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[COMPUTEX]5-in-1の合体ノートPCや4K液晶搭載のハイエンドノートPCが登場。盛りだくさんなASUSプレスカンファレンスレポート
イベントでは,同社会長のJonney Shih(ジョニー・シー)氏が登壇し,同社ならではのユニークな製品を次々と紹介していった。本稿では,これら新製品の概要をレポートしよう。
Windowsタブレット&ノートPC+Androidスマホ&タブレット&ノートで「5-in-1」を称する「Transformer Book V」
新製品の中でも,ある意味ASUSらしさが一番現れていたのが「Transformer Book V」だ。
見た目は12.5インチ液晶パネルを採用したWindows 8.1タブレットにキーボードを合体させた2-in-1デバイスだが,ディスプレイ背面に5インチ液晶パネル搭載のAndroidスマートフォンをドッキングできるという製品である。
スマートフォンをドッキングさせた状態では,AndroidとWindows 8.1をボタン操作で切り替えることができるとのことで,Windows 8.1ノートPCとタブレット,さらにAndroidスマートフォンとタブレット,AndroidノートPCの1台5役が可能なので,「5-in-1」というわけだ。
ASUSは,2012年にタブレット部分と合体するAndroidスマートフォン「PadFone 2」を,2013年には1台でWindowsノートとAndroidタブレットになる「TransBook Trio TX201LA」を発表していたが,Transformer Book Vはこれらの進化形といったところだろうか。Shih氏曰く,これ1台で「エンターテインメントにもプロダクティビティ(生産性向上)にも,パーフェクトに対応できる」製品となっているとのことだ。
ちなみに,Windows 8.1タブレット側は,型番不明のCoreプロセッサを採用し,スマートフォン側も型番不明のAtomプロセッサを採用しているとのこと。Windows 8.1タブレットとしてのスペックは,メインメモリ容量4GBに,ストレージ容量128GB。サイズや重量は未公開である。
スマートフォンと合体させる必然性があまり感じられない気もするのだが,面白い製品には違いない。はたして日本でも発売されるのだろうか?
タブレットとしての使い勝手を向上
Transformer Book T300 Chi
キーボードドックと合体するWindows 8.1タブレットの最新モデルとして発表されたのが,「Transformer Book T300 Chi」(以下,T300)だ。
タブレット部分にCPUやストレージなどPCとして必要な部品を盛り込み,分離・合体可能なキーボードドックを付属させるという基本構成は従来どおり。だが,T300では大幅な薄型化とスペックの強化が行われているという。
まずタブレット部分は,厚みがわずか7.3mmと,2013年に登場した「TransBook T100TA」の10.5mmよりも3mm以上の薄型化を実現した。また,キーボードドックと合体させても厚さはわずか14.3mmとのことで,タブレット単体でも,またノートPCとしても,持ち運びやすくなっている。
スペックを見ると,まず液晶パネルには,12.5インチサイズで解像度2560
CPUの具体名は明かされなかったものの,Shih氏は「次世代のCoreプロセッサを採用している」と述べていた。わざわざ「次世代」と強調しているところからすると,現行のHaswell Refreshではなく,その後継となるCPU「Broadwell」(開発コードネーム)を搭載するということだろうか。
現時点ではスペックの詳細は未公開で,サイズや重量も分からないのだが,なかなか期待の持てるWindowsタブレットとなりそうだ。
4K液晶パネル+GTX 850M搭載のハイスペック薄型ノート
Zenbook NX500
Shih氏が「ウルトラプロフェッショナル向けにパーフェクト」なノートPCと誇らしげに披露した製品が,「Zenbook NX500」である。
Zenbook NX500は,15.6インチサイズで解像度3840×2160ドット(以下4K解像度)の液晶パネルを搭載するというノートPCだ。液晶パネルに同社独自の「VisualMaster」なる技術を採用したことにより,「極めて自然な色合いによる美しい表示を実現」しているのが特徴だという。
Zenbook NX500(左)には「VisualMaster」と呼ばれる技術を採用した液晶パネルが採用されているという。液晶パネル自体は,NTSC色域100%、Adobe RGB色域108%など優れた色域を誇るもので(右),米QD Visionが開発し米3Mが展開している量子ドットを使用したカラーフィルタ「QDEF」が使われているようだ |
またGPUとして,NVIDIAの「GeForce GTX 850M」を内蔵する点も特徴だ。GeForce GTX 850MはCUDAコア640基を集積するMaxell世代のノートPC向けGPUなので,さすがに4K解像度でのゲームは厳しいはず。フルHD解像度程度なら,ゲームのプレイも可能かもしれない。
Zenbook NX500の主な仕様。Core i7プロセッサとNVIDIA GeForce GTX 850Mを搭載。PCI Express x4接続のSSDやIEEE 802.11a/g/n/ac対応無線LANも内蔵する |
本体左側面には,Mini DisplayPort出力とHDMI出力,USB 3.0ポートを装備。右側面にはUSBポートが2つと,SDカードスロット,ヘッドセット端子があった |
本体のサイズは378(W)×255(D)×19(H)mmで,重量は約2.2kg。モバイル製品と呼ぶにはさすがに大きく重い。
そのほかの主なスペックは,CPUには型番不明のCore i7を採用し,メインメモリ容量は4GBまたは8GB,内蔵SSDのストレージ容量は128GB/256GB/512GBの3バリエーションが用意されるという。
ボディの素材はアルミ合金のようだ(左)。キーボードはよくあるアイソレーションタイプである(右) |
ハイスペックなAtom搭載8インチAndroidタブレット
MeMO Pad ME581CL
Androidタブレット「MeMO Pad 8」シリーズの新製品として発表されたのが,「MeMO Pad ME581CL」(以下,MeMO Pad)だ。
8インチサイズの液晶パネルは,解像度が1920×1200ドットの高解像度パネルを採用。SoC(System-on-a-Chip)には最大動作クロック2.3GHzの「Atom Z3580」を搭載しており,「極めて高いパフォーマンスを実現している」とShih氏は強調していた。
なお,本製品はKDDIから,LTE通信機能を搭載したモデルが8月下旬に発売される予定だ。どうせ買うならLTE対応版が欲しいという人は,こちらを待つのが良さそうだ。
MeMO Pad(スライド中ではMeMO Pad 8)の主なスペック。1920×1200ドットの液晶パネルとAtom Z3580搭載など,かなりのハイスペックが特徴だ |
また,LTE通信機能を内蔵して通話も可能なAndroidタブレット「Fonepad FE380CG」も発表された。SoCには動作クロック1.83GHzの「Atom Z3560」を採用している。
液晶パネルは8インチサイズで解像度1280×800ドットだが,額縁部分を狭くしたことにより,7インチサイズの液晶パネルを採用していた「Fonepad 7」と同程度のサイズを実現したとのことだ。
Fonepadシリーズの8インチモデルFonepad FE380CGが登場(左)。カラーバリエーションは白,赤,シルバーの3色展開(右) |
HDMI 2.0に対応した4Kディスプレイ「PA328Q」
ASUSの液晶ディスプレイでは,早い時期から4K解像度に対応する製品が投入されてきた。今回も新しい32インチサイズ液晶ディスプレイ「PA328Q」が発表されている。
本製品の注目すべき特徴は,4K解像度でリフレッシュレート60Hzの映像を伝送可能な「HDMI 2.0」に対応する点だ。現在主流のHDMI 1.4は,4K解像度時の最大リフレッシュレートは30Hz止まりだったので,HDMI 2.0ならDisplayPort 1.2と同様に,ケーブル1本での60Hz伝送が可能になるわけである。
ASUSの新しい4K液晶ディスプレイPA328Q。HDMI 2.0に対応するほか,「ProArt」と称する高品位なIPS液晶パネルの採用が特徴だ |
もっとも,現状ではPC用グラフィックスカードでHDMI 2.0に対応する製品が存在しない。しかし,ASUSが本機を製品化するということは,HDMI 2.0に対応したグラフィックスカードの製品化も遠からず行われる……と期待していいのかもしれない。
いずれにしても,PC用4K液晶ディスプレイのHDMI 2.0対応が本格的に進み始めるという期待を抱かせる製品といえよう。
ASUSのCOMPUTEX TAIPEI 2014 特設ページ(英語)
COMPUTEX TAIPEI 2014取材記事一覧
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