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人を移動させる努力とさせない努力。位置情報ゲームならではの面白さと苦労が語られた「mapbox/OpenStreetMap 忘年会 meetup #14」
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印刷2023/12/21 14:02

イベント

人を移動させる努力とさせない努力。位置情報ゲームならではの面白さと苦労が語られた「mapbox/OpenStreetMap 忘年会 meetup #14」

 2023年12月18日,「mapbox/OpenStreetMap 忘年会 meetup #14」が東京都内で開催された。デジタル地図を制作し,位置情報ゲームとも縁が深いMapbox JapanとOpenStreetMapユーザーコミュニティが交流するこのイベントでは,「信長の野望 出陣」iOS / Android),「ポケモンGO」iOS / Android)などのゲームに携わる人々が登壇。位置情報ゲームならではの人のコントロールなど,興味深いテーマが語られた。

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●「mapbox/OpenStreetMap 忘年会 meetup #14」登壇者一覧
・古橋大地氏(青山学院大学 教授)
・高田 徹氏(マップボックス・ジャパン合同会社 CEO)
・金原 寛直(マップボックス・ジャパン合同会社,アカウントマネージャー)
・菊地啓介氏(コーエーテクモゲームス 「信長の野望 出陣」開発プロデューサー)
・山崎富美氏(旅人。2024年4月からデジタルハリウッド大学大学院 教授)
・古山隆幸氏(イトナブ 代表取締役)


写真左から,古山隆幸氏(イトナブ 代表取締役),山崎富美氏(デジタルハリウッド大学大学院 教授),菊地啓介氏(コーエーテクモゲームス 「信長の野望 出陣」開発プロデューサー)
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人を移動させる努力とさせない努力

位置情報ゲームならではの面白さと苦労


 「mapbox/OpenStreetMap meetup」は,デジタル地図開発プラットフォームのマップボックス・ジャパンと,オープンデータの地図情報を作るOpenStreetMapのユーザーコミュニティが交流するイベントだ(Mapboxの地図は「信長の野望 出陣」や「ドラゴンクエストウォーク」iOS / Android)でも使われており,位置情報ゲームとも縁が深い)。主催するのは,地図情報コンサルティングを行うマップコンシェルジュの代表取締役社長であり,青山学院大学で空間情報学/地図学の教授を務める古橋大地氏が率いる古橋研究室。

 今回は,「現実とゲームの狭間へ!位置情報ゲームコミュニティがつくる未来」をテーマに,「信長の野望 出陣」開発プロデューサーである菊地啓介氏,かつてNianticで「Ingress」iOS / Android),「ポケモンGO」,「ハリー・ポッター:魔法同盟」iOS / Android),「Pikmin Bloom」iOS / Android)といったタイトルに携わり,現在は旅人であるとともに2024年4月よりデジタルハリウッド大学大学院の教授となる予定の山崎富美氏,被災した宮城県石巻市と「Ingress」「ポケモンGO」を絡めたイベントに関わったイトナブの古山隆幸氏が,位置情報ゲームについて語っている。

 まずは,三氏が携わったタイトルについての概略があらためて語られた。
 菊地氏曰く,「信長の野望」IPとGPSを使った位置情報ゲームの親和性は,社内で7〜8年前から話題に上っていたが,なかなかプロジェクト化には至らなかったという。しかし「日常を豊かにしたい」という思いがあり,「歩いて領地を広げていく」現在の形としてリリースされたと開発秘話を披露した。  
 山崎氏は「Ingress」をきっかけに交流や被災地への寄付が行われ,「ポケモンGO」ではポケモンが出ない清掃活動イベントが成立するなど,プレイヤーコミュニティの力が現実の世界に波及するのは位置情報ゲームならではであると,このジャンルだからこそ起こせた現象を評価する。
 また,古山氏は東日本大震災で被災した石巻市に位置情報ゲームで貢献できないかと考えて「ポケモンGO」のイベントを行った際,多大な経済効果があったのと同時に,来訪者の多さに戸惑った市役所から連絡が来た……と当時のウラ話を語った。

位置情報ゲームを起点とし,現実世界でのボランティアが行われる例もある
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 このように,リアルな土地とゲームプレイが密接に関係するのが位置情報ゲームであり,イベントの場所には人が集中する。中でも2016年に「ポケモンGO」と東北が連携したイベントでは約20億円の経済効果があったというから,その力は大きい。

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 宮城県庁観光課は2016年12月19日,岩手県,宮城県,福島県,熊本県で執り行った,「Pokémon GO」などの位置情報ゲームとの連携イベントに関する観光客入込数等を明らかにした。人気ポケモン「ラプラス」が出現したこともあり,その経済効果は“約20億円”だったという。

[2016/12/20 17:55]
「ポケモンGO」と東北が連携したイベントでは約20億円の経済効果があったという
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 そのため,イベントを立案するうえでは,人を集めすぎないための工夫も求められることになる。
 「信長の野望 出陣」では名城に対するリスペクトのもと,各地域と打ち合わせ、ゲーム内でも安全な場所にスポットを置く様に気を遣っているという。菊地氏は「(自治体と)相思相愛でないとイベントはうまくいかない。その場所へ行く必然性と,地域側での準備が合致して初めてうまくいく」と連携の大切さを指摘した。
 「ポケモンGO」のイベントにおいては「人をどう動かす,どれだけ動かすかの設計が重要だった」と山崎氏は語る。同作ではイベントに参加するため事前にチケットを入手する制度が設けられたが,これは参加人数を事前に把握する狙いもあるとのこと。

 また,イベントにおいては,人を移動させる努力とさせない努力を同時に行っていたと山崎氏は語る。例えば「ニコニコ超会議」でのイベントでは,会場にいる人に「ポケモンGO」を楽しんでほしいものの,もともとが大規模なイベントであるため,人を集中させるとキャパシティオーバーしかねない……という複雑な事情があった。そのため,公式から事前アナウンスをすることなく,現地でサプライズ的に3時間のイベントを行うという手法が採られた。

 「ポケモンGO」では横須賀でもイベントを行っているが,ドブ板通り商店街など現地で買い物をしてほしいという願いもあったそうだ。これを実現するため,ポケモンが出現する場所を調整したり,一定額以上の買い物でリアル景品を配布するなどの工夫を凝らしてプレイヤーを誘導している。もちろん自治体との連携や準備も必要であったものの,プレイヤーと自治体,Nianticが皆ハッピーになる体験を作れたそうだ。
 古山氏が語るのは,自身が携わった石巻でのラプラス大量発生について。このイベントは一週間にわたって行われる予定だったが,最終日の前日に地震が発生してしまった。イベントの継続について各所に確認を取ったところ,“被害もなかったのでやってほしい”という希望が出たものの,Nianticと協議した上で,ラプラスの出現を停止する措置がとられている。この時にはクレームも寄せられたそうだが,古山氏は「人を動かすうえでは,いいこともあるが,アプリの会社が大きな責任を負うことでもある」と痛感したそうだ。

石巻市のラプラス大量発生イベントでは,古山氏らがマナーを啓発するステッカーを配っている
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 このように,世間からの認知も高まり,大きな影響力を持つに至った位置情報ゲーム。タイトルごとの棲み分けが進んでいるのに加え,プレイヤーを長時間拘束せず生活にフィットするスタイルも多くなっていると古橋氏は現状を総括する。
 「ポケモンGO」のマップ画面で天候に合わせて風が吹くなど,地図表現もリッチ化していることに山崎氏は,「ゲームが現実に寄っていく,現実がゲームに寄っていく,その両方ができるのが位置情報ゲームの面白いところである」と語る。
 「Ingress」ではプライド月間に合わせてXM(エキゾチックマター。画面上に散らばる光の粒)を虹色とし,「ポケモンGO」においてはシンガポールのイベントでラプラスのバルーンを水上に浮かべるなど,ゲームとリアルを重ね合わせていく取り組みが行われている。
 山崎氏が言う“南半球問題”(北半球と南半球では季節が逆になる)こそあるものの,個人的にはタイトルへの愛着を深め,定着率を上げるにも有効な施策であると思ったが,同時に,生活や習慣に密着したアプリであることも求められる位置情報ゲームには,独特の面白さと難しさがあるようにも感じられた。

会場では,金原氏からMapboxの進化についても語られている
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「Mapbox Geofence」では,ユーザーの入退店などを検知でき,マーケティング情報としても活用できるという
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「Mapbox Playable Locations」は位置情報ゲームに使うポイントを,安全な位置にランダム配置できる
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B2Cアプリにおける,地図を利用したゲーミフィケーションの可能性についても語られている。プレイヤーの位置情報とインセンティブを組み合わせ,誘導を行うこともできるのではないか,と金原氏
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