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「.45 パラベラム ブラッドハウンド」インプレッション。想像力を刺激するPS1風ローファイの世界で繰り広げられるバイオレンス&アクション
想像力を刺激するローファイの世界で,バイオレンスと独特の戦略性を持つ「アクティブタイムアクション」のバトルが繰り広げられる,本作のインプレッションをお届けしよう。
「VA-11 Hall-A」ではPC-98を思わせるドット絵と,サイバーパンク都市のバーテンダーが主人公という組み合わせが話題となったが,今回の「.45 パラベラム ブラッドハウンド」では,初代PlayStation(以下,PS1)風のローファイなグラフィックスで近未来ディストピアの南米が描かれる。
主人公のレイラ・ミカヅチは“人生を生き直す”ことを決意した殺し屋。今回出展されたデモバージョンではレイラの戦いを体験できた。ディストピアとなっている南米は雰囲気抜群で,建物の上を鳩が飛び,遠くに煙る都市をレイラが眺めるカットだけでも好きな人はグッと引き込まれるはずだ。
荒れたビルは迷路のように入り組んでおり,漂う生活感と相まって,ローファイであることがかえって想像力を刺激する。細かく区切られたフィールドの端に行くごとに固定カメラのアングルが変化するという手法は,やはりPS1時代を思い出す。地形の複雑さと合わせて,いい意味で手玉に取られているという感じだ。
街のそこここには敵が潜んでおり,出会えばバトルに突入する。本作のバトルシステムは「アクティブタイムアクション」と呼ばれている独特なものだ。レイラを移動させていると,攻撃に用いるリソース「アクションバー」が蓄積されていく。充分アクションバーが溜まったところで[L1]を押すと時間が止まり,攻撃手段を選択する。銃を撃つにしても敵を射程範囲内に捉えていないといけないし,敵はブレードを振ったり手投げ弾を投げたりして攻撃してくる。
つまり,アクションゲームとして敵の攻撃を避けて位置取りをしつつ,攻撃をコマンド選択で行うという,ジャンルのハイブリッド感を楽しめる。夢中になって攻撃だけを考えていると敵にやられるし,だからといって逃げ回っているだけでは解決しない。敵が攻撃した瞬間を見計らって一気に踏み込み,アクションバーが続く限りハンドガンを連射して,素早く逃げる……という立ち回りはスリル満点だ。
公式サイト(外部リンク)でも言及されているとおり,この戦闘システムは「パラサイト・イヴ」をリスペクトしたもの。当時を知る人には懐かしく,知らない人には新鮮に映ることだろう。
そして,レイラに関わる物語もなかなかに濃くなりそうな予感だ。レイラは額に「サードアイ」と呼ばれる第三の目を持っており,敵にやられても生き返ることができる。死んでは生き返りを繰り返しつつ,さまざまな勢力が入り乱れる南米の街を生き抜く……という物語になるようだが,体験版で語られる物語は断片的なので,全貌がどのようなものになるかは見当も付かない。
NPCの少女たちもキャラクターが濃く,全体的に須田剛一氏の「killer7」からの影響が色濃く見られる感じで,こちらも好きな人にはたまらないだろう。
会場では,本作を手がけるSukeban GamesのChristopher Ortiz氏に話を聞くことができたので,その様子をお伝えして本稿の締めくくりとしたい。
4Gamer:
よろしくお願いします。発表を待っているファンも多いと思いますが,現在の完成度はどの程度でしょうか。
Christopher Ortiz氏(以下,Ortiz氏):
パーセンテージで表すのは難しいですが,全7チャプターのうち,チャプター5までのプロトタイプができた状態です。
4Gamer:
「.45 パラベラム ブラッドハウンド」で目指したところについて教えてください。
Ortiz氏:
Sukebanスタイルのビジュアルや雰囲気,会話から伝わるキャラクターの良さ,自分が住んでいるベネズエラやアルゼンチンの文化だから出せるクールさを味わってほしいですね。すべてを見せてしまうのではなく,プレイヤーに想像の余地を残しています。
「VA-11 Hall-A」はアドベンチャーゲームだったこともあり,想像の余地を一部だけ残すような内容でした。でも,今回はアクションなので意図的にダイアログを減らしていて,みなさんにいろいろと想像してもらいたいですね。
4Gamer:
今回のグラフィックスはPS1時代を思わせるローファイなものになっていますが,このようなスタイルになった理由を教えてもらえますか。
Ortiz氏:
サイバーパンクとは,綺麗というよりはおどろおどろしいものであるというイメージを持っていて,これを表現するのにPS1時代風のラフなテクスチャが便利なんです。あえて低解像度にすることで,プレイヤーの想像力を刺激する使い方もできます。先ほどのストーリーと同じですね。そこらにオブジェクトを散らばらせたとしても,人によって想像するものが違ってくるわけですよ。我々としてはこうした効果を求めて選択したスタイルであるということです。低解像度のものをUnityで動かすのは逆に難しく,今もなんとかやっているところですね。
4Gamer:
ストーリーにしろアートスタイルにしろ,“想像力を刺激する”ことが今回のキーワードになりそうですね。では,最後にSukeban Gamesのファンに向けてメッセージをお願いします。
ファンの皆さんが気になっている「N1RV Ann-A」を出さずに「.45 パラベラム ブラッドハウンド」を発表したのでどうなるか不安でしたが,ほとんどがポジティブな反応ばかりだったので感謝したいです。ひとまずはこっちに集中しますが,「N1RV Ann-A」にも全力で取り組んでいきます。お待たせして申し訳ありませんが,出ないということはありませんので,引き続き応援をよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
BitSummitの会場で体験版を試遊するとキーホルダーが,20分以内にボスを倒せればポスターがプレゼントされるので,挑戦してみよう。
「.45 パラベラム ブラッドハウンド」公式サイト
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