［TGS2022］「溶鉄のマルフーシャ」のNintendo Switch移植版をプレイ。国民食4号を食べて，君もカゾルミア低級国民になろう

　千葉県・幕張メッセで2022年9月15〜18日にかけて開催中（一般公開日は17・18日）の「東京ゲームショウ2022」。会場内のPLAYISMブースに出展されているコンシューマ版「溶鉄のマルフーシャ」（PS5 / Xbox Series X / PS4 /　Nintendo Switch / Xbox One）のプレイレポートをお届けしよう。



　PC版「溶鉄のマルフーシャ」は，hinyari9氏がセルフパブリッシングで2021年8月27日にSteam（リンク）にてリリースしたインディーズゲームだ。小粒なタイトルながら，描写が多いわけではないのに印象に残るキャラクターの演出など，“締めるべきところをキッチリ締めた”と言えるデザインで好評を博している。

　主人公のマルフーシャは，PLAYISMから2022年6月2日に発売された「常世ノ塔」（PC / Nintendo Switch）に，オンラインプレイ専用キャラクターとしてゲスト参戦していたので「もしかして……」と思ったりもしたが，やはりPLAYISMのパブリッシングでコンシューマ版が開発されていたというわけだ。

　マルフーシャは社会主義的なディストピアが築かれたカゾルミアという国で，パン屋に勤めながら妹と共に暮らしていた。しかしカゾルミアは隣国から侵攻を受けており，マルフーシャが都市防衛のために徴兵されたところから物語は始まる。劇中の世界は，さまざまなデバイスに電熱線が用いられており，スチームパンクやサイバーパンクになぞらえて“電熱パンク”とでも呼ぶべき独特なSFテイストで描かれている。まあ，電熱線と言っても現実のニクロムなどではなく，それ自体が原子レベルで熱と光を発しているらしい，ヤバいやつなのだが……。

徴兵されるマルフーシャ

　カゾルミアは身分の低い者に厳しく，マルフーシャに支給された武器は拳銃ひとつだけ。1日の終わり（ステージクリア）ごとに給料が支払われるので、それを使って強化や武器変更などのカードを購入して，敵軍の機械兵に対処していく。ただし，ゲームが進むにつれて税金の徴収が厳しくなっていくので，うまくやりくりしなければ金欠と武器不足で進退きわまることになる。

ゲームジャンルは，タワーディフェンス型のアクションシューティング。基本的には，敵の攻撃で防壁が破壊されたら敗北となる

PC版はマウスでの照準だったが，サイドビュー型のツインスティックシューター的な操作方法となった。照準を敵に直接合わせることはできなくなった一方，射線を示すレーザーサイト状のガイドが追加されたので，よほどマウスにこだわりがある人でもなければ支障はないだろう

増える税金と，悪化を重ねる環境。そして仕事は現場任せで，道具の調達は私費扱い……

　前を向けば侵略者，後ろを見ればディストピア，戦況は悪化し続け，税制は厳しくなり，どこにも救いはない。雇用している仲間やプレイ結果によってエンディングが変化するのだが，どれに至っても救いがない。Pixiv Fanboxでhinyari9氏が公開（リンク）している諸設定も読むと，ひっくり返るほど救いがない。どれだけ救いがないのか気になって，筆者はSteam版の実績をコンプリートするまで手が止まらなかったくらいだ。

7人の仲間たちから，1人をサポートに着けられる（雇用のためのカードが出現するかはランダムだが）。誰を雇っているかによって，特定の日に宿舎で発生するデモシーンも変化する

ゲームプレイ中，敵軍に生身の人間は登場せず，襲来する機械兵は基本的にマルフーシャや仲間を無視して防壁の破壊だけを狙う。なんだか不可解に感じられるが，その背景もまた救いのないものだったりするので，ぜひプレイして確かめよう

　今回出展されているのはNintendo Switch版の試遊バージョンで，マルフーシャの能力値が最初から若干上げられていたり，序盤から上級武器が出やすかったりと，初めてプレイする人にも易しい仕様となっている。プレイは40日目まで可能だ。

　また，試遊した人には，“国民食4号”とされたカロリーメイトが贈られる。「商品イメージ的なところは大丈夫か……？」と思わなくはないが，「溶鉄のマルフーシャ」が好きな人や興味を持った人は，PLAYISMブースで国民食4号の配給を受領し，カゾルミア低級国民の気持ちになり，税金だと思ってコンシューマ版を買ったり，当然ながら消費税が課されることに「ゲームと一緒だ！」と思ってみたりしてはいかがだろうか。

偉大なる指導者によって低級国民に配給される国民食4号

裏返すとこんな感じ

ゲーム内での説明はとくにないが，恐らくこれが国民食4号なのだろう

「溶鉄のマルフーシャ」公式サイト

東京ゲームショウ2022公式サイト

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