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ありがたき哉 日本語化:偉人でヴァンサバ! な「Time Survivors」をご紹介。クレオパトラなどで遊べるプロローグ版を無料配信中
「ありがたき哉 日本語化」は,ここ最近で日本語対応となった海外作品を良い機会だからあらためて紹介しようという,フワッとしたコーナーです
ヴァンサバといえば2022年の大流行後に多くのフォロワーを生んだローグライトゴシックホラーカジュアルアクションゲーム「Vampire Survivors」(PC / Xbox Series X|S / Xbox One / iOS / Android)ですが,同作を遊んで「キャラは歴史上の人物がいいなあ……」と思った人もいたんじゃないでしょうか。 え? いない? やっぱりいないですか。
かくいう筆者も全然思ったことはないですが,今回ご紹介する「Time Survivors」はそんなゲームであり,ヴァンサバの中毒性はそのままに,クレオパトラやリンカーン,テスラといった歴史上の人物で遊べる点を最大の特徴としています。本作はSteamで無料のプロローグ版が2023年4月17日に配信開始となりまして,5月7日に日本語が追加されたんですよね。ありがたき哉。
歴史上の人物達がさまざまな時代で戦うヴァンサバフォロワー
Time Survivorsは,インディーズスタジオ・Lunar Chiliが手がけている作品です。同スタジオの詳細は分からないのですが,プロローグ版リリース時の告知文によれば,本作は3人で開発しているようですね。
前述のとおり本作はヴァンサバのフォロワーに位置付けられる作品ですが,「そもそもVampire Survivorsってなに?」という人もいるでしょう。
ごく大雑把に説明するとヴァンサバは,2Dの見下ろし視点で展開するアクションゲームです。プレイヤーは,攻撃アクションをとり続けるキャラクターを操作して(つまり主に移動の操作のみを行って),武器を入手し,それらを強化しながら360度の全方向からワラワラと迫ってくる大量の敵を倒していきます。「こちら」の記事を読めば,ゲームシステムはざっと把握できるでしょう(少し前の記事なので,現在の形とは少し異なりますが)。
Time Survivorsも遊び方は同じです。キャラクターの操作は移動のみで,レベルアップなどで獲得した武器を強化しながら,ひたすら敵を倒していきます。ステージの攻略中にミニボス(中ボス)が登場するほか,ステージの終わりにはエンドステージボス(大ボス)も待ち構えています。1ゲームに要する時間は約20分です。難しい操作はなく気軽に遊べることや,文字通り画面を埋め尽くす敵キャラをブチブチと撃破していく爽快感,ローグライト然としたキャラクタービルド関連システムなどによって中毒性の高いゲームとなっているのは,まさにヴァンサバフォロワーといったころですね。
本稿執筆時点(5月29日)で,プロローグ版では7人のプレイアブルキャラクターを,2つのステージでプレイできます。ステージは「ダークエイジ」(ゲーム内の説明によれば“984年”)と「石器時代」(同“1億4400万年前”)で,このように時代で舞台を分けている点,そして石器時代なら恐竜といった具合に,各時代にちなんだ固有の敵が登場する点も本作の特徴です。「原始時代の世界でテスラが恐竜に電撃を浴びせる」みたいなシュールな場面を楽しめるゲームだと考えてください。
あのクレオパトラが! リンカーンが! テスラが! ただ生き延びるために暴れ回る
プロローグ版で最初から選べるキャラクターはClaire(クレア。ゲーム内の説明では“2701 - 2724 AD”)という謎のキャラクターで,そのほかNed,Abe,Cleo,Nik,Nero,そして最近追加されたAnitaを,順次アンロックしていけます。上記はいずれもゲーム内の表記ですが,たとえばAbe(エイブラハム)はリンカーン,Cleoはクレオパトラといった形で,歴史上の人物を表現したキャラクターというわけですね。「ネアンデルタール」であるNedが歴史上の人物かどうかは難しいところですが。
キャラクターごとの違いは,ポートレート,最初に持っている武器,そのほか体力や移動速度,攻撃力,成長速度,武器使用のクールダウン時間,クリティカルヒット確率といったさまざまなパラメータです。違いが分かりにくいパラメータも多いですが,例えば1つの武器を振ったり投げたりする数を表す「弾薬追加」,落ちているアイテムを吸い寄せる範囲を表す「アイテム回収範囲」などは体感しやすいでしょう。なんにせよ,2人目以降のキャラクターをアンロックする頃にはClaireをそれなりにプレイしているはずなので,細かいパラメータの違いによるプレイフィールの違いも分かるようになっているんじゃないでしょうか。
呪い付きの「遺物」などでキャラを強化。ビルドの具合はサンドボックスで試せる
プレイヤーキャラクターは,プレイ中に武器やバフ(便宜上,武器以外のものをバフと呼びます)を複数入手し,それらを強化することで強くなっていきます。武器やバフの入手と強化は,敵を倒した時に落とす「ジェム」を集めることによるレベルアップ,中ボスがドロップする謎のボックスの開封で行える仕組みですね。本作はヴァンサバと同様に武器やバフのスロットが限られているので,「レベルアップ時に獲得可能なものからどれを選ぶか」がかなり重要です。
本作では基本的に,プレイヤーキャラクターがやられてしまうとレベルとすべての武器,バフを失い,リプレイは最初からという形となります。
ただし,ステージで拾ったり,武器やバフのスロットが埋まった状態でレベルアップしたりして得られるお金(その名も“金”)を使って,常時発動型の,いわゆるパッシブ能力のようなものを獲得できます。この能力はキャラクターがやられても永続的に使用可能なので,この分だけ,プレイしていれば少しずつ生存時間が延びていくわけですね。
もう一つ,「遺物」(レリック)という要素もあります。
遺物は,特定のターゲットを倒すことで,武器やバフと同じように選択して入手できます。おとりにできるホログラムを10秒間表示する,キャラクターが歩いた軌跡に火を生成するなど,ラインナップは割と強力な効果を持ったものから微妙なものまでとさまざまです。
この遺物ですが,実はもれなく“呪い”がかかっており,これを解除しないと使えません。解除すべき呪いとしては,プレイヤーキャラクターが一撃で死ぬ状態で200体の敵を倒す,移動速度が半分になった状態で一定の距離を歩くなどと,ちょっとイヤな内容となっています。リスクとリターンを考えて入手する必要がある強化要素ということですね。
しばらくプレイしていると,各武器の強さやバフの具体的な効果,そして遺物の能力も含めたキャラクタービルドが気になってきますが,これを試せるのが,メインメニューから選べる「サンドボックス」です。
このモードは死なないキャラクターで,任意の武器やバフ(いずれも好きなレベル),遺物の組み合わせを,敵のウェーブを出現させて試すことができます。実はステージの大ボスと戦うことも可能なので,ビルドと共に立ち回りも試せる優れものです。
次は誰が実装されるのか……
複数のキャラクターでプレイできますし,難度もまあまあ良い塩梅で死と成長を体験できますし,プロローグ版の時点でも本作はかなり遊べます。大小のアップデートは頻繁に行われており,5月18日にも新キャラのAnitaが追加されたところです。偉人・有名人ならいくらでも(?)存在していますし,それ以外のコンテンツもどのように拡充されていくのか,興味深いところです。
本作の製品版は2023年第4四半期に登場する予定となっています。
現時点では,一部ヘンな日本語があったり,文字がとてつもなく小さく表示されたりといったいくつかの問題が見られましたが,シンプルなゲームなのでそれほど困ることはないでしょう。繰り返しになりますがプロローグ版は無料なので,興味のある人は気軽に試してみるといいと思います。
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