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GeForce RTX 4060 Ti/4060 vs Radeon RX 7600。2023年に買うミドルクラスGPUはどれがお勧めなのか[レビュー]
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印刷2023/08/30 08:30

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GeForce RTX 4060 Ti/4060 vs Radeon RX 7600。2023年に買うミドルクラスGPUはどれがお勧めなのか[レビュー]

 2023年のミドルクラスGPU市場は,NVIDIAから「GeForce RTX 4060 Ti」シリーズが2モデルと,「GeForce RTX 4060」(以下,RTX 4060)が1モデル,AMDからは「Radeon RX 7600」(以下,RX 7600)が登場したことで,おおむね役者が出そろった感がある。旧世代のGPU,とくにGeForce GTX 1060やGeForce RTX 2060世代を使っている人の中には,最新世代への買い換えを検討している人もいるだろう。
 そこで本稿では,GeForce RTX 40世代から,GeForce RTX 4060 Tiのグラフィックスメモリ容量16GB版と8GB,RTX 4060の3製品,そしてRX 7600の性能を上位モデルや前世代と改めて比較検証して,お買い得のミドルクラスGPUはどれかを明らかにしてみたい。


メモリ容量が8GBから16GBへと増加したGeForce RTX 4060 Ti 16GB版


 本論のテストへ進む前に,4Gamerでレビューを行うのは初となるグラフィックスメモリ容量16GB版の「GeForce RTX 4060 Ti」(以下,RTX 4060 Ti 16GB)を簡単に紹介しておこう。なお,本稿で試用したRTX 4060 Ti 16GB搭載カードは,玄人志向ブランドの「GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DF」である。

GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DF
メーカー:CFD販売
実勢価格:9万円弱
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 NVIDIAは,「GeForce RTX 3080」(以下,RTX 3080)で行ったように,同じ製品名でありながらメモリ容量が異なるGPUは,メモリ以外のスペックに手を加えることが珍しくない。たとえば,RTX 3080の場合,メモリ容量が12GBモデルは,シェーダプロセッサである「CUDA Core」の数が8960基で,メモリインタフェースが384bitであるが,メモリ容量10GBモデルになると,それぞれ8704基,320bitといった具合に,スペックに差がついている(関連記事)。
 一方で,「GeForce RTX 3060」(以下,RTX 3060)では,メモリ容量12GBモデルと8GBモデルでGPUコア自体の仕様は変わらない。しかし,メモリインタフェースが,12GBモデルは192bitであるのに対して,8GBモデルは128bitと,差が付けられていた。

 RTX 4060 Tiではどうなったのというと,メモリ容量以外のスペックにまったく違いはない。つまり,メモリ16GB版のRTX 4060 TiもCUDA Core数は4352基で,ブーストクロックは2535MHz,メモリインタフェースは128bitで,メモリクロックは18GHz相当であり,8GBモデルと差異はない。つまり,単純にメモリ容量を増やしただけという理解で問題ない。
 ただ,メモリ16GB版のRTX 4060 Tiは,消費電力の目安となるTGP(Total Graphics Power)は165Wと,8GB版の160Wから若干ではあるが増加してしまっている。

NVIDIAコントロールパネルで,GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFにおけるRTX 4060 Tiのシステム情報を確認したところ。基本スペックは8GBモデルとまったく同じだ
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GPU-ZでGG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFの動作クロックを確認したところ
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 なお,今回テストに利用したGG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFの場合,ベースクロックは2310MHzと,リファレンスから変わらないものの,ブーストクロックは2640MHzで,リファレンスから105MHz引き上げられていた。
 ちなみに後述するテスト環境において,テスト中のコアクロックを「GPU-Z」(Version 2.54.0)で追ってみたところ,2790MHzまで上昇しているのを確認した。同様のテストで,8GB版のRTX 4060 Ti Founders Editionは,2745MHzまでしか上がっていないのと比べると,ブーストクロックの差ほどではないものの,GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFのほうがより高いクロックまで伸びている。
 なお,GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFのメモリクロックは18GHz相当でリファレンスと変わらない。


Founders Editionより若干大きなGG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DF


 GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFのカードそのものについても,簡単に見ておこう。

GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFの表面
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 カード長は,実測で約254mm(※突起部除く)と,RTX 4060 Ti Founders Editionが約244mmであったのに比べるば,10mmほど長い。また,マザーボードに装着した場合,垂直方向に約27mmほどGPUクーラーがブラケットからはみ出ており,全体的にRTX 4060 Ti Founders Editionより一回り大きい印象だ。ただ,基板自体は148mmほどしかなく,GPUクーラーがカード後方に100mm以上もはみ出た格好だ。

GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFの裏面。カード後方はバックプレートに広い孔が開けられており,GPUクーラーのフィンからファンが透けて見える
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 本製品のGPUクーラーは,2スロット占有タイプで,「WINGS」と呼ばれるオリジナルモデルを採用している。102mm径相当のファンを2基搭載しており,ファンブレードは途中から2段階に角度が付けられたユニークな形状をしているのが特徴的だ。ファンブレードの形状について,玄人志向は詳しくは説明していないものの,強力な風量と風圧で,ヒートシンクから効率的に放熱を行うという。

 カードの製造元であるGALAXY Microsystems製の設定アプリケーション「Xtreme Tuner Plus」(※試用時点ではVersion 1.0.9.8)を用いると,2基のファン回転数を固定したり,温度と回転数の関係を示したファンカーブから変更したりと,個別に設定できる。
 また,「サイレント・エクストリーム・テクノロジー」という機能により,GPUコアへの負荷が低いアイドル時には,ファンの回転を停止する機能もある。

Xtreme Tuner Plusにあるファンの回転数設定。上の「FAN 1」がブラケット側,下の「FAN 2」がカード後方側のファン設定となっている
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 また,2基のファンおよび側面の「GEFORCE RTX」のロゴには,カラーLEDイルミネーションが組み込まれており,こちらの発光パターンもXtreme Tuner Plusから制御可能だ。

Xtreme Tuner PlusのLED設定。色や明るさはもちろんのこと,発光パターンも18種類から選択可能だ
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 PCI Express補助電源コネクタは,一般的な8ピンタイプを1基備える。先述のとおり,基板自体が短いため,補助電源コネクタはカード中央付近に実装されていた。
 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.1a×1を装備と,最近のグラフィックスカードではよく見かける構成だ。


計8製品でDLSSおよびFSRを有効にしてテスト


 今回,比較対象にはGG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFと8GB版RTX 4060 Ti,RTX 4060,RX 7600を軸に,比較対象として「GeForce RTX 4070」(以下,RTX 4070),「GeForce RTX 3070」(以下,RTX 3070),「GeForce RTX 3060 Ti」(以下,RTX 3060 Ti),RTX 3060の8製品を用意した。
 冒頭でも述べたように,GeForce RTX 40/30シリーズとRX 7600を含めて,ミドルクラスGPUにおける優劣をハッキリさせようというわけだ。なお,メモリ容量の差を明記するために,以下,文中とグラフ中ともにRTX 4060 Tiの2製品はそれぞれ,「RTX 4060 Ti 16GB」「RTX 4060 Ti 8GB」と表記する。

 先述したとおり,GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFはメーカーレベルでブーストクロックが引き上げられているが,Xtreme Tuner Plusでリファレンスどおりのクロックへ下げてみたところ,それに合わせてベースクロックも下がってしまい,8GB版RTX 4060 Tiより大きく性能が下がってしまった。そのため,16GB版RTX 4060 Tiは,GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DFの素の状態でテストを行っている。

 使用したグラフィックスドライバは,GeForceが「GeForce 536.99 Driver」,RX 7600が「AMD Software 23.8.1」で,いずれもテスト時点における最新版だ。それ以外のテスト環境はのとおり。

表 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1J)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード 玄人志向 GG-RTX4060Ti-E16GB/EX/DF
(GeForce RTX 4060 Ti.グラフィックスメモリ容量16GB)
GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量8GB)
MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC
(GeForce RTX 4060,グラフィックスメモリ容量8GB)
Radeon RX 7600リファレンスカード
(グラフィックスメモリ容量8GB)
GeForce RTX 4070 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 3070 Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量8GB)
GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition
(グラフィックスメモリ容量8GB)
ZOTAC Technology ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC
(GeForce RTX 3060,グラフィックスメモリ容量12GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 22H2(Build 22621.2134)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 5.08.02.027
グラフィックスドライバ GeForce 536.99 Driver
AMD Software 23.8.1

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション27に準拠しているが,,超解像技術である「DLSS」および「FSR」を極力有効にしてテストを行うことにした。今回は,GPUの素の性能を比較するのが目的ではないことと,ユーザーが実際にこれらのGPUでゲームをプレイする場合,こうした機能を活用してフレームレートを向上させるのが現実的であると判断したためだ。
 具体的には以下のとおり。

●「3DMark」(Version 2.26.8098)
GeForce:「DLSS feature test」を追加で実施。解像度は3840×2160ドットと2560×1440ドットを選択し,DLSS modeは「Quality」で実行。ただし,RTX 4060 Ti 16GB/8GBとRTX 4060,RTX 4070は「DLSS 3」を,RTX 3070とRTX 3060 Ti,RTX 3060は「DLSS 2」を用いている点は注意してほしい。

●「Marvel's Spider-Man Miles Morales」(以下,Spider-Man Miles Morales)
GeForce:「アップスケールメソッド」から「DLSS」を選択して,アップスケール品質を「品質」に設定。GeForce RTX 40シリーズは,「DLSSフレーム生成」も有効にする。なお,DLSSフレーム生成を有効にすると「CapFrame X」ではフレームレートが正常に取得できないため,今回は「FrameView」(Version 1.4.8323)を使用した。
Radeon:「アップスケールメソッド」から「AMD FSR 2.1」を選択し,アップスケール品質を「品質」に設定。

●「バイオハザード RE:4」
Radeon:「FidelityFX Super Resolution 2」を「Quality(画質重視)」に変更したうえで,「アンビエントオクルージョン」を「FidelityFX CACAO」に設定。

●「Call of Duty: Modern Warfare II」(以下,CoD MW2)
GeForce:「アップスケーリング/シャープニング」を「NVIDIA DLSS」に変更し,「NVIDIA DLSSプリセット」を「クオリティ」に設定。なお,「NVIDIA DLSSシャープネス」は初期値の「82」のままだ。
Radeon:「アップスケーリング/シャープニング」を「AMD FSR 2.1」に変更し,「AMD FSRプリセット」を「クオリティ」に設定。

●「Fortnite」
GeForce:「アンチエイリアス&スーパー解像度」を「NVIDIA DLSS」に変更し,「NVIDIA DLSS」を「品質」に設定。

●「God of War」
GeForce:「DLSS」を「画質優先」に設定し,「DLSSシャープネス」を「35」に設定。
Radeon:「AMD FSR 2.0」を「画質優先」に設定し,「FSRシャープニング」を「0.3」に設定。

●「F1 23」
GeForce:「アンチエイリアシングモード」を「NVIDIA DLSS」に設定し,「アンチエイリアシングモード」を「クオリティ」に変更。「アンチエイリアシングシャープネス」を「50」に設定。
Radeon:「アンチエイリアシングモード」を「AMD FSR2」に設定し,「アンチエイリアシングモード」を「クオリティ」に変更。「アンチエイリアシングシャープネス」を「50」に設定。

 なおテスト解像度は,いつもどおり1920×1080ドットと2560×1440ドット,それに3840×2160ドットの計3種類である。


一部のゲームで数%の上積みはあるものの,16GBと8GBで性能差はほぼなし


 それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。グラフ1は「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。

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 スコアはRTX 4070,RTX 3070,RTX 4060 Ti 8GBの順に並んでいる。
 RTX 4060 Ti 16GBは,RTX 4060 Ti 8GBとほぼ横並びで,メモリ容量の差はスコアに表れていない。むしろ,若干ではあるがRTX 4060 Ti 16GBがRTX 4060 Ti 8GBを下回る傾向が出ている。これは,瞬間的な動作クロックは16GBモデルのほうが高いものの,8GBモデルのほうが高いクロックのまま推移する場面が多いのだろう。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものとなる。

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 基本的には総合スコアを踏襲する形となっており,RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBは,肩を並べている。RTX 4060 Ti 16GBのほうがRTX 4060 Ti 8GBより若干低い点も,総合スコアと同じで,全体的な力関係も変わっていない。

 GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ3だ。

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 CPU性能によって処理速度が制限される「CPUバウンド」が発生しており,RTX 4070は,Fire Strike“無印”のスコアが振るわない。だが,それ以外を見ると,これまでの傾向が表れており,RTX 4060 Ti 16GBはRTX 4060 Ti 8GBに若干届かないものの,RTX 3070とRTX 3060 Tiの間に収まっている。また,RX 7600は,RTX 4060やRTX 3060を凌駕するものの,RTX 3060 Tiにはあと一歩届いていない。

 次に,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果を見てみよう。グラフ4は総合スコアをまとめたものだ。

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 ここでもRTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBのスコアは,ほぼ同じ。RTX 3070とRTX 3060 Tiの間に置かれる点もFire Strikeから変わっていない。RX 7600がRTX 3060 TiとRTX 4060の間に位置する点も変わりはない。

 続くグラフ5は,Time SpyのGPUテスト結果となる。

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 Fire Strikeと同様に,Time Spyでも大勢は総合スコアから変わらない。RTX 4060 Ti 16GBはRTX 4060 Ti 8GBと並んではいるものの,若干下回る結果となっている。だが,やはりRTX 4070には差を付けられており,RTX 3070と同程度からRTX 3060 Tiの間くらいという立ち位置は変わらない。

 もうひとつのDirectX 12のテストであるSpeed Wayの結果を,グラフ6に示す。

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 RTX 4060 Ti 16GBは,RTX 4060 Ti 8GBに4%ほど差を付けられてしまっており,RTX 4060 Founders Editionは,動作クロックの制御で秀でている印象だ。ただ,RTX 3060 Tiを上回るものの,RTX 3070には届いていない。
 また,RX 7600はあまり伸びず,RTX 3060さえも下回る結果になってしまっている。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果が,グラフ7だ。

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 やはりRTX 4060 Ti 16GBは,RTX 4060 Ti 8GBに若干届いていないものの,RTX 3070に迫る勢いを見せており,RT Coreが第3世代へと進化したことが奏功している。また,RX 7600はRTX 3060を超えたものの,RTX 4060には差を付けられており,RDNA 3アーキテクチャでもレイトレーシング性能には懸念がある。

 もうひとつのレイトレーシングテストであるDirectX Raytracing Feature testの結果が,グラフ8となる。

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 わずかではあるがRTX 4060 Ti 16GBがRTX 4060 Ti 8GBを上回っているが,ほぼ横並びと言っていいレベル。また,どちらもRTX 3070を20%弱引き離している点は,注目に値する。その一方,RX 7600のスコアは奮わず,RTX 3060と同程度に留まった。

 続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ9となる。DLSSを使用する都合上,RX 7600では計測していない。

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 結果を見てみると,やはりDLSS 3が使用できるRTX 40シリーズが良好なスコアを記録している。RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBは横並びだが,DLSS on時は,RTX 3070を49〜58%程度も差をつけており,フレーム生成の恩恵は絶大だ。

 それでは実際のゲームの性能はどうなのか,Spider-Man Miles Moralesで見てみよう。その結果がグラフ10〜12である。

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 RTX 4060 Ti 16GBの平均フレームレートに注目すると,RTX 4060 Ti 8GBに最大約6%の差を付けている点は優秀だ。また,1パーセンタイルフレームレートを見ると,6〜11%程度の差を付けており,メモリ容量の増加が性能向上につながっている。RTX 3070に対しても,平均フレームレートは届いていないが,1パーセンタイルでは1920×1080ドットで上回っている点は評価できよう。このあたりは,メモリ容量よりもブーストクロックの引き上げが結果につながったのではないだろうか。
 RX 7600の性能は,RTX 4060以上RTX 3060 Ti未満といったところだ。

 グラフ13〜15は,バイオハザード RE:4の結果となる。

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 RTX 4060 Ti 16GBの平均フレームレートは,RTX 4060 Ti 8GBと肩を並べており,メモリ容量の影響は見られない。ただ,1パーセンタイルフレームレートに目を移すと,最大で約4%ほどRTX 4060 Ti 16GBが優位に立っており,まったくの横並びではない。解像度が低いほど差が開いている状況を見るに,こちらもメモリ容量よりは,ブーストクロック引き上げの影響と捉えるのが妥当だろう。
 一方で,RX 7600の平均フレームレートは,1920×1080ドットでRTX 3060 Tiに約7%の差を付けている点は優秀だ。AMDのFSR 2.0が奏功したと言えよう。

 続いて,CoD MW2の結果がグラフ16〜18となる。

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 RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBは,平均フレームレートと1パーセンタイルともに,ほぼ横並びの結果となった。ただ,RTX 4060 Ti 16GBの平均フレームレートは,RTX 3070を3〜12%程度上回り,最小フレームレートも7〜16%程度超えてみせた点は立派だ。
 RX 7600は,高解像度では離されるものの,1920×1080ドットであれば平均フレームレート,最小フレームレートともに,RTX 3070といい勝負を演じている点は好印象を受ける。CoD MW2は,全体的にRTX 30シリーズの結果が奮わず,世代の古さが結果から見て取れる感じだ。

 さて,Fortniteの結果がグラフ19〜21だ。

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 RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBは,平均フレームレートと1パーセンタイルともに肩を並べているが,若干16GBが高めといった印象だ。だが注目すべきは,やはり1920×1080ドットであれば,どちらもRTX 3070を上回っていること。さすがにRTX 4070には届かないものの,それでも十分差を詰めていると言っていいレベルだ。
 それに対して,RX 7600の結果は奮わず,RTX 3060にも大きく離されてしまっている。これは,FortniteがNVIDIAのDLSSに対応しているものの,AMDのFSRをサポートしていない点に原因があろう。DLSSにも共通して言えることだが,FSRはゲームでの対応状況に課題を残す形となった。

 God of Warの結果をグラフ24〜26に示す。

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 RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBとでは大差ない結果になっているのはこれまでと同じ。どちらも1パーセンタイルフレームレートで,RTX 4070に迫る勢いを見せている点は評価できよう。RTX 3070との差をかなり縮めてきたのも優秀だ。
 本作ではFSR 2.0が使用できることもあり,RX 7600は,1パーセンタイルフレームレートの結果が秀でている。2560×1440ドット以下の解像度であれば,RTX 4060 Ti 16GBさえも超えてみせた点は特筆すべきだろう。

 グラフ27は,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBは,ここでも横並びとなっており,メモリ容量の差による性能への影響は見えない。
 同ベンチマークはGeForceシリーズへの最適化が進んでいることもあり,RX 7600は,解像度2560×1440ドット以上ではRTX 4060に置いていかれており,2560×1440ドット以下でRTX 3060をなんとか上回るといった状況だ。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ28〜30だ。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲する形となっており,RTX 4060 Ti 16GBスコアはRTX 4060 Ti 8GBとほとんど変わらない。一方,最小フレームレートはCPU性能の影響が色濃く,68fpsで頭打ちになって差が表れにくくなっている。

 グラフ31〜33には,F1 23の結果をまとめている。

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 ここでは,RTX 4060 Ti 16GBの最小フレームレートに注目してほしい。RTX 4060 Ti 16GBは,RTX 4060 Ti 8GB程度に4〜31%もの差を付け,RTX 3070と肩を並べるか,それ以上の性能を発揮するなど,メモリ容量の増加で性能向上をはたしている。
 一方でRX 7600は,FSR 2.0が使用できるものの,RTX 4060を上回るのがやっとで,RTX 3060 Tiには太刀打ちできていない。


メモリ増量で消費電力は増大したのか?


 先述したように,RTX 4060 Ti 16GBのTGPは,RTX 4060 Ti 8GBから5W増加している。では,実際の消費電力ではどの程度の違いがあるのだろうか。また,ミドルクラス帯における各種GPUの消費電力もチェックしておきたい。
 そこで,今回はNVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回の計測は,3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中に行った。その結果をグラフ32に示そう。

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 結果を見ると,RTX 4060の消費電力がRTX 3070の半分程度と,際立って低いのが目に留まる。また,RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GB,RX 7600は,大きく変わりがないようにも見える。

 そこで,グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求めたうえで,最大値と合わせてまとめたものがグラフ33となる。

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 消費電力が低い順に並べると,RTX 4060,RTX 4060 Ti 8GB,RTX 4060 Ti 16GB,RX 7600となる。
 RTX 4060 Ti 16GBの中央値は157Wほどで,RTX 4060 Ti 8GBから約3W高い結果になった。今回のテストでは,ブーストクロックが揃っていないため,この結果がそのままメモリ容量の違いによるものとは言えないのだが,それでもRTX 4060 Ti 16GBは,RTX 4060 Ti 8GBから若干消費電力が増加していると理解してよさそうだ。

 ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果も見てみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ34だ。

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 ピーク値を結果として採用するため,差が開く傾向にある。それでもRTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBとでは,各アプリケーション実行時で勝ったり負けたりのいい勝負演じており,ここで見る消費電力は,横並びと言っていい。
 RX 7600もRTX 4060 Ti 16GBと同程度であり,新世代のGPUの消費電力は低めで,NVIDIA,AMDのどちらもプロセスルールの微細化が奏功しているようだ。

 GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はないことはお断りしておく。
 それを踏まえた結果が,グラフ35である。

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 RTX 4060 Ti 16GBは高負荷時でも70℃を超えていない点は優秀だ。RTX 4060 Ti 8GBよりも低い点は好印象である。また,RTX 30シリーズは高負荷時に80℃に届こうとしているが,RTX 40シリーズは70℃前後に収まっているあたりも,消費電力の低さが一役買っている。
 一方で,RX 7600は目に見えて高負荷時の温度が高い。アイドル時もわずかだがRTX 40シリーズより高いので,消費電力のわりに温度は高めと言えようか。

 最後に筆者の主観であることを踏まえたうえで,RTX 4060 Ti 16GBの動作音について述べておくと,静かな印象を受けた。負荷をかけても回転数はさほど上がらず,これならばケースに入れてしまえば聞こえてこないレベルだ。


ゲーム用途でRTX 4060 Ti 16GBを選ぶ理由はない。コスパならRX 7600も魅力的


 以上のテスト結果を踏まえると,RTX 4060 Ti 16GBとRTX 4060 Ti 8GBのゲームにおける性能差は,ほとんどないと言っていい。問題は価格だ。RTX 4060 Ti 8GBの実売価格は5万8000〜6万6000円程度であるのに対して,RTX 4060 Ti 16GBは7万〜8万5000円程度と,かなりの差がある。これだけのコスト差がありながら,ゲーム用途では得られるメリットがあまりにもなさ過ぎる。もちろん,RTX 4060 Ti 16GBは一部のゲームで性能向上が見られたものの,金額に見合っていないと言っていい。この価格であれば,RTX 4070を選ぶほうが,ゲーマーにとっては得策と言わざるをえない。

フレームレートではRTX 4060 Tiに及ばないRX 7600だが,価格対性能比で見れば優秀だ
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 一方,価格対性能比なら,RX 7600は4万〜4万6000円程度と割安で,存在感を放っている。FSRに対応していないゲームも多い点は課題だが,それでもRTX 4060と同程度〜若干安い価格は魅力的だ。消費電力が抑えめな点もうれしいところだろう。

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