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ソニーのゲーマー向けブランド「INZONE」は,なぜPCゲーマー向けなのか。ブランド設立の意図と製品の見どころをレポート
INZONEの第1弾製品は,ゲーマー向けディスプレイ計2製品,ヘッドセット計3製品の計5製品で,いずれも非常に高いスペックを備えているのが見どころとなっている。数フレームという短い時間で勝負が決するeスポーツのプレイヤーは,高い性能を持つ製品を使う傾向があるため,まずはハイエンド市場向け製品から投入する方針とのことだ。
なお,製品ラインナップについては,製品発表記事を参照してほしい。
ソニー,ゲーマー向け製品ブランド「INZONE」のディスプレイとヘッドセットを発表。ハイエンドにふさわしい高スペック製品を揃える
2022年6月29日,ソニーは,ゲーマー向けの新しい製品ブランド「INZONE」の設立と,第1弾製品となるディスプレイ2製品およびヘッドセット3製品を発表した。PlayStationとは異なるゲーマー向けブランド第1弾の製品だけに,とくに最上位モデルは非常に高いスペックを有するのが見どころだ。
INZONEというブランド名は,アスリートが集中力を極限まで高めた状態を示す「ゾーン」に着想したものだという。そこで,ゲーマーに対して,よりゲームに集中して,最高のプレイをしてほしい,そのためのサポートをするデバイスに仕上げたいという思いが込められているそうだ。
ソニーによるゲーマー向けデバイスというと,PlayStation 5(以下,PS5)やPlayStation 4(以下,PS4)用かと思うかもしれない。しかし,INZONEは,PS5の特徴を生かした機能は備えているものの,本質的にはPCゲーマーを主なターゲットとして定めている。その背景にあるのは,eスポーツの広がりだ。
とくにFPSを中心に大きな大会やイベントも数多く行われ,eスポーツの競技人口も増えている。野球やサッカーのプロスポーツ選手と同じように,ゲームのチャンピオンも子どもたちの憧れの対象になっており,トレンドが変化しつつあるというのがソニーの見立てだ。
ゲーマー向け周辺機器の市場規模も大きく拡大している。新型コロナウイルス感染症で巣ごもり需要が喚起されたこともあるが,ソニーの予測によると今後も市場は大きく成長するという。たとえば,2019年と比べて2023年にはゲーマー向けディスプレイで約6.5倍,ヘッドセットで約2.5倍の成長が見込まれるそうだ。
また,ソニーが行った調査で,ソニー製のゲーマー向け周辺機器に期待する人が数多くいることも分かった。市場の成長とソニーに対する高い期待からゲーマー向け周辺機器市場への参入を決めたという。
テレビやリスニング向けヘッドフォンで培った技術を投入
個別の製品についての説明も見ていこう。まず,ゲーマー向けディスプレイであるINZONE M9とINZONE M3は,ともに27インチサイズで,解像度と垂直最大リフレッシュレートが異なる。INZONE M9は,3840×2160ドットで144Hz表示で,INZONE M3は,1920×1080ドットで240Hz表示対応だ。
どちらのモデルも,ソニー製テレビ「BRAVIA」で培った高画質技術によって,高い没入感を実現するという。27インチという画面サイズは,24〜32インチのボリュームゾーンを狙ったもので,今後の需要次第では異なるインチサイズの展開も検討するそうだ。
一方のヘッドセットは,2.4GHz帯独自ワイヤレス接続とBluetooth接続に対応したINZONE H9とINZONE H7に加えて,アナログ接続対応のINZONE H3という3製品を投入する。
INZONE H7 |
INZONE H3 |
いずれも,ソニー独自の立体音響技術「360 Spatial Sound for Gaming」に対応するのが特徴だ。for Gamingとあるように,ゲーマー向けの調整をしているそうで,詳細は公表していないが高音と低音のバランスを少し変えているという。また,INZONE H9とH7は,PS5の立体音響技術「Tempest 3D Audio」にも対応している。
最上位モデルのINZONE H9は,ソニーのヘッドフォン「1000X」シリーズなどで高い評価を得ているアクティブノイズキャンセリング機能を搭載するのも見どころと言えよう。ソフトレザー製のイヤーパッドと組み合わせて,非常に高い遮音性を実現したという。
このほかにも,「EVO」(Evolution Championship Series)や,「PGL Dota 2 Arlington Major 2022」,「VALORANT Champions Tour」といった大会へのスポンサードに加えて,INZONEの製品群が「ELDEN RING」と「ファイナルファンタジーXIV」の推奨認定を取得したことも合わせて公開した。
第1弾としては非常に完成度の高い製品がそろったINZONEだが,今後の製品展開も気になるところだ。ソニーは,ディスプレイとヘッドセット以外の製品展開についてコメントを控えたが,今回はテレビやリスニング用ヘッドフォンで培った技術や知見をいかしながら製品を開発しており,マウスやキーボードなどの機器についても可能性を探りつつ検討したいとのことだった。
ソニーのINZONE製品情報ページ
ソニー公式Webサイト
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