プレイレポート
[プレイレポ]ローグヴァニアの新作「湮滅ライン」はアーリーアクセスだが,完成度は高い。このジャンルが好きなら,これからの進化に要注目だ
“ローグライク・ハック&スラッシュゲーム”を謳う本作は,果たしてどのようなゲームなのか。さっそくプレイしてみたのでレポートしよう。
謎しかない世界を駆け抜け,挑戦を繰り返そう
本作をスタートすると,オープニングイベントも何もなく,いきなりフィールドに放り出される。槍状の武器を背負ったロボットらしきキャラクターが主人公のようだ。
先に進んでいくと,「二段ジャンプ」や「ダッシュ」といった操作を自然と覚えられるようになっている。ナナメ方向への空中ダッシュや壁走りも最初から可能だ。主人公の移動に関して,序盤からこれだけ多彩な動きができるのは珍しく,楽しい。
時折,出現する敵をすべて倒さないと先へ進めない「バトルルーム」という部屋があり,ここでは1画面固定となる。とにかくアクションゲームの腕を問われる場面だ。
バトルルームをクリアすると,緑色とピンク色の宝石のような物を大量に入手できる。どうやらピンク色のほうを消費して,「エボル能力」と呼ばれる新たな力を開放できるようだ。
マップはいつでも確認することができ,各所にはワープできるポイントも設置されている。進んだ先が行き止まりだったとしても,かなり手前に分岐点があったな……というときは,最寄りポイントにワープして飛んだほうが早いこともある。
そんなこんなでダンジョン内を突き進んでいると,何やら「屋上へ」というゲートを発見。この雰囲気……ボス戦的なアレかな……?
屋上には,ボスらしき巨大メカが登場。攻撃パターンを把握するまではどうしてもダメージをくらってしまうが,それでもけっこういいところまでHPを削れたようだ。だが……残念ながら力尽きてしまった。
拠点らしき場所へ戻されると,博士のような風体をした「ウィリアム」との会話になる。しかし,独り言に近い内容が多く,この世界や主人公のことは依然として謎だらけのままだ。
拠点を出ると,ゲーム開始時に見た場所へと転送される。「なるほど。この行程を繰り返して,まずはあのボスを倒すのが目標だな」と理解できた。何もかもが謎だらけだが,ゲームとしての目的は示される。
ランダム生成されるダンジョン内を走り抜け,ボスに何度も倒されながら攻撃パターンを覚える。倒されるといろいろなものを失うが,次の周回に引き継げる要素もある。繰り返しプレイすることで,キャラクターの基本性能が上がっていく要素もある。本作の基本システムは「Dead Cells」にかなり近く,同作を遊んだことのある人はすぐに理解できるだろう。ただ,プレイしたことがなくても,そんなに難しいものではないので,自然に分かってくるはずだ。
引き継げる強さ,引き継げない強さ
そして拠点にも徐々に変化が現れる
ウィリアムとの会話後,「改造電気椅子」とやらが開放されたので,拠点内を走り回ってみるとそれらしき物を発見した。ここでは,持ち帰った緑色の宝石のような物を消費して,主人公に永続効果のある強化を施せるようだ。
たとえば「被ダメージ-2%」という項目があるのだが,これはレベルを上げて効果を重ねられる。最大5レベルまで上げられるので,-10%まで強化が可能だ。まさに「塵も積もれば」である。
同じように最大HPを上げる項目もあるので,さまざまな強化を重ねていけば,確実にプレイヤーは倒れにくくなっていく。仮に倒されたとしても,そこまでに稼いだものがムダにならないのがいい。プレイヤーには知識と経験が,キャラクターには強化のためのお金などが残るというわけだ。
また,自称“商人”の「Mr. サンクス」,何かを知っていそうな球形のロボット「ウェイド」など,道中で出会ったNPCたちが拠点に集まってくることがある。
何度も挑んでいると,さすがに最初のステージは見飽きるほどになるが,ステージの形状は毎回微妙に変化するうえ,今までになかったイベントが発生したり,エボル能力に新しい能力が出てきたりしてテンションが上がる。また,武器の種類も豊富なので,ほぼ毎回異なる武器で攻略することになる。そのため,似たような展開になることは少なく,なかなか新鮮だ。
アーリーアクセスだが,完成度は高い
これからの進化が気になるローグヴァニアの新星だ
本作はこれまでに3度のテストが行われてきただけに,アーリーアクセス開始直後とはいえ,すでに完成度は高いと言える。
筆者の感想だと,「Dead Cells」より難度は低いだろうが,決して易しいゲームではない。各ステージのボスは確実に高い壁となる強さを持ち,その攻撃パターンのすべてを頭に叩き込んだうえで,相応の反射神経が必要になる。回復手段は限られているため,ボス戦までの道中はできるだけノーダメージでの攻略も求められる。
もちろん,なかなかボスに勝てず先へ進めない人にも「強化をコツコツと頑張る」という道が用意されているが,これはこれでとても地道な繰り返しとなる。誰もがグングンと先へ進める爽快感をすぐに味わえる……とはいかないが,これは本作の特徴というより,このジャンル自体の難しい宿命だろう。
少々引っかかった点は,この世界特有の単語が多く,全体像を把握するまでに戸惑うことだろう。
たとえば,ピンク色の宝石のような物は「ナナイト」と表現されているのだが,これが足りないときは画面上に「シークレットキーが足りない」と表示される。ナナイトは足りているけど,同時にシークレットキーも必要なのか,ナナイト=シークレットキーなのか。すんなりと理解できる人は少ないはずだ。
筆者は気づかなかったことだが,リリース直後は細かい不具合がいろいろとあったらしく,アーリーアクセス開始からほぼ毎日のようにアップデートが行われている。アップデートには不具合の修正だけでなく,バランス調整も含まれており,細かいゲームバランスも日々変化している。そのため,ゲーム全体の評価を現段階で下すのは難しいが,少なくとも現状から良い方向に向かうはずなので,正式リリースの際には間違いなく高い評価を得られるだろう(現時点でも高いけど)。
ローグヴァニアと聞いてじっとしていられない人はもちろん,「Dead Cells」は楽しいけどちょっと難しすぎた……という人にも,ぜひ試してほしい作品だ。
- 関連タイトル:
湮滅ライン
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