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冒険心と知的好奇心をくすぐられる,“遊んで学べる恐竜図鑑”――ARKプレイヤーが感じた「ARK: Dinosaur Discovery」の面白さ
恐竜や翼竜といった古代生物,ドラゴンなどの架空の生き物が存在する過酷な環境を生き延びる「ARK」は,サバイバルアクションというジャンルを代表する1作だ。本作は,そんな「ARK」の“恐竜世界を探検”という要素を抽出し,誰でも楽しく恐竜と触れ合えるよう全年齢向けに再構成した作品となっている。
と言っても,ちょっとしたオマケのゲームではない。“遊んで学べる恐竜図鑑”として,子どもはもちろん大人の「ARK」プレイヤーにも刺さる内容なのだ。本稿では,「ARK」の世界を長年生き延びてきたプレイヤーが体験して感じた「ARK: Dinosaur Discovery」の面白さや魅力を伝えていきたい。
マイニンテンドーストアの「ARK: Dinosaur Discovery」ページ
とにかく優しい恐竜世界で遊び,そして地球を学ぶ
本作の概要をざっくりと伝えると,古代の地球の環境をシミュレートした島を歩き回り,“地球を学ぶ”教育プログラムだ。プレイヤーは HLN-A(ヘレナ)という名のロボットとともに,大昔に生息した生き物たちと触れ合い,冒険しながら地球について学んでいくこととなる。
先生役のHLN-A。右も左も分からないプレイヤーを先導してくれるだけでなく,さまざまな恐竜知識も教えてくれるキュートなロボだ |
プレイヤーキャラクターは選択式で,全16種類の中から選べる。探検社風にダイバー風,甲冑の騎士,ビニール製の恐竜の着ぐるみ(?)など,珍奇で個性的なキャラクターばかり。見た目の違いだけなので,自分自身の好みや気分で決めるといい |
“学び”が主題であることもあってか,本作はとにかく優しい。そこらじゅうを歩き回っている恐竜に突然襲われたり,照り付ける太陽に体を焼かれたり,耐えがたい寒さに震えたりといった,「ARK」では当たり前だった“死の恐怖”は存在しない。
「大好きな恐竜の背中に乗って,原始の世界を探検してみたい!」
そんな,多くの人が幼少期に思い描いたであろう屈託のない夢を,楽しく,安全な形で叶えてくれるわけだ。恐竜たちとの遊びが自然と学びにつながるので,とにかく難しいことは考えずに恐竜たちと遊びまくろう。
作りもかなり本格的。多くの出会いで集まるガイドブックで古代生物を学ぶ
生存ではなく学ぶことがメインの本作だが,“学びの要素”とははたして何か。それは生き物の知識満載のガイドブックである。
本作に登場する生き物には種別ごとのガイドブックが用意されており,プレイヤーがその生き物と出会うことで開放されていく。その総数は64種類で,「ARK」に登場したことのある恐竜や魚類,鳥類などが,ジュラ紀や白亜紀といったさまざまな時代から登場する。一冊,また一冊と棚にガイドブックが増えていくところは,収集意欲をかきたてられるだろう。
ガイドブックは本棚のようなUIになっている。表紙には恐竜や生き物たちが勇壮に描かれており,視覚的にも見つけやすい |
マップ上には出会った恐竜とその位置も記録される。生息する場所まで移動したり,今いる場所に恐竜を呼び出したりすることも可能だ |
ガイドブックを入手しそれを開いたとき,その内容に驚かされるはずだ。
名前の由来や生物としての食性,生息していたと推測される地域など,その情報量はなかなかのもの。身長や体重など,数値で表すようなデータは「トラック○○個分の体長で,牛が○○頭分の体重!」といったように分かりやすく例えられており,それを個性的なタッチのイラスト満載で分かりやすく伝えてくれる。
さらにHLN-Aが説明文を読み上げてくれるので,“面白くてためになる”古代生物の知識を,小さな子どもはもちろん大人も楽しみながら得られるのだ。
逃げている魚の目が“マジ”だ。このように説明や挿絵はユニークな表現が多く,楽しみながら知識が身に付く |
メガピラニアの体長は,Switch本体のおよそ2.5個分? 「ハッ」と気が付くと,ゲームに使っていたSwitchを定規代わりに,その大きさを想像していた |
“お願い”を聞いて信頼獲得! 大好きな恐竜とともに世界を探索しよう
新しい生き物を見つけるには,仲良くなった恐竜に協力してもらうのが一番だ。「ARK」の大きな魅力でありロマンの要素でもある“恐竜への騎乗”で,広い島のあちこちを探索できるのも,本作の特徴の一つとなっている。
優しい世界である本作では,本家「ARK」であった麻酔弾で眠らせて好みのエサで餌付けする……みたいなことはしなくてヨシ! 騎乗に必要なのは,恐竜との信頼関係を築くことのみである。
「……じゃあ,恐竜との信頼関係って何さ」という話になるが,なんのことはない。仲良くなりたい恐竜の困りごとを解決してあげればいいのだ。
騎乗可能な恐竜たちは,何かしらの悩みごとを抱えている。帰る場所を忘れちゃったり,群れとはぐれちゃったり,卵がどこかにいっちゃったり……そんなお悩み(クエスト)をすぐに解決してあげることで信頼関係が生まれる。
クエストの内容は比較的簡単で,基本的にガイドに従い,指定の場所やモノなどに近づくだけでクリアとなる。制限時間はあるが,これは小さい子ども向けのチャレンジ要素といったところであろう。かなり余裕のある時間設定のため,問題なく一度でクリアできる。
1種類の恐竜に対して1つのミッションをこなせば騎乗可能となり,サドルなどの騎乗用アイテムを用意する必要もない。クエストをこなしてすぐ「乗りなよ!」という感じで受け入れてくれるので,本家「ARK」に比べると騎乗自体はかなり簡単だ。
恐竜キョウリュウと連呼していたが,もちろん恐竜以外にも騎乗できる生き物はいる。
動きの速い中型の生き物に乗って颯爽と野山を駆ける。大型恐竜の背から大地を見下ろし,ドシドシと木々を倒しながら歩く。海の古代生物にまたがって水中を自由に泳ぐ。翼竜で風を切って飛び回る……といったような,憧れの古代生物に乗るという「ARK」の格別な体験は,本作でも十分に味わえるだろう。
そして「ARK」のプレイヤーとしては,“「ARK」に持ち帰りたいもの”も感じた。長い時間「ARK」をプレイしてきた筆者だが,
「珍しい恐竜だけど,サドルに使う鉄が足りないなあ。麻酔薬も勿体ないから,諦めるかな」
「テイムにはキブルが必要かあ……じゃあいいや」
「あの肉食恐竜を仲間にしたいけど,手強いし,手間もかかるしなあ……」
……といった感じでテイムをしていなかった生き物が結構いる(自分自身が面倒くさがりという理由もあるが)。そのように「ARK」では触れあっていなかった生き物と本作で仲良くなり,乗り心地を体験できたことで「『ARK』でも仲良くなりたい!」と,テイムに再度挑みたいという気持ちが湧いたのだ。
ガイドブックで彼らをより詳しく知ることで,いままでかわいがっていた生き物たちにさらなる愛着が生まれるところも,また「ARK」を遊びたいという気持ちにさせてくれる。
「ARK: Dinosaur Discovery」は,「これは学習教材としても使えるのでは?」と思えるくらいの学びを詰め込んだ,良質な“遊んで学べる”恐竜図鑑だ。
ガイドブックはそれぞれの生き物で見せ方が異なり,また情報自体も詳しく,知的好奇心をくすぐるものばかり。新しいガイドブックを手に入れる度に,「こんなのが昔いっぱいいたとか,原始の地球ヤバすぎる……」と,童心に帰って思わず感心してしまうほどだった。
そして,それら学びの楽しさは,「恐竜に乗ってるだけで楽しい!」という「ARK」ならではの冒険の楽しさ,恐竜に乗る特別感があってのことだろう。ガイドブックで詳しく知り,興味が沸いた恐竜や古代生物を,ゲームの世界で動いているところを眺めるだけでも,普通の図鑑で調べるのとは一味違う感覚がある。
「ARK: Dinosaur Discovery」は単体でのダウンロード販売のほか,Switch版「ARK」の各種バンドルの導入でもプレイ可能だ。子どもの学びのためのツールとしてはもちろんだが,恐竜や古代生物の魅力の再発見にもなるので,「ARK」のプレイヤーにも触れてほしい一作だ。
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