プレイレポート
[プレイレポ]久しぶりだな,スネーク。「メタルギア」初期作品を網羅した待望の「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」
「METAL GEAR」(メタルギア)シリーズの初期タイトルを網羅していることから,注目度も高いと思われる今回のMASTER COLLECTION。発売前にプレイする機会を得たのでレポートをお届けしたい。なお,「METAL GEAR SOLID」や「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」(HDエディション版),「METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」(HDエディション版)は,それぞれ単品でもダウンロード販売が行われる。
「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」公式サイト
シリーズのリブートを果たした「METAL GEAR SOLID」
1998年に発売された「METAL GEAR SOLID」は,初代PlayStationを代表する1本であり,「METAL GEAR」シリーズの正史の発売順として第3作にあたる。
アラスカの孤島,シャドー・モセス島で演習を行っていた特殊部隊FOXHOUNDが突如蜂起し,彼らの元総司令官であるビッグボスの遺体の引き渡しを要求。要求を呑まなければ,24時間以内に核を発射すると宣言した。事態を重く受け止めたアメリカは,FOXHOUNDの元司令官であるロイ・キャンベルと,元隊員であるソリッド・スネークを呼び戻し,任務にあたらせる。
プレイヤーはソリッド・スネークとなり,シャドー・モセス島に潜入し,人質の救助と,彼らが本当に核を発射できるのかを調査する任務に挑む。
敵と戦うのではなく,見つからずにやり過ごす「潜入」を主体としたゲーム性。のちにシリーズの象徴的なアイコンとなったダンボール箱。無線越しに行われる会話。敵味方の智謀渦巻くストーリー。予想もつかない,どんでん返し。本作を構成する数々の要素は,以降の「METAL GEAR SOLID」シリーズの礎となった。
シリーズの3作目ではあるが,前作「METAL GEAR 2 SOLID SNAKE」の発売からは約8年。かなり間が空いている。また,1作目はファミコンに移植されているが,2作目はMSX版しか存在していなかった。こうした事情から,「METAL GEAR SOLID」はシリーズのリブートに近い立ち位置でもあり,ここから新たな世代のファンを作った偉大な1本なのだ。
「METAL GEAR SOLID」が発売された翌年(1999年)には,「METAL GEAR SOLID INTEGRAL」が登場した。音声が英語になり(字幕は日本語/英語から選択可能),「VR TRAINING」に300ステージを追加。そのほかにもさまざまな追加,変更点があり,「INTEGRAL(完全な)」の名のとおり,日本語ボイスが聞けないこと以外は,通常版の上位互換的なバージョンだった。
そのあたり,MASTER COLLECTIONではどうなのかというと,タイトル画面で通常版とINTEGRAL版を選択できるようになっている。さらに,北米・欧州向けに発売された「METAL GEAR SOLID VR MISSIONS」と「METAL GEAR SOLID SPECIAL MISSIONS」も収録し,文句なしのパーフェクトなバージョンだと言える。
本作はシリアスなストーリーに反してメタな仕掛けが豊富だったが,中でもサイコ・マンティス絡みのものはどうなっているのか,気になる人は多いと思う。
サイコ・マンティスはソリッド・スネークの敵として立ちはだかり,「相手の思考を読む」という能力でプレイヤーを翻弄した超能力者だ。当時はPlayStationのメモリーカード内にKONAMI作品のセーブデータがあると,サイコ・マンティスに「ときメモが好きなようだな」とか言われる斬新な仕掛けだった。
正直なところ,この仕掛けは再現不可能だろうと思っていたのだが,なんと任意のセーブデータを設定できるようになっている。これにより,プレイヤーの好みで「○○が好きなようだな」を楽しめる。
また,サイコ・マンティスを知る人にはもう1つ,気になる点があるだろう。ある意味,ネタバレになってしまうので,詳細は触れずに以下のスクリーンショットを掲載するだけに留めておく。
そのほか,ある登場人物と通信で会話するために必要な周波数を知る際に,「パッケージを見ろ」と言われる場面がある。これは実際にPlayStation版のパッケージに周波数が分かる画面写真が載っていて,マニュアルプロテクトにも似た仕掛けになっていた。
MASTER COLLECTIONでは,ゲーム内で確認できる「オンラインマニュアル」を見れば分かるようになっている。ダウンロード版を購入したら分からない,ということはない。
筆者が「METAL GEAR」シリーズに触れたのは,この「METAL GEAR SOLID」が初めてだった。真面目でシリアスなストーリーなのに,ちょいちょいメタなネタやギャグがあり,プロの工作員が「ダンボール箱に隠れる」というアクション,明らかに不審者を見たはずなのに,しばらくすると何事もなかったかのように通常警戒に戻る敵兵に驚かされた。
リアルにしすぎず,ほどよく“ゲーム”であるところがちょうどよく,弾薬が無限になる「バンダナ」(※通称「無限バンダナ」)や,敵に見つからなくなる「ステルス迷彩」などの隠しアイテムもあり,1度クリアした後も楽しめる傑作だ。「久しぶりにやるかー」という人も,まだやったことがない人にもオススメしたい。
「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」
「METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」
「METAL GEAR SOLID」の未来と過去を描いたのが,「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」と「METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」だ。
2001年に発売された「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」は,「METAL GEAR SOLID」から2年後の世界が舞台だ。新型メタルギアの情報を入手したソリッド・スネークがタンカーに潜入する「マンハッタン沖タンカー沈没事件」をプロローグとして,その2年後に新生FOX HOUND部隊の新人・雷電が,テロリストに占拠された海上プラント「ビッグ・シェル」から大統領の救出を目指す。2人の主人公の視点から物語が繰り広げられる。
ハードがPS2になったことで表現力が飛躍的に向上し,映画的だったイベントシーンに磨きがかかった。潜入を主体としたスタイルはもちろん,「メタルギア」という架空の兵器を巡って二転三転する物語。敵か味方かも分からない登場人物。主人公が立ち向かうのは,超人的な能力を持った精鋭で構成された組織。「METAL GEAR SOLID」で培われた,シリーズの“らしさ”は健在だった。前作をプレイしていた人にはニヤリとできる登場人物や小ネタも多い。
一方,2004年に発売された「METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」の舞台は1964年。作品の時系列としては「METAL GEAR SOLID」の1作目よりも遥か昔,シリーズ全体で見ても最古の時代設定となる。
なお,「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」としてリメイクが予定されている作品だ。
前2作が近代的な建物への潜入がほとんどだったのに対し,「3」では大自然を相手にすることになる。これまでの「ステルスアクション」に加え,「サバイバル」の要素が加わった意欲作だ。
サブタイトルの「SNAKE EATER」には,ストーリー的にさまざまな意味が込められているが,実際にヘビを捕まえて食べるシーンもある。
「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」の発売から約1年後(2002年)には「METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE」が登場した。また,「METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER」の発売から約1年後(2005年)には,やはり「METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE」が登場している。これらは追加要素をプラスした拡張版のような位置づけで,2011年に発売された「METAL GEAR SOLID HD EDITION」では拡張版をベースに,高解像度化などが施されている。
今回,単品販売される「2」と「3」は,ストア上でも「HDエディション版」と付記されていることから,「METAL GEAR SOLID HD EDITION」に収録されたものと同様だろう。
というのも,タイトル画面の表示も「HD EDITION」であり,起動時の画面右下には「METAL GEAR SOLID HD EDITION」のタイトルロゴが表示されている。
「2」と「3」に関しては,「HD EDITION」の時点で完成度が高く,特筆することはない。
1つだけ付け加えるなら,「METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE」には初代「METAL GEAR」と「METAL GEAR 2 SOLID SNAKE」が収録されていたが,今回は「3」から分離され,「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」または「METAL GEAR SOLID」(単品販売)を購入すると付属する特典という形になった。
充実したおまけの数々
「METAL GEAR SOLID」シリーズの3作もいいが,MASTER COLLECTIONが気になっている人の中には“おまけ”が目当てだという人も多いだろう。
まず,初代「METAL GEAR」と2作目「METAL GEAR 2 SOLID SNAKE」については,前述のとおり,「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」または「METAL GEAR SOLID」(単品)を購入すると付属する。
一方,「METAL GEAR」(ファミコン/NES版)と「SNAKE'S REVENGE」,映像作品の「METAL GEAR SOLID BANDE DESSINÉE」と「METAL GEAR SOLID 2 BANDE DESSINÉE」は,「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」の購入特典だ。
MASTER COLLECTIONの特典は,ソフトだけではない。各収録作品の「デジタルシナリオブック」と「デジタルマスターブック」も付属する。
前者はその名のとおり,ゲームの台本のようなもので,各キャラのセリフ等を確認できる。一方,後者はキャラクターや物語を解説し,作品の理解を助ける副読本のようなものだ。
未経験者からマニアまで――「METAL GEAR」シリーズの入門編であり,マスターピース
今回の「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」,その意義は「METAL GEAR」シリーズを今の世代に再び伝えることだと思う。シリーズものを1作目から順に遊びたい人は多いだろうが,「METAL GEAR」シリーズはその手段が限られているのが現状だった。
本作には「METAL GEAR SOLID」以前のタイトルも網羅されたことで,久しぶりにプレイしたい人から,シリーズ未経験者まで幅広くカバーできる1本となっている。ボーナスコンテンツだけでも,とてつもないボリュームだ。
「Vol.1」ってことは,当然「Vol.2」もあるんだよね……と期待しつつ,筆者も久しぶりに「METAL GEAR」サーガの世界にドップリと浸かりたい。
「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1」公式サイト
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- PS4:METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1
- PS4
- ライター:本地健太郎
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