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リビングルームで唯一の“ボックス”になる「Xbox One」はソフトとハードの最新技術が満載。プレミアイベントの詳細を総まとめ
【速報】次世代機「Xbox One」をMicrosoftが発表。
2013年内に発売予定
最初に壇上に上がったのは,同社Interactive Entertainment Business部門のプレジデントとしてお馴染みのドン・マトリック(Don Mattrick)氏。マトリック氏は開口一番,近年の消費者はさまざまなエンターテイメントに慣れ親しむようになっていることを説明し,「それなのにリビングルームのエンターテイメントはバラバラであり,手の付けようがない」惨状であると話した。Xbox Oneは,このような現状を「シンプル」(簡単),「インスタント」(即座)かつ「コンプリート」(完結)にするための,「オール・イン・ワン」システムを目指すというフィロソフィのもとにデザインされたのだという。
発表されたハードウェアのスペックをもう一度まとめておくと,以下のとおりだ。
[本体]
・8 Core x86 CPU
・システムメモリ容量8GB
・500GB HDD
・Blu-ray ドライブ
・802.11n Wi-Fi with Wi-Fi Direct
・HDMI In/Out
・USB 3.0
[Kinect]
・1080p RGBカメラ
・30 FPS カラー
・Time of Flight(TOF)テクノロジー
・マイクロフォン・アレー
[コントローラー]
・内蔵型バッテリー
・Impulse Trigger
・Wi-Fi Direct Radio Stack
・精密なディレクショナルパッド
このフィロソフィを実現するのが,Xbox One本体であり,製品版に同封される最新版「Kinect」とコントローラー,そして「Xbox LIVE」や「Xbox SmartGlass」のようなソフトウェア機能である。なお,本体とコントローラー間の通信には,Bluetoothよりも交信範囲の広い「Wi-Fi Direct」が採用されている。Kinectについては,従来のようにUSBで接続する必要があるのかどうかは不明だ。
コンソールのデザインは,16:9のアスペクト比を意識したフォルムになっており,ほかのオーディオ機器とマッチングしやすい印象だ。「リキッドブラック」と呼ばれる色彩も,高級感を漂わせる。
コントローラーは,現行のものから40箇所にわたる幅広い改良が行われているとのこと。「Impulse Trigger」といった機能の詳細は現時点では不明であり,今後の発表を待ちたいところだ。
ゲーマースコアはXbox Oneへ移行可能
Xbox Oneは,未使用時にはスリープモードになっている様子で,デモの担当者として登場したInteractive Entertainment Business部門のシニア副社長,ユーセフ・マーディ(Yusef Mehdi)氏が「Xbox,On」と言葉を発すると,会場の大型モニターにダッシュボードのホーム画面が映し出された。
そのダッシュボードは,これまでのXbox 360のような横スクロールタイプのデザインだ。プレイヤーが直前まで遊んでいたゲームやお気に入りのテレビドラマ,最後に再生した音楽といったものが表示されている。ホームの隣のタブは「Trending」という名称の新機能で,Xbox コミュニティで人気の高いコンテンツや友人が楽しんでいるエンターテイメントを表示する,いわゆる「おすすめ」の機能になっていた。
Xbox LIVEはマルチタスク化されており,ゲームと並行して,映画やテレビドラマ,スポーツや音楽,ビデオチャットなどを「Snap」と呼ばれる機能で楽しむことが可能になっている。また,今回詳しく公表されることはなかったものの,以下のフィーチャーが追加されるという。
・Smart Match
待ち時間なく,オンラインプレイの相手を探してくれるマッチメイキング機能の拡充。評判システムが採用される
・Game DVR
ゲームプレイがクラウドサーバーに録画され,フレンドやほかのプレイヤーに公開できる
・Living Games
AIがプレイヤーのスタイルを学習して,それに応じて難易度や戦い方を変えたり,プレイヤーのシャドウ(分身)としてプレイ可能。これが,なぜ開発ソフトウェアでなくXbox LIVE機能の一部として紹介されているのか疑問だが,今後の発表を待ちたいところ
・Achievement
実績(ゲーマースコア)を獲得できそうになると,その模様を自動録画するシステム。ゲーマースコアはXbox 360から移行可能
・Xbox SmartGlass
Xbox Oneでは,複数のデバイスを連動させて,同じスクリーンでのマルチプレイモードの補助もできる
新型Kinectがなければ作動しない!?
このTime of Flightテクノロジーは,これまで探査ドローンのような軍事技術で利用されていたものだが,一般家庭に持ち込まれるのは初めてのことになるらしい。マーディ氏によると,この技術は極めて鮮明にプレイヤーの動きを捉えることが可能で,首や手首のひねり,指の動き,表情の変化まで読み取ることができるようだ。また,今回の発表では心拍数もトラッキングできるとのことだったが,これは別のテクノロジーを利用している可能性が高いだろう。こちらも今後明らかにされるはずだ。
ボイスコマンド機能に関しては,テレビを観るときは「Xbox,Watch TV」,ゲームで遊ぶなら「Xbox,Play Games」,さらにWebブラウジングを楽しみたいのであれば「Xbox,Go to Internet Explorer」と言葉にするだけで,Kinectは瞬時に反応してくれる。また,ジェスチャーも敏感に認識し,視聴しているテレビ番組を小窓にしたり,大きく引き伸ばしたりするのも簡単だ。両手で目の前の空気を握るような動作をしたあと,両手を内側に動かしたり,外側に広げたりすることで,自由に画面サイズを変更することができる。このあたりは,以前のKinectでは到底無理なことだった。
現時点で具体的な性能はほとんど公開されていないが,新型Kinectはこれまでよりも広い角度や距離を認識できるようになっているとのこと。ただ,ここまで読んで分かるとおり,KinectとXbox Oneはほぼ一体化していると考えていいだろう。おそらく現行のKinectを接続するのは難しいのではないだろうか。ゲームメディアのIGNは「KinectなしではXbox Oneは動作しない」とまで報道しているが,これが事実なら本体価格にも大きく影響しそうだ。
もはやゲーム機の範疇を超えたXbox One
アメリカでは,現行のXbox 360でも「Verizon FiOS」や「Comcast Xfinity」といったケーブルテレビに対応しており,Xbox LIVEを利用してテレビ番組を観ることができる。新型Kinectは音声やジェスチャーに敏感に反応するようになったが,これによりXbox Oneはテレビ番組を視聴するためのセットボックスとしても重要性を増している。
ボキャブラリーの対応数も大幅に増えたようで,マーディ氏が「Watch ESPN」や「Watch CBS」といったチャンネル名を指定すると,即座にそのチャンネルに切り替わっていた。アメリカのケーブルテレビは700チャンネル近くあり,これまではリモコンでお目当てのチャンネルを探すだけでも面倒だったが,このKinectの音声認識はテレビの見方さえも大きく変えてしまいそうだ。
Xbox Oneでは,Microsoft傘下の「Skype」と連動することにより,ビデオ通話も可能になっている。その詳細はまだ不明だが,“オールウェイズ・オン”型(常時バックグランドで起動する)の複数ユーザーによるビデオチャットに対応しており,一度友人からのビデオコールを受け取ると,「Snap」機能を利用することによってゲームやムービーをフルスクリーンに切り替えても,通話相手の音声だけが聞こえるような状態になる。もはや,すべてのゲームにおいてボイスチャットが標準になるというわけだ。
また,北米のみのサービスになりそうだが,Xbox LIVEはESPN(スポーツチャンネル)やNFL(アメフト全米協会)と提携することが発表されている。自分の好きな選手ばかりを集めてドリームチームを結成して,シーズンの戦績を評価するような楽しみ方を「ファンタジースポーツ」と呼ぶが,NFLなどでは選手のステータスが試合ごとにリアルタイムでアップデートされるという,スポーツを“ゲーミフィケーション”化したサービスが展開されるとのこと。NFLでは放送されるすべての試合で,「Xbox SmartGlass」や「Skype」向けにコンテンツ拡充を行うことも発表されている。
Xbox LIVEのクラウドコンピューター化
Xbox Oneでは,これまでMicrosoftの別部門が推し進めてきたAzure Cloud Computingプロジェクトと一体化されることになる。現在,全世界でXbox LIVE向けに1万5000サーバーが存在しているが,これが一気に20倍の30万サーバーに増設されるというのだ。
ゲームとクラウドというと,セーブデータをクライアント側ではなくサーバー側に保存するイメージがあるが,これはつまり複数のデバイスで共有できるということだ。友人の家や会社などでプレイしたゲームの続きを自宅で遊びたいというような状況でも,わざわざハードウェアを持ち運ぶ必要がなくなるわけだ。
また,Azure Cloud ComputingのイニシアティブにXbox LIVEが連携するということは,つまりゲームそのものがクラウド化していくことも意味している。クラウドゲームは,サーバー側でほとんどの演算処理が行われ,プレイヤー側のインプットと毎秒何千回も交信させることで,クライアント側にはまったくデータ保存の必要がなくなるというもの。また,サーバーでグラフィックスや物理演算などが処理されるわけだから,もはやXbox Oneのマシンパワーに依存することもなく,システムの許容以上のグラフィック性能を持つゲームを作り出すことも可能になるだろう。
このあたりはまだゲーム開発者でさえ,クラウドゲームをどのように利用し,どこまでプッシュできるのかを掴みかねているというのが現状だ。しかし,「Xbox Oneが最後のハードウェアになる」と囁かれているのも,こうしたクラウドゲームの将来性によるのかもしれない。Sony Computer Entertainmentも2012年6月にGaikaiを買収したことによってクラウドゲーミングへの道を切り開いており,こちらも今後の発表に注目しておく必要があるだろう。
1年以内に15本のエクスクルーシブタイトル
そのうち8本が新規IP
さて,今回のイベントでは,新しいテクノロジーとサービスにフォーカスした内容であり,発表された新作タイトルの数はそれほどでもなかった(関連記事)。
[発表された新作タイトル]
Forza Motorsport 5 (エクスクルーシブ)
Quantum Break (エクスクルーシブ)
EA Sports FIFA 14
EA Sports NBA Live 14
EA Sports Madden NFL 25
EA Sports UFC
Call of Duty: Ghosts
また,これら7本に加えて現時点までに各メーカーから以下のようなタイトルの対応が発表されている。
Assassin's Creed IV: Black Flag
Battlefield 4
Destiny
Thief
Watch Dogs
「Forza Motorsport 5」がXbox Oneのローンチタイトルに決定&
アナウンストレイラー公開。詳細はE3 2013で発表
Xbox One専用タイトル「Quantum Break」が発表に。
実写ドラマとゲームが交差するシステムが特徴
EAが「FIFA 14」などXbox One向け人気スポーツゲーム
最新作4本を発表。いずれも新型ゲームエンジン「Ignite」で開発
Xbox Oneのイベントで「Call of Duty:Ghosts」の
新たなフィーチャーを紹介する驚愕のトレイラーが公開
現時点で明らかになっている詳細は,それぞれの記事を参照していただきたいが,マトリック氏のスピーチによると「Forza Motorsport 5」はXbox Oneのローンチタイトルになるとのこと。また,「Call of Duty: Ghosts」は,これまでのシリーズ作品と同様,追加ダウンロードコンテンツはXbox Oneで先行配信される予定だ。EA Sportsのタイトルも,何らかのエクスクルーシブコンテンツを予定していることが発表されている。
エクスクルーシブタイトルは,ローンチから1年以内に15本リリースされる予定で,そのうちの8本は続編でない新規IPの作品だという。この中に「Quantum Break」が含まれるとして,ほかにも多数の未発表タイトルが控えているようだ。これらは,6月に開催されるE3 2013(Electronic Entertainment Expo 2013)で発表されることになるだろう。
Xbox公式サイト(US)
- 関連タイトル:
Xbox One本体
- 関連タイトル:
Forza Motorsport 5
- 関連タイトル:
Quantum Break
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