プレイレポート
[G-STAR 2023]アニメーションに本気な「Demis Re:Born」をプレイ。かわいいオーディンをはじめ,神話や歴史の英雄を独自解釈
本作は,同社が展開している大型IP「グランドクロス」シリーズの新作だ。今夏にはIP初のモバイルゲームにして,巨大兵器“タイタン”が戦場に舞い降りる,ウェブトゥーン表現を押し出したMMOストラテジー「GRAND CROSS: AGE OF TITANS」を配信していた。
今回の「Demis Re:Born」は,プロジェクト名「GRAND CROSS S」として発表されたもので,ちょうど1年前に正式名称が決定した。
[インタビュー]新規IPはアニメ風のMMO RTS「GRAND CROSS: AGE OF TITANS」。巨大兵器を使った大規模バトルの醍醐味を開発に聞く
Netmarble F&Cが開発を担当する「GRAND CROSS: AGE OF TITANS」は,巨大兵器を駆使して,地上・海上・空中で大規模バトルを展開するMMOリアルタイムストラテジーゲームだ。そんな本作の開発陣に,開発経緯や作品の特徴を聞いた,メールインタビューをお届けしよう。
新作RPG「GRAND CROSS S」のタイトル名を「Demis Re:Born」に変更。戦闘シーンを収録する最新ムービーも公開
Netmarbleは,今年1月に開催されたプレス発表会イベント「第5回NTP」で,開発中のタイトルとして紹介された新作RPG「GRAND CROSS S」のタイトル名が「Demis Re:Born」に決定したことを明らかにした。戦闘シーンを中心に収録する最新ムービーも公開されている。
本シリーズでは,韓国や日本などのクリエイターたちが新規IP創出のために協力しているという。本作にしろ,開発内にウェブトゥーンを専業とするStudio Grigoが加わるなど,体制もちょっとユニークだ。
ゲームジャンルはIPの設定をベースとした収集型RPGとのことで,世界観はいわゆる“異世界転移もの”となる。そのうえで。
■「GRAND CROSS: AGE OF TITANS」
現実世界の人物が,異世界に転移
■「Demis Re:Born」
異世界の人物が,現実世界に転移
両作で逆のアプローチを取り,世界を広げるようである。
「Demis Re:Born」の舞台は,次元と次元がつながる現象により,さまざまな神話・歴史・小説・オペラなどの英雄が現世に転移してくるようになった世界。
登場人物たちはそれぞれの原典をもとに,本プロジェクトならではの解釈でデザインされている。試遊版ではピンク髪のカワイイ美少女な王「オーディン」,孤高の月の女神「セレーネ」,毒舌家メイド「オルフェン」など,計14体のキャラクターを確認できた。
言ってしまえば,聖杯戦争的なギミックのアレと評せよう。
現地で触れられた「ストーリーモード」では,世界に混乱をもたらすオーパーツを回収する「コネクタ(プレイヤー)」と,彼らに呼び出された「超越者(異世界人物)」たちの衝突が描かれていた。
本作は“アニメを見ているような物語体験”がコンセプトのようで,随所にアニメーションシーンがはさまれる。3Dカートゥーンレンダリングによるビジュアル表現も,目に見えて作りがいい。
さらにシナリオ進行中は「(画面内のセキュリティボタンを)タップしろ」「敵の攻撃を(スライド操作で)避けろ」など,ゲーム進行においていわゆるQTEと呼ばれるシステムも採用されている。
プレイ中は,ワールド内でSDキャラクターを移動させ,物語や戦闘をこなしていく。ワールド上には交流できるNPCのほか,時間や天気の概念,収集要素やパズル要素といったイベントも散見された。
要するに,シナリオやバトルを等身大の3Dキャラで,フィールド移動を二頭身のSDキャラで楽しむといった構造である。
フィールドの有無による“(RPGなどでの)冒険感の出し方”は,スマホゲームが流行してから先,よく語られるようになった。
その点,本作は「あるほうがおもしろい」に賭けたのだろう。
戦闘はオートバトルだ。戦場に配置したキャラクターが自動で行動するなか,手動でターゲティングやスキル使用を判断する。
操作面では“スキル使用範囲と敵位置”が考慮すべき点だが,大別するとパーティ編成に重きを置いたタイプという印象だった。
こうしたゲームに求められるとおり,必殺技スキルの使用時には高品質なアニメーション演出がカットインするため,見栄えもよし。
現地ではプレイアブル体験のほか,ワールドマップ内でコインを集める「G-STARイベント」,お気に入りキャラクターの来場者投票企画「PICKイベント」も行われていた。前者に関しては,ゲームの魅力部分をコンパクトに凝縮した試遊のための限定モードだという。
Netmarbleではほかにも,SF-MMORPG「RF ONLINE NEXT」とオープンワールドRPG「七つの大罪 Origin」において,似たような“試遊版の専用モード”を搭載していた。この2作はどちらも大ボリュームなAAAタイトルであったが,同モードの体験は分かりやすく,スマートに楽しめた。
ゲーム内容とは別次元の研鑽だろうが,タイトルやブースの出展におけるNetmarbleならではの戦略を感じる一例だった。
このほか,ゲーム内ではロックがかかっていたものの,「チャレンジ」や「フェスティバル」(ガチャかと思われる)といった語句も見られた。さらにマルチプレイも検討中とのことで,仕組みこそ定まってないが,本作にはPvPやPvEが取り入れられる可能性もあるようだ。
人気が出たから結果的にIP化,ではなく。ハナからIP創出を目的としたタイトル展開は,どんな業界・事業でも語られるとおり「やってみて分かる垂直立ち上げの困難さ」に直面しがちだ。この点,本作ないし本シリーズも人気IPの道を歩めるかは読み解けないし,無念だった事例の数だけは歴史上にたんまりあるのがゲーム業界というもの。
一方,成否の根拠を求める相手としては,最も似合わないのもまたゲーム業界。まずは相応に準備してきたのがよく分かる「Demis Re:Born」の今後に,期待と関心を寄させてもらうことにした。
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