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ニュージーランドで開発中のナラティブアクション「Denari」は,小気味良いテンポのハック&スラッシュが楽しめる気になる一作
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印刷2024/07/20 14:42

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ニュージーランドで開発中のナラティブアクション「Denari」は,小気味良いテンポのハック&スラッシュが楽しめる気になる一作

 京都で開催されているインディーゲームのイベント,BitSummit Driftで,ニュージーランドのオークランドを拠点として新作ナラティブアクション「Denari」を開発するAstronaut Diariesを率いるシュリカンス・スリーダラン(Shrikkanth Sreedharan)氏に話を聞く機会を得たので,紹介したい。

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「Denari」公式サイト


 「デナリ」(Denari)とは,本作の舞台となるファンタジー世界に存在する帝国の名称で,工業力と黒魔術によってさまざまな敵勢力を呑み込んできた,古代ローマ帝国のような超大国だ。「サモナー」というあだ名だけが知られるデナリの将軍は,軍隊をいかなる場所にもテレポートさせられる能力を持っており,世界の隅々に必要な兵力を瞬間移動できる。

 世界の片隅にある貧しい漁村「ナリ」(Nali)で育った孤児「タイウ」(Taiu)は,地域に伝えられる民間信仰「キラ」(Qira)のエリート僧兵になることを長らく夢見てきた。村には引退した僧兵の「ティーチ」(Teach)が暮らしており,新しい戦闘能力の研究に没頭してきた結果,弟子をとることを決意する。白羽の矢が立ったタイウはティーチに弟子入りして特殊能力を身につけ,辺境の地にまで触手を伸ばし始めたサモナーの勢力と戦うことになる……というのが本作の物語だ。

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 タイウはすばしこくて勝気な少年で,剣を利用したアタックに加え,ダッシュやパリィによって敵の攻撃を回避したり防御したりしながら,スキを突いて攻撃を加えていくといった戦法を得意とする。「Denari」をプレイすれば分かるが,剣を使ったシンプルな攻撃だけでも,「ディアブロ」などに通じるリズミカルなハック&スラッシュタイプのアクションがフィーチャーされており,遊んでいて気持ちが良い。

 タイウの特殊能力は,念力によって物体や物質を移動させるテレキネシスで,動きはすばやいものの体力の少ない彼の特性を補うため,敵の能力を利用する形でダメージを加えていく。
 具体的には,敵が投げてきた爆弾を別の方向にいる敵の集団に飛ばしたり,テレキネシスを「ブラスト」させて,迫ってくる複数の敵にダメージを与えつつノックバックさせたりできるのだ。

 視点は斜め見下ろし型で,いくつかのマップは空中に浮いた島が点在するといったものだった。別の島にいる敵には近づけないが,テレキネシスを使って攻撃するなどの場面もあり,プレイヤーが頭をひねりつつ,一瞬のひらめきでパワーを使うといったパズル的な要素も用意されているようだ。

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 スリーダラン氏は,「しっかりしたストーリーを持ったナラティブアドベンチャー」と重ねて説明していたように,「Denari」はカットシーンによって物語が進んでいくストーリー重視の作品だ。タイウは「物言わぬヒーロー」だが,オーバー気味の表情や動きなどにより,会話中の彼が今,どんな気持ちでいるのかが分かりやすく表現されている。

 会場のデモでは,ティーチに弟子入りを志願する若者たちが,アリーナ状の闘技場に集まる村人たちの声援を受けながら戦い,タイウが勝ち進んでいくという,チュートリアルを兼ねた序盤のストーリーが楽しめた。
 製品版では3つのエンディングがフィーチャーされており,ゲームプレイそのものは8時間程度が想定されているが,再挑戦したくなるリプレイアビリティも高いようだ。

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 上記のようにスムーズで爽快感の高いアクションが持ち味の「Denari」だが,トゥーンタッチのキャラクターやアートスタイルも魅力的。ニュージーランドでは老舗のモバイルゲームメーカーであるNinja Kiwiで10年以上も働き,現在,マオリ族のアーティストとしても広く認知されているタミハナ・グリーヴス(Tamihana Greaves)氏がアートディレクターとして参加。BGMはニュージーランド生まれのタイトルとしてスマッシュヒットを記録した「DREDGE」にも携わった経験を持つ,同じくマオリ族の血を引くデイヴィッド・メイソン(David Mason)氏が手がけている。

 また,話を聞いたスリーダラン氏は,アフリカのザンビアで生まれ,幼い頃に両親とともにニュージーランドに移住してきたインド系移民とのことで,Astronaut Diariesを起業するまでは,Eコマースや医療系ITのプログラマーだったという。趣味だったヘビーメタルでゲーム業界に関係し,自分のやりたいことを求めてゲーム制作をするようになったという。
 このような異色のバックグランドを持つ人物だが,「Denari」については,特定の民族や文化にこだわることなく,より多くの人に受け入れられるようなプロジェクトにしたいとスリーダラン氏は述べていた。

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 スリーダラン氏はまた,「私の印象ですが,日本の皆さんはゲームのスムーズなプレイや優れた物語,ユニークな世界観などに共感を覚えるのではないでしょうか。私は,Denariがそういったゲーマーの趣向にマッチしていると思いました。そのため,本作を京都に持ってきて,日本の皆さんの率直な意見を聞きたいと考えたのです」と,今回のイベントへの出展意義を話した。

 発売はしばらく先のことになりそうだが,BitSummit Driftに参加する機会があれば,日本での広報を担当するUkiyo Studiosブースに出展されている「Denari」をぜひプレイしてほしい。

テンポの良いハック&スラッシュが楽しめる「Denari」の開発を進めるAstronaut Diariesのシュリカンス・スリーダラン氏
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BitSummit Drift公式サイト

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