Apple，「iPad Pro」の2018年モデルを11月7日発売。11インチと12.9インチの2モデル構成でiOS端末初のUSB Type-Cポートを採用

　北米時間2018年10月30日，Appleは，タブレット端末「iPad Pro」の2018年モデル（以下，iPad Pro 2018年モデル）計2製品を発表した。ラインナップは，完全新作となる11インチモデルと，従来モデルから継続となる12.9インチモデルの2種類。iPhone XSシリーズが採用するSoC（System-on-a-Chip）「A12 Bionic」をベースとしたタブレット端末向けプロセッサ「A12X Bionic」を搭載したり，iOS端末として初めてUSB Type-Cポートを採用して「Lightning」端子を廃止したりするなど，見どころの多い製品だ。

　国内では11月7日発売予定で，Apple直販サイトではすでに予約注文の受け付けが始まっている。

iPad Pro 2018年モデルの11インチ（左）と12.9インチ（右）

　従来製品と同様に，iPad Pro 2018年モデルでも内蔵ストレージ容量やLTE対応通信機能の有無で複数の選択肢が用意されている。ストレージは容量1TB，512GB，256GB，64GBで，それぞれWi-Fi対応かWi-Fi＆LTE対応かとなるので，合計16モデルという計算だ。具体的なラインナップと価格は表1のとおりで，最も安価な「11インチiPad Pro，ストレージ容量64GB，Wi-Fi対応」だと8万9800円（税込9万6984円）となる。
　なお，2017年6月に発売となった既存の「10.5インチiPad Pro」は，内蔵ストレージ容量64GBのWi-Fiモデルが税別6万9800円（税込7万5384円）に値下げのうえ併売となった。

表1　iPad Pro 2018年モデルのラインナップと価格

	ストレージ容量	LTE対応	価格
11インチiPad Pro	1TB	―	17万2800円 （税込 18万6624円）
		対応	18万9800円 （税込 20万4984円）
	512GB	―	12万8800円 （税込 13万9104円）
		対応	14万5800円 （税込 15万7464円）
	256GB	―	10万6800円 （税込 11万5344円）
		対応	12万3800円 （税込 13万3704円）
	64GB	―	8万9800円 （税込 9万6984円）
		対応	10万6800円 （税込 11万5344円）
12.9インチiPad Pro	1TB	―	19万4800円 （税込 21万384円）
		対応	21万1800円 （税込 22万8744円）
	512GB	―	15万800円 （税込 16万2864円）
		対応	16万7800円 （税込 18万1224円）
	256GB	―	12万8800円 （税込 13万9104円）
		対応	14万5800円 （税込 15万7464円）
	64GB	―	11万1800円 （税込 12万744円）
		対応	12万8800円 （税込 13万9104円）

物理ホームボタンを省略して狭額縁化を果たしたiPad Pro 2018年モデル

　iPad Proを含むiPadシリーズは，ディスプレイの下端に物理ホームボタン兼用の指紋認証センサーを備えるのが通例だった。一方，iPad Pro 2018年モデルは，ボディのデザインを変更して物理ホームボタンを省略し，上下左右のベゼル幅を狭くした狭額縁デザインを採用してきている。

上下左右のベゼル幅を，従来のiPadシリーズよりも狭くしたデザインが特徴だ

こちらはiPad Pro 2018年モデルを横から見たイメージ。側面がフラットに近い形状となったことで，今までのiPadシリーズと印象はだいぶ異なっている。ちなみにボディの厚さは5.9mmで，「今までのiPadシリーズよりも薄い」（Apple）

Face IDに対応し，顔認証による決済も可能に

　指紋認証付きホームボタンがなくなったということでピンときた読者も多いだろうが，iPad Pro 2018年モデルは，iPhoneが備える顔認証機能「Face ID」にiPadシリーズで初めて対応した。
　Face IDは，奥行き情報も取得できるインカメラを使った顔認証技術で，iPad Proのロック解除やアプリへのログイン，対応する決済機能の利用を，顔認証だけで行えるようになるものだ。アプリ側が対応していれば，ゲーム内通貨の購入も顔認証で済ませることができる。

　ゲーマーとして最も気になるのは性能面だが，iPad Pro 2018年モデルが備えるA12X Bionicは，7nm製造プロセスを採用した8コアCPU搭載のSoCであるとのこと。製品情報ページによると「最もパワフルなAppleのチップ」でだそうで，前世代のiPad Proが搭載する「A10X Fusion」と比べて，シングルコアの処理性能が35％，マルチコアの処理性能は90％向上しているという。
　加えて，SoCに統合されたGPUコアは，前世代と比べて2倍のグラフィックス性能を有するそうだ。

GPU性能の向上により，ゲームグラフィックスやARアプリも快適になりそうである

　iPad Proシリーズといえば，専用スタイラス「Apple Pencil」による手書き入力対応が特徴の1つだが，このスタイラスもiPad Pro 2018年モデルの登場に合わせて第2世代モデルとなった。価格は1万4500円（税込1万5660円）だ。第2世代Apple Pencilは，スタイラス内部に磁石と非接触型充電機能を内蔵しており，新型iPad Proの側面に貼り付けるだけで，ペアリングと充電を行えるという。
　第1世代のApple Pencilは，充電のためにiPadのLightning端子に取り付ける必要があったので，使い勝手と見栄えの両面で大きな改善となりそうである。

　なお，第2世代Apple Pencilは既存のApple Pencil対応iPadやiPad Proでも使えるが，非接触型充電機能を利用できるのは，iPad Pro 2018年モデルと組み合わせた場合に限られる。

写真で本体側面の上に載っているように見えるのが，第2世代のApple Pencilだ。磁石でiPad Proの側面にくっついている

　最も安価なモデルでも9万円台後半，ストレージ容量1TBのモデルになると，ゲーマー向けデスクトップPCが買えるほどの値段は人を選ぶだろう。しかし画面が大きめのタブレットでゲームや電子書籍閲覧を楽しみたいという人なら，iPad Pro 2018年モデルは選択肢の1つになりそうだ。

表2　iPad Pro 2018年モデルの主なスペック

	11インチiPad Pro	12.9インチiPad Pro
メーカー	Apple
OS	iOS 12
ディスプレイパネル	11インチIPS液晶（Liquid Retina Display），解像度2388×1668ドット，264ppi	12.9インチIPS液晶（Liquid Retina Display），解像度2723×2048ドット，264ppi
プロセッサ	Apple製「A12X Bionic」 ・CPUコア：性能コア（動作クロック未公開）×4＋効率コア（動作クロック未公開）×4 ・GPUコア：7コア（詳細未公開）
メインメモリ容量	未公開
ストレージ容量	64GB，256GB，512GB，1TB
アウトカメラ	約1200万画素，開放F値1.8，HDR撮影対応
インカメラ	TrueDepthカメラ，約700万画素，開放F値2.2
対応LTEバンド（Wi-Fi＋Cellerモデルのみ）	FDD LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/14/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/34/66 TDD LTE Band 38/39/40/41/42/46
対応3Gバンド（Wi-Fi＋Cellerモデルのみ）	Band 1/2/4/5/8
バッテリー容量	29.37Wh	36.71Wh
バッテリー駆動時間	無線LANでのインターネット利用，ビデオ再生，サウンド再生で最大10時間
無線LAN対応	IEEE 802.11ac
Bluetooth対応	5.0＋LE
USBポート	USB 3.1 Type-C
公称本体サイズ	247.6（W）×178.5（D）×5.9（H）mm	280.6（W）×214.9（D）×5.9（H）mm
公称本体重量	約468g	約631g（Wi-Fiモデル），約633g（Wi-Fi＋Cellerモデル）

AppleのiPad Pro 2018年モデル製品情報ページ