インタビュー
高機能なGodot Engineをコードなしで使え,幅広い作品を作れる。ツクールシリーズ最新作「ACTION GAME MAKER」のプロデューサーに聞いた
高機能なGodot Engineをコードなしで使え,幅広い作品を作れる
「ACTION GAME MAKER」は,Gotcha Gotcha Gamesが2025年に発売を予定している「Maker(ツクール)」シリーズの最新作で,2018年にPC向けに発売された「アクションゲームツクールMV」の後継ツールだ。
「アクションゲームツクールMV」で好評だったビジュアルスクリプティングシステムをパワーアップし,プログラムの知識がない人もコードを書くことなくアクションゲームが作れる。今回は「Godot Engine」がベースになっており,より高度な作品制作が可能となった。豊富なサンプル素材が収録されているのも魅力だ。
今回の「BitSummit Drift」では残念ながら映像出展だったが,プロデューサーである森野友介氏の話を聞く機会を得た。
4Gamer:
よろしくお願いします。「ACTION GAME MAKER」の見どころを教えてください。
森野友介氏(以下,森野氏):
「ツクール」シリーズは「アクションゲームツクールMV」の時点から,プログラムコードなしで使えるツールかつ作れる作品の幅が広いということで,ご好評をいただいています。
弊社でパブリッシングしている作品を見てもらえたらお分かりいただけると思うんですが,2Dの横スクロールから見下ろし型の2Dアクション,パズル的なものからシューティング的なものまで,いろいろあります。「RPGツクール」を発展させたような作りにはなっているので,プログラミングをしたことがない方でも作りやすくなっているのが特徴ですね。
前作では作った作品が重くなってしまうようなこともありましたが,今回はGodot Engine(ゴドーエンジン)を使わせていただいたことで,インディーゲームシーンで現在流行している,2Dアクションゲームを作れるのではないかと思います。ちなみに人気のメトロイドヴァニアも作りやすいようにはなっていますよ。
4Gamer:
「ACTION GAME MAKER」はどういった人におすすめですか。
森野氏:
話題のGodot Engineをコードなしで使えますので,「ゲーム制作に興味はあるけれど,プログラミングのハードルは高いな」と考えていて,イマ風のインディーゲームを作りたいという熱意のある方におすすめです。
4Gamer:
今回ベースエンジンがGodot Engineになったことで,ユーザーにはどんなメリットがあるのでしょう。
森野氏:
Godot Engineはかなり高機能なゲームエンジンなのに加え,「ACTION GAME MAKER」側からGodot Engineの機能へのアクセスはとくに制限するつもりはありません。ですので,Godot Engineの2D機能で作れるようなゲームならなんでも作れますし,広い拡張性を持ったものとなります。
4Gamer:
では,Godot Engine用に作られたプラグインなどは「ACTION GAME MAKER」でも使えるわけですね。
森野氏:
そうです。弊社で追加した機能と競合しないものであればOKですので,多くのプラグインが使えるのではないかと思います。
4Gamer:
今回もいろいろなアセットが用意されているとのことですが,どんなアセットなのでしょうか。
森野氏:
日本で人気の高いファンタジー系2Dアクションが作れるようなもので,主人公が男女2名,5種類ほどのステージのアセットを収録しています。
4Gamer:
ゲームのテンプレートはどれくらい入っていますか。
森野氏:
リリース時点で数種を入れられたらいいなと考えています。また,配信後の話にはなるんですが,2D横スクロールアクションをはじめとしたいろいろなテンプレートもご用意しようと思います。
4Gamer:
マルチプレイには対応していますか。
森野氏:
ローカルのマルチプレイには対応させていただこうと思っています。オンラインでのマルチプレイについてはGodot Engine自体が対応していますので,「ACTION GAME MAKER」側でも考えてはいきたいですが,現時点では未定です。
4Gamer:
「ACTION GAME MAKER」でゲームを1本作るには,どれくらいの時間がかかるのでしょう。
森野氏:
ご自身がどれくらいの完成度で満足されるかにもよりますね。横スクロールプラットフォーマーを1ステージ作るのであれば,初めての方でも数時間で作れます。開発中ではありますが,サンプルオブジェクトを並べるだけでベーシックな横スクロールプラットフォーマーを作れるようにはしたいと考えていますね。
ステージを増やしたり,「パリィ」をはじめとしたイマ風のシステムを作ったりするとなると,それなりの時間がかかると思います。これまでの「ツクール」シリーズでも,ユーザーさんによってスタンスはさまざまでしたし。
4Gamer:
今までの「ツクール」シリーズユーザーの年齢層は,どれくらいがメインなのでしょうか。
森野氏:
「ツクール」のどのタイトルであるか,どの国であるかで変わってくるところもありますが,これまでの「ツクール」シリーズ全体で見ると30〜40代がボリュームゾーンだそうです。2016年の「RPGツクールMV」以降,Steamで配信するようになってからは新しいユーザーさんも増えており,幅広い年齢層の方に使っていただけています。
4Gamer:
これからゲーム制作を始めるとして,ゲームエンジンを選んで勉強するのと,「ACTION GAME MAKER」をはじめとした「ツクール」系を使うのとではどちらが効率がよいと思われますか。
森野氏:
作りたいゲームが何であるかによりますね。ゲーム制作がどんなものかを試してみたいという方であれば「RPGツクール」系が初心者向けで分かりやすいですし,オリジナルシステムを構築したいという方であれば「ACTION GAME MAKER」がおすすめです。
ゲームを商用化するなど,ゲーム作りで生きていくなら,現在デファクトスタンダードなゲームエンジンを選んで,コーディングを学んでいただくのがいいでしょうね。
4Gamer:
まずは自分の中のビジョンありきということですね。
森野氏:
とにかく作ってみることが大事ですので,ご自身ができそうなものを選んで見てください。
4Gamer:
最後に「ACTION GAME MAKER」に興味のある読者に向けてメッセージをお願いします。
森野氏:
「ACTION GAME MAKER」は,自分が考えたキャラクターを思い通りに動かすことができます。これはとても楽しいことですので,こうしたことをやりたい方はぜひ試してみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ACTION GAME MAKER」は,2025年にPC版の発売を目指しているとのこと。気になる人は続報もチェックしてみよう。
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