プレイレポート
[プレイレポ]西部劇アクション「レッド・デッド・リデンプション」が帰ってきた。13年前の作品だが,ずっと浸り続けたい世界がそこにある
PS3/Xbox 360時代の傑作として知られ,当時のゲーマーにはもはや説明不要な作品ではあるが,Switch版をプレイしたのであらためて本作の魅力をお伝えしたい。
「レッド・デッド・リデンプション」公式サイト
本作の舞台は,20世紀初頭のアメリカ中西部。荒野や小規模な街ばかりでなく,発展した都会もあれば,草原,鉱山,森林,メキシコの国境地帯などもあり,ロケーションは実に多彩だ。ハリウッド製の正統派西部劇や,マカロニウエスタン(主にイタリアなどで制作された西部劇)の舞台をギュッと圧縮して詰め込んだような,箱庭的オープンワールドとなっている。
主人公のジョン・マーストンは,かつて無法者だった男。足を洗ってカタギになったあとは,妻と子と共に小さな牧場を営んでいたが,そんな彼に罪を贖う(Redemption)べき時がやってきた。連邦捜査局に家族を“保護”されたジョンは,かつての同志たちを拘束する,もしくは殺害することを強いられる。
考えるよりも先に銃を抜く危険な男,ビル・ウィリアムソン。飄々としているが実は義理堅い革命家,ハビア・エスクエラ。そして強盗団のリーダーであり,ジョンの親代わりでもあったダッチ・ファン・デル・リンデ。かつての同志は今も無法者として生きており,それぞれ別の集団と行動している。ジョンは家族を守るため,いかなる手を使ってでもこの仕事をやり遂げるつもりだった──。
そんな事情を抱えて,ジョン・マーストン(=プレイヤー)はニューオースティン州の荒野へと放り出される。もちろん,そのままかつての同志の元に向かえば,ハチの巣にされるのがオチだ(実際,一度死にかける)。
家族を救うためには協力者が不可欠だ。そこで無法者時代にならした銃の腕を活かし,各地の人々が抱える問題を解決して,味方を増やしていく。これが本作のメインミッションの流れとなる。20世紀初頭と言えば,すでにカウボーイたちの時代は終わりつつあったが,いつの時代も銃で解決できる問題は少なくない。
ジョンの早撃ちの技を表現するシステムとして,時間経過を遅くして照準を補助する「デッドアイ」が存在する。これはメインミッションを進めることで段階的に使い勝手が良くなり,後半になるほどに切り札として重要性が増していく。とくにハードコアモードでは,これなしではお話にならないほどだ。
建物や地形を活用したカバーアクションも重要になる。多数の敵を相手にすることが多いため,基本的には身を隠しながら戦うほうがいい。また,射程を意識した武器の使い分けも大切で,ライフル系の武器は拳銃の弾が届きにくい距離から一方的に攻撃できる。
ただ,レバーアクションやボルトアクションで弾を装填するライフルは,次弾発射までに比較的時間がかかるため(デッドアイ中の射撃時間にも影響する),素早い射撃が必要な場合はリボルバーのほうが役立つ場合もある。
終盤には西部劇らしからぬセミオートの拳銃まで登場し,ジョン・ウー監督作品ばりに横っ飛びしたくなる人もいたとかいないとか。……それはさておき,銃器はもちろん,投げ縄や火炎瓶など,いかにもマカロニウエスタン的な武器も使えるようになっていくので,シチュエーションに応じて武器を選択することになるだろう。とくに投げ縄は相手を殺さず無力化できるため,さまざまな使い道がある。
また,無法者や保安官らとの戦いのほかにも,狩猟や薬草の採取,宝探しといったさまざまなチャレンジが用意されている。これらを進めていくのも遊び方の1つであり,プレイヤーの自由だ。
ちょっと変わっているのが,コスチューム(服)を買ったり,手に入れたりする条件もチャレンジになっている点。少しばかり手間ではあるが,それぞれの服には「ギャンブルでイカサマが可能になる」「無法者に攻撃されない」「保安官に追われない」「狩りで手に入るアイテムが2倍になる」など,さまざまな恩恵があり,条件達成に挑む価値はある。
荒野で出会う人々とのサイドミッションも大きな魅力だ。こちらはB級映画的というか,かなり自由な内容になっている。マカロニウエスタンというジャンル自体,当時の流行だったオカルト映画や残酷ドキュメンタリー,果てはカンフー映画の影響を受けた作品も多く,「このネタってどうなの? ……むしろアリだな!」と,逆にそれらしく感じられたりする。
また,小さい出来事のようなイベントもあり,これらはすべてのメインミッション,サイドミッションをクリアしたあとでも,引き続きランダムに発生する。悪党に襲われる人から助けを求められたり,馬から降りたスキに馬泥棒に遭ったり,かつて助けた人からお礼をもらえたりして,クリア後も荒野を彷徨いたくなるモチベーションになる。
このような要素が絡み合うことで,プレイヤーによって異なる独自の体験が生まれ,自分自身が荒野を旅しているような感覚が得られる。それが「レッド・デッド・リデンプション」の最も特筆すべき特徴だろう。
狩りで仕留めた獲物の皮を剥いでいるうちに,ランダムイベントの馬泥棒が発生。その相手を追って投げ縄で落馬させ,馬を取り返して一息ついたら,宝の地図に描かれていた特徴的な岩が目に飛び込んできた……。こうした意外な出来事の連鎖が次々に起きるのだ。
13年前,本作を初めてプレイしたときに大きな衝撃を受けたものだが,今回のSwitch版では現代のオープンワールドゲームとほぼ変わらない感覚で遊べていることに驚かされた。もちろん「グランド・セフト・オート」シリーズという土台があったからこそ生まれた作品ではあるが,「レッド・デッド・リデンプション」が傑作として今も語り継がれているのは,やはり画期的な存在だったからである。
本稿の締めくくりとして,「レッド・デッド・リデンプション」の世界をさらに濃く味わいたい人のために,おすすめの映画を紹介したい。
実在したアウトロー,ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの逃避行を描いたジョージ・ロイ・ヒル監督の「明日に向って撃て!」(原題: Butch Cassidy and te Sundance Kid)。同じく彼らの最後をモデルにしたオリジナル作品であり,サム・ペキンパー監督が手掛けた衝撃作「ワイルドバンチ」(原題: The Wild Bunch)。そして,西部開拓時代への郷愁を感じさせる映像美と,チャールズ・ブロンソン演じる謎めいたハーモニカ吹きの演技がたまらない,セルジオ・レオーネ監督の「ウエスタン」(原題:Once Upon a Time in the West)。
この3作品を観れば,本作が描く,アウトローたちのドラマにどっぷりと浸れるはずだ。
飄々とした武器商人ヨドと革命軍の副官(に任命されたお調子者)バスコの奇妙な友情が熱い「ガンマン大連合」(原題:Vamos a matar, compañeros),全体としてはコメディでありながら,去り行くガンマンの時代への挽歌にもなっている「ミスター・ノーボディ」(原題:Il mio nome è Nessuno / My Name is Nobody)もおすすめしたい作品である。
ただ,両作品ともに動画配信サービスでは観られることが稀なので,DVDやBlu-rayを購入またはレンタルする必要がある。少々面倒かもしれないが,それだけの価値がある作品だ。
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