企画記事
あなたにぴったりな“ときメモGS”が見つかるかも! 「ときめきメモリアル Girl's Side」シリーズ4タイトルをまるっと紹介
“事故チュー”からはじまる甘酸っぱすぎた高校生活。
「ときメモGS2」を語る
文:玉尾たまお
私が「ときめきメモリアル Girl's Side 2nd Kiss」と出会ったのは,ゲームライターとして働き出すはるか昔,2006年のPS2版でした。最もやり込んだのは2008年のDS版「ときめきメモリアル Girl’s Side 2nd Season」(以下,「ときメモGS2」)です。そして今回,本記事で取り上げるSwitch版もプレイしているので,発売されたプラットフォームすべてで18年越し(!)に遊んでいることになります。こうなると,もはや半生と言っても過言ではありません。
今ではたくさんのタイトルに触れるようになりましたが,「ときメモGS2」は私の心に深く残った乙女ゲームランキングで間違いなく上位の作品です。書きながら思い出しましたが,PC用タイピングソフト「ときめきメモリアルGirl's Side 2nd Kissタイピング」(2007年)もやっていました。こうして考えると,めちゃくちゃ「ときメモGS2」が好きだったんだなあと我ながら驚きます。
「ときメモGS」シリーズにハマる理由はたくさんあると思います。ですが多くの人が“沼った”きっかけは,やはり男の子の存在そのものではないでしょうか。現に私の周りで本シリーズの話になったとき,「葉月 珪……」と呟くなり遠い目をする人もいれば,「最近? 七ツ森くんと付き合ってるけど?」と当たり前のような顔でのろけ話をする人もいました。その時に何歳であろうとも,相手も相手にとっての自分も高校生。青春そのものの日々を送り,大げさでなく人生の大切な思い出となるのが「ときメモGS」シリーズだと思うのです。
なお,私はあまりにも「ときメモGS2」にハマってしまったせいで“こじらせ”の域に達し,ほかのナンバリングを未だにちゃんとプレイできておりません。ということでさっそく,「ときメモGS2」について語らせていただこうと思います。
「ときメモGS2」のここが推し!!
3つの要素を語る
3つの要素を語る
事故チューから始まる恋そして大接近
「ときメモGS2」ならではの要素として,これを挙げないわけにはいきません。「事故チュー」とは,その名のとおり「事故のようなキス」のこと。ゲーム序盤の「好きな異性のタイプは?」という質問の選択肢により,相手が決定する仕様です。勢い余ってぶつかったり,段差でバランスを崩したりしたことで,その相手とキスをしてしまいます。
つまり高校入学して早々に,相手と“秘密を共有”してしまうわけですね。普段は何でもないような顔で過ごしていても,ふとした瞬間に思い出されるキスの記憶……。事故チューをしているかしていないかで,相手の気持ちや会話の一部,エンディングも変化します。つまり,相手は最初からこちらのことをちょっと意識した状態で始まるわけです。甘酸っぱいにもほどがある……!
ちなみに,甘酸っぱいといえば「大接近モード」もたまりません。デートの帰り道,いつもより少し近い距離で見る彼の顔や,好きな相手だからこそ可能な密着したスキンシップは,「ときメモGS2」から誕生しました。彼の喜びつつも焦ったり困ったりする表情のほか,別れ際の一言も見どころです。
個性あふれるキャラと名セリフの宝庫
プレイした人ならお分かりかと思いますが,「ときメモGS1」の男の子はなかなか衝撃的でした。しっかりとプレイしたことのない私ですら,顔と名前は知っているレベルです。とはいえ,インパクトでは「ときメモGS2」も負けてません。それぞれの個性がとにかく振り切っており,それが面白……名セリフにつながっている場面が多々あります。
下記にそのほんの一部を紹介しますが,ゲームを知らなければ,何ということもない言葉も多いかもしれません。でも,プレイした人なら必ずや頭に残っているのではないかと思います。
もちろん,恋愛ゲームならではの告白セリフもすてきです。けれど,日々の生活で聞く周りのみんなとの面白い会話こそ,「あんなこともあったなあ」という高校生活の楽しい記憶につながっていったような気がします。
佐伯 瑛という男の子
最初に「本シリーズに沼る理由は男の子の存在」と書きました。ということで,本命の話は外せません。私が本作で最もハマったのは,いわゆる作品の顔であるメインキャラクターで,王子枠の佐伯 瑛(さえき てる)くんです。というかこの記事では瑛(本シリーズでは相手の呼び方を変えられます。私は「瑛」呼び派なので,以降「瑛」と呼ばせていただきます)の話を一番書きたかった!! 少々長くなりますが,ぜひ最後までお付き合いください。
実は最初,私はまったくと言っていいほどこの人に興味がありませんでした。なぜなら私の好きなタイプは「黒髪/色白/痩せ型/真面目で頭脳派」という典型的なクール系で,「髪色シルバー /健康的な肌色/サーフィンが趣味」という瑛は,むしろ自分の好みとは真逆だったからです。
※以下,佐伯 瑛のルート終盤までの内容に言及しています。告白のネタバレはありませんが,未プレイの人はご注意ください
彼は学校では「イケメンで勉強もできるモテモテ男子」で,まさに王子系そのものといった存在です。主人公(プレイヤー)は,入学して早々に彼の素顔を知ることになるのですが,本当の彼は,ちょっと意地っ張りなひねくれ者で,努力を人に見せることを嫌う格好つけの男の子でした。
そんな彼が密かに夢見ているのは,祖父が営む喫茶店「珊瑚礁」を継ぐことで,周囲には内緒で店を手伝っています。ところが両親は教育に厳しいタイプらしく,彼は店を続けるうえで「絶対に成績を落とさない」「学校では問題を起こさない」という条件を出されています。つまり彼はいつも,素の顔を隠して“いい子の優等生”として過ごしているわけです。
彼は素の自分を知る主人公に,口が悪くて素直ではないところを遠慮なく見せてきます。そして仲良くなってくると,意地を張りつつもこちらへの好意がダダ漏れてくるんですね。このあたり,年相応感あってめちゃくちゃ良いです。たとえばデートの帰りに「ありがとな。今日,俺,笑ってばっかだ」などと言い,彼にとっての主人公は,何のプレッシャーもなく安心して過ごせる唯一無二の女の子であることが徐々に伝わってくるわけです。
しかし,そんなふうにお互いがかけがえのない存在になりつつあるなかで,瑛はだんだん余裕がなくなってきてしまいます。店の忙しさに加え,成績も落とせない。卒業が近づくほどに進路の問題も出てきます。優等生としての顔,本当にやりたいこと,さまざまなプレッシャーを抱えながら「本当の俺ってなんなんだろう?」と考えてしまうのです。そうなると,大好きな主人公ですら「もし,いつか会えなくなってしまったら?」という不安につながり,彼の心は限界に近づいていきます。
瑛が最終的に出した答えや,「珊瑚礁」がどうなるのか? といった結果は,ぜひ実際にエンディングを見て確かめていただきたいです。私は今回Switch版をプレイしていて,内容をよく知っているにもかかわらず大号泣してしまいました。
佐伯 瑛という男の子は,よくある「私だけに素を見せてくれる系」や「ツンデレ系」といった言葉では表せない複雑さを持っていると思います。すごく子どもっぽいときもあるし,大人としては「若いな……」と言いたくなることもあるけれど,日々を送るうちに浮かぶ「自分はどう生きるべきか?」という悩みは,年齢関係なく人生の普遍的なテーマとも言えるでしょう。
まだ高校生という狭い世界のなかで,彼は一生懸命に悩んで,すべてに手を抜かず限界まで頑張っていました。その姿に,私は素直に心を打たれてしまったのです。
ちなみに,瑛は「親友モード」(主人公と恋愛関係にあるキャラが別にいる状態)も,一途プレイと双璧をなす素晴らしさです。こんなに複雑な内面を持つ男の子なのに,思いを寄せる女の子には別に好きな人がいる……。考えただけで悶えるシチュエーションですが,見逃せない会話は数え切れないほどです。
現実とファンタジーの絶妙なバランス。どこかに本当にいるような,というより作品のなかではリアルに生きているような感覚。佐伯 瑛という男の子は,そんな奇跡としかいえない存在なのです。
アナタに贈るホワイトデー
「ときメモGS2」では……?
「ときメモGS2」では……?
本シリーズでは高校生活の3年間が描かれており,季節ごとにイベントがあります。そのうちの1つがバレンタインデーとホワイトデー。ほかのナンバリング同様,バレンタインデーでチョコをプレゼントすると,その相手からホワイトデーにお返しがもらえます。
プレゼントする男の子との好感度合いによって反応がさまざまなので,複数の相手にチョコを配りたくなるところです。ちなみに瑛の場合は学校中の女子からチョコをもらいまくるわけですが,彼の素を知っているのは主人公だけ。ということで,瑛とは人のいないところでこっそりとやりとりする……という,これまたドキドキするイベントだったりします。
そのほかのイベントには,夏休み,修学旅行,クリスマスや初詣といったものがあります。仲良くなった男の子と特別な思い出が作れる素晴らしいイベントばかりですが,その紹介はまたいつか。
久しぶりにプレイした「ときメモGS2」。
はね学で過ごした3年間は……?
はね学で過ごした3年間は……?
これだけ大好きな「ときメモGS2」ですが,プレイ自体はかなり久しぶりでした。今回遊んでみて一番強く感じたのは「こんなに面白かった!?」ということです。3DCGがぬるぬる動くわけでもなく,Live2Dでもない。全体的に,非常にシンプルかつ懐かしさを感じるグラフィックスやUIです。
でも,慣れればそれが心地良い。日々,学校で勉強したりクラブ活動に勤しんだり,友だちとお喋りしたり,買い物やデートに出かけたり。楽しみなイベントには,カレンダーに丸をつけてワクワクして過ごす……。ものすごく派手ななにかが起きるわけではないけれど,生活を送るってまさにこういう感じだなと。
今回は記事作成のためのプレイ時間が短かったこともあり,瑛ほぼ一本釣り(?)のプレイでしたが,それでもたくさんのクラスメイトや周囲の人と関わることができました。ギュッと凝縮された3年間を過ごしていくなかで,人々や景色に愛着が沸き,卒業式には自然と涙がこぼれました。
私は社会人ですが,大人にはゴールがないなと思ったりします。だけど学生には,「卒業」という1つの終点がある。そしてその終点に着いたら,二度とそこまでの数年間には戻れません。あのキラキラした日々は手が届かないくらい遠くなってしまった大人だからこそ,深く心に刺さったのかもしれません。
「ときメモGS」,名前は知ってはいるけど……という人も,ぜひこの機会にいろいろな先入観を捨ててプレイしてみてほしいです。そこでもし誰かと恋に落ちたら,その3年間は間違いなく,一生忘れられない思い出になることでしょう。
次に私が海へ出かける機会があったら,「珊瑚礁」という名前の喫茶店を探してしまうかもしれません。だってそこには,とびきり美味しいコーヒーを入れてくれる若いバリスタがいるはずだから……。
「ときめきメモリアル Girl’s Side 2nd Season for Nintendo Switch」に決めた!(My Nintendo Store)
(C)Konami Digital Entertainment
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