押し返されるようなフォースフィードバックが発生する。逆に,実車が減速すると前のめりになるので,ThirdHandではスマートフォンが前方向に引っ張られるようなフォースフィードバックがかかる,というわけだ。また実車の場合,コーナリング時には曲がる方向と逆に遠心力がかかるが,
たとえば,路面の状態がよくないところを走ると,スマートフォンがガタガタと,上下に小刻みにフラれる。これはスマートフォンに内蔵されたモーターを動かすだけの単なる振動ではなく,上下にスマートフォンが揺さぶられることによる振動なので,それこそ据置型ゲーム機のステアリングコントローラで,悪路を走っているとき以上にリアルなフォースフィードバックを感じるのだ。
ゲームそのものは,ThirdHandによるフォースフィードバックのないほうが遊びやすいことは間違いないのだが,バーチャルなレース体験としては,たしかにThirdHand付きのほうがリッチな体験となっていることは納得せざるをえなかった。使い方によっては,スマートフォンゲームに新しい体験や価値を生み出せるかもしれない。
ThirdHandの動きはパソコンで制御
今回公開されたThirdHandは「研究結果をまとめた試作機」ということで,ゲームを動かすスマートフォンとは別に,ThirdHand自体を動かすホストコンピュータが必要だ。
スマートフォン側で動作しているゲームは,車両や周囲の状態――荷重の移動情報や路面の状態――をホストコンピュータにBluetoothで送信する。これを受信したホストコンピュータは,各アクチュエータの駆動量や駆動方向を計算して,駆動命令をUSB接続されたThirdHand制御基板に送信する。そして,制御基板上にあるマイクロコントローラが,最終的に5個のアクチュエータを駆動するという流れになっているそうだ。
研究チームのメンバーによると,「将来的には,外部電源不要のバッテリー駆動にして,スマートフォンから直接,ThirdHandを制御するような実装形態に進化させていきたい」と述べていた。
スマートフォンゲーム用フォースフィードバックシステムでは,さすがにユーザーを選ぶだろう。よって,ほかの機能も組み合わせると実用的なものに近づくかもしれない。筆者は,スマートフォンを取り付けられることを応用して,まっすぐに伸ばした状態では自撮り棒になり,電動で折りたためる機能を付けたらどうだろうと思うのだが。
SIGGRAPH ASIA 2015 公式Webサイト
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