企画記事
「ロックマンエグゼ」のアニメ全編が5月末まで配信中。ゲームとはちょっと違うエグゼをこの機会に一気見するのはいかが?
発売から20年以上経った今も支持の声は根強く,2023年4月14日には,ナンバリング10タイトルを詰め込んだ待望の移植作「ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション」(PC/PS4/Switch)がリリースされた。読者の中にも現在進行形で「ロックマンエグゼ」を再び楽しんでいるという人はいるのではないだろうか。
ゲームが人気を博す一方で,メディアミックス展開も積極的に行われ,「コロコロコミック」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」では漫画作品が,地上波ではテレビアニメも放映されていた。これらのメディアミックス作品は「アドバンスドコレクション」の発売を記念し,5月末まで無料で公開されており,まさに「ロックマンエグゼ」を楽しみつくすには絶好のタイミングと言えるだろう。
今回は,そんなメディアミックス作品の中から「ロックマンエグゼ」のアニメシリーズを紹介していく。ゲームとの違いという話題にフィーチャーしているので,アニメを視聴したことのない人も本稿を読んでから観ればより楽しめるはずだ。
ゲームをベースに独自の発展を遂げたアニメ
アニメもゲームに劣らず長く展開が続き,無印の「ロックマンエグゼ」以降も,「ロックマンエグゼ AXESS」「ロックマンエグゼ Stream」「ロックマンエグゼBEAST」「ロックマンエグゼBEAST+」と全5シリーズ,約4年にわたって放送された。
ゲームをアニメ化する際には,アニメ独自の表現や設定などが追加されることがよくあるが,それは「ロックマンエグゼ」も例外ではない。
例えば,ゲームでは開始直後から熱斗のナビはロックマンだが,アニメの冒頭では普通のネットナビを所有しており,アニメ第1話の最中でパパからロックマンをプレゼントされるという流れになっている。さらに熱斗のパパが世界中を旅する冒険者だったり,シリーズでおなじみのクラスメイト綾小路やいとは,ゲームメーカー「ガブゴン」の社長令嬢で,本編途中で登場する転校生だったりする。アニメとゲームでは設定の細かいところで違いがかなりあるのだ。
それでもアニメ1作目の段階では,基本的にゲームの設定を大きく外れることはなかったが,目に見えて大きく変化があったのが,2作目「ロックマンエグゼ AXESS」だ。AXESSでは,電脳空間のウイルスや悪いネットナビたちが現実世界に実体化する事態が巻き起こっており,これに対抗すべく熱斗たちは「クロスフュージョン」という力を使って,ナビと合体して戦うことになる。
クロスフュージョンはゲームには登場しない完全なアニメオリジナル要素で,ナビと合体する際のバンクも用意されているなど,いわゆる“変身ヒーローもの”の要素を強く取り入れたものだ。
このアニメオリジナルの要素が足されていくという展開は,「ロックマンエグゼ AXESS」以降も継続する。3作目「ロックマンエグゼ Stream」では,デューオから与えられた“試練”をクリアし,彼が目論む“地球抹殺”を回避することが物語の中心になる。デューオが強大な存在なのはゲームと変わらないが,物語のアプローチの仕方がまったく違う形になっている。
さらに,4作目「ロックマンエグゼ BEAST」では,電脳獣グレイガとファルザーが“ビヨンダード”という並行世界に住む存在となり,戦いは現実世界とビヨンダードを巡る戦いへと発展していく。こちらもグレイガとファルザーというゲームの要素は拾われているがまったく違う設定により,独自の物語が紡がれている。
実は筆者はこうしたアニメオリジナル要素について,当時あまり好きではなかった。どうしてもゲームとの違いが気になってしまい,「一部の設定だけを借りて無茶苦茶やっているよくあるゲームのアニメ」くらいにしか思っていなかったのだ。
しかし,改めて見てみるとゲームの設定をアニメ風にアレンジし,かなりうまく落とし込んでいることが分かる。本来は別々のタイトルで語られたストーリーを1つにまとめたり,本来は登場しないキャラクターをうまく入れてシナリオを動かすことで,世界にも独自の拡がりが見られるし,ゲームをプレイしていても先の展開に予想がつかない。常にワクワクしながら視聴できるのだ。
特に筆者がうまいと思ったのが,火野ケンイチ(ヒノケン)のネットナビの設定だ。ゲームではタイトルごとにナビを使い分けていたヒノケンだが,ナビをなぜ変えているのかという理由については,大きく取り上げられることはなかった。
アニメではこの点が掘り下げられており,戦いの中でデリートの危機に陥ったファイアマンのデータを移植し,ヒートマンを完成させたという設定になっている。これだけでもかなり熱いのだが,「ロックマンエグゼ AXESS」で再びヒートマンが消滅しそうになったときに,ヒートマンに残っていたファイアマンのメモリが再び復活し,再転生を遂げるのだ。アニメ的にも非常に盛り上がる展開なうえ,ゲームの要素をアニメのストーリーにうまく落とし込んでいる素晴らしいアレンジと言えるだろう。
クロスフュージョンにしても,現実世界に出てくるウイルスやナビが巨大化して街を襲うなど,「ボス感」のようなものが出せているし,ソウルユニゾンといったゲームの要素ともうまくミックスされていて,新鮮さがある。
ナビと合体した姿の人間が現実世界で活躍するという構図も,「ロックマンエグゼ」から遠い未来を描いた「流星のロックマン」シリーズを思い起こさせる。あくまで想像だが,アニメのオリジナル要素がシリーズの後継作に少しでも影響を与えていた部分もあったのかなと考えると,熱い流れと言えるのではないだろうか。
ガッツリ描かれるサブキャラクターの掘り下げにも注目!
もう1点注目してほしいのが,サブキャラクターたちの描写である。ゲームでは,主要キャラ以外の登場人物はナンバリングごとにコロコロと変わっていたため,そこまでキャラクターについて大きく語られることはなかった。
アニメはこのキャラクターの部分が大きくフィーチャーされており,先ほど例に挙げたヒノケン以外にも,ゲームにはない掘り下げが行われている人物が多く存在する。
初代「ロックマンエグゼ」で各章のボスに過ぎなかったWWWのメンバーは,ストーリーが進んでもずっと登場し続けるし,マサや黒井みゆき,サロマといったシナリオに直接関係なかったキャラクターもアニメではガッツリ物語に関わってくる。
キャラクター同士の関係性もかなり変わっている。ゲームをプレイしているだけでは想像もつかないような意外なキャラクター同士の絡みも多く描写され,キャラクターが生き生きと動いている様子は見ていて楽しい。
こうしたゲームとの違いというのは,プレイ済みのファンであるほど,発見できる点だと思う。アニメ未視聴のファンはこれを機会に視聴すれば,アニメオリジナルのアレンジがかなり新鮮に見え,楽しく見られるはずだ。アニメを追っていたという人も,20年近く経った今改めて見ると,当時は気づかなかった新たな見え方や発見があるかもしれない。興味のある人は一気見できるこの機会を逃さないようにしよう。
アニメ「ロックマンエグゼ」シリーズ特設ページ
「ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション」公式サイト
- 関連タイトル:
ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション
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ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション Vol.1
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ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション Vol.2
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ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション
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