インタビュー
[インタビュー]「アース:リバイバル」は,次期大型アップデートで宇宙へ進出。開発のキーマンが語る,作品にかけた思いと今後の展開
広大なオープンワールドでの探索や拠点の建築,ハイテク兵器やバトルスーツを使ったバトルなどを特徴とする本作について,開発責任者のウィリアム氏にメールインタビューを行った。制作の経緯やサービス開始から2か月たった現在の心境,6月7日に実装されたVer1.5「星降りの余燼」や今後予定されているアップデートなどに関する回答をいただいたので,その内容をお届けしよう。
記事の最後に,河森正治氏も登場するバトルスーツ開発ドキュメンタリー動画の先行公開もあるので,こちらもお見逃しなく。
「アース:リバイバル」公式サイト
「アース:リバイバル」ダウンロードページ
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コアなSF好きが手掛けるアース:リバイバルのこれまでの歩みと今後の展開
4Gamer:
リリースから2か月ほど経ちました。作品の反響や手ごたえはいかがでしょうか。
ウィリアム氏:
多くのプレイヤーから好評を得ています。リリース初週には日本のApp StoreとGoogle Playで,無料ゲームのダウンロードランキングで1位を獲得しました。現在(2023年6月26日時点)もiOS版で4.8という高い評価を維持しており,さらにSNSで「ゲームが楽しい」「建築の自由度が非常に高い」といった声を多くいただいています。
YouTube,Twitter,Twitchなどでも,ゲームのプレイ動画やゲームに関わるさまざまな投稿が行われていますね。ゴールデンウィーク期間中にTwitterで,ゲーム内の建築要素にフォーカスした「シェルター改造大会」(リンク)を開催したところ,数百件の投稿が届きました。その熱意は,私たちの予想を大幅に超えたものでした。
実際に投稿されたものを見てみると,たくさんの材料を集めて思い思いの建築を楽しんでおり,どれも非常に素晴らしく,大変驚かされました。皆さまが「アース:リバイバル」を楽しんでくださっていることに,本当に感謝しております。
4Gamer:
「アース:リバイバル」を立ち上げた経緯を教えてください。構想はどれくらい前からあり,いつごろ正式に開発がスタートしたのでしょうか。
ウィリアム氏:
正式に開発を始めたのはおよそ3年前ですね。ただ,コンセプトやアイデア自体は結構昔から存在しており,それは学生時代に遡ります。
中学生のころからSF小説や映画に夢中で,それらに触れるようになって以来,私は常に「未来」について考え続けてきました。「100年後,人類の生活はどのようになるのか?」「もし異星人が地球に侵入してきたらどうなるのか?」「もし地球の生存環境がこれ以上悪化し続けると,私たちはどうなるのか?」このような問いに対し,SF小説や映画など数多くの作品では作者なりの見解を提示してくれました。
私は大学時代,こうした作品に影響され,いつかSF作品に描かれているような宇宙の謎や未知の世界に触れてみたいと思い,航空宇宙工学を専攻していました。
しかし,不思議なもので,最終的に私は宇宙科学者ではなくゲームプロデューサーとして活動することになり,当初想定していたものとは違う形でこれらと関わり,「世界」を創造する機会が与えられました。
プロジェクトの立ち上げのとき,最初に浮かんだテーマはまさに「SF」でした。このゲームは,これまでに何度も幻想した問いに対する,私なりの回答です。
4Gamer:
異星の微生物によって荒廃した未来の地球を舞台とした物語が描かれていますが,世界観設定や物語はどのような考えのもと生まれたのでしょうか。
ウィリアム氏:
すべての軸となっているのは,「100年後,地球の未来はどうなるのか?」,この問いです。
新世紀に入ってから,科学技術の発展は非常に速く,AI技術なども最近では注目を浴びています。これらの技術が現実の世界,さらには我々の未来にどのような影響を与えているのか,そして技術の進歩によって将来の人間社会はどのように構成されるのか,などなど……。
また,視野をさらに広げて考えてみると,科学技術の発展につれ,地球以外の宇宙に対する理解も深まり,地球が宇宙にとってちっぽけな存在であることが分かりました。
その広い宇宙で果たして,地球以外に文明を持つ星は存在するのでしょうか? SFの世界でも「異星文明」は人気の衰えないテーマですが,もし本当に異星文明と地球文明が出会う日が来たら,一体どうなってしまうのか? 異星人は何のために,どんな方法で侵略してくるのか? 地球は勝てるだろうか……? これらの問いこそ,「アース:リバイバル」の原点となるアイデアであり,人類の生き残りと未来を左右する問いでもあります。
そのため,私たちは異星との戦いが終わった直後の,すべてが壊された2112年の世界を作りました。異星との戦争によって世界は変わりました。異星文明が残した「ポラリアン」と呼ばれる侵食現象もあれば,エネルギー革命が残した高度な技術遺産もあります。その中で,身は脆くとも芯が強いサバイバーたちは,これら人類の知恵を活用して,運命に抗い続けるのです。
次にストーリーです。これまでのSF作品の多くは,異星文明との衝突を中心とするものでしたが,「アース:リバイバル」のストーリーは,人類の社会的なつながりと「文明」に関する話題に重きを置きたいと考えました。
そのため,ゲームのメインストーリーは,異星からの侵攻の真相を探りながら,地球の復興を目指すサバイバーたちの話になります。技術が変わっても,人類の文明は数千年にわたり存在します。人と人の関係性,この話題はとても複雑で興味深いものです。
私たちは人の強さ,そして人類の文明がこれからも繁栄し続けることを信じています。協力しながら地球の復興を目指す人類の姿を,ゲームを通じて見届けていただけると嬉しいです。このような願いを込めて,ゲームの名前を「アース:リバイバル」に命名しました。
4Gamer:
オープンワールドでのサバイバル要素の強いゲームプレイが特徴となっていますが,ゲームの部分で作り込んだところやこだわった箇所などを教えてください。
ウィリアム氏:
SF世界の作り込みにはこだわりました。
未来の世界でのサバイバルを想像すると,今と違うこと,今の技術をベースに進化することがたくさんあるだろうと思います。とくにエネルギーは未来の世界では最も大きな違いになると思ってます。未来ではエネルギーの革命が起き,エネルギー効率が現在とは大きく異なり,そしてサバイバル生活では,資源の収集,厳しい自然環境への対処,さらには居住地の建設においても,現在とは異なる方法が使用されるかもしれません。例えば暖房や冷房装置であれば,より持ち運びやすく,より持続できる形で登場するかもしれない。3Dプリント技術も,より広範囲に使用されるようになるかもしれないと。
そして,戦闘においても,未来の武器は現在のように火薬や銃弾に頼るとはかぎりません。それを踏まえて,「アース:リバイバル」では電力で直接弾薬を装填できる,電力駆動型の武器をデザインしました。
さらに,新しいエネルギー源が追い風となって,冷兵器も火器のような使い方ができるかもしれない。そのように考えながら武器の選択肢を増やせるよう,たくさんの武器をデザインしました。同時に,個人の戦闘を支える装着型バトルスーツが開発される可能性もあるだろうと考えました。
開発チームの多くのメンバーは,根っからのロボットファンで,「機動戦士ガンダム」や「超時空要塞マクロス」などの作品から多くの影響を受けており,中には家の壁一面をガンダムコレクションで埋め尽くすほどの熱狂的ファンもいます。バトルスーツの開発をする際,ある種のロマンを実現するために,河森正治さんに「アース:リバイバル」の一部バトルスーツデザインを担当していただくことになりました。
ここまでに話したような武器やサバイバル装備の成長によって,より危険な場所への探索も可能になると考えており,例えばVer.1.5大型アップデートの新マップに登場するような火山や,宇宙などの探索も実現できるかもしれません。
また,ゲームでは「地球の復興」をテーマにしているのですが,これだけの規模のことを個人でやるのは大変で,プレイヤー同士の協力がより重要になります。しかし,プレイヤーの選択肢を増やしたいという思いもあり,探索コンテンツを豊富に用意しました。ご自身に合った最適な方法で,未来の世界を生き延びてください。
4Gamer:
人類の反撃のキーとなるバトルスーツなどのメカニックが目を引きます。河森正治さんが関わっているなど,ロボやメカ好きに刺さる本作の特徴の一つとなっていますが,このメカニックへのこだわりについて教えてください。
ウィリアム氏:
まず,バトルスーツの体型を決めることにかなりの時間を使いました。ゲームをプレイしている人は分かると思いますが,このゲームのバトルスーツは,典型的なメカやロボットとは少し違います。
最悪の環境で生き残るためのバトルスーツは,独りで戦うサバイバーのために作られているので,小型であることは必要だと思いました。ほぼ全てを失った地球で生存するには,戦うこと以上に「生き残る」ことが大事です。メンテナンスと移動に一手間かかる巨大なメカよりも,人間の体格に近いサイズのバトルスーツの方が,この環境で生き残るための最適解だと思いました。
また,このゲームの世界では,地球のエネルギーは2度の変化を経験しています。エネルギーが枯渇しているこの世界では,資源の価値はとても高いはずです。それを踏まえて,より少ないエネルギーで動かせるコストパフォーマンスの高いバトルスーツの方が,大型メカよりこの世界に相応しいと思いました。
バトルスーツをデザインする際,上記の特徴に加えて,さらにそれぞれの個性も重要視しています。例えば,河森さんがデザインを担当する「ヨトゥン」は,「変形」という要素が特徴的です。装甲パーツを再編成し,人型から“テクノガン”に変形できるこのバトルスーツは,索敵や敵位置のマーキングから敵の防御の貫通まで,多種多様な能力を持ち合わせています。一方,「ヘルメス」はより人体に密着したデザインで,テクノロジーを利用したアクションサポート機能で,高い機動性と単体での近接戦闘を得意としています。
Ver.1.5で実装された「オリハルコン」も同様に,持久力と火力を兼ね備えたバトルスーツです。ほかのバトルスーツと比べると,オリハルコンはより重厚なアーマーを持ち,同時にシールドを展開することも可能です。これらの特性によって,使用者は危険な環境でも自衛することができ,同時に広範囲の敵にダメージを与えることもできます。そして,複雑な生存環境に適応すべく,機敏性の高いダッシュ能力も兼ねています。
4Gamer:
コアなSF作品であることを感じさせる世界観や物語,そしてメカニックですが,インスパイアされた作品があれば教えてください。
ウィリアム氏:
「マトリックス」「E.T.」「エイリアン」「2001年宇宙の旅」といった有名なSF映画ですね。実際に,AIや異星文明,宇宙旅行などの豊かな想像を与えてくれました。
そして,人気SF小説「三体」もですね。独特な世界観を持ち,とても印象に残る物語ですが,その中で「地球人を虫けら扱いする三体人は,どうやらひとつの事実を忘れちまってるらしい。すなわち,虫けらはいままで一度も敗北したことがないって事実をな」というセリフが印象に残っています。
100年後,人類の文明はさらに進んでいることでしょう。それでも,異星の文明には到底及ばないとは思いますが,人類は時々自分たちの想像を超える強さを発揮するとも思っています。この小説は,異星文明と地球文明の関係性に関するヒントを与えてくれました。
それと,「ガンダム」シリーズですね。Season2が放映された「機動戦士ガンダム 水星の魔女」ですが,チーム内でもエアリアルについての話題で盛り上がってます。メンバーたちには,これらの作品からニックネームを自分に付けた人もたくさんいます。仕事中にアニメキャラのニックネームで呼び合うのはとても面白いですよ。
4Gamer:
初の大型アップデート「星降りの余燼」が実装されました。このアップデートの特徴や,ゲームプレイヤーに楽しんでほしいポイントを教えてください。
ウィリアム氏:
今回の大型アップデートは「2112年の夏,汗もマグマも噴き出す火山サバイバルへ」をキャッチコピーにし,火山と港を軸としたマップを皮切りに,ダンジョン,武器,バトルスーツ,イベントなど,たくさんの新コンテンツが登場し,より多くの探索や挑戦ができるようになりました。
その中でもオープンワールドサバイバルゲームとして最も重要な情報は,新マップ「ケプラー港」です。このエリアでは複雑な環境が皆さんを待ち受けています。夏の雰囲気が漂う「夜光の浜エリア」や廃墟と化した「発射場エリア」,そしてこのマップの最大の特徴である「火山溶岩地帯」では,溶岩に包まれた異星文明の痕跡が無数にあります。
また探索システムもアップデートし,以前とは異なる報酬を得ることができるようになりました。
そして戦闘のバリエーションを増やすため,新武器「フロスト」を追加しました。援護タイプのライフルとして,自身や仲間にシールドを付与することができるこの武器は,チームワークや戦術的な連携を好むプレイヤーにとてもおすすめです。
ゲームの特徴であるバトルスーツもアップデートしました。おそらく多くのプレイヤーがチュートリアルで体験した,重装型バトルスーツ「オリハルコン」がついに手に入るようになっています。このバトルスーツは,近接範囲妨害と持続的範囲ダメージスキルを搭載し,耐久力が高いため,これまでのバトルスーツとはひと味違う戦い方が可能です。
ほかにもたくさんのアップデートが実施されました。ぜひ実際にゲームをプレイして体験してみてください。
4Gamer:
「星降りの余燼」以降で行われるアップデートやイベントで,話せるものがあれば可能な範囲で教えてください。
ウィリアム氏:
次の大型アップデートでは,ついに果てしない宇宙へ足を踏み入れます……!
もう少し詳しく説明すると,次の新マップは宇宙を舞台にしており,「重力」や「昼と夜の変化」など,不思議な体験ができるコンテンツをたくさん用意しました。地球とは全く異なる環境で,例の「少女」やペガサス号に潜む真実がプレイヤーを待っています。ぜひご期待ください!
そして直近では,7月と8月に真夏に相応しい新イベントや新サブクエスト,そしてPvE,PvPを含む新モードも用意しているので,まずはこの夏を楽しんでください!
4Gamer:
ゲームのプレイヤーや読者にメッセージをお願いします。
ウィリアム氏:
いつも「アース:リバイバル」をプレイしてくださっている方,またここまでインタビューを読んで興味を持ってくださった方,本当にありがとうございます。このゲームでは常に想像を超える「100年後の世界」の構築に努めており,グラフィックスや音楽においても,没入感のある未来の雰囲気をこれからも追求していきます。
「星降りの余燼」の後の,新たな希望にもご期待ください! これからも,「アース:リバイバル」をよろしくお願いいたします!
バトルスーツ開発ドキュメンタリー 4Gamer先行公開
インタビュー内でも語ってもらった,こだわりのバトルスーツ制作に関するドキュメンタリー動画を先行して公開しよう。開発途中の貴重なコンセプトアート,開発スタッフと河森正治氏とのやりとりなどが収録された内容となっているので,本作をプレイしていないというメカ好き,ロボット好きも必見だ。
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(C)Nuverse Pte. Ltd.
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