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印刷2024/01/26 18:46

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RTX 40 SUPERだけじゃない。実況配信向けサービスやGeForce NOWの新情報などNVIDIAの新たな取り組みを紹介

 NVIDIAは,1月上旬に行われた「CES 2024」の会期中にプライベートブースを設け,同社の新型GPUを搭載したグラフィックスカードや,ソフトウェア,サービスにまつわる展示を行っていた。

NVIDIAブースで披露されていた「GeForce RTX 4080 SUPER」のリファレンスカード
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 新型GPUとしては,既報のとおりGeForce RTX 40シリーズのバリエーションモデルである「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズ計3製品が発表となった。日本国内でも,1月17日に「GeForce RTX 4070 SUPER」,1月24日に「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」を搭載したグラフィックスカードが発売となった。残る「GeForce RTX 4080 SUPER」も1月31日に発売となる予定だ。
 NVIDIAブースでは,NVIDIA純正のリファレンスモデルである「Founders Edition」に加えて,グラフィックスカードメーカー各社の製品を展示していた。

GeForce RTX 4070 SUPER Founders Edition(左)と,GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition(右)。GeForce RTX 4070 Ti SUPERには,Founders Editionがないようだ
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ハイエンド市場向け製品らしく,ひときわ大きく分厚いGeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition
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GeForce RTX 40 SUPERシリーズを搭載したグラフィックスカード
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 ソフトウェアやサービスでもさまざまな展示が披露されていた。まずは,実況配信ソフト「OBS」を提供するOBS Studioや,配信プラットフォームの「Twitch」と協業して開発する配信者向け技術「Twitch Enhanced Broadcasting」だ。
 現状の実況配信では,配信者が自身のPCスペックやネットワーク環境に応じて,配信動画の解像度やビットレートなどを細かく設定する必要がある。もともとPCに詳しい人であれば,こうした設定も簡単に行えるかもしれないが,そうではない場合はなかなか難しく,安定した配信を行えるようになるまでのハードルになっている。

 Twitch Enhanced Broadcastingを利用することで,配信者がこまかな設定をしなくとも,自動的に高品質な配信が行えるそうだ。具体的には,OBSが配信者側の環境に合わせて,解像度やビットレート,エンコードパラメータなどを自動で設定するという。加えて,Twitch側もOBSの設定に基づいて,視聴者のPCやスマートフォンに応じて最適な配信映像を提供するとのこと。なお,Twitch Enhanced Broadcastingの利用には,GeForce RTXシリーズのGPUが必要だ。

Twitch Enhanced Broadcastingの概要。配信者がGeForce RTXに搭載するエンコーダの「NVENC」使ってエンコードした映像をTwitchに送ることで,Twitch側で視聴者向けの最適化が行われる
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 Twitch Enhanced Broadcastingは,現在Twitchのクリエイターダッシュボードからβテスト参加者の募集が始まっており,1月下旬にはテストを開始する予定とのこと。また,今後数カ月のうちに,これまでよりも高い解像度やビットレート,新しいコーデックを追加する見通しだ。

 続いては,クラウドゲームサービス「GeForce NOW」の最新情報だ。2024年は,Activision Blizzard製ゲームタイトルの追加など,GeForce NOWでプレイできるゲーム数の拡充や提供地域の拡大を行っていくそうだ。

対応ゲームの拡大や1日利用券(DayPass)の販売もはじまる
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 2024年は,日本国内のGeForce NOWも大きな変化が待ち受けている。2024年1月時点では,日本国内においてソフトバンクとKDDIがそれぞれGeForce NOWを運営していた。しかし,既報のとおり,ソフトバンクが運営する「GeForce NOW Powered by SoftBank」が3月中に終了する。

 一方で2024年春には,NVIDIA自身が運営するGeForce NOWが国内でもスタートするという。具体的な開始時期や料金プランは明らかになっていないが,これまで日本で利用できなかった上位プラン「Ultimate」の提供が明言されている。Ultimateプランでは,従来よりも高解像度かつ高フレームレートでゲームがプレイ可能だ。最近は,最大リフレッシュレート120Hzのディスプレイを搭載したスマートフォンが主流になっており,クラウドゲームでもこうした高いリフレッシュレートを生かせる場面が増えるだろう。

 ちなみに,筆者はGeForce NOW Powered by SoftBankのフリープランに加入している。とくに有用だったのは新型コロナウイルス感染症の影響が大きい時期だ。その頃は,国外からの入国者はホテルでの待機を余儀なくされたのだが,そんなときにもGeForce NOWでゲームをプレイすることで,ストレス解消に貢献した。その後もMacやタブレット端末で手軽にゲームをプレイしたいときに利用している。

GeForce Nowが利用できるデバイスは,PCやスマートフォンだけではなく,スマートTVなどにも拡大している。また,NVIDIAは,人気の高まる携帯型ゲームPCも新たなターゲットとして期待しているようだ
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 一方,日本国内で契約したGeForce NOWは,海外出張時などに利用できない点(実際にゲームをやってる余裕があるかは別として)に不満があった。NVIDIAによるGeForce NOWが始まればこうした問題も解決するかもしれない。
 ただ,NVIDIAに,地域をまたいだサービス利用の可否や,海外で利用する場合の料金プランについて問い合わせたが,詳細は決まっていないとのことだった。ぜひ日本国外でも利用できるようになってほしいものだ。

 NVIDIAがこのところ,とくに注力している生成AI関連の取り組みに関する展示もあった。ストックフォトの大手である「Getty Images」が提供する新サービス「Generative AI by iStock」だ。

Getty Imagesのライブラリからトレーニングした画像生成を利用できるGenerative AI by iStock
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 本サービスは,Getty Imagesが所有する膨大な画像を教師データとして,NVIDIAの生成AI導入支援ソリューションである「NVIDIA AI Foundation」の「Picasso」を用いて学習したという。

Picassoは,画像向けのフレームワークだ。風景や人物,衣類などをレイヤー分けして生成し,合成なども行える
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 教師データの権利元がはっきりとしていることから,NVIDIAブースにいたGetty Imagesの担当者は,「Generative AI by iStockは,安全にビジネスでも利用できる手ごろな価格の画像生成サービスだ」とアピールしていた。

 最後にゲーム開発者向けのソフトウェアやサービスも紹介したい。まずは,旧作ゲーム向けのリマスター技術「NVIDIA RTX Remix」だ。RTX Remixを活用したゲームでは,「Portal with RTX」が2022年に登場しており,現在「Half-Life 2 RTX」の開発が進んでいる。いずれも既存のゲームをベースとしつつも,リアルタイムレイトレーシングや超解像技術「DLSS」に対応しているのがポイントだ。

RTX Remix
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RTX Remixのインターフェース画面
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元の「Half-Life 2」(右)とHalf-Life 2 RTXの比較
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レイトレーシングによる光と影だけではなく,オブジェクトのデティールも細かくなっている
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 また,AIエージェント技術「NVIDIA Avatar Cloud Engine」(以下,ACE)を使った新たなデモも公開していた。ACEは,NVIDIAの生成AI用フレームワークを活用して,表情豊かに自然な会話ができるアバターを開発できるというものだ。ゲームでもプレイヤーの行動に合わせて,自然に振る舞うNPCの登場などが期待できる。

 NVIDIAによると,今後は教師データを制限するノイズ除去が重要になるという。従来の大規模言語モデルを活用したサービスでは,正しくない情報をAIが生成することもある。たとえば,最寄り駅でおすすめの飲食店を生成AIサービスに聞いたときに,存在しない店の情報が出てきたという人もいるだろう。間違った情報が出力されては困るというケースでは,ライブラリを限定することが求められるという。
 
 今回公開となったデモは,RTX Chatと呼ばれるツールで生成AIにとチャットするというものだが,教師データをCES 2024に合わせて行われたNVIDIAの特別講演に絞ることで,発表製品や価格などを間違うことなく回答していた。

ACEを使ったデモ。以前に公開したサイバーパンク風ラーメン屋という舞台は変わっていないが,店主のほかに客が新たに加わった
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NVIDIAのCES 2024特設ページ

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