インタビュー
[インタビュー]「ドラゴンボール Sparking! ZERO」古谷Pに17年ぶりにシリーズが復活した経緯,DBらしさを追求したこだわりを聞いた
[プレイレポ]「ドラゴンボール Sparking! ZERO」は,進化した映像表現と圧倒的なキャラ数がファンの心を揺さぶる。その一端を体験してきた
「ドラゴンボール Sparking!」シリーズの約17年ぶりの新作として制作されているバンダイナムコエンターテインメントの3Dアクション「ドラゴンボール Sparking! ZERO」。5月下旬に実施されたメディア向け試遊会で,開発バージョンのプレイフィールを確かめてきたので,その内容をお届けする。
「ドラゴンボール Sparking! ZERO」公式サイト
ドラゴンボールらしいアクションを追求した「Sparking!」シリーズ復活の経緯
――「Sparking!」シリーズが復活した経緯について聞かせてください。
古谷 純氏(以下,古谷氏):
2007年にWiiで発売された「ドラゴンボールZ Sparking! METEOR」は,シリーズとしての完成度が高く,ひとまずやりきっていたかなという想いがありました。
そこからドラゴンボールを扱ったさまざまなゲームの展開もあって,「Sparking!」シリーズは息をひそめる形にはなっていたのですが,プラットフォームの進化もあって,いまもう一度チャレンジすればドラゴンボールのバトルとしての驚き,感動を新たに提供できるのではないかと思い,新作を作ろうという話になりました。
ゲームを含めたドラゴンボールというコンテンツが広がりを見せていることも後押しになりましたね。近年だと「ドラゴンボール ファイターズ」でeスポーツの世界大会が開かれるなど,ドラゴンボールのゲームを触ってくれる方が多くなっている印象もあります。ワールドワイドに訴求していくいい機会だと思って作らせてもらっています。
――開発スタッフは前作から参加されている人も多いのでしょうか。
古谷氏:
そうですね。前作まで開発で協力していただいたスパイク・チュンソフトさんに開発に入っていただいていますし,魂は引き継がれています。
――タイトルから「Z」が外れている理由があれば教えてください。
古谷氏:
「ドラゴンボール超」のテレビシリーズや劇場版のキャラクターを含んでいるからです。「Sparking! ZERO」というタイトルは,17年ぶりの復活でプレイヤーの状況が「Sparking! METEOR」などが発売されていた時期からは変わっているであろうこと,国内と海外のタイトル名を統一したいということがあったからです。
海外で過去作は「Budokai Tenkaichi」というシリーズ名で展開され,2→3とナンバリングを重ねていったという経緯もありまして,「Sparking!」に「ZERO」をつける形になりました。
――ドラゴンボールのゲームはコンスタントに発売されていますが,他作品と差別化する際に気をつけた部分や,「Sparking!シリーズのウリといったらこれ!」と自信を持っている部分を教えてください。
古谷氏:
「Sparking!」シリーズで我々が一番大事にしているのは,「ドラゴンボールのキャラクターになりきって遊んでいただきたい」という想いです。そのため楽しくなりきって遊んでもらう幅として,キャラクター数はできるだけたくさん用意しています。ここは大切にしているポイントですね。
本作ではより深く没入してもらうために,演出面を強化しています。気を溜め始めると草木がバサバサ動く,そこからフルチャージまで達すると,周りの岩などが壊れるなど,スーパー戦士の超パワーを分かりやすく体感できる演出を追求しています。
そして対戦ゲームの目線から言いますと,本作は「ドラゴンボール ファイターズ」のようなeスポーツ,プレイヤー全員が公平な条件下で戦うというよりは,キャラクターそれぞれの「らしさ」を表現するほうにフォーカスを当てています。ですので,原作で強いキャラクターは当然強いですし,逆に苦戦を強いられるキャラクターもいます。競技性というよりかは,ドラゴンボールのキャラクターとアクションを楽しんでもらいたいという想いが強いです。
キャラクターになりきる感覚,個性の再現を重視したバトルバランス
――キャラクターの個性や強さはどれぐらい重視する感じでしょうか。原作を忠実に再現すると,例えばミスターサタンだと悟空たちにダメージを与えられませんよね。
古谷氏:
もちろん最低限のラインはあります。サタンであっても攻撃を当てればダメージを与えられますし,技術があれば勝てるようにはなっています。もちろん,ゲーム共通のバトルシステムは使えるようになっています。例えば打撃で吹き飛ばした相手をドラゴンダッシュで追いかけて追撃するといった動きはできます。
サタンや亀仙人といった舞空術が使えないキャラクターは,ジャンプや空中の敵への追撃はできますが,空中に留まることはできなくて,飛び上がったあとはゆるやかに落ちていくようになっています。
――オンライン対戦にはランクマッチ的なものはありますか。また,ネットコードにはロールバックを採用していますか。
古谷氏:
ロールバックネットコードに関しては本作では実装しておりません。ランクマッチはあります。
――お互いの使用キャラクター数を最大3人まで調整できましたが,3対1のように選んだキャラクターの数に差があった場合,バランスを取るために人数が少ない側の能力がアップするようなことはありますか。
古谷氏:
いまのところ人数差で能力を変えるような仕様を実装する予定はないですが,チーム戦に関してはふたつのモードを用意するつもりです。
ひとつは1P,2P,どちらも自由に最大5キャラクターまで選べる形式で,もうひとつはキャラクターごとにDP――いわゆるコスト的なものを設定して,DPの上限に収まるようにキャラクターを選んでもらうような形式です。DPは名前こそ同じ孫悟空だったとしても,Z・前期,超サイヤ人,超サイヤ人ゴッドなど,強さによってコストは変えています。
――悟空やベジータなどは試合中に超サイヤ人になれました。フリーザやセルなども変身できると思いますが,試合中にパワーアップする条件はどのようなものになっていますか。
古谷氏:
スキルストックの数字が書かれている横にある,数字のアイコンが点灯しているとパワーアップできます。スキルストックが必要なので,戦闘直後にパワーアップすることはできませんが,煮詰まった状況を打開するのに有効な手段になると思います。
――最近公開されたPVでは,ゴテンクスやベジットといった,フュージョンやポタラを使って合体するキャラクターが公開されました。試合の途中でフュージョンを行なうようなギミックはあるのでしょうか。
古谷氏:
あります。ゴテンクスの場合は使用キャラクターに悟天とトランクスを選んでおくと,どちらかが戦っている際にスキルストックを使ってフュージョンができるようになります。
――操作形態にはオート,セミオートといった一部アクションをサポートするような機能がありましたが,オート,セミオート,マニュアルで技の性能に差があったり,特定の操作形態を選んでいないとできない操作はあったりしますか。
古谷氏:
技の性能差はありませんが,マニュアルじゃないとタイミングによっては,自分の出したい技や行動ができないということはあります。操作に慣れてできることが増えると楽しくなっていく,そういった感覚を大事にしています。
「ここで吹っ飛ばして追撃はこの技でしたい!」といったプレイヤーの想いや流儀ってありますよね。それを表現できるのが「Sparking!」の魅力だと思っています。そういった部分は今回もしっかり踏襲しています。
ドラゴンボールの世界を広げる新たなゲームモード
――エピソードバトルでは,もっとも長い悟空のルートを選ぶと「ドラゴンボールZ」のラディッツ戦から「ドラゴンボール超」の力の大会までの闘いを追体験できると聞きました。選択しだいでは原作と異なる展開も見られるそうですが,どんなifストーリーが用意されているのでしょうか。
古谷氏:
例えば悟空の場合,ラディッツと戦う際にピッコロと共闘するかどうかを選べます。ピッコロとの共闘を拒否すると,ラディッツとは悟空とクリリンで戦うことになります。
エピソードバトルの一部では,バトルの内容だけではなくその後のストーリーも原作から変化し,そのままif展開で突き進んでいくパターンもあります。ただ,エピソードバトル中に無数に分岐があるというよりは,物語の要所で枝葉が分かれるというイメージで受け止めてもらえればと思います。あくまで中心は原作に沿ったバトルが楽しめるモードになります。
――プレイヤーの手で自由にバトルを作れるというエディットモードですが,具体的にどのようなことができるのでしょうか。
古谷氏:
エディットモードではバトルするキャラクターや勝利条件はもちろん,対戦前の会話シーンのセリフ,しゃべっている際のカメラアングルなども設定できます。作ったバトルは,オンラインにアップロード,ダウンロードすることで,プレイヤー間でやりとりできます。
――バトル前のセリフはプレイヤーがいちから設定していくのでしょうか。
古谷氏:
用意されたセリフを組み合わせていく形になります。5000から6000個ぐらいは用意しています。
――フィールドの重力を20倍にするといったような,原作のシチュエーションを再現するようなエディットはありますか。
古谷氏:
重力を重くすることはできませんが,天下一武道会のように,リングアウトがあるバトルは作れます。通常のバトルとはかなり感覚が変わりますね。
――エディットモードを利用することでなんらかの報酬は獲得できますか。
古谷氏:
プレイヤー間で作ったバトルをクリアした際に報酬は獲得できませんが,こちらがエディットモードを使って作った,エクストラバトルをクリアした際には報酬を用意しています。クリアすることでエディットモードのコピー元として使えるようにもなるので,やりこみ要素として楽しんでほしいですね。
――「精神と時の部屋」ステージでのオフライン対戦でのみ,画面分割対戦ができることも明らかになりました。ステージが限定されているのはなぜでしょうか。
古谷氏:
本作はもともとオンライン対戦を前提とした一人用として作ってきており,どのステージもかなり凝った作りになっていて,画面分割での対戦のステージは「精神と時の部屋」限定という形にさせていただきました。
――オンライン対戦の状況に応じて,リリース後にバランス調整などを行なう予定はありますか。
古谷氏:
プレイヤーが快適に遊べる環境は運営で変わっていくと思うので,発売後に「今の環境で対戦するのは厳しい……」といった声が挙がればアップデートはしていくつもりです。具体的なスケジュールなどは決めていませんが,長く遊んでいただけるタイトルにしていきたいですね。
――例えばランキング上位が全員同じキャラクターみたいなことになったら調整が入る可能性があるということでしょうか。
古谷氏:
そのあたりは現時点で答えるのはなかなか難しいですが,我々が想定している範囲内であればそのままだと思いますし,プレイヤーが楽しめない環境になっているのであれば改善していきたいと思っています。
――ベジットならまだ納得感はありますが,上位全員がミスターサタンならいかがでしょうか。
古谷氏:
(笑)。そのあたりはDP,コストなどで調整していって,バランスを取っていきたいと思っています。どんなキャラクターでも納得感を持って,プレイヤーの技術しだいで戦える調整にしたいですね。
――全体的な開発進捗はどのくらい進んでいますか。先ほど遊んだところでは,ゲームシステムなどの対戦部分に関してはほぼ完成しているように感じましたが。
古谷氏:
バランス調整は今後も発売まで行っていきますが,バトルの基本的な要素は固まっています。
――ユーザーに試遊をしてもらう機会を設ける予定はありますか。
古谷氏:
具体的にいつやりますとは言えませんが,遊んでいただける機会はできるだけ多く用意したいと思っています。
――公開されているキャラクター参戦PVを見ると,最後にたくさんの空枠があって,そこにキャラクターが埋まっていっています。まだまだ枠は余っていますが,あの数がキャラクターの総数になるのでしょうか。
古谷氏:
キャラクターに関する情報は続報をお待ちくださいとしか言えないのですが,現時点で公開されているキャラクター数だとまだまだ足りないって感じですね。
――本日はありがとうございました。最後に「ドラゴンボール Sparking! ZERO」の発売を待っている読者にメッセージをお願いします。
古谷氏:
発売までまだお待ちいただくことになりますが,ドラゴンボールのキャラクターになりきって楽しめる体験ができるよう最大限尽くしていきます。ぜひご期待のほどよろしくお願いいたします。
「ドラゴンボール Sparking! ZERO」公式サイト
※画面は開発中のものになります
(C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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(C)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション
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