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[CEDEC 2022]ボードゲームのデジタル化は,UIが面白さを左右する。オインクゲームズのセッションをレポート
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印刷2022/08/24 13:17

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[CEDEC 2022]ボードゲームのデジタル化は,UIが面白さを左右する。オインクゲームズのセッションをレポート

 ゲーム開発者カンファレンス「CEDEC 2022」の初日となる2022年8月23日,オインクゲームズのデジタル部UIデザイナー・プログラマーである新藤愛大氏が,「ボードゲームのデジタル化への挑戦 - レッツプレイ!オインクゲームズの UI・ゲームデザイン」と題した講演を行った。
 この講演では,さまざまアナログボードゲームをリリースしてきたオインクゲームズが,「レッツプレイ!オインクゲームズ」PC / Nintendo Switch)でデジタル化するにあたってぶつかった壁や,その解決策が語られた。

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「レッツプレイ!オインクゲームズ」公式サイト


登壇した新藤愛大氏。「レッツプレイ!オインクゲームズ」ではUIデザイン,モデリング,UIアニメーション,演出を担当
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 まずは「レッツプレイ!オインクゲームズ」について紹介しておくと,これまでに50タイトル以上を展開してきたオインクゲームズのアナログゲームのうち,いくつかのタイトルを収録したデジタルボードゲームだ。2021年12月にNintendo Switch版が,2022年7月にSteam版がリリースされている。
 配信時は「海底探険」「スタータップス」「エセ芸術家ニューヨークへ行く」「月面探険」の4本が収録されていたが,アップデートで,「この顔 どの顔?」「藪の中」を追加。秋には「ファフニル」,冬には「SCOUT」の追加が予定されている。

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共同研究者として紹介された,オインクゲームズ代表の佐々木 隼氏。同社のデジタルゲーム,アナログゲーム双方の開発に携わっている。「レッツプレイ!オインクゲームズ」収録タイトルも,すべて氏がゲームデザイナーとして制作したものだ
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 新藤氏によれば,本作の開発に着手する前,オインクゲームズはボードゲームのデジタル化に消極的だったという。ボードゲームのユニークなところは,プレイ中に相手の表情や動き,会話などからメタな情報を無意識に感じ取れることであり,これらのないデジタルボードゲームでは,対面して遊ぶ面白さが感じにくいと考えていたからだ。
 しかし,新型コロナウイルスの流行で状況が変わった。コロナ禍で人が集まりづらくなり,ボードゲームという娯楽自体の危機であると,オインクゲームズは感じたという。離れていても一緒に遊べる環境が必要だという問題意識が生まれたのだ。
 その頃,「Among Us」の流行により,ボードゲーム的な遊びをオンラインでプレイする土壌ができていたことも後押しとなり,オインクゲムームズなりにデジタルボードゲームの形を模索することになった。

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 開発にあたり,まず3つのコンセプトを決めたという。1つめは「人と会わなくてもプレイできる」で,具体的にはビデオチャットなどで友達とつながり,オンラインで遊ぶことを想定した。
 2つめは「人と人との関わり合いを邪魔しない」ということ。デジタル化したとしても,あくまでアナログゲームの延長線上にあることを意識し,デジタルゲーム的な演出やビジュアルを避けて,そのゲームがもともと持っている手触りや空気感から離れないものを目指した。
 3つめは,「友達同士で遊ぶことに集中する」。オンラインでプレイするのだから,オンラインランキングなどの実装は可能だが,友達の家でボードゲームを遊ぶときにそんなものを気にすることはない。そのため,本作ではあえて取り入れないようにしている。

 以上のコンセプトをもとに,初期のビジュアルが制作された。ゲームの選択画面では,オインクゲームズの作品の特徴であるゲームの小さな箱がズラっと並び,「どれを遊ぶ?」と話しながら決めることをイメージしている。画像が逆光なのは,ゲーム自体ではなく,それを遊ぶ場が主役だという考えによるものだそうだ。

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 海底探険の初期のビジュアルも,友達とボードゲームを遊んでいる雰囲気を大切にするためにコンポーネントをそのまま3D化し,ダイスを振ったりコマを動かしたりして遊ぶイメージになっている。視点も,デジタルであれば全体が見やすい真上からの視点などを採用できるが,アナログでプレイしているような角度だ。

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 スタータップスも,アナログ同様のコンポーネントを採用している。新藤氏が中でも注目してもらいたいと話すのが,得点用のチップだ。得点計算に使うものなので,UIの数字で表示できるが,あえてモノとして置くことで物理的なやり取りが視覚化され,アナログ感を表現できるという。

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 コンセプトのビジュアルを見ると,これだけでも十分に再現できていそうに思える。しかし,ここでいくつかの壁にぶつかってしまった。

 壁の説明する前に,話が分かりやすくなるよう,ゲームのルールをざっくり紹介をしておこう。最初にプロトタイプが実装された海底探検は,すごろくベースのゲームで,プレイヤーは潜水艦から海底に潜り,財宝を獲得する。ただし,手番が来るたびに,全プレイヤーが共有している潜水艦の空気が減っていくので,それが尽きる前に潜水艦に戻らなければならない。持ち帰れた財宝が一番大きなプレイヤーが勝ちとなるため,いつまで探索を続けるかの駆け引きが生まれるという,チキンレース的なすごろくだ。

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 スタータップスは,投資家として将来有望な企業に投資を行い,利益を得ることを目指すカードゲームだ。同じ企業のカードを一番多く集めたプレイヤーが得点を得られるが,中途半端にカードを持っていると,一番集めたプレイヤーにお金を払わなければならない。また,一番多く投資しているプレイヤーは,カードを引く手段が減るので,投資先と投資タイミングの見極めが重要になっている。

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 これらプロトタイプを触ってみた新藤氏達は,「なんか思ってたのと違う」という感想を抱いたという。この違和感を紐解いていくと,分かりにくい部分や,もともとあったはずの面白さが欠けてしまっている部分が見つかったそうだ。

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 まず挙がった意見が,「自分の番が来たのかが分かりにくい」こと。アナログゲームでは自分の番を示す表示は何もないので,プロトタイプでも盛り込んでいなかったのだが,これがデジタルになると,画面に変化がなければ伝わらない。そこで,黒字に黄色の文字という目立つ配色で「あなたの番です」という表示を追加した。この表示に合わせて専用サウンドを入れ,画面から目を離していても自分の番だと分かるようになっている。

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 また,「自分の番が来たのかが分かりにくい」という意見は,海底探検よりもスタータップスのほうに強く挙がったという。なぜかというと,海底探検では自分の番になると「さらにもぐる」「ひきかえす」という選択肢が表示されるが,スタータップスは選択肢ではなく「取るカードを選択する」というフローが入るため,画面に変化がなく気付きにくくなっていたのだ。
 このことから,画面に何かしらの変化があることが大事だという気づきを得た新藤氏は,自分の番になると画面が少しズームし,山札が浮き上がるといった動きを取り入れた。

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 次に挙がった問題が,「何をすべきかを見失う」だった。スタータップスの場合,自分の手番でカードを山札から引かなければいけない状態になっても,それが分からない人が出てしまった。
 アナログのプレイでは,自発的にコマやカードを動かすが,デジタルでのプレイでは,システムが自動的に動かしてゲームの流れを主導する。これは便利な反面,プレイヤーが置いてけぼりになってしまうのだ。そこで本作では,やるべきことをテキストで表示するというルールを徹底することにした。

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この状態では,自分の番で操作が求められていることに気づけない
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テキストでのガイドが追加された状態

 さらに大きな問題になったのが,「ほかのプレイヤーの存在を感じられない」ということだ。実際のボードゲームと同じルールで遊んでいるのに,デジタルになった途端,一緒に遊んでいる感覚が薄くなってしまう。リアルタイムで対人プレイをしても,CPU相手と変わらない感覚しか得られないのであれば,デジタル化の意味がない。

 こうした無機質なプレイ感は,どのように解消すればいいのだろうか。本作では,テストプレイで「相手の番であっても選択肢を表示するのはどうか」という案が挙がったという。例えば海底探検では,上記の「さらにもぐる」「ひきかえす」という表示が存在するが,これを全員が見える形にしたのだ。

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 もちろん,システム的には手番のプレイヤー用の選択肢なので,ほかのプレイヤーが何かできるわけではない。しかし,これが見えることによって,「変化のない画面を眺めるだけ」だった時間が,「相手が何をしているのか」「何に迷っているのか」といったフィードバックがリアルタイムで得られる時間になる。いってみれば,現実のプレイにおける相手の表情や動き,会話などから得られるフィードバックを,UIの工夫で得るというわけだ。こうすることで,画面の向こうにいるプレイヤーの存在がより感じられるようになり,無機質だったプレイ感がグっとアナログボードゲームに近づいていく。

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 ここまでやっても,「プレイが淡々としている」という意見が多く見られたと新藤氏は語る。その原因の1つは,デジタルボードゲームでは,ゲーム的に大事なことが起きても,そこにフォーカスしないとプレイヤーが流してしまうことがあるという点だ。
 例えば,海底探検で空気残量が減るのは,全プレイヤーにとって重要な情報だ。これが現実なら,残量を示すコマを誰かが動かすとき,皆がその動きに注目する。しかし,デジタルでは画面の一部が勝手に動くだけなので,重要性が伝わらない。つまり,現実での感じ方を再現できていないのだ。
 そこで,重要なものをシステムが自動的に動かすとき,カメラが寄るなど,感覚のズレを埋める演出を入れることになった。これにより,プレイに抑揚が生まれ,淡々とした印象も薄くなった。
 デジタル的な演出を入れることに否定的だったオインクゲームズにとって,そうしたものがないとプレイ感覚に影響がでるという事実は,大きな発見だったと新藤氏は振り返った。

画面の一部でしかない潜水艦の上でコマが動くだけでは,重要性が感じられない
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 続いて「デジタルにおける重み」について。デジタルで海底探検をプレイしていると,一手目でチップ(財宝)を拾いたくなることがよくあったという。しかし,アナログでこれはやりにくい。コマをどかしてチップを拾い,ブランクチップ(チップが取られたことを示すもの)に置き換え,コマを戻すという動作が必要になるため,「拾わない」方向にバイアスがかかるからだ。つまり,手順の多さが心理的な負荷に直結しているわけだ。

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 これがデジタルで簡略化されると,心理的負荷が軽い反面,「重み」がなく単調に感じられる。分かりやすい例を挙げれば,ダイスを振るとき,システムで勝手に振られるよりも,プレイヤーが「ダイスを振る」という操作を行うようにしたほうが,より気持ちを乗せてプレイできるのだ。

 また,海底探検の開始時,プロトタイプでは潜水艦に各プレイヤーのコマが自動で置かれていたが,これを「自分のコマが画面に表示され,ボタンを押すと潜水艦に置かれる」形にした。これはもともと,プレイヤーが自分のコマの色を確認するために入れたものだが,同時にプレイヤーがコマに憑依する儀式のようなものとして機能し,「やるぞ」という気持ちになれることに気がついたという。
 操作を簡単にするのではなく,こうした「重み」を積み上げることによって,プレイの単調さを軽減できるのだ。

自動でいきなりゲームが始まってしまうと,気持ちが乗り切れない。ゲーム開始時の演出をしっかりと作ることが重要になる
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 ここまで,ボードゲームをどのようにデジタルで再現するかが語られたが,「デジタル化のその先へ」と題して,さらに踏み込んだ知見も紹介された。
 新藤氏によれば,現実のボードゲームをそのまま再現することは,必ずしもベストではない。変えるべきところは変えることで,デジタルだからこそできるボードゲームになるという。

 その例として挙がったのが,後半に開発された「エセ芸術家ニューヨークへ行く」「この顔 どの顔?」だ。
 エセ芸術家ニューヨークへ行くは,各プレイヤーがお題に沿って,同じ絵に1筆ずつ絵を描いていくというゲームだ。ただし,1人だけお題を知らされていない「エセ芸術家」が紛れ込んでいて,周りに合わせて絵を描いているだけ。それが誰なのかを当てる「お絵かき人狼」となっている。

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 この顔 どの顔?は,1人がさまざまなパーツを使ってお題に沿った顔を作り,そのお題がなんなのかをほかのプレイヤーが当てる,福笑い的な要素を持つゲームだ。

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 これらをデジタル化するにあたって,オインクゲームズではデジタルならではの要素を生かしている。エセ芸術家ニューヨークへ行くの場合,アナログでプレイするには,実際に絵を描くプレイヤーに加え,お題を出す(1人には知らせない状況を作る)ためのマスター役が必要だった。デジタルならシステム側が自動的に出題できるので,全員がプレイヤーになれる。
 デジタルに任せられる役職や手続きがないかを見直すことで,プレイの負担やプレイ人数の制約を軽減できるというわけだ。

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 またデジタルでは,必ずしもリアルなコンポーネントである必要性はなくなる。
 コンポーネントを3Dで再現する理由の1つに,「フィジカルだからこそできる分かりやすさ」が存在する。海底探検ではチップを用いているが,このチップは「表と裏」という仕組みが利用できるため,優秀なUIになるが,デジタルでチップの概念を取り除いてしまうと,表と裏の概念を説明するのは大変だ。この分かりやすさは,ボードゲームのコンポーネントをデジタル化で生かすかどうかの,重要な基準となるという。

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 一方,エセ芸術家ニューヨークへ行くの場合,お絵かきさえできれば,どんなペンや紙でも構わないため,ボードゲームと同じ形状である必要はない。このような場合,デジタルに適した表現がないかを見直すことで,もともとのゲームが持つ楽しさを,視覚的な面やロールプレイの面で,さらに増幅できる。

もともとは紙とサインペンだったコンポーネントを,デジタル版ではカンバスと筆に変更した。完成した絵が美術館に飾られるという演出も追加されている
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 アナログボードゲームの不得意なこととして,タイミングや時間が絡む厳密な判定が挙げられる。その点,デジタルゲームはそうした判定が得意だ。
 この顔 どの顔?は,1人が顔を作り,終わったら完成形を見てお題を当てるという流れになっていた。しかし,これをそのままデジタルに移し替えると,ほかのプレイヤーの様子が見えないため,回答までの待ち時間が長く感じられる。そこで,デジタル版ではルールを変更し,顔を作っている間でも早押しで答えられる形式を導入した。これは,「誰が早かったか」を厳密に判定できるデジタルならではの要素であり,待ち時間が解消されただけでなく,いつ回答するか(一番早く回答した人にはボーナスが入る)という選択も生まれ,ルールに深みができた。

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 アナログボードゲームを遊ぶとき,ほかのプレイヤーは知っている人であることが多いが,デジタル化してオンラインで遊べるようにするとなると,知らない人とプレイするケースも考えられる。
 この顔 どの顔?の場合,顔を作るプレイヤーがあまり上手でないと回答が難しい。知っている人なら許せるが,知らない人の場合はストレスになる可能性がある。そこで,これを軽減するために,もともとは「正解すると1点」だったルールを,「間違えた人が多いほど当てた人の得点が大きくなる」ように変更し,高得点のチャンスになるようにした。これにより,あえて大穴の回答を狙うといった選択肢が増え,プレイの幅が広がったという。

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 新藤氏は最後に,フィードバックを大事にすることの重要性を挙げた。
 エセ芸術家ニューヨークへ行くでは,プレイ後に「この絵はなんだったと思う?」という話で盛り上がる。これにより,プレイヤーはお題がバレていたのか,そうでないのかが分かるので,こうしたルール外の会話は重要なフィードバックになる。
 しかし,デジタルボードゲームの場合,勝者が決定したらゲーム終了にすると,話をするタイミングがない。そこでデジタル版では,勝敗と関係なく「お題が何だったか」を回答するフェーズを設け,フィードバックが得られる仕組みを採用した。

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デジタル化でより良いゲームにするために見直すべきポイント
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 さて,最初にあったとおり,オインクゲームズはボードゲームのデジタル化に消極的だった。しかし,実際にデジタル化してみてどうだったかというと,良いところがたくさんあることが分かったという。準備が楽になり,面倒なシステムも自動でやってくれて,ルールを間違えることもない。何より,離れた人とも遊べる。いろいろな面で低コストで,気軽にプレイできるため,「ちょっとやってみよう」というハードルが低くなり,より多くの人にボードゲームを楽しんでもらえる可能性を秘めている。
 デジタル化によって抜け落ちてしまうものもたくさんあるが,デジタルの良いところを伸ばすように意識すれば,トータルで見てもともとの面白さに匹敵するものが作れると,今は考えているそうだ。

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 新藤氏は,今回のデジタル版で,ちょっとしたUIの工夫で面白さの感じ方が大きく変わることを,身をもって体験した。新藤氏の立場からすれば,楽しくもあり恐ろしくもある話で,「UIデザインでこのゲームを,さらに感じさせることができるのではないか」ということを常に意識すべきだと思わされたと述べる。そのうえで,これを実践するには,頭の中で考えるだけでなく,何度もテストプレイをして実際に動かしてみることが大事だと強調してセッションを締めくくった。

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