ニュース
ソニー,ゲーマー向け製品ブランド「INZONE」のディスプレイとヘッドセットを発表。ハイエンドにふさわしい高スペック製品を揃える
INZONE M9 |
INZONE H9 |
新製品のラインナップと税込のメーカー想定売価,および発売時期は以下のとおり。
●ディスプレイ
- INZONE M9:27インチ,3840×2160ドット/144Hz表示,15万4000円前後,7月8日発売
- INZONE M3:27インチ,1920×1080ドット/240Hz表示,未定,2022年内
- INZONE H9:ワイヤレス,アクティブノイズキャンセリング対応,3万6000円前後,7月8日発売
- INZONE H7:ワイヤレス,2万9000円前後,7月8日発売
- INZONE H3:ワイヤード,1万2000円前後,7月8日発売
INZONE M9/M3
PCおよび据え置き型ゲーム機向けディスプレイとしては,「INZONE M9」と「INZONE M3」が登場する。なお,INZONE M3の発売はしばらく先となるので,本稿では主にINZONE M9を中心に取り上げる。
INZONE M9とM3は,どちらも27インチサイズの液晶ディスプレイだ。両製品の分かりやすい違いは,解像度と垂直最大リフレッシュレートで,美しいグラフィックスが売りのアクションゲームやRPGに適したINZONE M9は,3840×2160ドットで144Hz表示,高リフレッシュレートの滑らかで高速な表示を重視するeスポーツタイトルに適したINZONE M3は,1920×1080ドットで240Hz表示対応となっている。
スタンドは,ディスプレイの上下角変更(チルト)や高さ調整も可能である。ただ,横回転(スイーベル)や縦回転(ピボット)には対応しない。
INZONE M9は,4K解像度で144Hz表示対応というだけでなく,今どきのゲーマー向けディスプレイに求められる仕様は,ほぼすべて盛り込んでいると言えるほど贅沢な製品となっている。
まず,INZONE M9は,ディスプレイの標準化団体であるVESAが定めたHDR表示規格「DisplayHDR 600」に準拠しており,高輝度のHDR映像を表現可能だ。また,液晶バックライトとして,一般的な液晶パネルの側面ではなく,液晶パネルの裏側に並べた直下型LEDバックライトを採用。複数に分割した直下型LEDバックライトの輝度を,映像の内容に応じて部分的に変えることで映像のコントラストを高める「直下型LED部分駆動」も実現した。
ゲーマー向け液晶ディスプレイで,直下型LED部分駆動を可能としている製品は非常に少なく,INZONE M9の映像表現力を高めるのに一役買っている。なお,INZONE M3はサイドライト式バックライトを採用しており,HDR表示規格は「DisplayHDR 400」対応だ。
先述したとおり,INZONE M9は,垂直最大リフレッシュレート144Hzに対応しており,中間調(Gray to Gray)応答速度は最大約1msと,ゲーム用途に十分な高速表示が可能だ。
INZONE M9とM3は,VESAのディスプレイ同期技術「Adaptive-Sync」に対応しているのに加えて,NVIDIA独自のディスプレイ同期技術「G-SYNC Compatible」の認証も取得。さらに,2つのHDMI入力端子は,どちらもHDMI 2.1対応で,HDMI 2.1の可変リフレッシュレート機能(Game Mode VRR)も備えているので,PlayStation 5(以下,PS5)をHDMI経由でINZONE M9に接続すれば,可変リフレッシュレートでゲーム映像を表示可能だ。
PS5関連で言えば,PS5に最適化した「オートHDRトーンマッピング」機能と,「コンテンツ連動画質モード」機能も備えている。PS5と組み合わせて使うゲーマー向け液晶ディスプレイとしても文句なしだ。
INZONE M9とM3は,INZONE製品用統合設定ソフトウェア「INZONE Hub」を用いて,PC側から設定を変更する機能も備えている。とくに,起動したゲームに合わせてINZONE M9側の画質調整モードを切り替える機能は,ゲームに適した設定を使い分けたいこだわり派のゲーマーには嬉しいポイントだろう。
また,INZONE M9とM3は,USBハブ機能とPC切換器(KVM)機能も備えており,ディスプレイ側に接続したキーボードやマウスを,背面のUSB Type-Bポート,またはUSB Type-Cポートに接続した2台のPCで切り替えて使える。2台のPCを1台のディスプレイで共用している人も増えた昨今では,KVM機能は役立つ場面が多いのではないだろうか。
個別の機能やスペックで言えば,INZONE M9に匹敵する製品は他にもある。しかし,これだけの機能を全部盛り込んだゲーマー向け液晶ディスプレイは,今のところ他にない。15万円超えという価格が人を選ぶのは否めないが,「とにかく高解像度,高リフレッシュレート,高画質で,機能全部入りのディスプレイが欲しい」という人にはもってこいの製品となりそうだ。
●INZONE M9の主なスペック
- パネル:27インチ,IPS方式,非光沢
- パネル解像度:3840×2160ドット
- 最大垂直リフレッシュレート:144Hz
- ディスプレイ同期技術:Adaptive-Sync対応,G-SYNC Compatible対応,VRR対応
- HDR表示:DisplayHDR 600
- 輝度:600cd/m2
- 表示色:約10億7000万色
- コントラスト比:80000:1(ダイナミック)
- 視野角:左右178度,上下178度
- 中間調応答速度:約1ms
- 内部フレーム遅延:未公開
- 映像接続インタフェース:DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.1×2,USB 3.2 Type-C×1
- そのほかの接続インタフェース:3.5mmミニピンヘッドフォン端子
- USBハブ機能:USB 3.2 Type-B×1,USB 3.2 Type-A×3
- スピーカー:2W×2
- チルト(上下回転):0〜+20度
- スイーベル(左右回転):非対応
- ピボット(縦回転):非対応
- 高さ調整:70mm
- VESAマウント:100×100mm
- 公称消費電力:139W(標準)
- 公称本体サイズ:約615(W)×248(D)×479(H)mm(※スタンド含む)
- 公称本体重量:約6.8kg(※スタンド含む)
●INZONE M3の主なスペック
- パネル:27インチ,IPS方式,非光沢
- パネル解像度:1920×1080ドット
- 最大垂直リフレッシュレート:240Hz
- ディスプレイ同期技術:Adaptive-Sync対応,G-SYNC Compatible対応,VRR対応
- HDR表示:DisplayHDR 400
- 輝度:400cd/m2
- 表示色:約10億7000万色
- コントラスト比:1000:1
- 視野角:左右178度,上下178度
- 中間調応答速度:約1ms
- 内部フレーム遅延:未公開
- 映像接続インタフェース:DisplayPort 1.4×1,HDMI 2.1×2,USB 3.2 Type-C×1
- そのほかの接続インタフェース:3.5mmミニピンヘッドフォン端子
- USBハブ機能:USB 3.2 Type-B×1,USB 3.2 Type-A×3
- スピーカー:2W×2
- チルト(上下回転):0〜+20度
- スイーベル(左右回転):非対応
- ピボット(縦回転):非対応
- 高さ調整:70mm
- VESAマウント:100×100mm
- 公称消費電力:未公開
- 公称本体サイズ:約615(W)×248(D)×479(H)mm(※スタンド含む)
- 公称本体重量:未公開
INZONE H9/H7/H3
続いて,ヘッドセットの「INZONE H9」「INZONE H7」「INZONE H3」を見ていこう。
冒頭でも軽く触れたが,INZONE H9とINZONE H7は,専用USBワイヤレスアダプタを使った2.4GHz帯独自ワイヤレス接続と,Bluetooth接続対応のワイヤレス専用機で,INZONE H3は,3.5mmミニピンアナログ接続およびUSB接続対応のワイヤードヘッドセットとなっている。
ワイヤレスモデルのINZONE H9/7は,2.4GHz接続とBluetooth接続の音声を同時に聞くこともできるので,PCのゲームサウンドと,スマートフォンのボイスチャットを併用するのに役立つ。
INZONE H9/7/3における大きな特徴の1つは,バーチャルサラウンドサウンド技術「360 Spatial Sound for Gaming」(以下,360SS for Gaming)だ。ソニーは,独自の立体音響技術として「360 Spatial Sound Mapping」(以下,360SSM)や,バーチャルサラウンド技術「360 Reality Audio」といった技術を有している。360SS for Gamingは,360SSMをゲーム向けに最適化したもので,ステレオサウンドを7.1chのバーチャルスピーカーによる再生であるかのように処理するものだ。
360SS for Gamingにおける技術的なポイントの1つは,360 Reality Audioと同じく,ユーザーの耳の写真から個人に最適化した聴感特性の補正情報を生成して,それをPC側で補正に用いることにある(関連記事)。これにより,左右だけでなく上下方向にも動く音源の位置をユーザーの耳に合わせて表現できるので,ゲームにおいて音で敵の位置を掴むのに役立つわけだ。ユーザー個別の補正情報は,スマートフォン向けの「360 Spatial Sound Personalizer」アプリで生成したものを利用する。
なお,360 Spatial Sound for Gamingは,ディスプレイでも触れたWindows PC用の統合設定ソフトウェアであるINZONE Hubで実現するため,PC以外では使用できない。一方で,INZONE H9/7は,PS5の立体音響技術「Tempest 3D Audio」にも対応しているので,PS5のゲームサウンドを楽しむにも適している。
優れた音質と定位感を実現するために,INZONE Hシリーズは,ハードウェアでも工夫を凝らしている。まず,音を鳴らす振動板は,ソニーのオーディオ向けヘッドフォンで培ったノウハウを生かしつつ,ゲーム向けに最適化したものを採用。イヤーカップの後側にはダクトを設けて,低音域の表現力を高めているという。
さらに,最上位モデルのINZONE H9は,ノイズキャンセリング能力の高さで定評あるソニーのヘッドフォン「1000X」シリーズで実績のあるアクティブノイズキャンセリング機能を実装しており,周囲のノイズを遮断してゲームに集中しやすくしている。
ワイヤレスモデルのINZONE H9は,バッテリー駆動時間が最大約32時間(※ノイズキャンセリングオフ時),INZONE H7は約40時間となっている。丸一日のゲームプレイにも十分だろう。
ディスプレイと同様,INZONE Hシリーズのワイヤレスモデルは,ハイエンド市場を狙った製品なので,価格は相応に高価である。ヘッドセットの音質は好みに左右される面も多いが,高品質かつ多機能なゲーマー向けヘッドセットを求めている人なら,選択肢に入れる価値はありそうだ。
ソニーのINZONE製品情報ページ
ソニー公式Webサイト
- 関連タイトル:
INZONE
- この記事のURL: