葛飾北斎の浮世絵×クトゥルフ神話。「クトゥルフ神話生物解剖図鑑」著者の新作「邪神三十六景」，2026年3月発売

　トゥーヴァージンズは，「クトゥルフ神話生物解剖図鑑」で知られる山田 剛毅氏による新作画集「邪神三十六景」を，2026年3月に発売する。価格は3080円（税込）。


　本書は，山田氏が「もし江戸時代に邪神が現れたら」という着想のもと制作した画集だ。葛飾北斎の「富嶽三十六景」をベースに，H・P・ラヴクラフトが創作した「クトゥルフ神話」に登場する邪神たちを融合させた作品が収録されている。


　北斎が描いた全46枚の浮世絵それぞれに対応する形で，46体の邪神が描かれているのも特徴だ。名所として知られる富士の景観や江戸の町並みに，異形の存在が違和感なく紛れ込む構図となっている。

冨嶽三十六景より「神奈川沖浪裏」	「隕石と共に現れた異形の海獣」
冨嶽三十六景より「山下白雨」	「霊峰に這いよる混沌の化身」
冨嶽三十六景より「江戸日本橋」	「川底より現れた醜き大蛙の怪」

冨嶽三十六景より「深川万年橋下」

「川底より現れた歪な龍神之図」

　たとえば，「神奈川沖浪裏」では，巨大な波間に異形の海獣が隕石とともに姿を現し，「江戸日本橋」では，川底から大蛙のような怪異が這い出てくる様子が描かれる。各作品には，邪神の設定や世界観を補足するテキストも添えられており，ビジュアルだけでなく読み物としても楽しめる構成だ。


　広く知られた浮世絵の風景に，名状しがたい邪神の存在を重ね合わせることで，見慣れた名画がまったく異なる印象を与える点が，本書の大きな特徴と言えるだろう。