個人的には,これが文句なしにBest of COMPUTEX TAIPEI 2015。そう断言できる試作機を,東プレが,メイン会場であるTWTC Nangangで展示していた。
東プレが展示していた試作機。一見,ただのREALFORCEキーボードのようだ
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試作機ということで,キートップの手前側に,いろいろと興味深い印字やシールがある。DUALSHOCK系の[○/×△/□]ボタンとXbox系の[A/B/X/Y]ボタンに相当するキーがあるのは趣深い
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これは何かというと,
東プレ製キーボードの代名詞である静電容量無接点方式スイッチを使って,アナログ的な入力を可能にするキーボードのデモ機だ。
開発を担当する東プレの
峯崎重樹氏が説明してくれたところによると,このデモ機は,通常の静電容量キーボードとして利用できるだけでなく,動作切り替えによって,XInputモードやMIDIモードなどに変更できる。そして,たとえばXInputモードであれば,特定のキーにXbox One/360 Controllerのアナログ入力を割り当てて,それこそレースゲームにおいて,
アクセルワークやステアリング操作をキーボードで行えるようになったりするのだ。
MIDIキーボード入力のデモ。キーの押し方ひとつで,出てくる音色が変わるのは,見た目が“ただの”REALFORCEキーボードだけに,衝撃的だ
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デモ機では,XInputベースのゲームパッドだけではなく,MIDIコントローラやマウスを模した動きもできるようになっていた。MIDIキーボード――いわゆる鍵盤のことだ――として使うときには,キーを押す深さが検出されるため,浅く入力すれば軽くて小さい,深く入力すれば強くて大きい音が鳴る。また,マウス操作モードでは,カーソルキーの上下左右を押す深さによってカーソルの移動速度が変わり,スクロールを割り当てたキーを押す深さによってスクロールの速度が変わるのである。
本文で触れた内製ツール以外に,キーボードレベルでのアクチュエーションポイント変更機能も「上」「中」「下」として用意されていた。キーボードショートカットによってアクチュエーションポイントを変更することもできるわけだ
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さらに,東プレ内製ツールを使えば,キーを押したときに入力が入る深さ,いわゆるアクチュエーションポイント(Actuation Point,作動点)を任意に設定できるため,やろうと思えば,極端に浅かったり深かったりする位置で入力が入るようにもできる。普段どおりに入力すると小文字が,気持ち強めに「タンッ!」と入力すると大文字が入る,なんて設定も可能だ。
東プレの顧客となる製品メーカーがカスタムドライバを用意すれば,それこそ映像スタジオなどで,複数台のカメラをアナログ的に制御したりすることも問題なく行えるという。
東プレの内製ツール。ここでは全キーが「127」に設定されているが,たとえば,これを256段階の「10」にしたりすると,ちょっと触れただけで入力が入るような設定にもできる |
Excelを使ったデモ。[Shift]キーは用いず,ただ押下する力加減だけで大文字と小文字を入力し分けることができた。英文入力時に重宝しそうだ |
峯崎氏いわく,このアナログ的な入力系は,東プレが培ってきた,信頼性のある静電容量技術を用いて実現したものとのこと。おそらくは,発信回路を使って発信周波数を見ることにより,静電容量の変化をアナログ的に取り出しているのではないかと思うが,そういう事情のため,最終仕様さえ固まれば,すぐにでも顧客に対して提案できるような状況なのだそうだ。
COMPUEX TAIPEI 2015のタイミングが世界初公開で,営業活動などはこれから始まるとのことだが,キーボードが持つゲーム用途の可能性を多いに広げるという意味で,REALFORCEの新機能は大注目といえるだろう。
いや,もう本当にすごいとしか言いようがないですよこれは!
東プレブースにはもう1つ,海外市場向け静電容量キーボード「Type Heaven」の新作も展示されていた。キートップを外した写真の撮影は許可されなかったが,七色イルミネーションは,静電容量版「Cherry MX RGB」的な,「透明ハウジング+基板上に実装されたLED」によるものだ。ちなみにこの新作キーボード,[Fn]+[F12]キーにより,アクチュエーションポイントを1/1.5/2/3mmで順繰りに設定可能だった
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