企画記事
「FINAL FANTASY VII REBIRTH」のシステムは「REMAKE」からどう変わった?“リメイク作の第二編”という特異な作品のブラッシュアップとは
今さら説明するまでもないかもしれないが,本作は1997年に発売された初代PlayStation用ソフト「FINAL FANTASY VII」のリメイク作品であり,2020年にPlayStation 4向けに発売された「FINAL FANTASY VII REMAKE」(PC / PS5 / PS4)に続く,“リメイク三部作の第二編”にあたるタイトルだ。
物語としては,ゲーム開始からミッドガル脱出までがREMAKEで,その直後から,忘らるる都で起こった出来事までがREBIRTHで描かれた。
REMAKEとREBIRTHは最初にリリースされたプラットフォームこそ違うが(REMAKEは後にPS5版とPC版もリリースされた),位置づけとしては兄弟作よりも関係が近いと思われる。言ってみれば“分割作”といった存在だ。
実際,REBIRTHのゲームシステムはREMAKEをほぼ踏襲しており,コマンド要素を取り入れつつもアクション性が極めて高い,特徴的なバトルも引き継いでいる。パッと見で大きな変化はないが,もともとは1つのタイトルであるわけだから,当然と言えば当然だ。
とはいえ,REMAKEに続いてREBIRTHをプレイしてみて,さまざまなところで「あれ,こんな感じだったっけ? 変わった?」と感じた人も多かったのではないだろうか。
REMAKEから約4年後のリリースとなったため,ハードウェアの進化によってできることは増えたはずだし,REMAKEをプレイした人からの声をREBIRTHにフィードバックする意図は当然あっただろう。もっとシンプルに,ゲームとして一層クオリティを上げるため盛り込んだ要素もあるはずだ。
そこで本稿では,RIBIRTH後に改めてREMAKEをプレイしてみて,REBIRTHにどんな変更が盛り込まれたのかを確認し,それらがなぜ行われたのかを考察してみたい。いずれリリースされるはずの次作(3作め)の予想にも役立つ……かもしれない。
なお,シナリオ面でのネタバレはないので,未プレイの人も安心して読み進めてほしい。
広大なフィールドマップが追加され,各地の往来もほぼ自由に
REMAKEとREBIRTHにおける一番の大きな違いは,冒険できる範囲が劇的に拡大されたことだ。物語の展開上,ミッドガルのみが舞台になっていたREMAKEに比べ,REBIRTHのスタート地点はミッドガル近郊のカームであり,序盤のイベントをこなせば,広大なフィールドをほぼ自由に探索できるようになる。眼前に広がる緑の平原に感動した人も少なくなかったはずだ。
REMAKEでもスラム街やウォールマーケットといった場所は一定の広さがあり,ある程度自由に動けたが,あくまで都市の一部分という扱いであったため,基本的には街路以外の場所に行くことは不可能だった。建物の中や,瓦礫とガラクタだらけの狭い道,あるいは下水道のような場所ばかり歩いていた……という記憶が残っているのは,筆者だけではないはずだ。
REMAKEでは「チャプター1つがすべてダンジョンマップ」というシチュエーションも多かったのだが,REBIRTHのチャプターは,深い森の奥に魔晄炉がたたずむゴンガガや,海から山まで広がるニブルといったように,さまざまなロケーションがあるフィールドのエリアで区切られることが多くなった。
当然ながら,そこに配置されるクエストも大幅に増え,オープンワールドタイトルでおなじみの「メインクエストをひとまず放置して,サブクエストや探索にいそしむ」という行動も取りやすくなった。REBIRTHでは行動範囲以外の自由度もグンと増したと言えるだろう。
また行動が自由なタイミングであれば,エリアをまたいだ移動もできるので,REMAKEのように「特定のチャプター内でサブクエストをすべてこなしておかないと,取り返しがつかなくなる」というケースは少ない。
REMAKEの欠点を並べるような形になってしまったが,同作はミッドガル内のみで物語が展開されるパートだけに,広いフィールドを用意することが難しかったことは推測できる。 実際のプレイ時間はともかく,REMAKEの物語はゲーム内の時間だとかなりの短期間(恐らく数日程度)でエンディングに向かっていくので,このあたりも自由に行動させにくい要因になっているのかもしれない。
全体としてみると,REBIRTHではプレイヤーの裁量や自由度がかなり向上し,“行動の窮屈さ”がかなり低減されたように感じる。ゲームシステム上は,あくまでメインシナリオを軸とした一本道の展開で進んでいくのだが,全体のスケール感が大幅に広がったために,“寄り道”の規模自体が大きくなったのが,その要因の1つかもしれない。
戦闘ではより仲間との連携が重視され,全体的にアクションの幅が広がる
冒頭でも触れたように,REBIRTHはREMAKEに引き続き,オリジナル版からの要素であるコマンド入力を取り入れつつも,極めてアクション性が高いバトルシステムを採用している。
簡単にまとめれば,通常の操作や攻撃アクションはボタンのリアルタイム入力で,そして魔法やスキルなどの特殊な能力はコマンド入力で発動するのが基本だ。コマンド入力時は時間の流れが極端に遅くなるので,敵の動きをじっくりと見ながら,好きなタイミングで大技を使えるようになっている。
アクションが苦手な人に向けた,コマンド入力が基本となるClassic操作も健在で,REBIRTHでは難度設定に関係なく利用できるようにもなった(とはいえ現在はREMAKE側もアップデートにより,難度に関係なくClassic設定を選べる)。
REMAKEからREBIRTHでの大きな変更は,仲間との連携技が追加されたことだ。REMAKEにおけるパーティバトルは「敵の特徴に合わせて操作キャラを切り替える」までに留まっており,連携技と呼べるようなものは用意されていなかった。
連携技は大きく分けると「連携アクション」と「連携アビリティ」の2つあり,前者はボタンの組み合わせだけで発動できるシンプルな技,後者はATBを消費する大技となっている。特に連携アビリティについては,ボスなどの強敵を相手にした戦いで起死回生の一手になった人も多いはず。
連携アクションは発動にリソースを必要としないだけに,単発の威力や効果は決して高くない。だが,例えば剣による近距離攻撃がメインのクラウドでも「カウンターシュート」を使えば遠距離カウンターを繰り出せたり,動きや回避が遅いバレットは「ダブルガード」でより強力なガードを使えたりと,アクションの幅が広がる。
一方の連携アビリティは,連携する2人のATBゲージを溜める必要があり,連発こそ無理だが,高威力なものとなっている。一時的に味方のMP消費をゼロにしたり,リミット技のレベルを上げたりと,副次的な効果が付くものもあり,前述のように特にボス戦では欠かせない。REBIRTHのボスはREMAKEより手強い印象なので,これに救われることは多いだろう。
戦闘パーティのメンバーが倒れて残り1人になったとき,救済策として控えのキャラと連携アビリティが発動できる「リザーブメンバーコマンド」が用意されているあたりにも,その重要性が感じられる。
連携技には,ベースになったと思われるシステムがある。PC/PS5版REMAKEのDLC「INTERMISSION」のバトルだ。このDLCではユフィが主人公となり,彼女と同じウータイ出身のソノンをはじめとした仲間と共闘することになる。
ソノンは純粋なNPCで,REMAKE本編の仲間とは違って直接操作はできないのだが,その代わりに連携モードに切り替えられ,ユフィのアクションやスキルを強化できる。
REBIRTHで使えるユフィの連携アクションに「シノビシュート改」があるが,「改」がつくのはINTERMISSIONに登場した「シノビシュート」をアレンジしているため。
オリジナルはマテリアを装備すると発動が可能になる特殊なアクションだったが,そのあたりの細かい仕様や連携相手を変えて再登場した形だ。
ついでに触れておくと,REBIRTHの連携アビリティ「ヴィジョンシンセ」も,REMAKEでは「ヴィジョン」というマテリアとして登場していた。
どちらも,発動するとATBバーを増やす効果があるのだが,REMAKEでは装備のマテリア穴を消費するうえにリミット技扱いで,正直に言って使い勝手はよろしくなかった。そのため,こちらも連携技に差し替えられたのだろう。結果として実用性が高まり,日の目を見ることになったのは良かったと感じる。
仲間の入れ替えが自由になり,操作していないキャラも一層活躍できるように
REMAKEでは基本的にシナリオの展開に応じてパーティメンバーが決まり,プレイヤーの意志で選ぶことはできなかった。REBIRTHでも仲間が一時的に抜けたり,パーティメンバーが指定されたりといった場面はあるのだが,基本的にはお気に入りのキャラを優先してチョイスし,自由にパーティを組める。ここはREBIRTHからの特徴といえるだろう。
基本的に3人パーティでの戦闘となるのはREMAKEと同様だが,REBIRTHでは,プレイヤーが操作していないメンバーの挙動にテコ入れが図られている。新たに登場した「オート固有アビリティ」「オート武器アビリティ」のマテリアを装備させれば,プレイヤーが逐次コマンド入力をおこなわなくても,仲間が勝手にスキルを使ってくれるようになったのだ。
魔法を自動化できるマテリアについても,REBIRTHではREMAKEからあった「オートケアル」に代わり「オートまほう」が登場し,回復だけでなく攻撃やバフなども仲間に任せられるようになっている。
オートスキルであってもATBバーは消費するので,大技を使いたいボス戦などでは必ずしも有利になるとは限らないが,本腰を入れて戦う必要がないザコ戦なら操作の手間が減り,敵も素早く倒せるというメリットがある。
バトル中に観察すると分かるのだが,プレイヤーが操作していないキャラは防御の比率がかなり高く,攻撃に出る場面はそこまで多くない。スキルの自動発動は,結果的に攻撃の手数を増やすことにも役立つ印象だ。
ちなみにREBIRTHの戦闘はジャストガードがかなり強力だが,これも無印のREMAKEには存在せず,DLCのユフィ編から追加された。前述の連携モードも含めて,ユフィ編の戦闘はREMAKEとREBIRTHの中間,REMAKE1.5的な立ち位置と言えるかもしれない。
武器とキャラクターの強化システムが統合され,よりシンプルに
REMAKEのキャラクターの強化システムは,武器ごとに用意されたスキルポイントを割り振ることで武器の能力を上げたり,ステータスアップの効果を取得したりという,一風変わったものになっていた。
つまりレベルを除けば,各種の強化要素は武器に紐付いており,武器を変えた時点でステータスも変わってくる……という仕組みだったのだ。
これには「初期の武器でも好みの能力を上げたり,優先的にマテリア穴を増やして使い勝手をよくしたりできる」とか,「ダンジョンに出てくる敵の特性に合わせて,武器の持ち替えを検討できる」といったメリットがあった。
だが全体的に煩雑な印象も強く,何より武器ごとに何度もポイントを割り振らないといけない点で,面倒に感じることが多かったように思う。スキルリセットをしてくれる神羅の元研究員・チャドリーにも,物語の展開上会えない場面が多かった。
一方でREBIRTHでは,スキルの強化はキャラクター側に変更され,グッとシンプルになった。RPGでよく見るスキルツリーとほぼ同等のルールであり,ゲーマーにとっては分かりやすいはず。
スキルリセットも,街の魔導書店やフィールド上に配置された自動販売機に行けばいつでも可能となっている。さらに地味な変更点だが,炎や氷といった属性攻撃を放てるスキルが登場し,魔法マテリアを装備しなくても敵の弱点が突けるようになったのは嬉しいポイントだ。
武器側にもレベルやスキルスロットは残っているが,能力自体は自動的に強化され,スキルもバフの域を出ず,付け替えもマテリア同様に完全に自由となった。全体として,かなり直感的なシステムに変更された印象だ。
クラフト要素追加で探索のモチベーションもアップ
REBIRTHで完全新規要素として追加されたのが,アイテムクラフト。既存のアイテムや素材,あるいは防具などを消費して新たなアイテムを生み出したり,強化したりできる。ゲーム開始早々にクラフト用の道具を手渡され,一部のイベントクリアにはクラフトでしか入手できないアイテムが必要になるので,活用した人は多いだろう。
アイテムの入手性自体は,REMAKEも決して悪いわけではなく,街の店舗に加え,マップの随所に置かれた自動販売機で購入できる。システムの根幹をなすマテリアすら買えてしまうなど,品揃えもバッチリだ。
REBIRTHではさらにクラフトという選択肢が増えたので,余っている素材で単純な消耗品を作ってもいいし,ポーションやエーテルを強化するなどして,キツいボス戦に備えることもやりやすくなった。防具も作成や強化ができるので,マメに探索をおこなっておくと,結果的にその後の進行が少しだが楽になるという副次的な効果もあったと思う。
筆者のように,各地を巡るときに少しだけ遠回りになっても,素材集めがやめられなかった人は多いだろう。
各地のライフスポットの近くに多数の素材が落ちていたり,チョコボで設計図や素材を掘り出すクエストがあったりと,クラフトはある種の“探索のご褒美”として用意されていたように感じる。決して派手なものではないが,地味に時間をかけた分のリターンがあるので,モチベーションは下がらなかった。
チャドリーからのレポート依頼が多彩な内容に
REMAKEに比べ,REBIRTHで大きく存在感が増したのが,チャドリーだ。彼からのレポート依頼をこなすとアイテムなどがもらえるところに変化はないのだが,レポートの種類と数が大幅に増えた結果,とにかくお世話になる機会が増えている。
まず一番大きな違いは,バトルシミュレーターのボリュームアップだ。REMAKEでは基本的に「召喚獣と戦うだけ」の機能であったのが,REBIRTHではチュートリアルからエンドコンテンツに近い高難度の特殊バトルまでのさまざまなバトルが用意されている。クリア時にはマテリアなどが入手できることもあり,コンプリートしたくなる欲が湧き,繰り返し挑戦したくなるのだ。
REBIRTHでも,召喚獣との戦いに勝利することでその召喚マテリアが入手できるのは変わらないが,エリアの探索を進めると,召喚獣とのバトルの難度を下げられるようになった。
REMAKEでは召喚獣の強さに心を折られそうになることもあったが,REBIRTHでは「ひとまず探索を進めようか」となるので,ストレスは軽減されたと感じる。
さらに「てきのわざ」の習得条件も変わり,実際に技を受けるのではなく,シミュレーターのクリアで覚えられるようになった。わざわざ特定の敵に会いに行っては技を出すのを待つ必要がなくなったのは嬉しい。
「バトルレポート」は名前が「討伐レポート」となり,内容も刷新された。REMAKEでは「バーストを○○回発生させる」や「○○を数十体倒す」など,クリアまで長丁場になるものが多かったが,それがREBIRTHではエリアの所々にいる希少種モンスターの討伐となっている。オプション的な目的もあるが,それを果たすかはあくまで任意で,基本的には倒せばOK。これにより,レポートの“手離れ”がよくなり,進行中のクエストに集中しやすくなったと感じる。
さらに各地のライフスポットを巡る探索レポート,通信塔を起動する起動レポートなど,さまざまなレポート依頼が追加されている。
これらはフィールドの探索と密接に結びついており,単純に旅の目標となるだけでなく,クリアすればレアなマテリアという報酬も得られる。広大になったフィールドを巡る冒険を後押しするものになっているのが注目点だろう。
あくまで推測だが,オリジナル版の内容に沿うなら,次作でもクラウドたちは引き続き広いエリアを旅するはず。チャドリーには引き続き元気に登場してもらいたいところだ。
REMAKEのシステムを整理し,スケールアップに合わせた調整を行ったRIBIRTH
以上,REMAKEからREBIRTHへの目立った変更点をピックアップしてまとめてみた。細かい変更部分はまだまだ多数あり,例えばメニュー画面から回復魔法が使えるようになった,コンドルフォートがデッキ構築型でなくなった,戦闘を避けるのが簡単になった(かなり近づかないと戦闘にならない)等,探せばいくらでもある。
ただ,全体としては「煩雑なシステムの整理」「冒険のスケールアップに合わせた要素の追加」「ユフィ編をブラッシュアップした戦闘システムの改修」といったあたりにまとめられる印象だ。ハードウェアの進化によるグラフィックスの強化がまず目に付くが,ゲーム全体のボリュームが増した(プレイ時間が増加した)分だけ,システム面での改善は思った以上にプレイヤーのメリットになっているのではないだろうか。
現状では,FF7リメイクの最終作となるはずの“次”のゲームはまったく見えない状態だが,恐らくREBIRTHをベースにして,さらにユーザーの声を取り込み,新たな冒険の舞台に適した形で戻ってくることだろう。さらなる進化を期待しつつ,いちゲーマーとして近い将来のリリースを待ちたい。
「FINAL FANTASY VII REBIRTH」公式サイト
- 関連タイトル:
FINAL FANTASY VII REBIRTH
- 関連タイトル:
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