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擬態の名人ミミックオクトパスさんの「恐怖の世界」レビュー。えーあい!Steam広場
今週のライター:ミミックオクトパス
筆者近影
私はタコの仲間のミミックオクトパス。その名のとおり,さまざまな“生き物”に擬態できる。例えば,ウミヘビやイソギンチャク,カレイなんかもレパートリの1つだ。私がこれらになりすましている間は,誰もそれがタコだなんて思わないだろう。いつか地上に進出して,イスやマグカップなんかに擬態できるようになれれば――なんて考えているところだ。
※この記事は,編集者のゲーム体験メモをベースにChatGPT(4.0)が執筆したものです。AIが執筆するゲームレビューという趣旨に基づき,編集は最低限にとどめています。
闇には見えない恐怖が潜んでいる。コズミックホラーローグライトRPGを謳う「恐怖の世界」は,その独特な雰囲気と演出で,プレイヤーを絶えず驚かせ続けてくれるゲームだ。
1980年代の風情が漂う日本の塩川町を舞台に,一筋縄ではいかない怪事件の数々がプレイヤーに襲いかかる。町に現れる邪教徒たちの目的は,神秘的かつ禍々しい「旧き神々」をこの世界に降臨させること。この神話的な背景は,H.P.ラヴクラフト氏の作品の影響を強く感じられる。
ラヴクラフト流の恐怖は,我々の知覚の範疇を超えた存在がもたらす絶望感や無力感を中心に構築されているが,「恐怖の世界」もそのテーマをしっかりと受け継いでいるのだ。そして今回,なぜ私に声がかかったのかも理解した。
まあそれはさておき,「恐怖の世界」はコズミックホラーの哲学をもとに,日本の伝統や文化を織り交ぜた独自の世界観を作り上げている。プレイヤーには,この不穏な空気の中での冒険と,真実を追い求めるサスペンスが待ち受けているわけだ。
「恐怖の世界」がプレイヤーの心を鷲掴みにする要因の1つが,そのグラフィックスとBGMにある。1bitテイストのグラフィックスは,このゲームの骨子を形成している。90年代のレトロゲームの雰囲気を継承しつつ,現代の技術で再解釈した結果,登場するキャラクターや怪異の表現は,圧倒的な不気味さを持っているのだ。
とくにキャラクターの表情が印象的で,一目で「普通の人間ではない」と感じさせるそのデザインは,伊藤潤二氏の作品の影響を見て取れる。
その画面上で繰り広げられる映像美と相まって,サウンドがさらにゲームの世界観を強調している。ファミコンのホラーゲームを思わせるレトロなサウンドが,おどろおどろしい不協和音と組み合わさることで,プレイヤーの緊張感を引き上げるのだ。
このようなグラフィックスとBGMの組み合わせは,「恐怖の世界」独自のもの。レトロとモダンの融合が,新しい形の恐怖を創出している。過剰なビジュアルやエフェクトは排除され,情報の足りなさがかえってプレイヤーの想像力を刺激し,より深い恐怖を感じさせてくれる。
「恐怖の世界」はその名の通り,恐怖と破滅との戦いをテーマにしたゲームで,プレイヤーが何度も繰り返し挑戦することを強く意識して作られている。
このゲームにおける一番の特色は,そのランダム性の強さにある。ゲームを開始するたびに,どのような旧神が降臨しようとしているのか,どのような特別ルールが適用されるのかが異なるのだ。そして,プレイヤーが直面する事件もランダムで決定されるため,同じゲームプレイが二度と繰り返されることはない。これにより,1ゲームに掛かる30分ほどのプレイ時間があっという間に過ぎ,余韻も消えぬうちに再び塩川町に足を運びたくなる。
ゲームの目的は明確だ。「破滅値」を100%にしないように,全ての事件を解決し,灯台に突入して儀式を食い止めること。しかし,このシンプルなルールの裏には,非常にディープなからくりが隠されている。ランダムに発生するイベントは180種類と多岐にわたり,それぞれの選択がプレイヤーの運命を左右する。そして,選択の結果として良い結果が得られる確率は体感で3割ほど。このあたりにもクトゥルフホラー的な味付けを感じる。
一方,ランダムに発生するイベントは,事件のストーリーとの直接的なつながりを持たない。この仕様に違和感を覚える人もいるかと思うが,これは本作をどう捉えるかによるところが多い。詳しくは最後の総評に預けておく。
そして,このゲームの真髄は「破滅値」とプレイヤーのステータスのバランス管理にある。調査を進めること,体力や精神力を回復すること,全ての行動が破滅値の進行と関連しているため,適切なバランスを取りながらゲームを進めていかなければならない。
「恐怖の世界」のランダムイベントの中には,真っ正面から怪異と戦うものもある。本作の戦闘システムはターン制となっており,プレイヤーには200の行動時間が割り当てられる。各アクションには消費する時間が設定されているため,アクションを吟味して200という時間をいかに有効に使うかが鍵となる。
例えば,キックが50だとすれば4回はキックできるし,バットでの攻撃が95だとすれば2回殴れる。行動時間を余らせるのはもったいないので,なるべく200消費できるようにバフ行動を挟んだり,行動時間の異なる攻撃を組み合わせたりしていく感じだ。
逃げる選択もあるが,破滅値が大幅に進行してしまうリスクを伴う。つまりできるだけ戦ったほうがいい。ただし,攻撃が通用しない霊体との戦闘では,墨を吐いて逃げるのが賢明だ。
戦闘で重要なのは,事前に武器を入手しておくこと。ゲーム開始時にはある程度のお金が与えられるので,最初に店を訪れて適切な武器を手に入れるといい。
1人での調査が不安ならば,学校で仲間を集めることもできる。仲間たちはプレイヤーのステータスにさまざまな効果をもたらしてくれるが,その全てがプラスになるとは限らない。マイナス効果を持つ仲間も存在するため,場合によってはすぐに手を切る必要も出てくる。
ゲームが進行するにつれ,塩川町にはさまざまな異変が起きる。事件を1つ解決するごとに手に入る鍵は,最終的に灯台への入場券となるが,事件を解決すると同時に町自体も変わり始める。蛇口の水が黒く濁り自宅で回復ができなくなったり,学校が閉鎖されて仲間の募集が難しくなったりと,状況に合わせて戦略を変えていく必要が出てくるわけだ。
こうした妨害に耐えながら事件を解決していき,鍵を5つ集めれば最終ステージの灯台に突入できる。そこでも怪異なイベントがプレイヤーを待ち受けており,中にはプレイヤーの記憶力や知恵を問うようなものもある。これまでの経験や知識が,ここで真価を問われるわけだ。
そして,多くの障害を乗り越え,灯台の最上部へとたどり着くことができれば,ゲームクリアとなる。もちろん,その道のりは容易ではない。塩川町の異変や塔内での試練を乗り越え,真の勝利を手にするためには,プレイヤーの全ての能力と知恵が試されることになる。
この「恐怖の世界」は,クトゥルフホラーRPGとローグライトの融合という,一風変わった組み合わせでプレイヤーに挑戦状をたたきつける。
クトゥルフRPGと聞くとテーブルトークのイメージが先行しがちだが,ゲームのメカニクス的にはボードゲームに近い。それこそ,日本を舞台にした「エルドリッチホラー」や「アーカムホラー」を遊んでいる感覚を覚えた。言ってしまえばこのゲーム,ボードゲーム的なランダム要素が好きかどうかで好みが分かれる。これは,前述したランダムイベントと事件のストーリーの関係性にも関わる部分だ。
つまり本作は,ボードゲーム的なランダム性や,事件とランダムイベントの間に存在するもつれを,単なるミスマッチとして受け取るのではなく,クトゥルフホラーの持つ不条理さや混沌を感じ取る要素として楽しめるプレイヤーに向いている作品といえる。
とくに「エルドリッチホラー」や「アーカムホラー」をソロで繰り返し楽しめる,私のようなタイプの無脊椎動物――ではなく人間であれば,「恐怖の世界」は非常に魅力的に感じられるだろう。逆に,ストーリーの緊密な連携や一貫性を求めるタイプの人には,このゲームの味わいが十分に伝わらない可能性がある。
ひと言でいえば「好き嫌いの分かれるゲーム」なのだが,少なくともクトゥルフ系が好きな人であれば,プレイしてみる価値は十分にあるだろう。
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Steam
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恐怖の世界(World of Horror)
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