プレイレポート
[インタビュー]「SAND LAND」デモ版プレイレポ&プロデューサーインタビュー。世界観を大事に,ゲームでしかできない体験の掘り下げに挑む
「SAND LAND」のゲーム版が登場。鳥山 明テイストあふれる戦車やロボットを乗り回して砂漠の世界で暴れまわれ
バンダイナムコエンターテインメントは,ゲーム版「SAND LAND」を発表した。公開された映像では,戦車や人型メカなどのさまざまなビークルや,格闘による戦闘,ステルスアクションと思しきシーンなどを確認できる。
本稿では,メディア向けに実施されたデモ版の試遊と,ゲーム版「SAND LAND」のプロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントの南 敬洙氏へのインタビューをお届けする。先行で発表された映画版の表現に留まらないクオリティとボリュームを備えているという,ゲーム版「SAND LAND」の魅力の一端を感じてもらえれば幸いだ。
なお,原作コミックは現在期間限定でジャンプ+(リンク)やゼブラック(リンク)にて無料配信されている。今回の映画,ゲームの発表で「SAND LAND」を初めて知ったという人は,そちらもチェックしてみてほしい。
映画「SAND LAND」公式サイト
原作序盤のアクションを完璧に再現したうえで,ゲームならではの世界の広がりも演出
今回のデモ版は,原作コミック序盤のアクション映えするシーンを再現したもので,PS5にてプレイすることができた。
まずゲームを起動させると,いきなり原作1話の見せ場,巨大なゲジ竜と主人公のベルゼブブ一行が乗るジープとのチェイスがスタート。ベルゼブブは人間を遥かに超える戦闘力を持つ魔族の王子だが,ゲジ竜に関しては「あんなのこのオレにもたおせないぞ!」と原作で断言しているため,ゲーム版の本作でも,ここは逃げの一手でやり過ごすことに。画面奥から迫ってくるゲジ竜の出現ポイントを予測しながらトラックを走らせ続けるシーンを,アクションゲームとして体験できた。
ゲジ竜から逃げ切ると,燃料と水を確保するために近くの村へ向かうという,原作2話目の流れに乗ってストーリーが進行していく。しかし今回は「ベルゼブブやメカのアクションを体験する」目的で作られたデモ版ということで,砂漠に戦車が置いてあったほか,攻撃をしかけてくる野党&ジャンプメカ,恐竜っぽい見た目の原生生物などが出現した。ジープでの会話と村の前で待ち構えている盗賊団との戦いで終わっていたコミック2話目とは異なり,さまざまな敵を相手に,ベルゼブブのアクションや戦車での戦闘を体験できた。
ベルゼブブと戦車のバトルは,どちらで戦うかでゲームスピードと火力が大きく変わる印象だ。ベルゼブブの場合は,[□]ボタン(弱攻撃)や[△]ボタン(強攻撃)の打撃でコンボしたり,[○]ボタンの大技,[R1]ボタン+[□]ボタンで出せる必殺技で攻撃したりしながら,安全に移動できる回避を使ったスピーディーな立ち回りを楽しめる。
戦車は,回避の際にブーストを使用したり,主砲や機銃のリロード時間が設けられていたりと,より繊細な操作を必要とするが,一撃の威力はベルゼブブの打撃よりもはるかに強力だ。ベルゼブブで倒すには何十回も殴る必要があるジャンプメカも,戦車であれば主砲を数発命中させるだけで破壊できた。一方,的が小さく動きの早い相手に主砲を当てるときは,しっかり狙って撃つ必要がありそうだ。
本作の戦闘は,人間サイズの敵にはベルゼブブ,耐久力が高いメカに対しては戦車で対抗といった感じで,相手に合わせて戦うスタイルを決めるのがキモになりそうだ。
「SANDLAND」プロデューサー,南 敬洙氏インタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回遊ばせてもらったゲーム版の「SAND LAND」には,野生生物やメカとの戦闘といった,原作コミックにはない要素がありました。ゲーム版の発表タイミング的に,映画が公開される8月前後に発売されて,さっくり遊べる程度のボリュームだと思っていたのですが。
南氏:
いえ,ゲームはゲームでしっかり準備期間を経て,開発がスタートしているタイトルです。原作に描かれている要素はほぼカバーしつつ,オリジナルを超えるような体験ができる要素も盛り込んでいく予定です。
4Gamer:
なるほど。映画ありきの企画というわけではなく,ゲーム単体で満足のいく体験ができるコンテンツを目指す方向性なんですね。
南氏:
映画の製作チームとは連動はさせていただいていますけど,アニメとゲーム,それぞれの作り方がありますので,そこはお互い得意な作り方を尊重しつつ,ゲームとしてよいもの,「SAND LAND」の世界を広げていけるものを作って,最適な発売時期を決めることになると思います。
4Gamer:
ゲームオリジナルの要素にはどんなものがありますか。20〜30時間遊べるということは,サブクエストのようなものもあるのでしょうか。
南氏:
はい,サブクエストだけでなく,ダンジョン攻略もあります。「SAND LAND」の世界を探索できる遊びを盛り込みたい,という想いがベースにあって,そこからの派生で魔物や人間と交流するサブクエストや,ダンジョンで素材を集めてメカを強化するといった遊び方が追加されていきました。プレイヤーのスタンスによって,遊びの幅はかなり広がり,サブコンテンツややりこみ要素を含めると,100時間は遊べると思います。
4Gamer:
メカの強化という要素は,具体的にはどのようなものなのがありますか。
南氏:
まだ詳しく話せませんが,ベルゼブブが操縦できるメカは今回遊んでいただいたジープや戦車以外にもたくさん用意しています。現状だと,PVでジャンプメカやバイクが紹介されていますね。これ以上は今後の情報公開にご期待ください。
4Gamer:
今回のバージョンですとジープは乗り捨てて,途中から戦車に乗ってゲームが進行しました。製品版ではメカはどのような形で利用していくんでしょうか。
南氏:
まずメカは乗り捨てていくことはありません。製品版ではベルゼブブがその場で呼び出せるメカをあらかじめ設定して,一部例外はありますが,基本的に好きな時に取り出せます。このシチュエーションではどういうメカを持っていこうか,といった選択ができるんです。
4Gamer:
今回敵として出現したジャンプメカにも製品版では乗れるんですよね。メカは乗っている兵士を倒して奪っていく形なのでしょうか。
南氏:
原作にあるように,戦車を奪うシーンがゲーム内にありますが,メカは基本的に設計図を手に入れて製作します。製品版ではメカが持つ特徴を生かせる場面を用意しており,たとえばジャンプメカだと名前からもわかる通り,高い場所へ登る際に役立つようなギミックが備わっています。
4Gamer:
戦闘は基本的に人間相手はベルゼブブで,メカ相手は戦車などに乗って戦うことが想定されているように感じました。アクションが得意な人であれば,ベルゼブブでメカを倒せるんでしょうか。
南氏:
難度は高いかなと思いますが,スタッフにはベルゼブブでメカを倒せる人もいます。レベルが上がると攻撃のバリエーションが増えるので,それをうまく生かせば可能だと思います。
4Gamer:
ベルゼブブが成長することで,攻撃のバリエーションはどのように増えていきますか。
南氏:
[□]ボタンや[△]ボタンを連打するとコンボがつながっていくのですが,それがどんどん伸びていきます。また,今回の試遊版ではスキルはひとつだけ実装していますが,製品版ではほかにも複数のスキルを習得できます。そこでもベルゼブブの戦いの幅は広がっていきます。
4Gamer:
なるほど。戦闘システムはかなり充実していそうですね。
続いてグラフィックス面の質問なのですが,「SAND LAND」は設定的に砂漠以外のフィールドがほとんど作れず,見た目に変化を付けにくいように感じます。その点は大変ではありませんでしたか。
南氏:
確かに砂漠の風景は単一に見えがちですけど,そこは工夫しています。夜の砂漠で行動するシチュエーションもありますし,フィールドに高低差を生み出して,その縦の幅を利用した遊びも入れています,砂漠が舞台だから作りにくいのではなく,砂漠だからこその新しい遊びを入れる,プラスの考えでいろいろなアイデアをゲーム内に盛り込んでいます。
4Gamer:
夜の砂漠も移動できるんですね。昼と夜の砂漠でゲームプレイに影響する変化はありますか。たとえば気温が下がって体力が減っていくといったような。
南氏:
あまりプレイヤーがデメリットと感じるだけの要素は入れないつもりでいます。昼夜表現は砂漠をいろいろな角度から表現したい,という想いから入れた要素になります。
4Gamer:
なるほど。少し話は変わりますが,バンダイナムコエンターテインメントさんは,日本で1,2を争うぐらい鳥山 明先生のキャラクターを動かしている会社だと思います。「SANDLAND」の制作の中で,これまでのノウハウが生きたと感じたことや,逆に新しい挑戦になったなと思ったことはありましたか。
南氏:
私たちは「ドラゴンボール」のゲームを作っているチームと近いところにいるので,企画や表現方法はプロデューサー間で共有しています。でも今回は「ドラゴンボール」のゲームの良さやノウハウを参考にしつつも,「SAND LAND」ならではの良さを引き出すことに力を入れています。
4Gamer:
メカの描写に気合を感じましたが,「SAND LAND」ならではの表現なのでしょうか。鳥山 明先生が描いたメカの再現にこだわったゲームはあまり見当たらない気がします。
南氏:
そうですね。「SAND LAND」は鳥山先生の描くメカが好きな人にも刺さるゲームだと思います。これまで鳥山先生が描いたメカを参考にしつつ,「SAND LAND」にマッチするメカはどういったものかを,しっかり集英社様との話し合いやご指摘の元決めました。また,鳥山先生にはシナリオの総監修にも入っていただいています。
4Gamer:
「SAND LAND」だけでなく,鳥山 明先生のファンにも楽しみな作品になりそうですね。では最後に,読者へのメッセージをお願いします。
南氏:
「SANDLAND」は鳥山先生が描かれた作品で,不朽の名作として世界中で今でも愛され続けています。バンダイナムコエンターテインメントとしては,ゲームのみならず,映画でも多くの人に本作の魅力を届けたいと思っています。ゲームは,ベルゼブブを中心に物語が進むアクションRPGで,メカを作って操作する楽しみも味わえる作品になっています。触れていただければゲームの魅力も感じられると思いますので,今後は一般のユーザーさんも遊べる機会を用意する予定です。SNSなどで情報を発信すると思うので,期待してお待ちください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
映画「SAND LAND」公式サイト
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(C)バード・スタジオ/集英社 (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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