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松崎史也(演出)×三浦 香(脚本)×福澤 侑(振付)×荒牧慶彦(プロデューサー)らが贈るExperimental Theater「結合男子」,ゲネプロレポート
スクウェア・エニックスの友情結合シミュレーションアドベンチャー「結合男子」(Nintendo Switch / iOS / Android)を原作とした舞台化作品,Experimental Theater「結合男子」の上演が,2024年5月7日よりスタートした。本公演には,演出家の松崎史也さん,脚本家の三浦 香さんに加えて,出演者である福澤 侑さん(塩水流一那役)が振付,荒牧慶彦さん(舎利弗玖苑役)がプロデューサーとして,S-SIZE,TBS,SQUARE ENIXのプロデューサー陣と共に参加している。
本稿では公演に先駆けて行われた囲み取材と,関係者/マスコミ向けのゲネプロ公演の模様をお伝えしよう。ゲネプロ公演のレポートでは,公演の演出や物語のネタバレになる写真や記述が含まれるため,観劇予定の人は注意してほしい。
Experimental Theater「結合男子」
■日程
【東京】2024年5月7日〜5月13日
劇場:日本青年館ホール
【大阪】2024年5月17日〜5月19日
劇場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
■出演(敬称略)
源 朔 役:高橋祐理
安酸栄都 役:高野渉聖
鍛炭六花 役:高梨 怜
宇緑四季 役:早乙女友貴
凍硝七瀬 役:西山蓮都
浮石三宙 役:北出流星
鐵 仁武 役:磯野 大
舎利弗玖苑 役:荒牧慶彦
塩水流一那 役:福澤 侑
清硫十六夜 役:武子直輝
天空王九慈 役:吉高志音
笹鬼 役:古屋敷 悠
【ダンサー】
HIRUMA
So-Da
Takuya
Patrick Akira
Daicho
GEN
Renju Ando
ToLa
Hachi
Masaki
yuya
Arata Naruse
Shunta Tanase
Ryoma
■STAFF(敬称略)
原作:「結合男子」(SQUARE ENIX)
演出:松崎史也
脚本:三浦香
振付:REX(福澤侑,Daiki,皇希)
プロデューサー:米田理恵(S-SIZE),岡田慎太郎(TBS),倉冨風花(SQUARE ENIX),荒牧慶彦(Pasture)
結導ライトによる光の演出や
若手のパワーなど見どころ満載の舞台に
ゲネプロ公演前に主要キャスト全員参加のフォトセッションがあり,その後に演出の松崎さん,出演者の高橋祐理さん,高野渉聖さん,早乙女友貴さん,荒牧さん,福澤さんへの囲み取材が行われた。
――キャストの皆さんから,意気込みをお願いします。
源 朔役 高橋祐理さん(以下,高橋さん):
稽古初日から今日までやってきたことを,千穐楽まで全力でお客様にお届けできたらいいなと思っています。カンパニー一同,全力で駆け抜けていきますので,応援のほどよろしくお願いします。
安酸栄都役 高野渉聖さん(以下,高野さん):
稽古初日から演出家の松崎さん,荒牧さん,侑くんたち先輩方にいろいろなことを教えてもらい,自分自身も成長できたなと思っております。成長して,蓄えてきたものを舞台にぶつけようと思っていますので,皆さんも楽しんでいってください。
宇緑四季役 早乙女友貴さん(以下,早乙女さん):
アクション,ダンス,歌,舞台設備,映像と盛りだくさんの作品になっております。原作を見たことがない方でも,楽しめる作品になっていると思います。よろしくお願いします。
舎利弗玖苑役 荒牧慶彦さん(以下,荒牧さん):
若手俳優たちのフレッシュさ,情熱あふれる姿が,舞台を見る方にステキに映ると思います。僕たちも力を託し,共に素晴らしい舞台を作り上げていけたらと思っておりますので,あとはお客様に楽しんでいただくだけです。
塩水流一那役 福澤 侑さん(以下,福澤さん):
新しいもの(舞台)を見られるんじゃないかと,個人的にも思っています。誰が見ても楽しんでいただける作品なので,ぜひ体感していただきたいです。
――本作では演出の松崎さん,脚本の三浦さん,振付の福澤さん,プロデューサーとしても参加される荒牧さんが初タッグを組んでいます。一緒に作品づくりをされて,いかがでしたか?
演出家 松崎史也さん:
荒牧さんや脚本家の三浦さんと,原作を手掛けるスクウェア・エニックスで打ち合わせをしたときが懐かしいです。本作では公演グッズの結導ライト(無線制御機能付きペンライト)を一部の演出に取り入れているのですが,これも打ち合わせで生まれたアイデアです。
それが実を結んでうれしいですし,自分が知る限り(舞台では)初めてのこと。光の力が皆を導いて結んで結合が起こる,舞台が輝くというところを,荒牧さんたちとできたことがいい演劇づくりだったと思っています。本編も楽しみにしていてください。
福澤さん:
大好きな方々なので,一緒に作れて楽しかったです。キャスト,スタッフ,このメンバーじゃなければできなかったことも多いと思います。僕のクリエイターチーム(REX)も全精力をかけて挑んだので,皆楽しみにしていただけたらうれしいです。
荒牧さん:
もともと信頼しているクリエイターの方たちですが,あらためてこの方たちが作るものはステキなものなんだと実感できました。Experimental Theaterと銘打っているとおり,実験的な要素がたくさん入っています。最初はぼんやりとしたプロットだったものがゲネプロを迎えることができ,僕たちクリエイター陣が自信を持ってお出しできるものに昇華できたことが誇らしいです。
今までは手拍子や声援で(観客が)舞台に参加していただいていましたが,今回は結導ライトによる光の演出で,皆さんに1人の媒人(原作のプレイヤー)として参加いただくことができるので,今までと違った観点で楽しんでいただけるのではと思っています。
――見どころや注目してほしいポイントを教えてください。
高橋さん:
見どころだらけなんですけど,あらゆるエンタメ要素が詰め込まれている作品です。史也さんにしか作り上げられないExperimental Theater「結合男子」の世界観だったりとか,振付のREXの皆さんだったり,プロデューサーの荒牧さんだったり,本当に素晴らしい陣営のなかで大切な役をいただいてうれしく思いますし,それに応えられるように練習してきたものを出せるように頑張りたいと思います。
ここでしか体験できないエクスペリメンタルなものが見られると思いますので,ステキな化学反応を媒人の皆さんと残せるように頑張りますので,楽しみにしていてください。
高野さん:
僕はこの舞台の結合術のシーンが大好きで,こんな輝かしいシーンを自分ができるなんて,こんなに誇らしいことはないなと思っています。皆さんも大好きだと思うので,そういう意味では僕はもうお客様(の気持ち)と結合しているのかなと思います(笑)。
早乙女さん:
先ほども言いましたが盛りだくさんで見どころがたくさんあるのですが,僕個人としましては侑のダンスを見ていただけたらもう大丈夫です。
荒牧さん:
「結合男子」に限らず,僕は舞台で若手がどう台頭していくかを念頭に置いています。それを体現できた舞台だと思っています。経験をつんでいないからこそできるフレッシュさがあって,そのパワーは,経験値を積んだものにはなかなか出せない。若手たちが自分なりにキャラを解釈し,情熱をもって,自分たちで表現してくれることを嬉しく思いますし,そのパワーがお客様にも伝わると思います。そこが見どころだと思います。
福澤さん:
ボス(荒牧さん)が挑戦する新しいエンターテイメントに携わり,皆さんにお届けできることを大変光栄に思います。見どころといいますか,個人的には1つのアトラクションだと思っています。ぜひ楽しんで帰っていただけたらいいなと思っています。
――ありがとうございました。
原作未プレイにも分かりやすく,
ファンならニヤリとする要素も!
舞台ならではの志献官の活躍を楽しもう
開演前や休憩時のアナウンスは,原作で媒人のサポート役をしてくれた“モル公”が担当している。原作ゲームと,新たに幕を開けた舞台を橋渡ししてくれているようだ。かわいい声にほっこりした気持ちになる。
「結合男子」は万物を呑み込み同化する暗黒の絶対虚無“デッドマター”によって,滅びの危機に瀕した世界で,元素の力を宿し,唯一デッドマターに対抗できる存在として戦いに身を投じる“志献官”たちの物語が描かれている。
観客は原作で志献官の導き手となる“媒人”(プレイヤー)の目線で,舞台で繰り広げられる志献官の新たな活躍を見守り,ときにサポートすることが可能だ。
舞台のストーリーは原作よりも少し前の時代で,鐵 仁武が仲間の志献官と戦っているシーンからスタートする。デッドマターを退けることに成功するが,大切な仲間たちを失った仁武。志献官たちを取り巻く過酷な状況が,ヒシヒシと伝わってきた。
時は流れ,媒人が源 朔と安酸栄都と出会う原作ゲームの始まりにあたるシーンへ。ツンツンした態度の朔と,明るく人当たりがよい栄都,2人が客席に呼びかける場面も多く,我々(客席)が媒人なんだなと実感できた。
デッドマターに苦戦する朔たちだったが,媒人の結合術(志献官の心の結びつきを高めて強力な技を出す術)によって,敵を倒すことに成功する。原作でも印象深い結合術の演出,舞台は光を使って志献官の心の結びつきを表現していてとても美しい。
また,ゲーム原作の作品らしく,舞台中に選択肢が登場する場面も。原作をプレイしていると思わず笑ってしまう楽しいシーンも用意されているので,楽しみにしてほしい。
ここでは,結導ライトが活躍しそうだ。ゲネプロでは結導ライトによる演出を完全には体験できなかったので,本番での光の演出も見てみたいと個人的にも思った。
先述した一件により能力が認められ,志献官たちと戦うことを決めた媒人は,国家防衛局 舎密防衛本部(せいみぼうえいほんぶ)の一員になるのだった。
媒人は(原作ゲームでも)記憶喪失のため,物語の随所で世界観や志献官の能力について説明されるシーンも多く,原作を未プレイの人でも楽しめる内容になっている。ただ言葉で説明するだけでなく,舞台ならではの演出が楽しめたのもポイントだ。
とくに,仁武が子供向けに分かりやすく志献官の説明をするシーンで,乱入してきた舎利弗玖苑によるリサイタルが始まってしまうところは面白かった。歌って踊って,軽やかに楽しく説明する姿は,さすが(自称)完璧で自信家な志献官である。
なお,映像演出にはフッ素の志献官らしく歯磨きしているシーンもあり,元素の要素が取り入れられていることにもニヤッとしてしまった。
舞台ならではといえば,回替わり要素ももちろん用意されている。志献官は,お互いの力を合わせることで分子術を使用できるのだが,玖苑の提案で,自己紹介として分子術が披露されることに。この分子術を披露するペアが,公演ごとに異なる化学式(組み合わせ)になっているそうだ。
ゲネプロ公演での組み合わせは,塩水流一那と清硫十六夜によるSCl4(四塩化硫黄)だった。分子術はダンスで表現され,軽やかに踊る一那,盆踊り風の十六夜と,2人の個性の差が面白い。しかし術が失敗してしまったため,塩水流一那と宇緑四季によるお手本も見られた。一那と四季による圧巻のダンスパフォーマンスにみとれてしまう。ほかの組み合わせもぜひ見てみたい。
志献官たちが交流するシーンもたっぷり用意されている。ある事情を抱えている仁武を十六夜が気にかけたり,栄都にだけ懐いている凍硝七瀬に玖苑が声をかけたりと,彼らの関係性が伝わってきてほほ笑ましい。
デッドマターとの迫力ある戦闘シーンも,本作の見どころだろう。第一幕では朔,栄都,鍛炭六花,第二幕では四季,七瀬,浮石三宙,玖苑,一那の編制で作戦に挑むことになる。
原作は,結合術を使うペアをメインとした5人までの編制だ。舞台は作戦ごとに編成が変わったり,参加しないメンバーも後方支援で戦う場面が入ったりと,全員が協力して戦っている姿を見ていると,応援にもより熱が入る。
物語の終盤には,恐ろしい能力を持つ人型デッドマター“ミラーズ”との戦闘も待っている。彼らが初めて遭遇したミラーズは,最初の志献官でもあった天空王九慈だ。九慈の過去を掘り下げるシーンもあるので,ぜひ注目していただきたい。バトルシーンは対人戦だからこそのスピード感と迫力がある殺陣の連続で,見ごたえバツグンだった。
志献官たちの絆や戦いをじっくりと見守れる本公演は,各種プレイガイドで一部チケットが発売中だ(全席指定:税込1万2000円)。
また,2024年5月7日18:00(初日),19日の12:00/17:00(大千穐楽)公演は,DMM TVにてライブ配信も行われる(各公演:税込3800円。見逃し配信あり)。特典として生コメントも用意されているので,ぜひチェックしよう。
●回替わり生コメント(敬称略)
2024年5月7日18:00
出演キャスト予定:高梨 怜/荒牧慶彦/福澤 侑/武子直輝
2024年5月19日12:00公演
出演キャスト予定:高橋祐理/高野渉聖/早乙女友貴/吉高志音
2024年5月19日17:00 大千秋楽公演
出演キャスト予定:西山蓮都/北出流星/磯野 大/荒牧慶彦
舞台「結合男子」公式サイト
(C) SQUARE ENIX/Experimental Theater「結合男子」制作委員会