[プレイレポ]ダンジョン運営とRTS,大胆すぎるパロディネタ。「ダンジョンズ 4」がどれだけ忙しく,そしてカオスなゲームか紹介したい
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……と,このように説明すると硬派なゲームといった感があるが,実際にプレイすると印象が異なる。マジメなゲーム部分と,フルスイング気味なサービス精神とのギャップがとんでもないゲームなのだ。
アーティファクトの暴走で肉体を失い,復活のために生贄を求める魔王ダークロード。その求めに応えるため,ダークエルフの戦士タリヤは闇の軍団を率いて,兄トリスタンを筆頭とする光の勢力に戦いを挑む……というしっかりとしたメインストーリーがあるものの,それよりも矢継ぎ早に繰り出されるパロディネタのほうが印象に残るかもしれない。そんな「ダンジョンズ 4」のPC版とPS5を発売前にプレイできたので,その模様をとおしてゲームの特徴や魅力をお伝えしたい。
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「ダンジョンズ 4」公式サイト
本作のシングルプレイはキャンペーン方式で,全部で20ほどのステージが存在する。それぞれのステージでRPGのラスボスのようにダンジョンを築き,軍団を養いつつ戦うことになるのだが,ステージごとにダンジョンの初期状態は異なり,また固有のギミックも用意されている。
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キャンペーンを進める流れで,本作のさまざまな要素を覚えられる |
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嵐でダメージを受けるため,地上ではまともに行動しにくいステージも |
ダンジョンの中心にはダークロード(プレイヤー)の本体・ダンジョンハートがある。まずは労働力となるチビ(戦闘には参加しない,働きアリのような存在)を使い,ダンジョンハートの周囲に穴を掘ったり,できたスペースに各種施設を作ることで,ダンジョンを拡張していくこととなる。
正確には地上にユニットを送り出して英雄(高レベルの冒険者のようなもの)を倒す,その拠点を潰すといった「邪悪な行為」(詳しくは後述)を行う必要もあるが,最序盤はあまり気にしなくてもOKだ。
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チビたちをまとめて選択し,人手が必要な場所に運ぶと,効率よく仕事を任せられる |
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チビにビンタして気合をいれると作業スピードがアップ。職場環境としては最悪だ |
ダンジョン建設と軍団編成,そして戦いを行うにはリソース(資源)が必要となる。
リソースは全部で3種類。その1つである「金貨」は,地中を掘ることで少量を,鉱脈でまとまった量を入手できるリソースだ。戦闘に使うユニットを雇ったり,ユニットに給料を払ったり,研究を進めてより強力なユニットや魔法をアンロックするなど,さまざまな使い道がある。ゲームを進めるうえで欠かせないリソースだが,埋蔵量は限られているようなので,枯渇する前にステージをクリアしなくてはならない。
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地中からは金貨だけでなく,魔法のリソースとなる「マナ」も見つかる。ダークロードは配下に戦わせるだけでなく,魔法で戦いを援護できるので,魔法を使うならマナの貯蔵施設「アルカニウム」を広げていこう。マナは掘り出すだけでなく「マナの神殿」で生み出すことも可能だ。
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3つ目のリソースは「ダークパワー」。これは強力なユニットや魔法を開放するために必要となるリソースで,地中でも少量見つかるが,主に英雄を倒す,拠点を潰すなどの「邪悪な行為」によって入手できる。つまり,強力な軍団を作り上げるためには,ダンジョンを広げるだけではなく,地上を攻撃することも必須なわけだ。
ダークパワーはステージごとのお題をクリアすることでも得られるので,画面右側に表示されるそれらを見逃さないようにしよう。
各リソースは不足してから調達しようとすると,待ち時間が発生してしまい効率が悪い。何かを行なう合間に地下を掘り進め,いつでも潤沢に蓄えておきたいところ。だからといって,温存しすぎるのもまた悪手。使ってこそのリソースである。
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戦闘に使うユニットにも3つの系統(派閥)が存在する。1つ目はベーシックな「モンスター」系。壁役として頼りになる「オーク」,回復役の「ラミア」,爆弾を投げて広範囲を攻撃できる「ノーム」など,戦いに必要な役割が一通り揃っている。迷ったときはこの系統の研究を進めていけば困らないだろう。主に金貨とダークパワーがあれば運用できる点も分かりやすい。
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2つ目の「悪魔」系は,遠隔攻撃が得意で,倒されても一定時間で復活する。しかも戦闘後にHPが自動回復し,倒されないように慎重に扱っても強い。ただ高レベルの悪魔はたまに「大浴場」で休息させないとストライキを起こすため,少し扱いが難しいところがある。
悪魔の研究ツリー内には,マナを消費して使う「魔法」も含まれているので,魔法で軍団を援護したいプレイヤーは悪魔をメインで使うのがセオリーとなる。
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流星雨で英雄や拠点を直接攻撃できる魔法「メテオシャワー」 |
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大悪魔を召喚する魔法「地獄のプリンス」も強力だが,召喚中はマナを消費するため,他の魔法との兼ね合いを考える必要がある |
3つ目の「アンデッド」も復活可能なユニットで,さらに食料となる七面鳥も必要としない。復活時,倒した英雄の体を活用できるのもユニークかつ邪悪なポイントだ。「祭壇」を作って英雄を捧げれば,アンデッドたちはミニオンを召喚しつつ戦えるようになる。
この系統は回復役となる「ヴァンパイアクイーン」をアンロックするまでが大変だが,戦力が整ったあとの爆発力は素晴らしい。
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このように,さまざまな要素があって複雑そうに見える本作だが,以下の3点を意識しておけば,事は上手く回りやすい。
(1)ダンジョンの拡張と施設作りで金貨とマナをゲット。それでユニットを雇ったり,研究を進める。
(2)ユニットや魔法を使って英雄や拠点を攻撃し,ダークエネルギーを獲得。
(3)ダークエネルギーを必要とする高度な研究を進め,よりグレードの高いユニットや魔法,施設をアンロック。同時に膨れ上がった軍団を養うため,地下を掘り進めて新たな金貨やマナを探す。
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これらをうまくサイクルさせながら敵のボスを倒す,敵の本拠地を破壊するなどして,各ステージをクリアしていくわけだ。
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もちろん,このサイクルがすんなり回るとは限らない。リソース不足や敵からの攻撃といった影響で滞りがちになるので,それらをどう解決していくかがプレイヤーの腕の見せ所となる。
とくに警戒しておきたいのが,英雄側のダンジョンハートへの攻撃だ。敵もただ待っているだけではなく,ダンジョン内に部隊(パーティ?)を送りこみ,ダンジョンハートの破壊を狙ってくる。ダンジョンハートを破壊されれば,どんなに有利にゲームを進めていてもそこで終了だ。「警備室」にユニットを配備して敵を撃退する,撃退できないまでも主力が戻るまでの時間稼ぎをする,トラップでダメージを与えておくなど,さまざまな手を使って守り切らなくてはならない。
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また,ステージによってはダンジョンを掘り進めていくうちに,「ドワーフの坑道」や「クモの巣穴」などと“つながって”しまうことがある。ダンジョン建設と地上侵攻はある程度平行して行うほうが効率がいいが,主力が戦っている間にこれらを掘り当ててしまうとかなり危険な状況となる。対応が遅れると,ダンジョンハートにドワーフやクモが殺到することになるだろう。
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さらに手駒となるユニットたちも,酷使しすぎるとストライキをおこし,こちらの命令に従わなくなる。彼らの欲求不満を「七面鳥農場」「大浴場」などで解消してやることも大切だ。
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こうしてステージをクリアし,キャンペーンを進めていくと,敵がどんどん拠点を建設するステージや,魔法の塔で攻撃してくるステージなど,新たなギミックや試練が待ち受けている。解法がわかってしまえば1時間程度でクリアできるステージが多いものの,自分で試行錯誤する場合はけっこうな遊び応えを感じるはずだ。
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また,ステージ8からはダークロードの新たな依り代となる赤子・Gがダンジョン内に登場し,物語もタリヤとその兄トリスタンの宿命の戦いから,子育てモノへと様変わり(?)する。ラストまでどのように紆余曲折していくのか,想像すらできない。
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上記の画像で「なんか小さくてかわいいやつ……」というテキストに反応した読者は少なくないだろう。
こちらの記事でも触れているように,本作のストーリーはかなりクセが強めで,登場人物の発言やナレーション,イベントシーンなどに,大胆なパロディネタや不謹慎ネタ,メタ発現がこれでもかと盛り込まれている。それらが,少し複雑かつ忙しいゲームを進めていく理由の一つ,いわゆる「引き」としての役割を果たしているのだ。
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デベロッパであるRealmforge Studios曰く,「仲間同士で冗談を言うときいちいち権利関係を気にしないように,邪悪な笑みを浮かべつつ楽しんでほしい」ということらしい(関連記事)。パロディ満載のストーリーは,ただ悪ふざけしているのではなく,「細かい笑いで興味を引いてプレイし続けてもらおう」という,まじめな意図に沿ったものなのだろう。……たぶん。
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ストーリーの「語り手」の存在感がかなり強調されており,テーブルトークRPGやボードゲームなどをジョークを交えつつ遊んでいるときの雰囲気を思い出させるところもある。テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の判定および進行役はダンジョンマスターと呼ばれ,プレイヤー(冒険者)が冒険するダンジョンを作ったり,モンスターの配置を考えたりもする。本作のゲームプレイも,それにどこか似たところがないだろうか。
コアなゲーム性に,パロディ満載の物語とビジュアル。その振り幅の広さに興味を持った人は,絶対悪のダークロードとして「ダンジョンズ4」の世界に“降臨”してはいかがだろうか。
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「ダンジョンズ 4」公式サイト
キーワード
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- RTS
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- CERO C:15歳以上対象
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- PS5
- Xbox Series X|S:ダンジョンズ 4
- Xbox Series X|S
- プレイレポート
- ライター:高橋祐介

Dungeons 4(C)2023 Kalypso Media Group GmbH. Developed by Realmforge Studios. Published by Kalypso Media Group GmbH. Dungeons is a trademark of Kalypso Media Group GmbH. All rights reserved. All other logos, copyrights and trademarks are property of their respective owner.
Dungeons 4 Copyright(C)2023 Kalypso Media Group GmbH. Developed by Realmforge Studios. Published by Kalypso Media Group GmbH. All rights reserved. All other logos, copyrights and trademarks are property of their respective owner.
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