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中国では小学生でも知っている。12年愛されてきた人間&メカの対戦FPS最新作「逆战:未来」プレイレポ[CJ2024]
本作は,サービス12周年を迎えた対戦FPS「逆战」(NiZhan)のシリーズ最新作で,近未来を舞台としたSFシューターとなる。プラットフォームはPC / iOS / Android。現在は2025年配信に向けて開発中だ。
2022年,初代逆战の10周年時に発表された本作は,人間と巨大メカが戦場で入り乱れる,宇宙を舞台とするPvP&PvE型のFPSだ。主軸は対戦のようだが,オープンワールドを冒険・探索する遊びもあるらしい。
会場では,Tencentブース内に試遊台や巨大展示物などが見られたが,試遊バージョンはまだまだ開発中らしく,Wave制で襲ってくる敵に人間状態で立ち向かうシングルプレイのみの体験となった。
一応,チャレンジモードの一部ではタイトルの強みであるメカに搭乗できたようだが,今回は残念ながら触れることはかなわず。
人×ロボ×FPSのアプローチとなると,類例としては「ロストプラネット」や「タイタンフォール」などが挙げられるが,本作もまたこれらのようなプレイフィールを味わえる作品だと予想している。上記の類いのタイトル経験者であれば,想像もたやすいだろう。
……厳密には初代の魅力の踏襲が目的だろうが,申し訳ないことに日本のゲーム生活の日々では存じていなかったため,ご容赦を。
基本操作は(モバイルの場合),バーチャルパッドで移動やカメラ操作や射撃,スキル使用や武器切り替えを行う。モバイル向けFPSとしてはオーソドックスなスタイルのため,難しいことはとくにない。
ただ,試遊版では3種の弾薬があり,それぞれ火力や段数制限に違いがあった。この特殊弾の存在は駆け引きにつながりそうだ。
また,今回体験したモードではFPS系RPGによくある“銃撃ダメージの表示”もあったため,オープンワールド探索の遊びはBungieの「Destiny」や,Ubisoftの「The Division」などに近いのかもしれない。
一方,キャラクターも10数名と用意して差別化するというから,ヒーローシューター系のキャラ別戦術も取り入れているのやも。なんにせよ,いろいろと素材を組み合わせて盛れている作りだ。
世界観がSF系とあり,マップ内の雰囲気もメカメカしく,実弾銃のほかに,スペースファンタジー味のあるエネルギー弾系の銃撃も見られた。特定のオブジェクトを利用したフック移動もあったため,マップ構造の作りによってはバトルスピードが高めになりそうである。
ちなみに,TiMi Studio Groupでは現代戦を追求した,こちらも古豪のFPSシリーズの新作「Delta Force: Hawk Ops」も背中合わせのブースで出展されていたため,真逆のテーマがいい対比に映っていた。
余談だが,初代逆战は10周年時,中国の人気男性歌手・張傑(张杰)さんが歌う公式記念ソングを公開したという。歌詞には同作の世界観がたっぷり盛り込まれ,ファンにも好評だったようだが,この歌はそれ以上に“世間で恐ろしいほどの大ヒットを記録”したのだとか。
その結果,中国では「小学生でもこの歌を知っている」「誰かが一小節目を歌ったら,ほかの人が自然と2小節目をつなげてくる」などなど。完全に一般社会にまで浸透して空前のブームを生んだ……のだが。
「逆战って,あの歌のことでしょ?」
などと。莫大な総人口を要する世間の大風により,一部の人たちからは「逆战がゲームの名称だと認識されていない」ことすらあるらしい。今回同行していた通訳も,同ブースに着いたとき,「歌は知ってましたが,ゲームのことだとは知らなかった」とつぶやいていた。
日本でもドラマ主題歌が人気によってひとり歩きしはじめる例などは多々あるが,それをゲームの記念歌で成し遂げたのというのはおもしろい。あとは,絶大な認知度をいかに原作側に引き寄せられるか。
「逆战:未来」の成功は,シリーズファンの支えだけでも大成功になるだろうが,歌で名称を認知している何百倍ものマス側の歓心も引きつけられたら,とてつもない国民的ゲームになりかねない。
なんてのは都合のいい成功予測だが,開発陣らもきっと,とてつもないチャンスに向けたアプローチは頭の片隅で考えていそうだ。
本作は現在,2024年Q3にプレイテストを予定しているという。
興味がある人は,中国の小学生たちに負けじと,逆战の名をしばらく覚えておくといいだろう。