インタビュー
[インタビュー]coly最新作「ブレイクマイケース」は,洗練された都会的なビジュアルと,人間同士のつながりを描く生々しい物語のギャップが魅力
colyがおくる「ブレイクマイケース」(iOS / Android)は,“マルチ代行サービス”を営む店「Aporia」を舞台に,21人の男性たちが活躍する運営型ゲームコンテンツを主軸とした女性向けの新規IPプロジェクトだ。2023年10月27日に発表された本プロジェクトは,coly作品のファンを中心に多くの反響を呼んだ。11月3日,4日に開催された「アニメイトガールズフェスティバル 2023」(AGF2023)ではブースを出展し,発表後間もないにもかかわらず多くのファンが訪れていた。
4GamerはAGF2023の会期中,本作のプロデューサーにインタビューする機会を得た。気になる作品の見どころや,今後の展開などを聞いてきたのでお届けしよう。
洗練された都会的なビジュアルと
生々しい物語のギャップも見どころ
4Gamer:
「ブレイクマイケース」の開発経緯を教えてください。
プロデューサー:
「ドラッグ王子とマトリ姫」や「スタンドマイヒーローズ」「&0(アンドゼロ)」のような現代社会を舞台にしたリアルな物語は,弊社が得意とするジャンルの1つです。この3タイトルはいずれも主人公とメインキャラクターとの恋愛体験が売りの作品でしたが,本プロジェクトではリアルな物語という強みはそのままに,メインキャラクターの個性や関係性によりフォーカスを当てた作品を作りたいと考えました。
また,グラフィックスやサウンド,ゲーム体験など,アプリの品質面にも新たな工夫や挑戦を行っています。
4Gamer:
キャラクターデザインに,雪広うたこ氏を起用された理由は何でしょうか。
プロデューサー:
「ブレイクマイケース」のコンセプトの1つに,“最高にハイセンスなリアル”というものがあります。身も蓋もなく言えば,”現実世界でギリギリあり得る範囲で,最高におしゃれなビジュアルの都会人”を描きたいという思いが我々の中にあったのですが,それを実現するにあたって,精細でリアルなタッチ,アイデアあふれるデザインに定評のある雪広うたこ先生の作風がマッチしていると思い,お声がけしました。大変ありがたいことに,本作のコンセプトに共感してくださり,参加いただけることになりました。
4Gamer:
デザインをお願いする際は,どのようなやり取りをされましたか。
プロデューサー:
キャラクターデザインは,先生とディスカッションを重ねて,かなりの試行錯誤を行いました。
二次元キャラクターコンテンツにおいて”ハイセンス”や”おしゃれ”というのはなかなか難しいコンセプトでして,我々開発陣だけでキャラクターデザインを考えていると,どうしても丸くなってしまったり,地味になってしまったりすることがあります。個性の凹凸や,それぞれの攻め具合については雪広先生と沢山の意見交換を行いました。雪広先生のアーティスティックな表現がなければ,今回のキャラデザコンセプトは体現できなかったと思います。
4Gamer:
キャラクターはもちろんですが,公式サイトを見ても,作品全体からおしゃれな感じが伝わってきます。
プロデューサー:
現実の東京を舞台にしているので,デザインやサウンドなどは都会的で商業的なムード作りを心掛けています。
外側はおしゃれな反面,中身は生々しくリアルというギャップが,本作らしさになるのかなと思います。例えるならば,上京したばかりの若者が憧れるキラキラした都会と,実際に生活してキレイなだけじゃないところを知ったあとの感じですね。
人間同士のつながりという
普遍的な悩みが物語のテーマ
4Gamer:
本作では,どんな物語が展開していくのでしょうか。
プロデューサー:
物語は,渋谷にある「Aporia」というお店と,そこで働く21人の男性スタッフを中心に展開していきます。お店は普段カフェバーとして営業していますが,一部のお客様に向けて“マルチ代行サービス”という一風変わった営業をしていて,そこにさまざまな難題を持った人たちが救いを求めてやってきます。
そんなちょっと怪しげなお店にヒロインが訪れ,ひょんなことからオーナー代理を引き受けるところから物語の幕が開きます。その先に,どんなことが待っているかは,ぜひ本編を楽しみにしていただきたいです。
4Gamer:
公式サイトに掲載されている,“絡んだ糸を解いて断ち切る物語”というキャッチコピーがとても気になります。
プロデューサー:
これは,シナリオ担当の藍田 創先生に提案いただきました。どうしても人間は1人では生きていけず,人間同士のつながりを欠かすことはできないと思います。しかし一方で,絆や縁といった”糸”は,人と人とをつなぐものであると同時に,人を縛り付けるものにもなります。そのしがらみを,どのように解いて,断ち切っていくかというのが物語の大きなテーマです。
こういったジレンマは,現代に生きる僕たちにとっては普遍的な悩みだと考えています。ぜひ物語を読み進める中で,それぞれのエピソードに共感していただいたり,何かを考えるきっかけになったりしていただけるといいなと思います。
4Gamer:
大きなテーマがありつつ,そこに各キャラクターのドラマが絡んでいく感じでしょうか。
プロデューサー:
そうですね。キャラクターの設定や深掘りにはぜひ期待していただきたいです。メインストーリー以外にも,キャラクターのことをもっと知ることができるパーソナルストーリーやイベントストーリーの展開を予定しています。
4Gamer:
プレイヤーの立ち位置を教えてください。恋愛要素はないとのことですが,ヒロインが女性ということは確定しているのですね。
プロデューサー:
はい,主人公は女性です。先ほどお話したとおり,オーナー代理となって,21人の男性たちと一緒に働いていく,物語の中心にいる人物です。
ただ,登場人物の1人として特殊な個性が立っているというわけでもなく,ロールプレイングとしても感情移入しやすい存在になっていますし,メインキャラクターのことがもっと知りたい方にとっては,彼らのパーソナリティや関係性などの情報を引き出す案内人としても親しんでいただけるかなと。なるべく多くの方に楽しんでいただける物語にしたいと思っています。
4Gamer:
本作の男性キャラクターたちは,「本部」「交際部」「管理部」「強行部」「交渉部」「特務部」にそれぞれ所属していますね。その詳細も気になります。
プロデューサー:
公式サイトで公開している情報とは別に,実は公式X(旧Twitter)でのみ見られる説明文がありますので,注目していただきたいです。
各部門の説明(公式Xより)
本部 - Main Office
担当代行はなく,細かな経理と人事を除く経営に関すること全般を担う。
その範囲は事業計画から備品の発注まで多岐にわたる。
皇坂 逢(こうさか あい)/ CV:古川慎
城瀬由鶴(きせ ゆづる)/ CV:堀江瞬 須王芦佳(すおう ろか)/ CV:興津和幸
交際部 - Simulation Dept.
担当はキャラクター代行。
恋人,友人,家族などの設定に合わせ,健全な範囲でのみ依頼人の望むキャラクターを演じる。
また,カフェバー営業のメインスタッフでもあり,バーカウンターやホールに立つことも多い。
綾戸恋(あやと こう)/ CV:谷山紀章 宇京真央(うきょう まお)/ CV:小林千晃
樋宮明星(ひのみや あけほし)/ CV:河西健吾 環野 揺(かんの ゆらぎ)/ CV:寺島惇太
管理部 - Administrative Dept.
顧客情報や依頼関連の膨大なデータ,Webサイト及びSNSアカウント,Aporiaの経理など諸々の『管理』を主な仕事とするサポート特化の部署。
Aporia第二のオフィス兼寮とも言われる一軒家,”ハウス”を拠点としている。
槻本大河(つきもと たいが)/ CV:熊谷健太郎
壱川春日(いちかわ はるひ)/ CV:小松昌平 隠岐谷誓(おきや せい)/ CV:中澤まさとも
強行部 - Watchdog Dept.
担当は荒事代行。
ただし請け負うのは応戦,奪還,捕獲のみで,物理的な報復などの依頼はNG。
また,他部署の代行業務に同伴し,スタッフの護衛にあたることも。
依頼のない時はカフェバー営業のバーカウンターを担当。
節見静(ふしみ しずか)/ CV:松岡禎丞 御門 尊(みかど たける)/ CV:小野友樹
新開 戦(しんかい そよぐ)/ CV:小林親弘 相沢篠信(あいざわ しのぶ)/ CV:広瀬裕也
交渉部 - Negotiation Dept.
担当は交渉代行。
危険度・難易度・適性などの問題で交際部が請け負えない代行を行う。
また,Aporiaの事業で発生した問題が複雑化した際の対処や採用を含む人事業務も担当。
そのほか,代行サービスの新規客の審査なども彼らの仕事。
在間樹帆(ありま きほ)/ CV:佐藤拓也
祠堂恭耶(しどう きょうや)/ CV:福山潤 立科吏来(たてしな りく)/ CV:小西克幸
特務部 - ST Dept.
担当は身辺警護代行。
危険度・難易度・適性などの問題で強行部が請け負えない代行や,正規のサービスを利用できない依頼人に対応。
強行部同様,応戦,奪還,捕獲のみを請け負う。
代行以外では,調理や夜間清掃など主に裏方として稼働。
恩田灯世(おんだ ともせ)/ CV:小林裕介 新名有(にいな ゆう)/ CV:坂田将吾
神家(かみや)/ CV:仲村宗悟 麻波麗(まなみ うらら)/ CV:吉野裕行
4Gamer:
ゲームシステムについても,可能な範囲で教えていただけますか。
プロデューサー:
ゲーム要素もただの飾りではなく,新しくて,面白くて,やりがいのあるものを作りたいと考えています。それでいて,誰でもカジュアルに楽しめるものを作っているので,楽しみにお待ちください。
4Gamer:
事前登録も開始されていますが,リリースまでの展開を教えてください。
プロデューサー:
たくさんの施策を用意しているので,今後の発表に期待してください。特にビジュアル,サウンドには力を入れているので,定期的にチラ見せをしていければと思っています。
4Gamer:
サウンドは,ゲーム内のBGMでしょうか。
プロデューサー:
そうです。公式サイトでゲームで使用予定のBGMを流しているのですが,すでに気に入っていただけている方もいらっしゃるようで,うれしく思います。他にもこだわりのBGMをたくさん用意しているので,まだ決まってはいませんが,何らかの形で情報を出していければと思います。
4Gamer:
ゲーム以外の展開についてもお聞きできれば幸いです。
プロデューサー:
考えていることはたくさんありますが,まずはユーザーの皆さんに求められていることを展開していきたいです。ゲームを主軸に,作品の魅力を伝えて,もっとキャラクターたちのことを好きになっていただいて。その後に,ユーザーさんのお声を聞きながら,喜んでいただける展開を選択していきたいと考えています。
VTuberだったり,2.5次元だったり,近年はキャラクターコンテンツが多様化していますが,僕たちはまだまだモバイルゲームを盛り上げたいと思っています。女性向けスマートフォンゲームの新しい時代の幕開けを感じていただけるよう,いろいろとチャレンジしていきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ブレイクマイケース」公式サイト
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