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AI処理に強い「Core Ultra」プロセッサは,携帯型ゲームPCにおけるRyzenの牙城を崩せるか?
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印刷2023/12/18 20:17

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AI処理に強い「Core Ultra」プロセッサは,携帯型ゲームPCにおけるRyzenの牙城を崩せるか?

Core Ultraにも使われている「Intel 4」プロセスの半導体ウェハーを披露するインテル代表取締役社長の鈴木国正
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 2023年12月18日,Intelの日本法人であるインテルは,東京都内にて同社の掲げる「AI Everywhere」に関する取り組みと関連製品を紹介する業界関係者向けイベントを開催した。
 基本的には,米国時間12月14日に行われたIntelのAIに関する取り組みと,AI処理の高速化が売りの1つである新世代CPU「Core Ultra」,および第5世代「Xeon Scalableプロセッサ」の製品発表を圧縮して日本向けに説明するというイベントであり,とくに初公開という話題はない。

Core Ultraのパッケージと半導体ウェハー
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2023年に登場したIntel製のクライアントPC向け製品群。1月には第13世代Coreプロセッサ多数が一挙に登場し,10月にはデスクトップPC向け第14世代Coreプロセッサも発売となった
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 ただ,CPUやGPU,そしてAI処理ユニット(NPU)を組み合わせてPCでAI処理アプリを利用するという手法は,2024年にはゲーマー向けPCにも入ってくる。先進的なタイトルでは,これらをゲーム内で利用するという取り組みも行われるかもしれない。そこで本稿では,イベントの概要とゲーマーに取ってのCore Ultraにはどのような可能性があるのかを簡単に取り上げよう。


生成AIの話題で染まった2023年


 2023年は,各種ニュースやIT系のWebサイトで,AI,より正確に言うなら「生成AI」(Generative AI)の話題を目にしない,あるいは聞かない日はなかったと言っていい。自然言語でそれらしい対話を実現する文章生成AI「ChatGPT」を皮切りに,簡単な英単語(プロンプト)を組み合わせて指示すると,指示に沿った画像を生成する画像生成AI「Stable Diffusion」などによって,生成AIの可能性は大きく広がり,同種のサービスやアプリが多数登場してきた。
 今では「GPT-4」をベースにMicrosoftが開発したAI処理ベースの機能が,Windows 11に標準機能として組み込まれるほどだ。

Windows 11に組み込まれたAIアシスタント機能「Windows Copilot」。Copilotとは,飛行機の「副操縦士」のことで,AIアシスタントの名前としては洒落ている
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 一方で,著作権やプライバシーの侵害,対話型AIの不適切な回答を真実と誤認する現象や,AI処理コンテンツで実在の人物の言動であるかのように虚偽の情報を広める「ディープフェイク」といった問題も顕在化している。
 生成AIをゲーム開発,あるいはゲームそのものに利用する取り組みも進んでいるし,実際にコンテンツの一部に利用する事例は,すでに珍しくない(関連記事)。しかし,法的あるいは倫理的な問題を回避しつつ,生成AIをゲームに応用する取り組みは,まだ模索が続いているのが実情だろう。

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 そうした課題はともかく,今やPC業界は,AI処理をPCに組み込むことで,いかにして生産性を向上したりユーザーのPC体験を良いものとしたりするかに邁進している。そのためには,PCの中核であるCPUやGPUに,AI処理に適した機能を組み込むことが重要だ。Core Ultraプロセッサや第5世代Xeon Scalableプロセッサは,そうしたAI時代に向けた製品であるというのが,Intelの主張である。

AI処理をPC上で利用できると何が可能になるかの例を示したスライド「ゲーミングでの効果」とも書かれているが,具体的な事例についての説明はなかった
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Core Ultra 7 165Hは,Ryzen 7 7840Uよりも高性能で省電力とアピールするIntel


 今回の主題であるCore Ultraの詳細については,先日掲載した発表記事,および2023年9月掲載の解説記事に詳しくあるので,本稿では割愛するが,4Gamer的に注目したいのは,AI処理……ではなく,やはりゲームPCへの応用だ。
 2023年12月時点で発表済みのCore Ultra搭載ノートPCは,いずれもゲーム用途は重視していない製品ばかりであるが,最上位モデルの「Core Ultra 9 185H」が2024年に登場すれば,これを採用したゲーマー向けノートPCが登場してくる可能性はあるだろう。

会場に展示されていたCore Ultra搭載ノートPC。いずれもゲーマー向けではないが,仕事や作業用のPCとしては,十分以上の性能を期待できる。なお,LenovoやLG Electronicsの製品は,国内未発表モデルである
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 とくにIntelは,Core Ultraにおいて,AMDのノートPC向けプロセッサ「Ryzen 7 7840U」への対抗意識をむき出しにしている。Ryzen 7 7840Uと言えば,2023年に登場した携帯型ゲームPCの多くが採用しているプロセッサだ。そのRyzen 7 7840Uよりも,「Core Ultra 7 165H」は高性能かつ低消費電力というのが,Intelの主張だ。

Ryzen 7 7840Uを基準として,Core Ultra 7 165Hがどれだけ低消費電力で動作できるかを示したスライド
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 PCゲーマーならご存じのとおり,ゲームグラフィックスにおける処理性能は,GPUやCPUそのものの速さだけでなく,ドライバソフト,とくにGPU向けのグラフィックスドライバソフトの出来が大きく左右するもの。その点,IntelのXeアーキテクチャのGPUは,「DirectX 12における素のGPU性能は高そうだが,ドライバの出来がいまいちで,実際のゲーム性能では競合に負ける」という残念な状況が続いている(関連記事)。
 そのため,Core Ultraの実力が高い水準にあったとしても,Ryzen 7 7840Uの牙城である携帯型ゲームPC市場に食い込んでいけるのか。あるいは単体GPUなしのCore Ultra搭載ノートPCで,快適にPCゲームがプレイできるのかは,未知数としか言いようがない。今は,携帯型ゲームPCメーカーへの売り込みや機器開発支援や,ドライバソフトの改善などに期待したいところだ。


CPUとGPU,NPUでAI処理を分担できるCore Ultra


 話をAI処理に戻そう。
 IntelはCore Ultraに,「Neural network Processing Unit」(NPU)と称するAI処理アクセラレータを実装した。そしてCore Ultraは,NPUとGPU,CPUを活用するAI処理フレームワーク的な「Intel AI Boost」に対応することを大きくアピールしている。AI処理の内容によっては,NPUで処理するのが常に正解というわけではなく,内容に応じてGPUやCPUでも処理できるようにすることで,処理性能と消費電力のバランスを取れるというわけだ。

Core Ultraは,GPU,NPU,CPUを使い分けて,用途に適切なユニットで処理を行える
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 その例として,インテル技術本部 部長の安生 健一朗氏が披露したのが,Stable Diffusionを使ってPC単独で画像生成を行うデモだ。このデモでは,イメージ生成に用いる「プロンプト」の解釈をGPUに,「この語に相当する要素は除外する」ことを指示する「ネガティブプロンプト」の解釈にはNPUを用いるといったCore Ultraならではの使い分けを行っていた。
 Windows 11の現状最新版である「23H2」は,すでにCore UltraのNPUに対応しており,「タスクマネージャー」でNPUの使用状況を確認できるようになっており,その披露も兼ねるデモだ。

Core UltraでStable Diffusionを実行するデモ。NPUに一部の処理を割り当てているため,タスクマネージャーでNPUの処理負荷を確認している
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 今回はあくまでも「こういうこともできます」というデモで,ネガティブプロンプトの処理にNPUが最適というわけではないそうだが,すでにこうした使い分けが可能になっているというのは興味深いところだ。
 今のところ,ただちにNPUをゲームに応用するというのは難しいかもしれない。しかし,NVIDIAが「DLSS」という手法で,GPUに内蔵したAI処理ユニットの活用方法を提示したように,IntelがNPUをゲームに応用する方法を考案して開発者に広く公開すれば,将来のゲームでNPUが当たり前のように利用される時代が来るかもしれない。

 Intelは,Core Ultra搭載ノートPCを店頭で体験できる「インテルCore Ultraプロセッサー搭載AI PC体験コーナー」を,東京・有楽町のビックカメラ有楽町店と,東京・秋葉原のソフマップAKIBA パソコン・デジタル館で実施中とのこと。Core Ultra搭載ノートPCに興味のある人は,足を運んでみるといいだろう。

ビックカメラ有楽町店とソフマップAKIBA パソコン・デジタル館で体験展示を実施中。ビックカメラ有楽町店は,12月21日までノベルティグッズがもらえる発売記念イベントを実施中だ
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IntelのCore Ultra製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    Intel Core Ultra(Meteor Lake)

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