イベント
[TGS 2019]「ARCADE1upステージ いまこそレトロゲーム」レポート。「スペースインベーダー」の生みの親,西角友宏氏がレトロゲームの魅力について語った
「ARCADE1up」公式サイト
ステージには,タイトー代表取締役社長 山田 哲氏,ARCADE1upをリリースするTastemakers LLCプレジデントのスコット・バックラック氏,そして「スペースインベーダー」の生みの親であるタイトー顧問 西角友宏氏が登壇し,ARCADE1upでプレイできるレトロゲームについて語った。本稿ではその模様をレポートする。
国内で販売を行うタイトーは,アーケード筐体の形をそのまま縮小してゲームが遊べるというアイデアに感銘を受け,「スペースインベーダー」のライセンス契約時に,「よければこれを我々に売らせてくれないか」と逆提案したところ,Tastemakersもそれを快諾。日本国内での販売提携が決定したそうだ。
そんなARCADE1upのラインナップの中でも人気の高いスペースインベーダーが,1978年の発売当時,多くのファンを魅了した理由について,西角氏は「シューティングゲームはそれ以前にもありましたが,たくさんの敵が攻めてくるゲームデザインは世界初で,しかも操作が簡単だったことが,当時の若い人の心を掴んだのではないか」と述べる。
一方,自分のことを「スペースインベーダーオタク」だと自負するバックラック氏は,シンプルなゲーム性で直感的に理解できるところが本作の魅力であり,それが現在もレトロゲームとして評価される理由だとコメント。その出会いは10歳の頃で,ブルックリンのピザ屋に置いてあった本作を見て,一目で魅了されたという。
そして,「これ(ブレイクアウト)を超えるものを作る」という信念のもとにスペースインベーダーを完成させたが,リリース当初はここまでのヒットになるとは思っておらず,本作がヒットしたことから生まれた「インベーダーハウス」には一度も行ったことがないそうだ。
また昨今のレトロゲームブームについては,「今のゲームに入り込めない人や,昔を懐かしむ人が楽しんでいて,さらにそれを見る子供達にも伝わり,いろんな方向から楽しめていることが,ブームにつながっているのではないか」と西角氏。山田氏も,「もう一度,この時代のゲームをやることで,ゲームの楽しさを再認識できる」と西角氏に賛同しつつ,「これ(レトロゲーム)をきちんと伝えていくことで,ブームではなく1つのカテゴリとして定着するだろう」と続けた。
最後に,これからのゲームクリエイターに向けてのメッセージを求められた西角氏は,「レトロゲームは今のようなグラフィックスが使えなかったので,面白さにつながるゲーム性の部分がすごくしっかり作られています。今それにならうのであれば,最初はグラフィックスのことは考えずに,中身の面白さだけにこだわって作り,最後に美しいグラフィックスや豪華なサウンドを乗せれば,より面白いものが作れるのではないか」と答え,トークを締めくくった。
4Gamer「TGS 2019」記事一覧
- この記事のURL: