プレイレポート
[プレイレポ]グラップリングでびょんびょんしよう。新作メトロイドヴァニア「ラスティッド・モス」で縦横無尽に跳びまわれ!
人類と妖精による生存競争。マルチエンディングで展開される物語
主人公となるのは銃を扱う少女“ファーン”だ。彼女は妖精に侵略され,滅びかけた人類を救うために妖精たちの元に送り込まれた“人類最後の希望”である。
しかし彼女の正体は,幼いころに妖精と入れ替えられた“取り替え子”(チェンジリング)であり,妖精側が人類に送り込んでいた刺客そのものだったのだ。
ファーンの目的は“自然の摂理に従い,人類を終わらせる”こと。妖精“パック”をお供に,彼女は世界を妖精の手に返す旅に出るのであった。
「ラスティッド・モス」における物語のカギとなるのは,バラバラに引き裂かれ,人間たちの力として利用された妖精“ティターニア”のかけら。ファーンの目的は,このかけらをすべて集め,ティターニアを復活させることにある。
かけらを所持するのは“魔女”と呼ばれる妖精の力で改造された少女たちだ。彼女たちがいわゆる本作のボスであり,倒すことでティターニアのかけらが手に入り,物語が進行していく。
本作はマルチエンディングを採用しており,さまざまな要因により物語の結末が変わっていく。
ストーリーは深く語られず,会話や探索で見つかるオブジェクトなどから読み取っていく形式になっている。世界観はかなり骨太で重いものとなっているので,ストーリー性を重視するプレイヤーも,十分楽しめるだろう。
爽快かつ奥深いアクション性。グラップリングでフィールド中を跳びまわろう
本作の大きな特徴となるのは,なんといっても“グラップリング”だ。伸び縮みするロープを壁や天井につけて,その反動でなんかうまいこと移動する。言ってしまえばそれだけのアクションではあるのだが,なかなかどうしてこれが奥深い。
例えば落下中に上へ向かってロープを伸ばせば,落ちる反動を利用してびょいーんと跳び上がることができる。
ジャンプ中,どのタイミングでロープを伸ばすかによって,その後に反動で移動する方向が変わる。目的の位置へうまく移動するためには,“どこに着地したいか見定めて,逆算してグラップリングする”という感じで考える必要がでてくるのである。
このグラップリング,慣れるまでは扱いがかなり難しい。タイミングが遅いと一直線に落下してしまうこともあるし,思ったような方向に跳べず,ガケの下で宙ぶらりん……なんてことも少なくない。
しかし,そんな難しさを補って余りあるほど,グラップリングが手に馴染んだ時の面白さは尋常ではない。
「これさえあればどこへだって行けるぜ!」なんて気持ちでフィールド内をびょいんびょいん跳びまわるのは爽快で,「ここからロープを伸ばせばうまいこと行けるのでは……?」なんてグラップリングのルート作りが上手くハマったときには脳汁が溢れ出る。とにかく使いこなすのが楽しく,また奥深い設計になっているのだ。
ミスしたとしても,リスタートが容易なところも見逃せない。落下したとしてもすぐに近くの足場から再開できるので,再挑戦がとても気楽なのである。
「慣れるまでが難しいなら,何度も挑戦すればいいじゃない」と心の中のスパルタなマリー・アントワネットが命ずるままに試行錯誤を繰り返せば,そのうち“反動を制御するコツ”みたいなものが体に染みついてくる。そうなれば後は楽しむだけだ。
それと,これは個人的な感覚かも知れないが……“反動を利用して跳ぶ”というアクション(というか軌道)が,なんというかめちゃくちゃ気持ちいいのである。 “溜めたものをぶっ放す”という感覚といえばなんとなく理解してもらえるだろうか。そんな気持ちよさを移動しながら何度も味わえるところは,本作をプレイしていて特に魅力的に感じる点だった。
アイテム集めにボス探し。跳んで走ってひたすら探索
本作は探索要素も充実している。各所へのワープゲートや定期的なセーブポイント,隠されたパワーアップアイテムなどの要素もしっかりと確認できた。
グラップリングを駆使することでしかたどり着けない場所もあるが,慣れてくるとマップ中をうろちょろするのが楽しくなってくるので,あまり意識せずともマップはどんどん埋まっていく。最初はあまり埋めることを気にせず,とにかくアクションを楽しむのが大事なように感じた。
フェーンが扱う武器も探索で見つけられる。武器は全部で8種類あり,射程やダメージなど,それぞれに違った特徴が存在する。戦闘中でも瞬時に武器を入れ替えることができるので,自身のプレイスタイルや状況に合わせて使い分けるといいだろう。
低射程&高DPSが好きな筆者は,物語序盤で手に入る“ピストル”がかなり好みの性能をしていた。バシバシと高火力の弾をぶち込めるのはもちろん,継続ダメージを与える設置物を発射できるのもクセがあって面白い。使い込みがいのある武器となっているので,プレイする際はぜひとも使ってみてほしい。
他にも武器やフェーン自身を強化できる “トリンケット”という装備も存在する。こちらも探索を進めることで手に入れられ,セーブポイントで自由に付け替えが可能だ。
中には“HP半分以下で攻撃力アップ”というピーキーなものもあり,付け替えによる試行錯誤も面白い点だった。
もちろん道中にはさまざまな敵も出現する。画面左上の黄色のゲージがフェーンのHPとなっており,落下や敵の攻撃などを受けることで減ってしまう。これがゼロになると,セーブポイントから再開となるわけだ。
体力の下にある青いゲージはMPとなっており,これを使うことで体力回復などのアクションを行うことができる。MPは敵を攻撃したり,MP回復ゾーンを踏むことで溜めることが可能だ。
探索を進めることで,ボスとなる強力な敵が見つかることも。
ボスとの戦いではグラップリングを使った高度な立ち回りが要求されるものの,ボス戦の手前にはセーブポイントが設置されているため,例え負けても再挑戦は簡単にできるようになっている。
ぶっちゃけ筆者はアクションがあまり得意ではないので,何度もリトライするはめになったのだが,不思議とそこに苦痛はなかった。リトライが簡単な分,ストレスなく敵の攻撃パターンを見切ったり,有効な装備の組み替えを探ることができたことが大きいのだろう。難度とリトライ性の絶妙なバランスは,このゲームの大きな魅力だといえる。
難しさと遊びやすさが両立した「ラスティッド・モス」は,底知れない面白さを持つ一作
本作はアクションもストーリーも,そして探索もとにかく奥深い。プレイすればするほど深みにハマってしまうような,底知れない面白さを感じる一作だ。
そんな面白さの根底に位置するのが“グラップリングを絡めた爽快なアクション性”と“難度に見合ったリトライのしやすさ”の2点だろう。このふたつが,「ラスティッド・モス」を“難しいけど遊びやすい”というちょっと変わった感覚に陥らせてくれる。
本作はSteamにて1980円で販売中。ゲーム本編の設定が語られるアートブックと,幻想的なBGMが収録されているサウンドトラックも各980円で購入可能だ。全部がセットになったお得なバンドルや無料で遊べるデモ版もあるので,気になった人はぜひともチェックしてほしい。
「Rusted Moss」公式サイト
- 関連タイトル:
Rusted Moss
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