インタビュー
[インタビュー]美麗なSF世界が舞台のTPS「The First Descendant」のアートディレクターにキャラデザインや世界観について聞いた
本作は,「Unreal Engine 5」(以下,UE5)による美麗なグラフィックスで描かれたSF世界観の中で,TPSとRPGが融合したソロプレイやオンライン協力プレイを体験できるシューターだ。5月25日〜27日には最終テクニカルテストも実施された本作について,アートディレクターを務めるソン・ミンギュ氏にメールインタビューを行った。
ソン氏は,数々のオンラインRPGにおけるキャラクターや世界観を手掛けてきた人物であり,これまでに「リネージュ2」「TERA :The Exiled Realm of Arborea」「BLESS」といった名だたる作品に携わっている。
本稿では,「The First Descendant」のキャラクターデザインや世界観のコンセプトに加え,UE5でのグラフィックス制作にまつわる特色について聞いた内容をお届けしよう。
協力プレイを主軸にゼロから構築された新作ルートシューター
4Gamer:
「The First Descendant」のゲームジャンルやシステムなど,基本的な概要を教えてください。
ソン・ミンギュ氏(以下,ソン氏):
「The First Descendant」は,Steamと家庭用ゲーム機でプレイ可能なクロスプラットフォームのオンラインルートシューター(装備やアイテム拾いの要素を含むシューター)ゲームです。
本作は協力プレイを何よりも優先し,プレイヤーは「継承者」と呼ばれるさまざまなキャラクターを駆使して,巨大なボスとの壮絶な戦いや難度の高いダンジョンに挑めます。そしてストーリーにおいて,プレイヤーは異次元からの侵略者から祖国を守る使命を負った継承者となります。
4Gamer:
本作はTPSのルートシューターでありつつ,継承者によるスタイリッシュなアクションも豊富だとか。その中で,ゲームジャンルやシステムを構成するためにどのような工夫をしたのでしょうか。
ソン氏:
ゲームの核となるのは,個性豊かな継承者たちです。そのため,各キャラクターの個性や特徴を際立たせるさまざまな仕掛けをデザインしました。また,プレイヤーがゲームの世界に没入できるよう,リアルな環境や特徴的な目印を作り上げました。
4Gamer:
ゲームシステムの魅力を実現するためにアート面で苦労した点や表現が難しかった部分はありますか?
ソン氏:
私たちはSFというジャンルや略奪ルートシューターの経験がなかったので,ゼロから始める必要があり,すべての面で新たな挑戦と困難に直面しました。
ディセンダント,バルガス,コロッサス。まったく異なる三勢力のデザインコンセプトとは
4Gamer:
本作の世界観とそれに伴うデザインコンセプトについて教えてください。
ソン氏:
「The First Descendant」は,エイリアンの侵略によって荒廃した終末後の世界が舞台となっています。プレイヤーのスタート地点となるアルビオンは人類最後の砦であり,そのコンセプトにふさわしい難攻不落の要塞としてデザインされました。ほとんどのフィールドは破壊されるか,あるいは侵略者であるバルガスに占領された状態で描かれ,バルガスによる人類への影響力が誇示されています。
4Gamer:
バルガス以外にもコロッサスという人類の脅威が登場すると聞きました。人類,バルガス,コロッサスといった各勢力を特徴付けるためにデザイン面で意識した点があれば教えてください。
ソン氏:
私たちはバルガスが単なる悪役ではなく,独自の文化,組織,目的を持った集団であることをプレイヤーに理解してもらうためにデザインしました。コロッサスについては,人間とバルガスの両方に恐怖を与える神秘的な存在として描くことを目指しました。
4Gamer:
抵抗勢力である人類,とくにプレイヤーキャラクターはゲームタイトルにもある「Descendant(ディセンダント)」と呼ばれ,スキルや戦闘スタイルが外見で分かるようにデザインされているそうですが,具体的にどのような部分で表現されているのでしょうか。
ソン氏:
プレイヤーが直感的に理解できるようなキャラクターのデザインを心掛けました。バニー(ウサギ耳のような突起付きヘルメットを被った電気を操るキャラクター)はそのもっとも良い例だと思います。名前,見た目,色,スキルのすべてが分かりやすく,素晴らしいデザインに仕上がっています。
魅力的なコンセプトと個性的なルックス,そして爽快なプレイスタイルを兼ね備えたバニーは「The First Descendant」でもっとも人気のあるキャラクターの1人となりました。
4Gamer:
バルガスは人類よりもはるかに強い侵略者として設定されているようですが,その強さを表現するためにキャラクターデザインで意識した点はありますか。
ソン氏:
バルガスは戦闘のために作られた生物で,過酷な環境にも耐えられる皮膚と骨格構造を持っています。また,それぞれの軍団は独自の戦闘スタイルと技術を持っています。例えば,エリート兵士を代表する「闇の軍団」や肉体を機械に置き換える「不死の軍団」,信念に基づいて肉体を改造する「真実の騎士団」などがあります。
4Gamer:
コロッサスのデザインは神秘性がコンセプトとのことですが,コンセプトが抽象的なことから,バルガスよりもビジュアル表現が難しかったのではありませんか。
ソン氏:
コロッサスのビジュアルテーマは,機械と生物の融合です。我々の理解の範囲を超える存在になるようにデザインを意識しました。コロッサスについては,語るべきことがたくさんありますが,まだお話しできない部分も多く,そのすべてをお話しできるときが来たらご説明させていただきます。
「UE5」の新システムが美しく照らし出す人類最後の希望アルビオン
4Gamer:
本作ではキャラクタービジュアル以外に,背景アートも作り込まれていますが,とくにこだわったマップや魅力的なマップがありましたら教えてください。
ソン氏:
先ほど少し触れたアルビオンは本作の世界観を100%表現できており,美しい街に仕上がっていると思います。「ロード・オブ・ザ・リング」の「ミナス・ティリス」を彷彿とさせる難攻不落の都市というコンセプトのもとに開発しました。
4Gamer:
本作はUE5で制作されているそうですが,このエンジンを用いたことによる利点に加えて,UE5だから可能となったグラフィックス表現があれば教えてください。
ソン氏:
UE5の最大の革新は本作において重要な役割を持つ「Lumen(ルーメン)」だと思います。光の質は本当に美しいです。アルビオンの時間変化を見ていると,ただただ息を呑むぐらい綺麗に仕上がっています。
4Gamer:
逆に「UE5」を使ったことによる難しさはありましたか?
ソン氏:
最適化がポイントでした。現在,多くのチームがPS4でもスムーズにゲームが動くように努力しています。
4Gamer:
本作のリリース後におけるアップデート予定があれば教えてください。
ソン氏:
現在,私達は新シーズンに向けた準備を行っております。未発表の魅力的な新規キャラクターの開発も進めていますので,ぜひご期待ください!
4Gamer:
最後にプレイヤーへのメッセージをお願いします。
ソン氏:
昔から日本のサブカルチャーを楽しんできたので,私の中にはその文化も深く根付いています。「The First Descendant」が日本のゲーマーに響くことを願っています。皆さんの愛とサポートに感謝します。
「The First Descendant」公式サイト
- 関連タイトル:
The First Descendant
- 関連タイトル:
The First Descendant
- 関連タイトル:
The First Descendant
- 関連タイトル:
The First Descendant
- 関連タイトル:
The First Descendant
- この記事のURL: