インタビュー
[インタビュー]ライザ達の最終章の姿ができるまで。「ライザのアトリエ3」で,キャラクターに泣きながら謝って描き切ったトリダモノ氏の挑戦
すぐに決まった新キャラクター&パティ
細井氏:
幼馴染組とは逆に,ボオスはすごく早く出てきました。
鈴木氏:
一発OKでしたね。
4Gamer:
ボオスはもともとはトリダモノさんのキャラクターデザインではないですよね。プレイアブルではないサブキャラクターでしたし。彼を改めてデザインするのは,どういうテンションだったんですか?
トリダモノ氏:
テンションは高かったです。「ライザ1」と「ライザ2」をやって,ボオスはすごく良いキャラクターだったので,単純に好きなんですよ。ですから,彼がプレイアブルになると聞いて,ファンと同じ心境で嬉しかったんです。そういう気持ちで,「成長したボオスならこんな感じだよね」と描いたらサクっと終わりました。
鈴木氏:
午前中にミーティングをして,その日のうちにできていたぐらいです。
トリダモノ氏:
ボオスは良家の息子ということで正装キャラですが,今までパーティにいなかったタイプなので,デザインしていて楽しかったです。
「ライザ1」の頃から,NPCの監修はしていましたが,コーエーテクモゲームスさん側で描いてくれたボオスの時点で気に入っていたんですよね。しかも,プレイしてみたら良いキャラクターで,仲間にならないなんて何を考えているのかと思っていました。
鈴木氏:
こんなに重要な役どころなら,自分でデザインしたかったとおっしゃっていましたね。ですから,トリダモノさんの中にはすでに,成長したボオス像があったのだと思います。
トリダモノ氏:
これまでのボオスからあまり変えたくはないけど,イケメンにしたいと思ったので,修行をして細身になったイメージで描いています。
Twitterで,これまでのボオスの髪型が好きだったから,変えずにいてくれて嬉しいというツイートを見て,そこを見てくれてありがとうという気持ちになりました。ボオスファンの方に喜んでもらえたら嬉しいです。
4Gamer:
本作で初登場のキャラクターはいかがでしょう。
細井氏:
カラは,完全にトリダモノさんのデザインラインになっています。揺れる装飾が多く,フレアスカートなので,3Dモデルが突き抜けて大変なんですけど……。
トリダモノ氏:
すいません。異端な感じを出したくてシルエットを盛ったら,3Dで問題になってしまいましたね。
4Gamer:
開発側からは,どういうオファーだったんですか?
細井氏:
オファーとしては,今までにいないキャラクター像と,シナリオの役割上必要な要素を入れていただきたい,というぐらいです。
トリダモノ氏:
リラやセリと同様,異界の種族はやりたいようにやってOK,という感じでした。自分の中でも「OK!」とすんなり出てきてしまったので,あまり話すことがないですね……。
4Gamer:
ラフ,めちゃめちゃ少ないですもんね。
細井氏:
それでスっとカラが出てくるんですから,やはりトリダモノさんのデザインのうまさは素晴らしいと感じます。
細井氏:
ディアンも,トリダモノさんの好きを詰め込んだようなキャラクターになっています。
トリダモノ氏:
部族系のキャラクターということで描いてみたのですが,最初は初期のレントのような,汎用性のあるキャラクターになってしまいました。悪くはないんだけど個性がなくて,ディアンである必要ある? みたいな。
細井氏:
「悪くはないんだけど」とよくおっしゃいますが,これはトリダモノさんの自問自答の中で重要ワードです。この言葉が出てくると,汎用的なキャラクターに個性を持たせる直感力が働きだすと言いますか。
鈴木氏:
立場的には,その言葉が出てくると,絶対に今日は決まらないんだなと悟るんですけどね(笑)。
ディアンは一度「悪くはないんだけど」で立ち止まってから,相談して不良少年っぽいイメージを入れることになり,デザインが決まりましたね。
細井氏:
フェデリーカは,「秘密」シリーズが日本の夏っぽさを重視してきたので,いっそ和装を出してみようと生まれたキャラクターです。開発側の意向が強いデザインになっています。もともとは,おしとやかなキャラクターをイメージしていたのですが,高橋さんのエッセンスが加わって,いつの間にか強い子になっていました(笑)。
トリダモノ氏:
細井さんから最初に聞いていたのと全然違いましたね。もっと気弱なキャラクターだと思っていたので,自分の中でイメージがガラっと変わり,短髪にしたり袖を短くしたりして,活発なデザインにしていきました。
鈴木氏:
新キャラクターは,みんなできるのが早かったですね。
トリダモノ氏:
これまでと違うことをしていいんだと,気が楽でした。
4Gamer:
幼馴染組でも新キャラクターでもない,パティ(パトリツィア)はいかがでしょう? 前作では苦労したようでしたが。
トリダモノ氏:
今回のパティはすごくスムーズでした。
細井氏:
もともと,幼さは残っているけど,剣の修行に打ち込んでいるという設定のキャラクターでしたので,そのまま成長した姿が分かりやすかったと思います。新しいデザインがサクっと提出されてきました。
トリダモノ氏:
キャラクターとしてイメージしやすかったですね。ボオスもそうですが,フォーマルなデザインは型があって絵になりやすいです。髪型をツインテールからポニーテールにしただけで変化も表現できて,すぐに決まりました。
ライザの記号は帽子とホットパンツと太もも
4Gamer:
デザイン進行の順番は,幼なじみ組の後で新キャラクターという流れですか?
鈴木氏:
その合間にライザも……ですね。最初は,答えが出ないことが分かっているライザから始めて,時間を置いてまた手を付けてというのを繰り返していました。
4Gamer:
ライザは,トリダモノさんにとっては自分の名を売ってくれたキャラクターですし,大きな話題になったキャラクターですし,「ライザ1」「ライザ2」と長く付き合ってきたキャラクターでもありますよね。そんな彼女の話の終わりに向けて,3作目のライザを描くとなったとき,どういう心持ちでデザインを始めたのでしょうか。
トリダモノ氏:
ちゃんと可愛く,期待を裏切らないデザインにしたい,イメージを崩したくないという気持ちが強かったです。
と言いつつ,最初のラフはやはり変化させるところから始めるのですが。でかいコートを着せて,シルエットを変えたりとか。
4Gamer:
成長したライザはこんな感じ,というイメージが固まっていたわけではないんですね。
トリダモノ氏:
まったくないです。でも,「ライザ1」「ライザ2」を経たライザ,大学を卒業する年齢のライザ,一人前になったライザがどうなるのかを考えて,やはり「ライザ1」+「ライザ2」のデザインをベースにしようと決めました。そこから,ほかのキャラクターデザインを進めながら,徐々に調整していった感じです。
4Gamer:
ライザは微調整の枚数がものすごいですね。
トリダモノ氏:
そうですね,けっこう慎重です。
4Gamer:
とりあえず,ラフの時点で太ももがふっといのは分かります。
トリダモノ氏:
絵柄の変化もありますが,身体の成長は歳の重ね方が表現しやすいこともあり,分かりやすく描いています。ただ,自分でもどのぐらいにすべきか分からなくなっていますね。今見ると,「ライザ1」ですらだいぶ細いなって思います。
4Gamer:
完全に麻痺しています(笑)。
トリダモノ氏:
多少は過剰に表現しないと,伝わらないところもありますから。これだけやれば,大人っぽい体つきのお姉さんになったかなと。
4Gamer:
確かにライザのお姉さん度は,かなり上がっている印象を受けます。「ライザ1」と比べると本当に成長したなと。
トリダモノ氏:
今年の東京ゲームショウで等身大ライザが3体並んだのを見て,自分でも思いました。とくに,「ライザ2」はごちゃごちゃしたお登り感,コンセプトがまとまっていない感をあえて出していたので,それが本作でまとまったというのが,並ぶと分かりやすかったです。
4Gamer:
大学デビューでハジけていたのが,卒業する頃には落ち着きましたみたいな。
細井氏:
そんな感じのイメージです。
ライザのデザインに関しては,私から見ても3作目だからと気負っている感じはしませんでした。
トリダモノ氏:
ですね。「ライザ2」で続編自体は体験しているので,いつも通りの大変さだなという感覚でした。
細井氏:
我々も「ライザ2」のときは「変えなきゃ」という気持ちがもっと強くて,気負っていたんです。初めて「アトリエ」シリーズで主人公を続投することになって,どれだけ変えていいのかが分からずに苦悩していました。
一方,本作は「このデザインでいい」という思いと,「これではダメだ」という思いが常にせめぎ合って……。トリダモノさんも,少しでも良いデザインにするためにずっと悩まれていたように見えましたね。
トリダモノ氏:
タオの件と一緒です。「このぐらいでしょ」と思いながら,それでは納得できなかったんです。
細井氏:
一度「ライザ2」で成長した姿を描いている以上,言葉は悪いですが,アイデアとしては出涸らしに近いと思うんです。その中から,終わりの作品の主人公にふさわしい姿を探り当てるのは,大変な作業だったと思います。
そんな中で印象的だったのが,トリダモノさんがデザインを考えているときにおっしゃった「キャラクターデザインは記号と記号をくっつける行為なんです」という言葉です。
4Gamer:
トリダモノさんから見て,ライザの記号になるのはどこなんですか?
トリダモノ氏:
帽子とホットパンツと太ももです。
ライザの途中の案はごちゃごちゃしていて,分かりづらいんですよ。ウリがないというか,まとまりがないというか。そこで,記号と記号を合わせればできるはずだと冷静になって,この3つを軸に考えるようにしました。
4Gamer:
つまり初期案は,ただ視覚情報を増やしただけみたいな状態ですよね。「1年後の主人公を描いてください」と言われて何も設定がなかったら,とりあえず手を動かして情報量を増やすところから始めるしかない。でも,その途中で「増やせば良いというものではない」と迷走しているのに気付くわけですね。
トリダモノ氏:
そうなんですよ,急に来るんです。
鈴木氏:
ライザのデザインは,3Dモデルになってからも変わっています。一度完成してから,黄色だったコートの表面を白にして,裏面を黄色にしました。
トリダモノ氏:
モデルにして動いているのを見たら,「ライザ2」からあまりに変わっていなくて,これは違うなと思ったんです。
細井氏:
それと,ライザのデザインで特徴的なのが,安全ピンやクリップなどの文房具ですが,3Dモデルで鈴木は泣いていました。挙動が本当におかしくなるので。
鈴木氏:
モデルだと安全ピンがプルプル震えるんですよね……。
4Gamer:
でも付けちゃうんですね。
トリダモノ氏:
付けちゃいましたね。ゲームのキャラクターなので,後ろから見たときのポイントを作りたくなってしまうんです。
4Gamer:
なるほど。背中の文房具はそういう理由で入れているんですね。
トリダモノ氏:
でも,いくら厳しくても「ダメなので消してください」と言わずに,要望を叶えてくれます。さすがですし,ありがたいです。
細井氏:
自分が一番大変な思いをするのに,鈴木は消すとは言わないですね。
鈴木氏:
だって,あったほうがいいですから。
4Gamer:
頼もしすぎる。
傍から見るとライザのデザインは,「ライザ1」「ライザ2」の流れをくんだ,一番案がすぐに出てきそうな完成系に見えます。それでも,最後までかかってしまうものなんですね。
トリダモノ氏:
結果的にこうした方向性となっていても,このほうがいいと決めるまでに,どうしても時間がかかります。ほかの選択肢を探らないで答えを出してしまうというのは,それで正しいのかが不安で。なので,まずは差別化のチャレンジを絶対にします。
鈴木氏:
トリダモノさんは,とにかく変えてみる方向で案をたくさん出して,そこからダメだと思った部分を削ぎ落としていく作り方をされますよね。
トリダモノ氏:
そうですね。それで,やはり違うというのを確認して,選択肢を潰していくんです。
大きく変えるデザイン自体は出せます。しかし大事なのは,それをファンの方がどう受け取るかです。変えたデザインを採用すべき理由があるならそちらを選びますが,今回は続編としてのイメージを重視したほうが良いと判断しました。
4Gamer:
ライザは,最初にキャラクターが発表された時点で大きな注目を集めました。そのうえで「ライザ1」より「ライザ2」,「ライザ2」より本作のほうが可愛いと思えるデザインに仕上がっているのが,本当に試行錯誤された結果なのだと感じます。
トリダモノ氏:
面と向かってそう言ってもらえる機会がないので,めちゃめちゃ嬉しいです。
歳を重ねたデザインは難しいんですよね。
4Gamer:
ここにデザインが終わったキャラクターが並んでいますが,「ライザ1」から成長した姿を描き終えて,感想はいかがですか?
トリダモノ氏:
作品に適したデザインにできたと思います。ちゃんと歳を重ねられたことに満足していますし,1ファンとして良いものになったと感じていて,もう不安はないです。最終的に,自分が満足できているということは,うまくできたのだと思っています。
4Gamer:
トリダモノさんの作り方でご自身が満足されているなら,シリーズファンの皆さんにも届くと思いますよ。
細井氏:
プロデューサーとしても,本作のキャラクターデザインにとても満足しています!
人間としても成長できた,人生を変えた作品
細井氏:
本作のキャラクターデザインは,トリダモノさんの意向と我々の意向が,どちらも良いバランスで入っていると思っています。話し合いもたくさんしました。ですから,キャラクターデザインが固まって,チームがこれで解散だという時期になったことが分かると,ちょっと寂しかったです。
4Gamer:
付き合いも長いでしょうし。
細井氏:
プロデューサーとCGディレクター,イラストレーターさんの3人で常に話し合ってデザインを決めること自体,「アトリエ」シリーズでは珍しいです。いつもは,ツーマンセルで話したことをメンバーたちに共有する形で進めていきますから。3人体制は,全員揃わないと仕事が進まないという問題もあるのですが,チーム感はすごかったですね。
トリダモノ氏:
でも個人的には,「ライザ2」からはコロナの影響もあって,話す時間が減ってしまったのが寂しかったです。細井さんもお忙しい立場ですし(編注:細井氏はガストブランド長,「アトリエ」シリーズのプロデューサーであると同時に,2020年にコーエーテクモゲームスの執行役員となっている)。
細井氏:
確かに「ライザ1」のときは,まるで恋人かのようにトリダモノさんに付きっきりでした(笑)。でも,あの頃のような長いダウナー期間に入ることもなくなり,ご自身で立ち直っていただけていますから,そこはもう信頼しています。
4Gamer:
トリダモノさんは,1人で作業に集中するよりも,できるだけ話したいタイプなんですか?
トリダモノ氏:
そうですね,おしゃべりの相手がいるのはありがたいです。自分の頭も回ってきますし,人にダメ出しされるとハっとします。自分に自信がないので,否定されると「なるほどね」となります。逆に褒められても,信じられないんですよね。
鈴木氏:
トリダモノさんは,褒めても喜ばないですよね。
トリダモノ氏:
時間がないんだな,納期が近いんだな,終わらせたいんだなと勝手に思ってしまうんです。でも,否定されたときって,そういうものを度外視して言ってくれているわけなので,「やらなきゃ」となります。
細井氏:
いやいや,私はダメなものを良いとは言いません。褒めているときは実際に良いと思っています。早く決めたい気持ちはもちろんありますが,一番の判断基準はユーザーさんに受け入れていただけるかどうかです。
実際,トリダモノさんは良いと思える基準のデザインをすぐに出してくださいます。ただ,トリダモノさんのキャラクターデザイナーとしてのセンスが,これでは足りないと言い出すんです。
4Gamer:
80点のものはすぐに出せても,それを100点まで上げたくなるのでしょうね。
トリダモノ氏:
思い入れが強い作品だからこそ,できることはやりたいんです。
4Gamer:
80点のデキで終わらせていいのかって話になりますからね。実際,それではライザは生まれていないわけですし。
細井氏:
思い返せば「ライザ1」の時点で,発表3か月前にライザのデザインを変更するという,普通ではありえないことをしました。でも,あれがなければ,きっとライザは今のように多くの方に好かれるキャラクターにはなっていません。
4Gamer:
そこで開発側の都合だけで動かないのが,「アトリエ」シリーズの強みでもあるんでしょうね。
細井氏:
はい,「アトリエ」シリーズの良いところは,イラストレーターさんと一緒に歩んで,一緒に作っていることだと思います。
ゲーム開発のビジネスとして考えたら,イラストレーターさん個人に依存するというのは,ある意味リスクです。ゲームによっては,イラストレーターさんの名前を出さない作品がたくさんあるのも,理解はできます。
4Gamer:
イラストレーターさん自身が,良くも悪くもSNSでいろいろなこと発信する時代ですからね。
細井氏:
それでも,我々は一緒にやっていくことを選んだからこそ,イラストレーターさんも「アトリエ」シリーズに力を入れて臨んでくれるのだと思っています。
トリダモノ氏:
そう言われて気づきました。僕のこだわりが強くなるのは,名前を出してもらえているからだと思います。名前が出ている以上,うかつなものは出せないですから。それで良いものにしようと入れ込んで,壁にぶつかって,うまく表現できない自分に嫌になる。名前が出ていないからといって適当な仕事をするわけじゃありませんが,ここまで踏ん張れなかったかもしれません。
細井氏:
トリダモノさんはほかの仕事もされているので,我々のやりかた,イラストレーターさんとの付き合い方が,密なのが分かっていただけると思います。そのぶん,苦労を背負わせてしまう部分があることは認めますが。
トリダモノ氏:
でも,自分に向き合って付き合ってくれるからこそ粘ってしまうんですよね。
絵描きからすると,めったに巡り会えない仕事ができたと思っています。
鈴木氏:
今は早く「アトリエ」から卒業したいと思っているでしょうけど,きっと2,3年後ぐらいにまた作りたくなりますよ(笑)。
トリダモノ氏:
かもしれないです(笑)。
4Gamer:
一回落ち着いてから,また苦しみたいみたいな(笑)。
細井氏:
今のソーシャルメディアの中では,1つの作品に迎合するよりも,盛り上がっている場所を点々としていくほうが,やりやすい部分はありますよね。1つの作品に年単位で拘束されるということは,その間,何も発表するものがないということです。その状態は辛いでしょうし,クリエイターとして忘れ去られる怖さもあるはずです。
トリダモノ氏:
そういう立ち回りが賢いのは分かるんですけどね。
細井氏:
ですから「アトリエ」シリーズに関わっているイラストレーターさんは,職人肌だと思います。ガストに付き合って,ゼロから生み出すものづくりをしていただけるのは,本当にありがたいです。
トリダモノさんだって,我々に付き合わずにオリジナルのイラストを描いて,フィギュア化のお仕事を受けるみたいな働き方ができたはずでしょう?
トリダモノ氏:
そうしたお話はいただけるようになりましたが,それはそもそも,ライザのおかげですよ。
細井氏:
でも,ライザで名前が売れた後,1作目だけで降りる選択もできたのに,それを選ばなかったわけじゃないですか。
トリダモノ氏:
そこは,ライザ達の生みの親としての責任がありますから。
大変でしたけど,今は本当に感謝しています。
4Gamer:
本作が発売されたら,次はどんな仕事をしたいか決めているんですか?
トリダモノ氏:
とりあえず半年ぐらい休みたいです(笑)。その間に今後の事を考えたい。あと,“趣味”で絵を描きたいですね。ここ数年は,先方の意見を中心に取り入れながら描く仕事がメインだったので,ライザで得た経験を元に,もっと自分で考える仕事に挑戦したいとも思っていますが,何をするかはゆっくりと考えます。
4Gamer:
「秘密」シリーズをやってきたことで,これからの選択肢は増えたでしょうね。
トリダモノ氏:
確実に増えました。いろいろなところからお声がけいただけるようになって,自分の芯になる作品を持つのはこういうことなんだと実感しています。
ライザは,自分の芯から出た,ちゃんと好きな要素を盛り込んだキャラクターだと思っています。これが,その場しのぎで生み出した結果,話題になったキャラクターなら,自分は結局何なんだと迷っていたかもしれません。今後の方向性を見つけることができたので,あの時苦しんでよかったと思います。
鈴木氏:
最初は,「自分は商業イラストレーターなので締め切りは守りたいです」「だからオーダー通りの仕事を受けますよ」みたいな感じでしたよね,トリダモノさん。すごくドライな感じでした。
トリダモノ氏:
そうですね。
鈴木氏:
思いを進んで伝えるタイプではなかったですし,オーダー通りに描いて「どれがいいか選んでください」といった仕事の仕方で。それで行き詰まって,今みたいになりましたが(笑)。
最初はうまく立ち回ろうとしていましたが,全然だめでした。すぐにボロが出て,もうやめたいですって。「アトリエ」シリーズの仕事に関わって,自分は意外と粘るタイプで,キャラクターにこんなにも思いを持てる人間なんだなというのが分かり,人間としても成長できたと思います。人生を変えた作品と言っても過言じゃないですね。
4Gamer:
「キャラクターに思いを持てる」って良いですね。3部作の間にライザたちだけでなく,トリダモノさんも一緒に成長していったと。
トリダモノ氏:
「ライザ3」発売後の話でいくと,あとは1ファンとして早くプレイしたいです。キャラクターは作品が完成してこそ生きるものですから,苦労して考えたキャラクターがどういう立ち回りをしてくれるのか楽しみにしています。
鈴木氏:
作り手としてはもうプレイしていますが,高橋さんのシナリオの良さもあって,「本当に夏が終わってしまったんだな」と涙腺が緩むものがあります。3部作を通したからこその感動と言いますか。
トリダモノ氏:
キャラクターデザイナーとしては,1人の主人公の物語を,続編でしっかりと完結させるというのは1つの夢じゃないですか。それが叶って嬉しいです。
4Gamer:
細井さんから見て,同じ主人公で3作続けた「アトリエ」が終わる感覚は,これまでとは違いますか?
細井氏:
違いますね。「秘密」シリーズが終わるというより,ライザとお別れなんだなという感覚です。トリダモノさんも,プレイしたら喪失感があると思いますよ。
トリダモノ氏:
自信を持って言いますが,絶対にありますね。泣いちゃうかも。
4Gamer:
トリダモノさんがライザ達と本当にお別れだと感じられるのは,プレイしてエンディングを迎えたときでしょうね。
トリダモノ氏:
だと思います。みんなと別れたくなくなって,ラスボスと戦わず,クリア前で意図的にゲームを積んでしまうかもしれません。
4Gamer:
私もゲームの発売を楽しみにしています。
しかし,「アトリエ」シリーズとしては,ライザの話が終わるとなると,次の主人公を考えるのが大変そうですね。
細井氏:
大変でしょうね……。
トリダモノ氏:
「アトリエ」シリーズのほかのタイトルって,仲間でありライバルでもあります。
自分のときも,人気の高いソフィーや「不思議」「アーランド」シリーズの後というのは,めちゃめちゃプレッシャーでしたし。
4Gamer:
次はどなたがどんなキャラクターを描くのか,楽しみですね。
本日は長時間,ありがとうございました。
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