プレイレポート
[プレイレポ]ラーメン食べておいたか? 「ラーメン赤猫 〜ニャンて素敵なラーメン店〜」腹は減れども,心は満たされる
本作は,プレイヤーが赤猫スタッフたちとともにラーメン店を盛り立ていくアプリだ。本稿では原作マンガを連載開始当初から愛読している赤猫ファンが,じっくりとプレイしてみた模様をお届けする。
なお,読み進める前に,またはゲーム開始前にラーメンを食べておくことをおすすめします(無性に食べたくなってしまうこと必至)。
プロローグからファンサービスたっぷり!
マンガアプリ「ジャンプ+」(集英社)で連載中のアンギャマン氏によるマンガ「ラーメン赤猫」は,2024年にTVアニメ化を果たした。
同作の魅力は,人間の言葉を話し,社会的に自立している“猫”たちが営む,一風変わったラーメン店が舞台なことだ。見ていると,登場猫ないし人物たちの心優しさや人情にキュンと引き込まれてしまう。
そんなラーメン赤猫を忠実に再現したゲームが,本作「ラーメン赤猫 〜ニャンて素敵なラーメン店〜」(ニャンステ)である。
当然,遊んでいると思わず笑顔になるポイントは盛りだくさんで,アニメのダイジェストや,アニメと同じ声優陣による録り下ろしボイス,水曜日のカンパネラが手がけた主題歌「赤猫」も聞けたりする。これらニヤリとする部分を,ファン目線で1つずつ紹介していこう。
■始まりは,まさかのラーメン屋台時代!
ゲームをスタートすると,赤猫の店長「文蔵」が,ラーメン屋台に立っている画面が飛び込んでくる。これは「ラーメンを売ってコインを得て,それを設備のレベルアップに使う」というチュートリアル用の場面で,ゲーム的にはサラリとすぎていく場面だ。しかし,原作では回想シーンでしか見られない文蔵の屋台時代だけに,このスタートはにゃんてニクい計らい……!
設備投資でお店のレベルを上げていくと,ラーメン店はいつしか屋台から路面店へと移り変わっていく。
ここから新たな従業員として「サブ」や「ハナ」といったおなじみの猫面子が現れ,さらに唯一の人間スタッフ「社 珠子」が求人の面接にやってくる……という,原作ストーリーを追体験できる。
こういった印象的な場面が,ボイスコミック風に仕立てられたアニメカット仕様で再生されるのがとてもうれしい。
赤猫スタッフのオン/オフも見られる昼夜営業
ニャンステには昼・夜のターンがあり,それぞれの時間帯でできることが異なっている。昼の営業中は,いわゆる神様視点でスタッフたちを見守り,閉店後の夜は設備のレベルアップなどでお店を支えていく。
なお,昼夜の切り替えは“リアルタイムの時間経過で発生”するため,店員さながらの的確なオペレーションに努めるのがコツだ。
もし「そんな忙しく遊べない……」といった人なら,気持ちをスパッと切り替えて,がんばれるときだけ手を貸すゲームと見ればいい。
■昼のターンはLIKEをキャッチ
お店の営業中は,赤猫スタッフがそれぞれの仕事をキッチリとこなしてくれるので,プレイヤーは安心して見ていられる。誰がどんな仕事が得意で専門としているのかは原作でチェックだ。その間,プレイヤーには店内に出現する「LIKE」をタップする大事な仕事がある。このLIKEとは,お客からの「いいね」への返答で,その日の「獲得コイン」を上昇させるものだ。コインは後述の設備投資に使うリソースで,もらえる額面は“LIKEをタップした数だけ大幅にアップ”する。
つまり,LIKEを積極的に拾っていくのが効率的なプレイとなる。
■夜のターンは設備レベルアップと観察!?
赤猫スタッフたちが繊細に動き回りつつ,LIKE拾いをがんばった閉店後の夜こそ,プレイヤーの本領だ。夜は屋台営業で覚えたノウハウで,コインを使って茹で場などのレベルアップを図っていく。設備を強化すると,総合レベルに応じて店自体のレベルも上がり,新たな客席が開放され,導入できる設備の数や種類も増えていく。そのうち製麺機が開放されれば,一部客のアイドルにして製麺担当の「クリシュナ」が働く姿も見られるようになる。
各種アップグレードに用いるコインは,レベル上昇に伴い指数関数的に上がっていくが,設備が高レベルになるほどコイン回収率も多くなっていく。この点はいわゆる放置ゲームの文脈と言える。
最初のころはどんどんレベルアップできるので,夜に毎回タップしまくるのがおっくうになることもあったが,設備レベルが500付近になると(これくらいバシバシとレベルアップしまくれるゲームなのだ),1営業日で上げられるのも2〜3レベルほどに落ち着いてきた。
つまるところ,最初はパパッと快感を味わえて,そのあとはコツコツと付き合っていくゲームデザインと言える。
デコって彩りと利益に貢献!?
本作には,各スタッフの自室のインテリアや,お店の内装などを変えられる「デコ」アイテムがある。
デコはおもにガチャで引き当てたり,ゲーム内の「ショップ」で引き換えたりすると手に入る。その種類は原作に見られたアイテムから,オリジナルデザインのものまでバリエーション豊かだ。
デコにはコイン獲得量が増える「効果」がついており,効果を高めれば高めるほどお店経営が潤うメリットがある。
また,デコはそれぞれ初期の効果値が異なるが「こっちの見た目が好きだけど,コインのために効果が高いアイテムに変えなきゃ……」なんて,デザイン面を犠牲にしなくてもいいシステムになっている。
というのも,獲得コインに影響するのは,店内に配置されたデコではなく「デコデッキ」というものの値なのだ。デコデッキには,手持ちのデコのなかで最高値のものが自動で編成されるため,平たく言えば「ただデコを持っているだけで最高の状態になっている」わけである。
このデコデッキの確認画面などはとくに存在しないのだが,現在のデッキ枠数の状況はプロフィールで確認できる。また専用アイテムでデッキ枠数を拡張すれば,さらなる効果値アップも見込める。
このあたりの仕様はサービス後に「どゆこと?」と悩んでいた人も多いようだが,単純に「いいものを買えば,それだけでOK」としよう。
抜け毛対策のブラッシングは腕の見せどころ
原作マンガないしアニメでは,猫たちのブラッシングは人間スタッフの珠子ちゃんのお仕事だが,ニャンステではプレイヤーが担当することになる。にゃんてご褒美なのか!
プレイ中は画面下部のロゴマークから,各スタッフのブラシアイコンをタップすることで「ブラッシングモード」に入れて,彼らがリラックスした姿で登場する。あとは背中や顔周りなど,相手の好みを探りながら全身の毛をとかしていくのだが……これはミニゲームチックなもので,“制限時間の15秒で満足してもらう”のがなかなか難しい。正直,本編であるシミュレーション部分を差し置いての難しさである。
このあたりに関しては,赤猫スタッフたちに「好みのブラシ」や「毛のとかし方」の嗜好が細かくあることを知っていたし,表情やボイスから感触が察せられるところもあったが,思いのほか満足度ゲージが伸びない。くぅー悔しい……なんて思った人は切り替えよう。
ニャンステは,よくあるペットと触れ合って癒されるためのゲーム感覚で挑んではダメなのだ。これは必死にお店運営をがんばっている彼らを,陰ながら全力で支えるお仕事なのだ。そう自省しよう。すると同時に,原作で彼らを自然とウットリさせてしまう珠子ちゃんの努力と適性を,驚くほどに痛感してしまった。
着せ替えやミニゲームでリフレッシュ
ショップではブラシのほか,猫スタッフたちの「服」も購入できる。こちらも“佐々木さんのコート”など原作に登場するものだけでなく,ニャンステオリジナルのTシャツなどもラインアップされている。
これらを赤猫スタッフたちに着てもらうと,お店で営業中もその服装で立ってくれるので,いつもと少し違った雰囲気を楽しめる。
店舗のバックヤードでは,いつでもミニゲームをプレイできる。こちらは「ジグソーパズル」とランゲーム「猫走」の2種類が用意されており,それぞれハイスコアの更新を目指す遊びが楽しめる。
ジクソーパズルは完成までの所要時間を競うもので,クリア時間が短いほどにスコアランクが上がる。絵柄はアニメのメインビジュアルのため,比較的分かりやすいが,高難度になるとピース数が多くなり,雷紋や無地のあたりで苦戦しがちになる。意外と侮れない……!
猫走のほうは,自動で走る文蔵が障害物につまづかないようにジャンプボタンを押して飛ばすという,シンプルなルールと操作のゲームだ。障害物はランダムに現れるうえ,高低差も異なるため,ジャンプに踏み切るタイミングを随時調整しなくてはならない。文蔵もどんどん走るスピードを上げていくので,集中力と反射神経が求められる。
思わずハマりすぎて,ラーメン作りに支障がでないように。
ずっと見ていられる,赤猫スタッフの働きぶり
ここまでさまざまな要素を紹介したが,私は“赤猫スタッフたちがアニメーションで働く仕草”こそ,ニャンステの真骨頂だと思った。
文蔵が麺をチャチャッチャと湯切りしたり,サブがテキパキ盛り付けたりする様子が本当に細やかで,見ているだけでも楽しい。
一方で,お店全体を眺めていると「あっ,次の注文が入ったんだな。文蔵がスープを入れてる」とか,「サブが盛りつけて自ら配膳してる。カウンターのお客さんの注文だったんだね」とか,赤猫のテキパキとしたオペレーションが見えてくるのがおもしろい。
プレイ中は録り下ろしボイスによるスタッフ間のかけ声もあり,ラーメン提供までの過程がうまいこと補足されていて,そこにまたリアリティを感じる。それとやっぱり,お腹が減ってきてしまう。
スタッフだけでなく,お店自体にも見逃せないモノが散りばめられていた。原作でも印象深い「虎打麺」のポスターは当然として,珠子ちゃんがバックヤードの片づけをしたときに見つけたボロボロの椅子や,サブが働くきっかけとなった店外のゴミ箱など,本作には“普通なら省略しても気づかなそうなところ”がキッチリと描かれている。
これらはハッと気付くまで実感できなかったことではあるが,こうして細かな部分まで丁寧に再現されているからこそ,私は自然と「今,赤猫のお店にいる」という没入感が得られていたのかもしれない。
今回は(リリース前の日から)腰を据えてニャンステを遊んだが,本作はファンアイテムとしてはもちろんのこと,日々の癒しとして触れていたいゲームアプリだと感じた。
実際,プレイ中はスマホをスタンドに立てた状態でニャンステを起動し,デスクワークをしながら,ふと画面が目に入ったときに「みんなもがんばってるなあ」と思って,なんだか心強くなれた。
みんなが休む夜パートもだいたい10分おきにやってくるので,2ターンほどしたら自分も休憩したりと,ポモドーロタイマー的に使える面もあった。まあ,これらはやはり副産物にすぎないのかもしれない。
彼らの存在は突拍子もなく見えるが,でもやっぱり社会的で,それでいてほんわかしつつも元気をもらえる。私もそうだが,ラーメン赤猫ファンは一度は「赤猫が近所にあったらいいのに……」と思ったことだろう。それがようやくニャンステで叶うときがきた。これに尽きると思う。
そしていつか,アニメ2期もかなったならば,ジュエルやゆずちゃんもニャンステに来てほしい……! なんて思いつつ,私は原稿を書き終わった直後,ラーメンをすすりたくて外出するのだった。
TVアニメ「ラーメン赤猫」公式サイト
「ラーメン赤猫 〜ニャンて素敵なラーメン店〜」ダウンロードページ
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ラーメン赤猫 〜ニャンて素敵なラーメン店〜
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(C)アンギャマン/集英社・ラーメン赤猫製作委員会
(C) GOOD SMILE COMPANY
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