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ファンと共に新たな「koROBO」を作り上げていく。「ちびロボ!」シリーズのスタッフが再結集した「koROBO」発表直後インタビュー
西 健一氏らスキップの元メンバーによる新作は,小型ロボが活躍する「koROBO」。7月23日よりクラウドファンディングもスタート
「ちびロボ!」シリーズなどを手がけた西 健一氏,森山 尋氏,江藤桂大氏らがタイニー・ワンダー・スタジオを立ち上げ,新作タイトル「koROBO」を発表した。小さなロボットが活躍する本作では,7月23日よりクラウドファンディングが実施される。
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- 編集部:TeT
BitSummit Driftの会場にて,タイニー・ワンダー・スタジオの西 健一氏,江藤桂大氏,谷口博史氏に発表を終えたばかりのところで話を聞くことができた。
ファンと共に新たな「koROBO」を作り上げていく
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
西 健一氏(以下,西氏):
西です。「koROBO」ではディレクターの役割をし,ストーリーを書き,キャラクターや世界観の設定をし……という感じですね。
谷口博史氏(以下,谷口氏):
音楽と効果音を担当しています,谷口です。
西氏:
あと,お笑い担当なんじゃないの?(笑)
谷口氏:
そうだそうだ,お笑い担当もやることになった谷口です(笑)。
江藤桂大氏(以下,江藤氏):
現場のディレクションをしてます,江藤です。みんなが考えたストーリーやシステムを破綻なく組み立てていくのが僕の役割です。
4Gamer:
スキップの元メンバーが再集合ということで,ファンには嬉しい知らせだと思います。「koROBO」の企画がスタートした経緯について教えてください。
西氏:
僕のところに「クラウドファンディングをやりませんか」という話が来たのが最初です。これまでは大きな会社に企画を出してスポンサーになってもらうという作り方しかしてこなかったので,ユーザーと近いクラウドファンディングをやってみたいと思ったんです。クラウドファンディングは日本よりもアメリカの方が流行っているし,アメリカでは「ちびロボ!」の初代作が売れたので,そうしたものを作ろうということになりました。
4Gamer:
再集結されてみていかがでしたか?
江藤氏:
クラウドファンディングが成功するまでは本格的な始動ではないですが,シナリオもグラフィックスもいい感じにまとまってますから,ちゃんと作ればいいものになる手応えはあります。
谷口氏:
ゼロから何かを作り出すわけじゃないので,すり合わせをしなくても,みんなが心に描いてる仕上がりのイメージが同じなんですよね。だから滑り出しとしてはいいんじゃないかな。逆に,若手スタッフに僕らのイメージを伝える難しさがあったくらいですから。
西氏:
他人のふんどしで相撲を取る(笑)。
谷口氏:
他人のふんどしではないでしょ(笑)。自分のふんどしですよ。
西氏:
洗ってないふんどしをもう一回締めるわけです(笑)。
4Gamer:
新作を発表した感触はいかがですか?
西氏:
発表したばかりなので,これからですね。色々な反応があるでしょうし,荒れた酒になるか,ご苦労様! という美味しい酒になるかはこれからのことですよ。
4Gamer:
クラウドファンディングはこれまでのゲーム作りとは,やはり違いますか?
西氏:
これまでのやり方はスポンサー企業を相手にしたものでしたが,クラウドファンディングはファンに直接投資をお願いするというものです。企業の担当者を口説くのと,ファンを口説くのとは違うものじゃないかと思います。クラウドファンディングはみんなで作っていくという意識が高いですから,ファンに呼びかけつつ「活動していく」というマインドになる。言葉も選ばないといけないし,戸惑っているところも多いです。
4Gamer:
新作の主人公,少年トムは「アメリコ」の国にある「ボロッコリン」という街に住んでいますが,アメリカを意識したものなのでしょうか?
西氏:
そういうわけではないですね。初代「ちびロボ!」では舞台を日本にしようかという話もあったんですが,日本人が日本の家を作っても広がりがなくて面白くないんですよね。だからといってアメリカにすると,実在の国だからリアリティが出てきてしまうし,ゲームで作るにしても,いつの年代にするのかという話もしなきゃならない。
だから初代「ちびロボ!」は「アメルコ」だし,「koROBO」はアメリコ。アメリカっぽいけどアメリカではなくて,日本人の僕らが勘違いしながら作る方が現実に近いファンタジー感が出ると思ったんですね。
谷口氏:
アメリカの人が作った忍者映画みたいな“勘違いしてる日本人感”のアメリカ版ということですよ。
西氏:
アメリカをターゲットにしてるからアメリコにしたわけじゃない。誰でも遊べるものを目指してます。昔の「ちびロボ!」を遊んでくれた人も,今では30代くらいになって,お子さんもいるんじゃないですかね。「ちびロボ!」や「koROBO」をきっかけに親子の交流ができればいいなと思います。
4Gamer:
ゲーム業界が歴史を重ねたがゆえの広がりですね。
西氏:
僕にも9歳の息子がいて,「koROBO」が出る頃にはトムと同い年の10歳になるんですよ(笑)。だから「koROBO」では,これまでの作品よりも子供がリアルになってると思いますね。トムみたいにガチャガチャと機械をいじって魔改造をしたりするし,まさにネタの宝庫です(笑)。そういう意味では,いい時間の空き方になったんじゃないかな。
4Gamer:
アナウンストレイラーの音作りも凝っていて,koROBOの足音が音楽になっているのが面白かったです。
西氏:
「音がミュージカル仕立てで鳴ってる世界を作りたい」ということは以前から谷口と話していたので,これが結実した感じかな。
普通にロボットが歩く効果音として入れると「ガシャンガシャン」みたいな金属音になると思うけど,それは面白くも何ともない。だからkoROBOは楽器を奏でるような足音で走っていくし,バックで流れてる音楽のトラックと合わせてメロディになってる。実はかなり高度なことをやってるんですよ。
リアルな世界観を追求したいんじゃなくて,独自の世界観を作りたい。楽しい感じにしたいなということですし,押しつけない可愛さに,にじみ出る,ふわっという感じの可愛さにしたいということですよ。
4Gamer:
なるほど。可愛いのバランスは難しいですよね。可愛すぎるとあざとくなるし,そうなると受け入れられなくなる。
BitSummitの会場に来られていかがですか?
西氏:
今日は取材が5本以上入ったうえにステージにも出ていたので,会場に来たけど見て回れてはいませんね。……でもね,僕らのゲームが一番すごいと思って作ってますよ(笑)。でも,こういう時って「刺激を受けました!」みたいな言い方をしたほうがいいんですかね?(笑)
谷口氏:
作るということのレベルが年々ものすごく上がってるよね。3Dのキャラクターがバリバリ動いてて,大作と遜色ない絵が出てるのもある。熱量はすごく感じますよ。
4Gamer:
まだまだ話を聞きたいですが,残念ながら時間のようです。最後にメッセージをお願いできますか?
西氏:
「koROBO」を見て「ちびロボ!」に見えるのは,心が汚れてる人です。ピュアなハートで見れば,何に似ている似ていないは関係なく,「koROBO」は「koROBO」として見えてくるはずです。ピュアなハートをお持ちの皆さん,サポートをよろしくお願いします。日本向けにはCAMPFIRE,海外向けにはKickstarterという,非常に珍しい取り組みです。これがどう出るかはまだ分かりませんが,「koROBO」が成功すればこうした流れも増えてくるんじゃないですかね。
谷口氏:
応援してくださる方々がクラウドファンディングで集まってもらえるので,音楽を作り始める前から受け手の顔が見えてるという状態です。こうしたピュアなハートの皆さんに喜んでいただけるものを作りますので,よろしくお願いします。
江藤氏:
久々にスキップの元メンバーが集まったので,どんなものが作れるか,作り手として楽しみにしているところはあります。歴代作が一つになったような面白さはあると思うので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「koROBO」のクラウドファンディングは7月23日にスタートする。西氏らが立ち上げたタイニー・ワンダー・スタジオを支援したい人は,サイトをチェックしてみよう。
CAMPFIREの「koROBO」プロジェクトページ
Kickstarterの「koROBO」プロジェクトページ
「koROBO」公式サイト
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