お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2024/01/11 19:00

ニュース

「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

画像集 No.002のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた
 2023年12月にIntelは,開発コードネーム「Meteor Lake」こと,ノートPC向けCPU「Core Ultra」シリーズを発表した(関連記事)。

 本稿執筆時点のCore Ultraシリーズは,基準消費電力(Base TDP)が9〜15Wクラスの薄型ノートPC向け「U」シリーズと,性能と薄さのバランスを取った基準消費電力20〜35W以上の一般的なノートPC向け「H」シリーズが発表されており,採用製品も徐々に登場しているという状況だ。
 なお,基準消費電力45W以上で性能重視のゲーマー向けノートPC向けには,デスクトップPC向け第14世代CoreプロセッサをノートPCに転用した開発コードネーム「Raptor Lake-HX」ことノートPC向け第14世代Coreプロセッサがカバーしている。ただ,Dellのように,ノートPC向けCore Ultraをゲーマー向け製品に用いているPCメーカーもある。

ワークショップ会場の様子
画像集 No.003のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた
 CES 2024の会期中,Intelは,Core UltraプロセッサのHシリーズから「Core Ultra 7 165H」(P-core×6,E-core×8,LP E-core×2,16コア22スレッド対応。GPU:Intel Arc Graphics)を搭載したノートPCを公開して,報道陣が好きなアプリをインストールして実行したり,プリインストールされたアプリを自由に実行したりできるワークショップイベントを開催した。その様子をレポートしよう。


Core Ultra 7 165Hの実力はどのくらい?


 体験用PCには,いくつかのテスト用ソフトウェアがインストールされていたので,最初はそちらから触れていく。最初にテストしたのは,生成系AIソフトとしてインストールされていた「Stability AI-A1111 Web UI」と,「GIMP+Stable Diffusion」の2つだ。

自由に使えたCore Ultra 7 165H搭載PCは,「未発売のモデルであり,テスト機材である」との説明だったが,メーカーはMSIで,見たところ国内でも発表済みの「Prestige 16」のようだった
画像集 No.004のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

 どちらもCore UltraのCPUとGPUを活用する実装となっており,新搭載の「NPU」(Neural network Processing Unit)は使っていない。スタッフに確認したところ,「NPU対応版は,まだできていない」とのことだった。
 体験用PCは,BIOS設定でメインメモリの16GBをCore Ultra内蔵のArc GPUに割り当てており,Intelとしては「Core Ultraでは,内蔵GPUで多くのメモリを消費するAIを動かせる」ことをアピールしたいようだ。

 2つのAIに対しては,他のジャーナリストよりも面白いものを生成してやろうと思い,ジャーナリストの西川和久氏が「Technoedge」で掲載した「生成AIグラビアをグラビアカメラマンが作るとどうなる?」の第二回で公開していたプロンプトを入力してみたところ,CPUだけ,ーーTextデバイス,U-NETデバイス,VAEデバイスをすべてCPUに割り当てた状態ーーで実行すると約120秒〜130秒前後で,GPUだけで同じものを実行したときは約20秒前後で,以下の画像を生成できた。

西川和久氏から使用許可を頂いた秘伝のネガティブプロンプトが味噌である(笑)
画像集 No.005のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

他国の記者が「宇宙飛行士」とか「自動車」を生成している中,1人,ガチの美女画像を生成してCore Ultra 7 165H搭載PCをテストする筆者
画像集 No.006のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

 爆速というほど高性能ではないものの,単体GPU非搭載のビジネス用途向けノートPCで,生成系AIが動かせるのは確かに面白い。

 Core Ultra 7 165H搭載PCで,「FINAL FANTASY XV ベンチマーク」(V1.3)を実行する様子を動画で掲載しよう。


 FINAL FANTASY XV ベンチマークでのスコアは以下のとおり。比較用として,筆者が出張用に持って来たGIGA-BYTE TECHNOLOGY製のノートPC「AERO 17」の結果も示しておく。

※型番:XE5-73JP744HP。搭載CPUは「Core i7-12700H」で,GPUはCPU内蔵のIris Xe Graphicsである

表1 FINAL FANTASY XV ベンチマークの結果
Core Ultra 7 165H Core i7-12700H
2268 1929

 2023年9月公開のグラフィックスレンダリングベンチマーク「Cinebench 2024」も実行してみた。


 CineBench 2024でのマルチスレッド,シングルスレッドのスコアは以下のとおり。

表2 CineBench 2024の結果
Core Ultra 7 165H Core i7-12700H
マルチスレッド 753 805
シングルスレッド 95 100

 筆者のAERO 17は,巨大なACアダプターを接続して最大230Wの電力を供給するノートPCだ。単体GPUとして「GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU」を内蔵するゲーマー向けノートPCなので,世代は古くとも,今回,ワークショップで触ることのできたPCよりは格上だ。しかし,それと同等の性能を薄型ノートPCで実現できているのは,大したものである。


Intel Application Optimizationとは何するものぞ?


 今回のワークショップでは,Intelが提供するさまざまな技術についてのデモンストレーションを行いつつ,各技術の専任担当者が,報道陣の質問に答えるというコーナーもあった。

 筆者が強い関心を持っていたのが「Intel Application Optimization」(APO,関連記事)だ。APOとは,「PCゲームに対して最適な動作モードをPCに設定する」というゲーム特化のPC支援ツールである。
 Intelの説明によると,APOによる最適化に対応するゲームタイトルであれば,その動作を有効化するだけで,最大で14%もフレームレートが向上するという。

APOオン/オフで「Rainbow Six Siege」のフレームレートを比較するデモ
画像集 No.007のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

右がAPOオン状態で,左のオフ状態と比較したフレームレート向上率は約16%だった
画像集 No.008のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた 画像集 No.009のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

 AMDは「AMD Software」,NVIDIAは「GeForce Experience」で,GPUユーザー向けにAPOと似たようなものを提供しているが,どんな最適化を行っているのか,気になっていた。どちらかと言えば筆者は,ゲームグラフィックスのオプション設定は得意な方なので,ソフトウェア側で設定を勝手に変更されるのは気味が悪い……と考えていたので,APOのメカニズムについては気になっていたのである。
 というわけで,「APOは,一体どういう最適化をゲームに施すのか」と,現場で説明を担当していたIntelのJason Xie氏(Hardware Technical Marketing Engineer)にぶつけてみた。

 Xie氏によると,「現時点では,ゲーム側のグラフィックスオプションは,変更しない方針で設計されている」とのこと。「現時点で」という言い回しか気になるが,Intel内のAPO開発部隊でも「ゲーム側のグラフィックスオプションを変更すべきべきか否か」については,議論が分かれているというのだ。Xie氏は,「この点については,ユーザーからの意見を募集したい」とも述べていた。

 それでは,APOは何を最適化するのか。Xie氏によると,「基本的には,ゲームタイトルごとに,P-core(高性能コア)とE-core(高効率コア)の割り当て制御を行う」とのことであった。
 たとえば,人気PCゲームの多くは,据え置き型ゲーム機向けタイトルの移植版が多いが,それらのタイトルは6スレッド前後を前提に開発,チューニングされている。それをPC環境の多コア,多スレッド対応CPUで動かすと,OSがランダムなCPUコアを割り当てたときに,本来想定されたとおりの性能を発揮できないことがあるという。
 そこで,ゲームタイトルによって異なるが,たとえば極力,特定のCPUコアをゲーム専任で動かすようにしたりとか,E-coreを極力,ゲーム側に割り当てないようにすると言った制御を,APOが行うのだそうだ。
 筆者が「つまり,APOは『Thread Director』のチューニングを行う支援ソフトという理解で正しいか」と問うたところ,「その範疇を超えた制御も行えるが,その理解はおおむね正しい」と,Xie氏は答えた。

APOの使い方はシンプル。起動して「Enabled」(オン)か「Disabled」(オフ)のどちらかを設定するだけ。対応しているタイトルのみに効果があり,本稿執筆時点の対応タイトルは,まだ14だけだ
画像集 No.010のサムネイル画像 / 「Core Ultra」の実力はどの程度? IntelのワークショップでノートPCのゲームや生成系AIでの性能を確かめてみた

 APOは,第14世代Coreプロセッサの登場と合わせてリリースされたが,P-core,E-coreによる「Hybrid Computing Architecture」が導入された第12世代Coreプロセッサ以降のCPUに対応するようだ。もちろん,Core Ultraシリーズも含まれている。
 ところで,APOのソフトウェアは,入手方法が少し変わっている。Intelのソフトウェアダウンロードページからは入手できず,Windowsの「Microsoft Store」からしかダウンロードができないのだ。料金は無料だが,入手先については注意してほしい。

IntelのCoreプロセッサ製品情報ページ


  • 関連タイトル:

    Intel Core Ultra(Meteor Lake)

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:11月20日〜11月21日