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AMD,新世代GPU「Radeon RX 7000」シリーズを発表。第1弾製品はRadeon RX 7900 XTXとRadeon RX 7900 XTで12月13日発売
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印刷2022/11/04 05:14

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AMD,新世代GPU「Radeon RX 7000」シリーズを発表。第1弾製品はRadeon RX 7900 XTXとRadeon RX 7900 XTで12月13日発売

Radeon RX 7000シリーズのパッケージを掲げるAMD CEOのLisa Su
画像集 No.008のサムネイル画像 / AMD,新世代GPU「Radeon RX 7000」シリーズを発表。第1弾製品はRadeon RX 7900 XTXとRadeon RX 7900 XTで12月13日発売
 米国時間2022年11月3日,AMDは,米国・ラスベガスで開催した独自イベントで,RDNA 3アーキテクチャを採用する新世代GPU「Radeon RX 7000」シリーズを発表した。第1弾製品となるのは「Radeon RX 7900 XTX」と「Radeon RX 7900 XT」で,両製品とも搭載カードは2022年12月13日に発売の予定だ。
 AMDによる想定売価は順に999ドル(約14万8000円),899ドル(約13万3000円)となっている。

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GPU初のチップレットアーキテクチャを採用


 開発コードネーム「Navi 31」と呼ばれる今回の2製品は,どちらもGPUでは世界初というチップレットアーキテクチャを採用したことが,最大の特徴となる。
 AMDの言うチップレットとは,プロセッサを構成する要素を,複数の半導体ダイとして作り分けたチップのこと。チップレットアーキテクチャでは,製品の構成や規模に応じて必要なチップレットをパッケージ上に搭載して,相互に接続することでひとつのプロセッサとして製造する。
 AMDは,チップレットを,2019年発表のZen 2世代のCPU「Ryzen 3000」シリーズから採用していたが,今回,この技術を初めてGPUに適用したわけだ。

 なお,Radeon RX 7900シリーズでは,2種類のチップレットを用いており,GPUダイ(Graphics Compute Die,以下 GCD)は,TSMCの5nmプロセスで,キャッシュダイ(Memory Cache Die,以下 MCD)は,同じTSMCの6nmプロセスで製造されるという。

チップレットはGCDとMCDの2種類
画像集 No.006のサムネイル画像 / AMD,新世代GPU「Radeon RX 7000」シリーズを発表。第1弾製品はRadeon RX 7900 XTXとRadeon RX 7900 XTで12月13日発売

 GCDのダイサイズは,約300mm2で,MCDは1つが約37mm2だ。MCDは,1基あたり容量16MBのキャッシュメモリとなっており,Radeon RX 7900シリーズの場合,MCDは計6基搭載する。ちなみに,MCD内は64bit幅のGDDR6メモリインタフェース機能も組み込まれているという。

 今後のRadeon RX 7000シリーズでは,MCDを必要に応じた数だけGPUダイと組み合わせることで,製品バリエーションを増やしていく。ただ,Radeon RX 7900 XTXは,パッケージ上に実装した6基のMCDすべて,つまり容量96MB分が動作する。ただ,Radeon RX 7900 XTでは,動作するMCDは5基分,つまり容量80MBだ。これも歩留まり対策の一環である。

 なお,Navi 31のGPU全体におけるトランジスタ数は,約580億個となる。GCDとMCD間のデータ転送速度は5.3TB/sで,チップ間通信速度としては世界最速であると,AMDはアピールしていた。

ついにRadeonもオーバー50TFLOPSの世界へ突入
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AIアクセラレータ搭載。レイトレーシングユニットも改良


 Navi 31のGPUコアは,これまでと比べて随分と手が入っている。
 トランジスタ数が165%も増えたことにより,演算クラスタたるCompute Unit(以下,CU)の数は,Radeon RX 7900 XTXが96基,同XTが84基となった。

Radeon RX 7900 XTXの主な仕様。カード全体の消費電力は約355Wだ
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Radeon RX 7900 XTXの主な仕様。こちらの消費電力は約300W
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 RDNA 3におけるCUは,2命令同時実行に対応したSIMD64形式に拡張されたので,CU 1基あたり128シェーダープロセッサ(Dual SIMD64)になったと考えていい。

Shader Engineの構造を示したスライド
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 動作クロックは,シェーダクロックが2.3GHz,フロントエンド部分は2.5GHzとなっており,ブーストクロック時はシェーダクロックも最大2.5GHzまで上がるという。
 よってRadeon RX 7900 XTXの理論性能値は,

  • 96 CU×128 SP×2.5GHz(ブーストクロック)×2 FLOPS(積和算)=61.44 TFLOPS

となり,公称値と一致する。

ゲームにおけるフレームレートの向上を前世代と比較したスライド。1.7倍の性能向上を実現したという
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 Radeon RX 7900シリーズにおけるそのほかの注目ポイントとしては,CU 1基あたり2基の「AI Accelerator」を実装したことが挙げられる。これは,NVIDIAが2018年に発表したGeForce RTX 20シリーズから搭載した「Tensor Core」に相当する,いわゆるAI処理向けの推論アクセラレータだ。実体は行列演算器であろう。
 AI Acceleratorをどのように活用するかは,明らかになっていない。おそらく,AMDのGPUコンピューティングフレームワーク「ROCm」から活用できるようになると思われる。

ついにRadeonも推論アクセラレータを搭載
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 第2世代となったレイトレーシングユニットは,「レイ処理にまつわる新しい専用命令」や「BVH(Bounding volume hierarch)の更新と探索を高効率化」する機能が備わったそうだが,具体的にどんなものか,発表時点では明らかになっていない。名称からすると,NVIDIAがGeForce RTX 40系で実装した新機能(関連記事)に近い印象を受ける。機能の標準化に向けて,AMDとNVIDIAですりあわせがあったかどうかは気になるところだ。

第2世代にアップデートされたレイトレーシングユニット
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AV1エンコーダ搭載


 ディスプレイ出力周りについてだが,HDMI 2.1対応は当然として,AMDが強くアピールしていたのは,業界一番乗りという「DisplayPort 2.1」(以下,DP 2.1)対応だ。DP 2.1は,HDMI 2.1のデータ転送速度48Gbpsを上回る,最大54Gbps(※13.5Gbps×4レーン)に対応しているのが特徴だ。

DisplayPort2.1へ業界初対応
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 AMDは,「DP 2.1を活用することで4K/480Hzや8K/165Hzの超高解像×ハイフレームレートのゲームを可能にする」と,ゲーム映像などを用いてその先進性をアピールしていた。帯域幅で言うなら,フルHD解像度では1000Hzオーバー,1440p解像度でも900Hzの表示が可能になるので,ゲーマー向けディスプレイ市場に新たなムーブメントが起こるかもしれない。

DP 2.1ならば超ハイフレームレートに対応可能
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 ビデオ映像のエンコードとデコードを担当するビデオプロセッサは,予想どおりのアップデートが行われた。H.265のエンコーダとデコーダを同時実行可能となったのに加えて,映像配信サービスでの採用が進んでいる「AV1」コーデックにおいては,8K/60pまでのエンコードとデコードに対応した。
 ここもNVIDIAが,GeForce RTX 40シリーズの新要素としてアピールしていた部分なので,きちんとキャッチアップしてきたわけだ,映像クリエイター系のRadeonファンはホッとしたところか。

FFmpegを用いた8K映像のトランスコードが7倍速くなったとのこと
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価格対性能比は高いRadeon RX 7900シリーズ


 絶対性能としては,「GeForce RTX 4090」の82 TFLOPSには及ばなかったRadeon RX 7900シリーズだが,想定売価が999ドルであることを考慮すると,1ドルあたりのTFLOPS値で比較すれば価格対性能比は高い。このあたりをゲーマーがどう受け止めるか,その反応が気になるところである。

リファレンスデザインのRadeon RX 7900 XTXカードは,全長が約287mmで,2.5スロットサイズであるという。PCI Express補助電源コネクタは,従来と同じ8ピンタイプを2つ使う。GeForce RTX 4090のように特殊なコネクタは使わないし,PCケースや電源ユニットの更新も必要ないとアピールしていた
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AMDのRadeon RX製品情報ページ

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    Radeon RX 7000

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