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インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン4」レポート【前編】。死(4)の迷宮を抜けた先に待っていた色とりどりの宝石のようなゲームたち
本イベントは,個人や小規模チームが制作したデジタルゲームを展示し,来場者に気軽に遊んでもらうためのイベントだ。2022年8月の第1回から回を追うごとに規模を拡大しており,今回は250もの団体が出展していた。
前回までとは異なり2日間の開催となった「東京ゲームダンジョン4」。イベントの主催であり,“週末Unityもくもく会”あらため,“インディゲームもくもく会”を運営する岩崎匠史氏(@iwski)にその理由を聞いてみたところ,「来場者と出展者が増えたことに合わせ,なるべく快適な試遊ができるようにしたかった」からだそうだ。
「インディゲームもくもく会」公式サイト
それもあってか,取材中に「2日間になったおかげで,ほかの出展者のゲームを遊びやすくなった」との声を聞くことも。また時間に余裕ができたからか,出展者たちがほかのブースのゲームをプレイする姿もよく見受けられた。
会場をぶらつくと自由な展示が目に飛び込んでくる。こちらは鍵盤で遊ぶ音ゲー「Keyboard Maestro Voyage」の展示。操作デバイスは売り物ではないらしい |
のへもん氏・しょーゆ氏による「チョークの叛乱」。リアル黒板消しをパンパン打ち合わせて,画面内のチョーク(敵)と戦い,置いてあるクリーナーを使って黒板消しにパワーをチャージするという仕組み |
出展にあたって審査がなく,また出展料や入場料も格安なため,出展者と来場者のどちらにもうれしい本イベントは,写真のように,とても自由な展示とゲームを楽しむことができる。
取材は1日目のみとなったが,それでもかなりの数の作品と出会えたので,今回は記事を前後編に分けて紹介していこう。
「東京ゲームダンジョン」公式サイト
●Pastel☆Parade / PARRY KING
出展者:matsu friends
リズムをつかんでコール&レスポンス!
敵の動きを見切ってパリイ!
実は近かった2つのジャンル
「Pastel☆Parade」は,bone氏(@bone_str)による親しみやすいビジュアルが目を引く作品だ。音楽を聴きながらお手本となるリズム(動き)を覚え,それをマネして複数のボタンを押していく,音楽の“掛け合い”やライブ会場での“コール&レスポンス”的な楽しさを味わえる内容で,一言で言えば,「リズム天国」ライクといったところだろう。
炭酸水のボトルを振って振って,バシャ! |
とはいえ「リズム天国」シリーズはもう9年近くリリースされておらず,最新作の対応ハードもニンテンドー3DSである。今ではこの遊びを新鮮に感じる人も多いのではなかろうか。「Pastel☆Parade」の人気が盛り上がりを見せれば,本家復活の機運も高まるかもしれない。
レシーブ,トス,アタック! リズムにノってボタンを押し分けるのがキモチイイ |
そして同じブースで展示されていた「PARRY KING」は,いわゆる“死にゲー”的な作品。敵の攻撃を見切ってパリイし,パリイできない攻撃は回避し,反撃して倒すことに特化しているゲームだ。
どことなく「王様ランキング」を思わせるキャラクター |
作者のまっともぉん(https://twitter.com/matsu_friends)氏ですら,ちょいちょいとミスをする高難度だが,「Pastel☆Parade」と立て続けにプレイしてみると,こちらは相手の出方を見つつアドリブするジャムセッションみたいだな,と妙な気づきを得てしまった。両作品とも2024年中のリリースを目指しているとのこと。
「Pastel☆Parade」Steamストアページ
「PARRY KING」Steamストアページ
●デバッグ彼女〜Debug Girl〜
出展者:ちきんのゲーム部屋
ゲームと一緒に育まれる,ひと夏の物語
偶然再会した友人と,ひと夏のゲーム&思い出づくり──。そんな,どこかファンタジックな恋愛を描いた2Dアクション+ノベルゲーム+デバッグ(風ゲーム)を楽しめる作品が「デバッグ彼女〜Debug Girl〜」だ。
彼女が見つけた進行不能バグを修正してゲームを進行可能にし,2人の仲も進展させる(!)といった,3つのジャンルをしっかり組み合わせた内容を目指しているとのこと。
制作者は,大学生のChicken氏(@ChickenPopgame)で,キャラクター原画は個人ゲーム開発者のPico Games氏(@PicoGames_off)が担当している。パブリッシャはわくわくゲームズで,2024年中にSwitchとSteamでリリースされる予定となっている。
余談だが,夫婦やパートナー同士でゲームを開発しているインディデベロッパはそこそこ実在する。つまり,このゲームはあながちファンタジーとも言い切れないところがあり,その観点から見るとまた別の味わいが生まれてくる。
ゲームも愛も,諦めず一緒に育んでいくもの |
「デバッグ彼女」Steamストアページ
●ウルトラクライムジェットガール
出展者:ァアアア”
壺……じゃなくジェットガール,大空へ!
メインビジュアルのインパクトがドスンとくる,女の子がジェットパックを使って空島に登っていくゲーム。しかし,このジェットパックは壊れかけていて,少量しか燃料が入らない。燃料を補給するためには途中にいる敵を倒す必要があるのだ。
敵は「体当たり」や「ジェットパックの噴流」などで倒せるが,地形や敵の配置がなかなかイジワルで,何度も何度も落下することになる。
作者のァアアア”氏(@SUPERTUYOI)によれば,壺おじさんこと「Getting Over It with Bennett Foddy」的なプレイフィールを目指したとのこと。ゲーム配信でのプレイなども想定しているそうだ。
今後は,対空して敵を引き付けるアクション(距離が近い場合は攻撃可能)を追加する予定で,これによりステージのバリエーションもグッと増えるらしい。
●Keyboard Maestro Voyage
出展者:Keyboard Maestro
音ゲーで遊ぶうちにキーボード操作も上達する!?
記事冒頭でも写真をお見せしたこのゲームは,見ての通りアーケード用の某音ゲーを現実のキーボード(鍵盤楽器)演奏に極限まで近づけたような作品だ。
操作デバイスがデカい! |
机の上に置かれていた操作デバイスは「ネタ的な展示」なのだそうだが,デバイスの大きさに合わせたモニターを用意することで,ノーツの降ってくるレーンの真下にボタンが位置するよう調整したという。とんでもない酔狂ぶりである。
MIDIキーボードや電子ピアノなど,さまざまな機器に対応する |
作者のP.小野塚氏に,「もはや音ゲーというよりキーボードを練習するためのソフトでは?」と聞いてみたところ「音ゲーの楽しさとキーボードの楽しさの中間を狙ったもので,強いて言うなら中学生の頃の自分が遊びたかったものを作った」そうだ。
本イベント中も,音ゲーに心得のある人やキーボードに心得のある人が思い思いのプレイをしてくれていたという。本作はすでにSteamにて販売中なので,すぐにでもプレイ可能だ。
#東京ゲームダンジョン4 2日目 設営中にグリッサンドで遊ぶサウンドディレクター#KMVoyage pic.twitter.com/hLncEop5Po
— KeyboardMaestro (@KMaestroProject) January 21, 2024
「Keyboard Maestro Voyage」Steamストアページ
●元祖 落とし寿司 めびうす
出展者:WINGLAY
第一印象を裏切ることのない「寿司ゲーム」
作者のWINGLAY氏(@winglay_info)も,開口一番「(果物をくっつけて大きくしていく)アレに衝撃を受けて作りました」と語っていた寿司ゲーム。同じ寿司をくっつけることで次の段階に進化(?)していく,アレと同じルールであり,誰もが気軽にプレイできる。
ただ,寿司はさまざまな形をしており,その挙動の予想がなかなか難しい。しかも尖った部分が変な引っかかり方をすることもあり,円形の果物が登場するアレとはまた違ったもどかしさがある。また本作は寿司を落とす前に角度を調整することも可能だ。
さらに進化を連鎖させたり,画面右にいるお客さんが食べたい寿司(吹き出しの中)を2カンくっつけたりするといった,高得点を狙えるファクターもある。時間を忘れて遊ぶうちにお腹も空いてきて,思わず家族と回転寿司に出かけていた……そんな平和な休日を過ごせそうなゲームだ。
「元祖 落とし寿司 めびうす」Steamストアページ
●EarCleaningFantacy
出展者:OMT
健全な耳かきサロンで展開するドラマ&ASMR
母国からはるばる日本までやってきて,耳かきサロンを開店した“カマクラ”が主人公。サロンに訪れたお客さんとのストーリーを楽しみつつ,耳の奥でカリコリと耳かき棒が動いているような“ASMR”感覚を楽しめるゲームだ。
妙に話が噛み合わない少女。どうやら耳が詰まって聞こえにくいらしい(笑) |
ASMRとは“autonomous sensory meridian response”の略で,聴覚や視覚から受ける刺激により,実際には受けていないはずの,皮膚がゾワゾワする感覚が生まれる反応のこと。近年,YouTube界隈やVR界隈でけっこうな注目を集めている。
耳かき棒を動かしつつ,ゲージを見て安全な領域でキーを押す。そんなシンプルな耳かきゲームを楽しんでいるうちに,新たな感覚に目覚めてしまうかもしれない危うさをはらんだ……もといあくまで健全な内容のゲームなのだ。
その道に詳しい人の話によると,電車中でレールの音を聞いているうちに思わずウトウトしてしまうような,リラックス感を得られるらしい |
●PEKOLRS(ペコラス)ぺこらんど復興大作戦
出展者:NewfrontiaSoftware
姫にすべてを捧げる準備はいいか?
作品の舞台は,兎田ぺこら姫と野うさぎたちが住む異世界だ。そこで「ふっざけんなあああ!」な事態が勃発! 姫の臣民たる,号して百万(名)の野うさぎが前触れもなく姿を消してしまったのである。
大学生であるあなたは,そんな異世界に召喚され,ぺこら姫をサポートし,ぺこらんど復興のためにすべてを捧げる「栄誉」を与えられるのだった……。
ホロライブの2次創作ルールに沿って,NewfrontiaSoftware(@newfrontia)が開発中の配信シミュレーションゲームで,お昼は配信のネタを探したり,トーク用のデッキを作ったりしつつ配信準備をし,夜は集めた「ネタ」で配信を実行する。
ついたコメントに上手いリアクションを行えば野うさぎ(つまりファン的な意味合い)が爆増! という具合にVTuberシミュレーター的な遊びを楽しめる。
サークル代表の城雅音 武氏によれば,こうしたアドベンチャーやシミュレーションを制作できるエンジンのデモも兼ねてこの作品を制作したとのこと。ゲームは,スマホやPCのブラウザでこちらを開けば無料でプレイできる。
●限界OL海へ行く
出展者:超OK
新たな境地すぎて思わず心配になる? ノベルゲー
アクションアドベンチャーゲーム「ツキササリーナ」を手掛けた超OKのノベルゲームだ。超OKを率いるクルステ氏(@col_ste_)は新たな境地に至ったようで,かわいいシイカ教授とイカを研究する同作とはずいぶんと雰囲気の異なる作品になっている。
作風の変化がすごい |
ゲームの導入はタイトルの通り。ある平日の昼休み,ついに限界を迎えてしまったOLのお姉さんが,海に向かう電車へと乗り込むところからスタートする。日常の世界から離れるささやかな旅路の途中,お姉さんは,やはり束の間現実から逃れてきたさまざまな人々と出会うのだった……。
出会う人物は,偏差値高めの高校に通うヤイバや,写真家の卵マタタキ,酒に溺れるフリーターのヤケノハラ,そしてあまり現実のことを語ろうとしない少女モコなど。彼らにはそれぞれお気に入りの場所があるとのことで,お姉さんもまた,自分にとってのお気に入りの場所を探し始める。
海浜公園,倉庫街,タワーマンションが立ち並ぶ静かな海の街など,ゲームの舞台は実際にクルステ氏にとってのお気に入りの場所で,またゲーム内の移動経路と時間経過の関係もリアルなものとなっているそうだ。近日中にリリースされるとのことで,今から楽しみである。
「限界OL海へ行く」Steamストアページ
……と,前編では一部例外はあるものの,楽しみ方がイメージしやすい,メジャーな作風のゲームを紹介してみた。
後編ではインディならではというか,尖ったビジュアルや独特の世界観を持つ作品を集めているので「もっと変わったゲームを知りたい!」という人も楽しみにしてほしい。
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インディーズゲームの展示会「東京ゲームダンジョン2」が,2023年1月15日に東京の都立産業貿易センター浜松町館にて開催された。今回で2回目となる本イベントから,気になるタイトルをいくつかピックアップして紹介していこう。
インディーズゲーム展示会「東京ゲームダンジョン」レポート。好きに作ったゲームを持ち寄りみんなで遊ぶ。夢のような迷宮がそこに広がっていた
2022年8月7日に,東京の都立産業貿易センター浜松町館で開催されたインディーズゲームの展示会「東京ゲームダンジョン」をレポート。数多く出展された,個人や小規模チームが制作するデジタルゲームから,気になったタイトルをピックアップして紹介。
「東京ゲームダンジョン」公式サイト
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