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Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた
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印刷2018/06/16 00:00

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Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた

こじんまりとしたHDMIブース
画像集 No.002のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた
 PCやゲーム機をディスプレイやテレビに接続するインタフェース規格としておなじみのHDMI。このHDMI規格を策定する組織である「HDMI Licensing Administrator」が,COMPUTEX TAIPEI 2018に小さなブースを出展していた。
 ブースを訪問したところ,そこにはなぜかXbox One Xの姿が。これは「Xbox Oneシリーズは,次世代HDMI規格であるHDMI 2.1の一部に対応できますよ」というアピールなのだという。そこで本稿では,Xbox OneとHDMI 2.1の関係や,HDMI Licensing AdministratorのCEOであるRob Tobias氏によるHDMI認証プログラムの最新事情について,簡単にレポートしよう。


Xbox OneがHDMI 2.1の一部機能に対応


 HDMI 2.1の規格自体は,2017年11月にリリース済みであり,2018年には,インタフェースチップのサンプル出荷も始まっていると耳にしている。ただ,一般消費者向けのテレビ製品で,これを搭載したものは出てきていない。

画像集 No.004のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた
 HDMI 2.1で最も重要な点は,伝送帯域幅が拡大されることにある。現在のHDMI 2.0は18Gbpsであるが,HDMI 2.1になると,約2.7倍となる48Gbpsにまで広がるのだ。これにより,8K解像度で60fpsや,4K解像度で120fpsの映像伝送に加えて,8K解像度でHDR,12bitカラー,60fpsの映像伝送も実現するという。

 しかし,HDMI 2.1には帯域幅の引き上げ以外に,利便性の向上を目的とした機能もいろいろと盛り込まれており,これらの機能については,ファームウェアアップデートなどによって,HDMI 2.0対応以前の機器でも利用できるようになると言われている(※もちろん,利便性に関するすべての機能が,ではないだろうが)。
 そうした利便性向上に関する事例のサンプルとして,HDMIブースでは,Xbox Oneシリーズを使ったデモを行っていたわけである。

HDMI 2.1の主要機能を列挙したパネル
画像集 No.003のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた

 HDMI 2.1に含まれる新機能で,Xbox Oneシリーズが対応予定の機能は2種類あるという。
 ひとつは「Auto Low Latency Mode」(自動低遅延モード,以下 ALLM)だ。
 ALLMは,映像を出力するゲーム機(※この場合はXbox One)が,HDMI接続しているテレビやディスプレイに対して,低遅延なゲームモードに切り換えることを要求する機能である。テレビとHDMIでつながったXbox Oneを起動すると,テレビ側の表示モードが自動的にゲームモードに切り替わるという動作になるようだ。

 2つめは「Variable Refresh Rate」(可変リフレッシュレート,以下 VRR)。
 VRRは,AMDのディスプレイ同期技術「FreeSync」(※VESAの規格ではAdaptive Sync)と同じような機能で,ゲーム機側からテレビやディスプレイの表示タイミングを制御できるようになる。モード開始時に伝送するメタデータが違うだけで,技術的にはFreeSyncと同一であるという。

ディスプレイ側主導ではなく,映像を送出する機器側主導で表示タイミングを制御できる仕組みがVRRだ。
画像集 No.005のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた

 Xbox Oneシリーズは,2018年春のアップデートでFreeSyncに対応したのだが,ようするにHDMI 2.1のVRRメタデータ伝送にも対応したということなのだろう。

ブースではHDMI 2.1のVRR機能をXbox One Xで実演していた
画像集 No.006のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた


「HDMI Premium Certified」プログラムがアクティブHDMIケーブルも対象に


 PCやPlayStation 4 Pro,Xbox One XにUltra HD Blu-ray再生機など,さまざまなHDMI機器が4K対応となっていく中で,ユーザーを困惑させているのが,HDMIケーブルの相性問題である。実際のところは,相性ではなく単純にケーブルの品質問題なのだが,その背景には,4K映像が要求するケーブルの品質が非常に高いことがある。
 4K解像度の映像は,HDRやRGB888/60fpsである場合,HDMI 1.3以前の帯域幅である10.2Gbpsを超えたデータ帯域幅を必要とするのだが,HDMIケーブルが,一定の品質を満たさないと伝送に失敗するのだ。

 アナログ映像信号の時代なら,品質が不十分なケーブルであっても,映像がまったく映らないということはあまりなかった。ユーザーは,低画質であっても映像を見ることはできただろう。しかしデジタルデータ伝送を行うHDMIの場合,伝送に失敗すると映像がまったく映らないこともある。そのような現象に遭遇した場合,ユーザーは「ケーブルに問題がある」とは思わない場合が多いそうで,テレビやディスプレイ側か,PCやゲーム機側に問題があると勘違いしてしまい,機器メーカーのサポートに頼るといったことが起こりえる。心当たりがある人もいるのではないだろうか。

 こうしたHDMIケーブルの品質に起因する問題に対処すべくHDMI Licensing Administratorは,2015年にHDMIケーブルの品質認証プログラム「HDMI Premium Certified」を開始した。
 前述したように,HDMI 2.0は18Gbpsの帯域幅があり,4K映像で最もビット数の高い映像や,60fpsを超える高いフレームレートの映像では,18Gbpsの帯域幅を使うことがある。この認証プログラムを通過した「Premium HDMIケーブル」は,18Gbps伝送が可能なことを保証するというわけだ。

 認証を受けたPremium HDMIケーブルには,「HDMI Premium Certified Cable」のロゴマークを製品ボックスに貼り付けることが許される。ロゴマークの下にはQRコードが付くのだが,これは,そのHDMIケーブルの仕様などが書かれたWebページへ飛ぶためのもの。スマートフォンでQRコードのページに飛べば,購入前に本物か偽物かを店頭で調べられるわけだ

HDMI Premium Certified CableのロゴマークとQRコードのサンプル(写真右)
画像集 No.007のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた

 しかし最近では,10m近い長さを持つHDMIケーブルとなると,Premium HDMIケーブルの選択肢は少ないし,あってもかなり高価だ。ケーブル長が長いと電気的な損失が大きく,非常に高品質な製品でないと伝送に失敗してしまったり,動作が不安定になったりする。
 そこで最近台頭してきたのが,「アクティブケーブル」と呼ばれる種類のHDMIケーブルである。HDMI端子側にイコライザチップを内蔵しており,伝送過程で劣化した信号を補正して信号強度を高める機能を持ったHDMIケーブルである。

Amazon.co.jpで販売されているアクティブHDMIケーブルの例
画像集 No.008のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた

 余談気味だが,イコライザチップ用の電力は,信号送出元のHDMI端子から供給する仕様となっているのが一般的だ。HDMI 2.x規格では5V/900mAの給電が可能なので,通常はこの手段で問題はないが,HDMI1.x規格では5V/500mAまでなので,電力不足に陥る可能性もある。そうした場合に,別の給電方法を組み合わせられるケーブルもあるようだ。

 さて,前置きが長くなったが,アクティブHDMIケーブルでこれまで問題だったのは,HDMI Premium Certifiedプログラムの認証対象に含まれていなかったことである。「18Gbps伝送に対応した長いHDMIケーブルが欲しい」となったときに,HDMI Premium Certified認証を取得したアクティブHDMIケーブルが存在しないことは,ケーブル選びの障害になっていたそうだ。
 HDMI Premium Certified認証を取得したアクティブHDMIケーブルに対するニーズが高まってきたこともあり,HDMI Licensing Administratorも,こうしたケーブルを認証の対象に含めるようになったのである。

 ところで,Tobias氏によれば,HDMI Premium Certifiedプログラムの認証対象となるアクティブHDMIケーブルは,「送信元のHDMI信号そのものを改変,変換しないものに限る」そうだ。つまり,筆者によるレビューで紹介したMarseilleの「mCable」のように,映像エンジンチップを内蔵したケーブルは対象外となるし,電気信号を光信号に変換して伝送する「光ファイバHDMIケーブル」も,やはり認証の対象外なのだそうだ。

筆者が自宅で使っている光ファイバHDMIケーブル
画像集 No.009のサムネイル画像 / Xbox OneシリーズがHDMI 2.1の一部仕様に対応。COMPUTEXでHDMI規格の最新事情を聞いてきた
 ちなみに,筆者のホームシアター環境では,ADTECHNO製の光ファイバHDMIケーブルを使っている。光ファイバHDMIケーブルは,ケーブル部分が直径5mm程度と細く,長尺ケーブルでも取り回しがいい。光ファイバHDMIケーブルは,アクティブHDMIケーブルにおける主流と言っても過言ではないだろう。これを認証の対象外としているのは,少々疑問を感じる。
 しかしTobias氏には,「少なくとも現在のHDMI Licensing Administratorはそういう方針なので」と明言されてしまったので,近いうちに状況が変わることはなさそうだ。

 いずれにせよ,アクティブHDMIケーブルでも,4K時代に不可欠な品質認証済みのHDMI Premiumケーブルが選べるようになったのは,ありがたいことではある。

HDMI公式WebサイトのHDMI 2.1解説ページ(英語)


COMPUTEX TAIPEI 2018取材記事一覧

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    Xbox One本体

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